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GAKUストラテジー戦記 GAKU Presents
2007年第5戦@メルボルン

GAKU ストラテジー・2倍モード

 往路便がケアンズ経由だったため、ドア・トゥ・ドアで22時間かかったメルボルン。やっと着いたメルボルン国際空港からクラウン・カジノまでの車中からは、市内上空をアクロバット飛行の編隊が見えた。街の上空でこんなことをやるなんて、さすがオーストラリアだ。

 クラウン・カジノ到着後は、休む間もなくF1観戦へ向かった。2007年度開幕戦であるメルボルン戦はメチャクチャ盛り上がっていた。初めて体験するF1観戦は、その爆音にただ圧倒され続けた。フェラーリのキミ・ライコネンがポールポジションから終止安定した走りで、2位以下を圧倒し続けたレースだった。

 F1会場からクラウン・カジノに戻り、デポジットのためマホガニー・ルームへ向かう。そこにはすでに公式オフ会参加メンバーが揃っていた。午後7時30分からのウェルカム・パーティを控え、プレイはまだ止めておこうと思っていたのだが、引き寄せられるように無意識にBJテーブルに座っていた。

 マホガニー・ルームでは、ミニマムA$50の2倍モードの GAKU ストラテジーで臨むことに決めていた。2倍モードでは過去に何度も苦汁を舐めてきた。単に2倍といっても、メンタル・コントロールにかかる負担はその想像を超す。これを克服するのが今回の目標であった。

■連敗スタート

 最初のセッションはベットアップ・モードを2連敗して負け逃げ。次のセッションでは勝ち逃げするも、その後は細かくマイナス・セッションをくり返していった。ベットアップ・モードがセッション開始直後に連敗してしまい、どうしてもマイナスが先行する展開が続いてしまう。気がついてみると、ウェルカム・パーティが始まる午後7時30分には、すでにマイナスA$15,000となっていた。ある程度のマイナス・スタートは想定していたとはいえ、スタート直後のこのマイナスはやはり痛い。覚悟の上で臨んだ2倍モードの GAKU ストだったが、やはりバンクロールが決定的に不足していることに改めて気がつく。同時にメンタルの余裕がなくなっていることを痛感した。

 同じマイナスA$15,000でも、通常モードなら挽回可能な数字だと思えるのだが、2倍モードはその前にパンクしてしまう危険性が大きい。想定していたものを超えるプレッシャーが大きくのしかかっていた。このとき私が冷静だったとしたら、マホガニー・ルームでのプレイを諦めて、一般フロアでのプレイに徹して通常モードに戻すことを考えるのだろうが、このときは全く思いつくことはなかった。

 パーティも終盤に差し掛かったころ、無意識にマホガニー・ルームに戻ろうとしている自分がいた。ジー・オーさんから「 GAKU さんがそんなに急ぐなんて珍しいですね。気が早っていませんか?」と声が掛かる。まさしくその通り、本当に気が早っている。今回は4泊の長丁場に加えて、2倍モードの GAKU スト。それなのにまったくペース配分が見えていない。

 ウェルカム・パーティを終えて、とにかく一旦部屋に戻った。本当はそのままカジノに行くところだったが、ジー・オーさんからの言葉に諭されて、とにかく一度部屋に戻ることにした。

 冷たい水で顔を洗い、鏡に映った自分の顔をのぞく。F1観戦で思ったよりも日焼けしている。オーストラリアの日差しは相変わらず強烈だ。珍しく顔が火照っている。鏡に映った自分の目には、いつもの覇気が感じられない。初日にこんな状態だとは、肉体的に相当弱っているのだろう。

 今までの経験が「今日はこのまま寝ろ」と語りかけてくる。でも、今回は待ちに待ったリゾカジ.com初のメルボルン公式オフ会、それに自分が幹事だ。承知でやっているのだから、多少の無理は覚悟の上で臨んだはずだ。両手で思い切り頬を張り、気合いを入れ直してマホガニー・ルームに向かった。

■メンタルの崩壊

 ところがその後も、ベットアップ・モードで負けが先行してしまう展開が続いていく。いや、それだけではなく基本モードでの3連敗が多過ぎる。それを1シューで2回やってしまうと、ベットアップ・モード1回分くらいの勝ち分が飛んでしまう最悪のパターンだ。そしてついには、過去に経験のない1シュー内での基本モード3連敗を3度記録した。これではまるっきり勝負にならない。ベットアップ・モードを2連勝したのに、セッションのトータルがプラスA$200にしかなっていないなんて、こんな状況はあまり経験がない。これでは GAKU ストのベット・マネージメントが全く機能していないことになる。

 細かい負け逃げのセッションをくり返すばかりで、プラスのセッションがなかなか作れない。時間の経過とともに、疲労と焦りだけが大きくなっていく。今まで何度も経験済みのはずなのに、2倍モードの GAKU ストでのメンタル・コントロールの難しさを認めざるを得なかった。

 途中、何度も自分に問いかけるもうひとりの自分がいた。「とにかく今日はもう休んで明日以降につなげよう」と。しかし、いつものように軽快なフットワークがない自分。なにか違う。

 カジノの魔力はプレイヤーの思考を麻痺させ、疲労の自覚をも麻痺させる。いつもはそれに陥る前にその場から逃げていたのに、このときの私は逃げられず、完全に思考の麻痺に陥っていた。

 ここまでのトータル成績はマイナスA$23,000ほど。この程度のマイナスは過去になんども逆転してきたが、残りバンクロールを考えると、すでに2倍モードの GAKU ストには耐えられない。

 今からどうすべきか、どのようにして今まで逆転できたのか、そんな簡単なことが全く考えつかないほど思考能力は低下していた。体力も限界だったのだろうが、すべてはセルフ・コントロールできない自分の未熟さが露呈しただけ。 GAKU ストを語る以前に、カジノに対峙する基本がまるでなっていなかった。

 この時点ですでに結果は見えていた。そして、プレイヤーとしての僕の生命線であるメンタル・コントロール、そして気力と覇気もすでに失っていた。私はこの時点ですでにTKOされていたのだ。当たり前のことだが、勝負は諦めた時点で終わりである。トータル成績はともかく、初日でここまでメンタルが崩壊するなんて。。。

■そして、一刀両断

 メルボルン公式オフ会2日目。ゆっくり寝ようと思っていたのに、2時間弱の睡眠で目が覚めた。身体が痛い。寝る前よりも辛くて重い疲労感に襲われていた。

 この日はゴルフの予定だったが、この体調ではハーフすらまわることはできないだろう。一緒に行く予定にしていたみなさんには大変申し訳ないが、ゴルフをキャンセルして夕方まで睡眠をとろうと思った。しかし眠れない。極度の疲労で気が休まっていないのだろう。

 バスタブにぬるめのお湯を張って、しばらく浸かってみることにした。目を閉じて昨日までのことをゆっくり思い出してみる。おかしい、どうも記憶が断片的だ。それに、いつものように冷静に物事を判断できていない。重くのしかかってくるネガティヴ思考。「幹事失格」という自己嫌悪に陥った。

 1時間ほどベッドの中でもがいてみるが、一向に眠れない。カジノで負け続けていた頃に、何度も味わってきた感覚である。こんなときにポジティヴ思考に切り替えるのが GAKU ストなのに、気持ちも身体もついてこない。完全にモチベーションを失っていた。

 「あのときの GAKU さんは今まで見てきた GAKU スト・プレイヤーではなく、ただのバクチ好きのあんちゃんに見えた。」

 これは後からsevenさんからいただいた言葉。まったくその通りだった。あのとき、あえて厳しい言葉を投げかけてくれたsevenさんの優しさに、僕は思わず胸が熱くなった。

 何の策も持たぬまま、僕はマホガニー・ルームへ向かった。まるでとどめをさしてもらうことを望んでいるかのように。自虐的な行為であったとしか言えない。この日の夕方に到着予定のsevenさんを待つ間、一進一退のセッションが続く。わずかなプラスを作っては、それをまとめて吐き出すという繰り返しであった。

 sevenさんが到着したときには、残りバンクロールがA$10,000となっていた。ふたりで前回のゴールドコーストでのプレイ・スタイルでいくことに決めて臨むことにした。しかし、負ける。負け続ける。ベットサークルに置いたチップが、ことごとくディーラーの手によって回収されていく。必死に励ましてくれていたsevenさんの顔色も変わるほどに。ベットアップ・モードが入らないのに、すでに手持ちのチップは2/3になっている。そして、やっと入った1回目のベットアップ・モードを連敗する。万事休す。。。次のベットアップ・モードはオールインになりえる。

  GAKU ストにはあってはならないオールインのシチュエーション。この時点で自分はすでにKOされているのである。屍同然なのだ。しかし席を立てない。 GAKU ストという自己規律を破れば、どういうことになるのか明らかなはずなのに。

 ベットアップ・モード1回目、ディーラーのバックドアBJ(アップカードTから2枚目にAを引いたBJ)で敗退。つぎの2回目はいよいよオールインである。ディールされたディーラーのアップカードはT。さっきの記憶が蘇ってくる。まさにオンザエッヂ。こんなシチュエーションは本当に久しぶりだ。しかし、ここまで自分を追い込んだのは、他の誰でもない自分自身なのだ。結果がどうあろうと、すべてを受け入れる他はない。

 ディーラーがディールした2枚目のカードはAだった。2回続けてのバックドアBJ。まさに一刀両断である。この間、わずか10分ほどの出来事だった。ディーラーにひとこと感謝の言葉を掛けると、彼はうつむいたままわずかに首を横に振るだけだった。

 2年半振りに経験したバンクロール喪失。今回の反省材料を挙げればキリはないが、すべては自分自身の未熟さゆえの結果である。この結果を受け入れて、また一歩ずつ前に踏み出していくだけだ。

■戦績詳細
成績:-A$35,000
プレイ時間:20時間00分
ターンオーバー:A$880,000
セッション勝敗数:12勝19敗
シュー勝敗数:54シュー(22勝32敗)
ベットアップ・ストラテジー勝敗数:66勝48敗
(ベットアップ・ストラテジーの「敗数」は1敗につき2連敗、もしくは1回目にダブルダウンやスプリットなどでのベットアップ2単位以上の負けを表す。)

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