|
■手応えがない
朝11時からスタートしたCLUB Priveでの第1セッションは、ベットアップモード3連勝と快調だった。これで前回の17連勝から数えて、同じテーブルでベットアップを20連勝したことになる。
ここ3戦連続して、A$10,000を超すハマりから最後になんとか捲る展開ばかりだから、今回こそは先行逃げ切りにしたいと願っていた。しかし、カジノはそう思い通りにいくところではない。まさか前回以上の激戦が待っていようとは、このときは全く知る由もなかった。
GAKUストにおいて、2回を1セットとしているベットアップモードを1回負けるということは、1回目A$600と2回目A$1,000の合計A$1,600を失うこと意味する。(状況によっては、1回目もしくは2回目にダブルダウンやスプリットで負けることもあるから、その場合はその限りではない)だからこれを2連敗したときは、-A$3,200程度のマイナス・セッションになることが多い。GAKUストにおける典型的な負け逃げセッションである。
第2セッションからは、いつものようなベットアップモードの連敗はないものの連勝もない展開が続く。細かいマイナス・セッションで切って堪えるのだが、トータル成績はじわじわとマイナスへと落ちていく。マイナス・セッション2回に対して、プラス・セッション1回というパターンの繰り返しだ。GAKUストにいつもの手応えがない。本来はこの逆の割合でなければ対等に戦えないのに。
結局、連続プラス・セッションを一度も作れないまま、20セッションに及ぶ初日のプレイに区切りつける。じわじわと負ける展開のまま、トータル成績-A$16,350。部屋に戻って改めて整理してみると、 シュー勝敗数、セッション勝敗数、 ベットアップモード勝敗数のすべてにおいて、最悪に近いと言えるほど非常に悪い数字だ。今回も大苦戦、いや、初日の数字で言えばこの過去3戦よりひどい。
○ここまでの戦績
成績:-A$16,350
プレイ時間:6時間55分
ターンオーバー:A$115,500
シュー勝敗数:40シュー(14勝26敗)
セッション勝敗数:20セッション(7勝13敗)
ベットアップモード勝敗数:26勝24敗
(ベットアップ・ストラテジーの「敗数」は1敗につき2連敗、もしくは1回目にダブルダウンやスプリットなどでのベットアップ2単位以上の負けを表す。)
■体調不良
実を言うと、プレイ後半はプレイ成績とともに体調が悪かった。集中力が途切れるようならいつでも部屋に戻るつもりでいたが、一度もセッション連勝していない成績に納得できず、フットワークが重くなっていた。なんとか一度でもセッション連勝して、明日の捲りにつなげたい。自信をつけたい。しかしそんな思いとは裏腹に、いよいよもって体調は悪化し、セッション連勝を果たす前にプレイ中断を決めるしかなかった。
ケニーさんから食事に誘われるが、あまりに強い吐き気があり、申し訳ないと思いつつも断ってそのまま部屋に戻る。いつもより初日の疲れはないと思っていたのだが、実際にはケアンズに来る前から、相当な疲労が重なっていたことに気がつく。人気フレンチ・レストラン『M Yogo』での昼食会で、調子に乗って牡蠣を食べ過ぎたのもいけなかったのだろうか。美味しいものでも、プレイ前の食べ過ぎは良くないようだ(反省)。レストランの名誉のためにも話しておくが、牡蠣に当たったという訳ではない。
部屋に戻り、そのまま倒れ込むようにベッドに身を沈める。緊張の糸が切れたように、一気に疲労感が襲ってくる。身体が重い、動けない。でもまだ、このまま眠る訳にはいかない。明日からの戦略を、しっかりと練り直す必要がある。
まず、現在までの成績を分析する。その次はプレイのスケジューリングだ。明日最終日は、朝10時からCLUB Priveが臨時オープンする。夜は一般客にも解放されるから、勝負に集中できるのは午後6時までだ。今までの経験から、-A$13,000程度までの成績なら一日あれば十分にプラスに戻すことはできる。ただし、明日は夕方からケアンズの盟友ケニーさんのバースディ・パーティを予定しているから、最後の決戦はそれが終わる午後10時すぎからになるだろう。いや、深夜0時過ぎまではきっとローカルプレイヤーで混み合っていて、プレイしやすい環境ではないに違いない。するとだいたい午前2時くらいから、カジノがクローズする午前4時30分までの2時間30分が、最後の決戦となるであろう。時間的にはかなり厳しい。しかも現在の成績は -A$16,350。いつものペースではたとえGAKUストが炸裂したとしても、とても追いつかない。
こんなことを考えていたら、だんだん体調が戻って来た。空腹を感じるようになったので、ケニーさんたちが食事している韓国レストランに行くことにする。なにやら韓国の若者の間で流行っているという2種類のお酒をミックスしたものを飲んでしまい、気持ちよく酔ってきた。ケニーさんをはじめケアンズの仲間たちと一緒にいると、僕はいつも元気をもらえる。今回もそのお陰で、最悪だった体調もかなり良くなって来た。
そのまま部屋に戻って寝ようかと思うが、できれば明日につなげるためのきっかけが欲しい。明日の睡眠不足は避けられないが、体調が回復し気力の充実した今なら好い勝負ができると確信する。すると、それまでのプレイが嘘のように、プラス・セッションを連続奪取していく。ベットアップモードも大きく勝ち越しだ。カジノがクローズする時間までに、このクールだけで+A$4,850を叩きだし、ここまでの成績を-A$11,500として終了。よし、これなら明日で十分取り戻せる。
○ここまでの戦績
成績:-A$11,500
プレイ時間:11時間30分
ターンオーバー:A$189,750
シュー勝敗数:58シュー(23勝34敗1分)
セッション勝敗数:27セッション(13勝14敗)
ベットアップモード勝敗数:50勝29敗
(ベットアップ・ストラテジーの「敗数」は1敗につき2連敗、もしくは1回目にダブルダウンやスプリットなどでのベットアップ2単位以上の負けを表す。)
■GAKUスト反攻
3時間しか寝ていないのに、朝10時からのプレイに向けてパッチリと目が覚める。普段はこんなことなどないのに、カジノに来ると毎度しゃんとするから不思議だ(笑)。相当疲労はあるが、体調と気力はすっかり回復している。よし、もう大丈夫だ。できることなら、今日はパーティ前の午後6時までに勝負を決したいところだが、焦らずにいこうと自分に言い聞かせる。
この日の第1セッションは、ベットアップモードを3連勝と好スタート。プレイ感覚が昨日とはまるで違う。ベットアップモードの手応えが、いつものそれに戻ったことを実感する。これなら十分戦えそうだ。ここまで-A$11,500だったトータル成績を、開始5分で-A$10,000を切るところまでもってきた。
臨時オープンしてもらっている今回のCLUB Priveは、プレイヤーがsevenさんと僕のふたりだけだから、ゲーム進行は非常に速い。1セッション10分もあれば、A$2,000くらい簡単に上下する。しばしばジェットコースターとも評されるGAKUストのプレイ感覚に十分慣れていないと、その上下動の波で簡単にメンタルも上下してしまうことになる。耐えられなければ、乗り物酔いを起こしてフラフラになってしまうのと同じだ。
私は新たなセッションに臨む際、常に-A$5,000を許容することにしている。次のセッションの成績がたとえ開始5分で-A$5,000となったとしても、メンタルに影響しないよう畏れずに確信を持ってプレイしたいためだ。GAKUストの途中経過は、ほんの一瞬で大きく変化する。
プレイ開始1時間半後、今滞在初めてGAKUストが炸裂。ベットアップモード1回目で全て取りきる会心の9連勝で、ここまでのトータル成績を-A$3,800とする。時間は午後2時。完全に射程圏内に捉えた。
■アンビリーバブル!
トータル成績は-A$3,800、水面はもう手の届くところにきた。目標の午後6時までまだ十分に時間はある。さあ、じっくり最後の仕上げに入ろう。集中力は増しているので大丈夫だ。
しかし、ここで思いもよらぬアクシデントが起こった。ディーラー・アップカード10に対する88。スプリットしようとオプショナル・ベットを置こうした瞬間、チップが一枚手から滑り落ちた。それをすぐに拾おうとした動作が「ヒット」のシグナルと勘違いされてしまい、次のカードがディールされてしまったのだ。ベットは打たれ越しモードのA$25だが、私にとってベットの大小は関係ない。ディールされたカードが何であろうと関係ない。もちろん、数学的な根拠も何もない。ただBS通りのプレイをノーミスで続けたいと思っているだけ。やっと調子が上がって来た今だからこそ、その流れをこんなアクシデントで変えたくなかった。
ずっと私のプレイを見ていたインスペクターも、それが悪い偶然だということは分かっていたようだった。しかし、客観的に見てそのときの私の動作は、確かに「ヒット」のシグナルとみなされて仕方がないものだった。フロアマネージャーの判断もまた、「ヒットとみなされる」というものだった。
これは私のミスだ。スピーディなゲーム進行だからこそ、たとえこのようなアクシデントが起こったとしても、インスペクターにもサベイランスにも、ディーラーのミスだと判断できるようにはっきりとシグナルを出さなければならないのだ。
案の定と言うべきか、このときを境にベットアップは連敗。-A$3,800としたトータル成績が、5分・10分・5分の3セッションで、あっという間に-A$10,300まで引き込まれる。また一から出直しだが、GAKUストではこんなことは日常茶飯事である。とにかく焦らず懼れず、メンタル・コントロールをキープすることが何よりも大切だ。
ここからおよそ2時間、メンタル・コントロールを試されるかのようなアップダウンの激しい攻防が続いていく。打たれても打たれても、打たれ越す。いつか必ず「そのとき」が来る。そう信じる。思い込む。時折襲ってくる「懼れ」に打ち克つには、それ以外の手段がない。
目標としていた午後6時まで、あと1時間少々となる。ここでディーラー・チェンジ。さきほどベットアップ9連勝をもたらしてくれたディーラーだ。「彼はケニーさんの弟だね」と言ったのは、しゃんぱんさん。あはは。そう言えば確かに似てる(笑)。彼は兄に似てGAKUストに興味があるらしく、私がベットアップするシチュエーションを探ろうとしているようだ(笑)。
「これは重要なシチュエーションかい?」
それらしいシチュエーションではいつもこう聞いてくる。ちょっと違うが、まあ大体良い線を突いている(笑)。フィーリングの合うディーラーはいるものである。完全にオカルトの世界だが、交代した瞬間にテーブルの「気」ががらりと変わる。いずれにしても、メンタルに良い影響があることは大歓迎だ。
そしてついに、「そのとき」がやってきた。人生初となる5連続ベットアップモード奪取。そのすべてが1回目のA$600で、最後は奇麗にダブルダウンで決めるものだった。
「アンビリーバブル!」
ケニー弟は、目を丸くしてそう言った(笑)。
ああ、これで予定していたケニーさんのバースティ・パーティに行ける。再度引き込まれた底の-A$10,300から、-A$3,900に戻す起死回生のビッグ・セッションであった。
しかし、、、
この-A$3,900を取り戻すのに、まだ更なる奈落の底が待っていようとは。。。
■自分のスタイル
本人には内緒で企画したケニーさんの誕生日サプライズ・パーティは、ケアンズの仲間たちのお陰で大成功に終わった。日本ではなかなかこんなことはできない。相手の幸せを自分の幸せと感じるひとたちが、このケアンズには多い。だからこんなことができるのだろう。お陰でまたケアンズが好きになった。
楽しかったメイン・イベントもお開きになり、私はいよいよ最終決戦に臨む。すでに時刻は午後10時近い。CLUB Priveがクローズする午前5時(実際には概ね午前4時40分くらい)までに、逆転勝利を信じてプレイするだけだ。
しかし、土曜日のCLUB Priveはローカル・プレイヤーで予想以上に混み合っていた。しばらく待っていたが、午後11時を過ぎてもミニマムA$25のBJテーブルは空きそうにない。さすがに午前2時には他のプレイヤーもいなくなるだろうが、気力だけが支えになっている今、何もしていないと重い疲労感が押し寄せてくる。いつも以上の激戦に加えて、睡眠不足もあるのだからなおさらである。このまま気力が萎えてしまっては、逆転勝利など到底不可能だ。焦りもでてくる。
しばらくして何人かのプレイヤーが抜けたので、テーブル中央のボックスに座った。プレイヤーが5人いるからプレイ進行は非常に遅いが、何もしていないよりは良いだろうと思った。しかしそれは甘い考えだった。今さら当たり前の話で恐縮だが、カジノというところは階段を登るように一段ずつ上がっていくものではなく、いつ何時でも奈落の底へと転げ落ちていくものだ。いくらプレイ進行が遅かろうが、それは全く同じこと。何もしなければ事態を悪化させることだけはないのに、焦りと疲れに負けてそんな基本的な判断もできなくなっていた。その結果、開始わずか40分で-A$8,000まで後退。残り少ない体力とプレイ時間が、思考を混乱させてしまっている。
このままではまずいと思い、気分転換に今回初めて一般フロアに下りてみる。幸いミニマムA$25のテーブルが空いていたのだが、ここではさらに強烈な追い打ちが待っていた。なんとベットアップモードをあっさりと2連敗。このセッションを-A$3,500で負け逃げするしかなく、トータル成績はまたも大台を超す-A$11,500としてしまった。プレイを見守っていたくれていたケニーさんも、さすがにかける言葉を失っていたようだ。時刻はすでに午前1時。今回は万事休すか。。。
CLUB Priveに戻ると、混み合っていたミニマムA$25のテーブルからプレイヤーがいなくなっている。予定外に打たれ過ぎたが、いよいよ泣いても笑ってもこれが今回の最終決戦だ。気を入れ直してバイインする。
早速入ったベットアップモード1回目A$600。ディーラー・アップカード7に対して、こちらはA7のソフト18だ。ディーラーのホールカードが10なら勝利するこの場面で、7から2、10とディールされて敗退。嫌なムードのまま2回目のA$1,000をベットする。ディーラー・アップカード8に対して、こちらの2枚はハード19。一見有利な状況にも関わらず、こんなとき懼れは容赦なく襲いかかってくる。思わずメンタルが揺れる。でも今は、自力でそれを押さえ込むしかない。揺れたままではきっと、ディーラーの合計数は20になる。根拠はないが、きっとそうなる。
「勝てると確信をもて」
過去にもう何度も自分自身を救って来たその言葉を思い出す。普段通りに手を横に振って、ステイのハンド・シグナルを出す。ディーラーは8から3をディールした。一瞬間をおき、ディールされた次のカードはA。そして、、、運命の次のカードは10。
奈落の底がそこに見えていた崖っぷちで、私はなんとか踏みとどまった。GAKUストには、やはりターニング・ポイントというものがある。今回はこのプレイを境にして、その後のベットアップモードは、2時間に渡って異常とも言える高勝率を続けた。そして午前4時。最後にベットアップ8連勝とした私の成績は、気がつくと+A$1,800になっていた。今回の最上点である。
精も魂も尽きた今回の戦いは、-A$10,000を超す3度の奈落の底からの生還であった。そして今回の勝利により、これで3戦連続の大逆転勝利となった。
後半の大逆転はもう何度も経験しているが、ひとつだけ以前と違うことがある。それは、ベットスプレッドを最初から最後まで全く変えていないということだ。以前はマイナスを取り戻すために、GAKUストを2倍モードにすることが多かったが、それはやはりリスクが高すぎる。3月のメルボルンでの大敗から、今後の自分のスタイルとして絶対に変えないと誓ったことだ。
しかし、それにしてもなぜこう毎回のように後半捲る展開ばかりなのか。。。これはもはや、自分のスタイルなのだろうか。
キツ過ぎるけど、ま、いっか(笑)。
○最終戦績
成績:+A$1,800
プレイ時間:21時間20分
ターンオーバー:A$445,500
シュー勝敗数:117シュー(55勝61敗1分)
セッション勝敗数:60セッション(33勝27敗)
ベットアップモード勝敗数:109勝46敗
(ベットアップ・ストラテジーの「敗数」は1敗につき2連敗、もしくは1回目にダブルダウンやスプリットなどでのベットアップ2単位以上の負けを表す。)
|