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GAKUストラテジー戦記 GAKU Presents
2006年第3戦@テニアン

■リハカジ戦績

 ほぼ4年ぶりとなるテニアン・ダイナスティ・カジノは、今まで2勝2敗。いずれも先行逃げ切りのペースだったのに、2敗を記録した回は「最終日の勝ち逃げ」ができなかったのが原因でした。この部分はとくにテニアンでは重要なところだと考えています。なにしろ夜にカジノ以外で時間を潰す方法が見あたら無いので。今回もこの部分は十分考えて臨んだつもりだったのですが。。。(^^ゞ。

 さて、テニアンでのリハカジの目的は「GAKUストラテジーのベットスプレッドの設定を貫くこと」、そして「プレイ成績が長時間のプレイでどのような推移で経過していくかを客観的に観察すること」でした。

 結果からお話しすると、しっかりと目的を達成。そしてかなり満足できる結果が得られました。11時間30分に及ぶ連続プレイは、1つのテーブルでプレイした連続時間としては過去2番目に長いプレイ時間となりました。

 テニアンは8デックなので、いつもの6デックのプレイ感覚とは若干異なりましたが、1シューのゲーム数が多いので良いデータを収集できたと思っています。

 今回はいつものようにセッションを細かく切らず、意図的に長時間のプレイを続けましたので、シューごとの成績をグラフ化してみました。このグラフをご覧んになれば、11時間30分のプレイ時間の大半が水面下だったことが容易にお分かりいただけるかと思います。これはまあ、僕にはよくあることなのですが(笑)。

<リハカジ戦績詳細>
成績:+US$2,925
プレイ時間:11時間30分
ターンオーバー:US$286,000(概算)
コンプ:テニアン・ダイナスティのテニカジ10Kプログラム(宿泊・ミール・航空券代US586キャッシュバック)
シュー勝敗数:26シュー(14勝11敗1分)
ベットアップ・ストラテジー勝敗数:31勝12敗
(ベットアップ・ストラテジーの「敗数」は、スプリットとダブルダウンで負けた場合を除いて1敗につき2連敗を意味するので、勝:敗=2:1がほぼ勝敗数のイーヴンということになります。)

※ グラフは1つに20シューの成績までしか入力できないので、前半と後半の2つに分けてあります。後半の7が最終成績となります。
※上記の成績はあくまで僕がリハカジと位置づけた部分のプレイ成績だけですので、今回の最終成績ではありません。



■ 重大なミス

 今回の最大の目的「リハカジ」は昨日で無事終了。2日目はいよいよ実践に入ります。僕にとってここからは3月のラスベガスを想定しての実践シミュレーションの意味合いがあります。基本ベットをUS$50にしたり、US$100にしたりと、状況によってベットスプレッドに変化を持たせるプレイを実践したのですが、良いところもあり悪いところもありといった手応え。「客観的なベットコントロール」が持ち味のGAKUストラテジーにおいて、自分の主観が入り込む余地を増やしてしまう可能性がありましたので、結論としてはやはり従来通りの方法が良いと感じました。

 しかし今回はとても不思議な印象です。シューエンドごとにプレイ成績の記録をつけているのですが、ベットアップの勝率はいつもよりもかなり良いのに、肝心の成績がマイナスになっているのです。こんなことは今まで経験がありません。考えられることは、基本モードでの3連敗がやや多いことくらいでしょうか。ひょっとすると、基本モードとベットアップモードの設定比率に問題があるのかもしれません。これは今後の重要な課題です。

 実はテニアン滞在中はこの原因がまったく分かりませんでした。でも、僕はずっと「重大なミス」を犯していたのです。連戦と仕事の忙しさで疲れていたのでしょうか。あるいはいつもと勝手が違うカジノだったからでしょうか。今までにはない考えられない重大なミスだったのです。そして僕は、この重大なミスを背負ったまま後に苦しい展開を強いられることになるのでした。

■ エピソード1:GAKU、BJテーブルで倒れる!?

 話は前後しますが、初日のBJテーブルでのエピソードをひとつ。

 初日の成績はすでに紹介させていただいた通り。その11時間30分に及ぶ連続プレイの大半の時間は、マイナス領域での戦いでした。

 プレイ開始6時間後くらいのことでしたでしょうか。体調の異変に気がついたのです。最初は眼がかすんで遠くのカードの数字が見えづらくなって来ました。「お疲れモードかしら?」と軽く考えていたのですが、その直後からみるみると体調が悪くなっていきます。立ちくらみのひどい状態と表現すれば良いでしょうか。意識はもうろう、手足は痺れて力が入らず、椅子に座っているのもやっとの思いです。一応、職業柄これは一体何の症状なのか考えていました(笑)。脳貧血のような症状だったので、足を上げて頭を低くし、ゆっくり深く深呼吸を続けてみましたが、これはまったく効果無し。あんまり続けると今度は過呼吸になるかもしれないので、呼吸を普通に戻したのですが依然体調は悪化の一途。いよいよハンドシグナルを出すのも困難になって来ました。同席のリゾカジメンバーも心配して声を掛けてくれますが、返事をするのも困難です。幸い隣りにはリゾカジマスターがいてくれたので、もしもの場合には介護をお願いしました。もうろうとした意識の中で、部屋に戻って休むべきかとも考えたのですが、部屋でそのまま意識を失った方が怖いと思い、みんなに迷惑を掛けるかもしれないけれど、ここにいた方がまだ安全だと考えたのです。みなさん、心配を掛けて申し訳ありませんでした。

 体調は最悪にもかかわらず、カードの流れが良くなってきていることだけは感じとっています。BJプレイヤーとしての条件反射なのでしょうか。プレイにミスが出るようならすぐにプレイを止めなければいけませんが、ミスさえなければGAKUストラテジーのシステムは機能し続けることができます。同席しているリゾカジメンバーにその監視をお願いしつつ、プレイを続行しました。精神力の支えになるものは「勝利」のみ。ビッグベットを取るたびに、自分自身に気合いを込め続けます。

 さて、この体調不良は一体何なのか?もうひとつだけ考えられるのは「低血糖」の症状でした。もちろん、今まで経験がありません。でも、ずっと食事を摂っていないことと、ダイエット中の身だということを考えると可能性はありそうです。とにかく考えられることは何でも試すしかありません。食欲は無いのですが、無意識に甘い飲み物を胃に流し込み続けました。

 2時間ほど過ぎて6杯目のマンゴージュースを飲み終えた頃には、症状がかなり回復していました。やはり「低血糖」の症状だったのでしょう。いつものオーストラリア・カジノでは、糖分補給のためにプレイ中はウエイターにチョコレートを頼んでいるのですが、テニアン・ダイナスティにはそれが無かったのでした。

 後のやまかん主治医の診断によると、まさに「低血糖」。「プレイ中は食欲の感覚も麻痺するから、低血糖の症状は突然くるのよ!GAKUさん、気をつけないと!」と貴重なアドバイスをいただきました。「カジノにはフィジカル・コントロールも大切」と、前回に引き続いての大きな反省でした。

 唯一の救いはリゾカジオフ会だったということ。これがひとりだったらどんなに大変だったか。。。リゾカジメンバーの存在は本当に心強く、何より有り難いものです。

■ エピソード2:すべては途中経過

 体調不良というアクシデントに見舞われた初日でしたが、それでも運良くプラスUS$2,925という成績。2日目は実践シミュレーションに入りました。この日も序盤から徐々にマイナスへ引き込まれる展開。最近毎度のことなのでもう慣れてしまいましたが、こういう展開だとどうしてもプレイが長時間になってしまいます。隣りの梶野さんも徐々にマイナスに引き込まれる苦しい展開の様子。でも、タイトなプレイを意識して、しっかりメンタルもコントロールしています。

 それは突然のことでした。マイナスUS$4,000あたりを推移していたとき、僕はベットアップモード2回目のUS$1,000のベット。ディーラーはアップカード6、僕のハンドは10+9=19でした。サードベースに座っている僕の隣りは梶野さん。10+2=12からなぜか「ヒット」のハンドシグナルを出してしまったのです。

「!」

 僕は間髪入れずに大きく「ステイ」のジェスチャー。しかし、ディーラーはそのまま3枚目のカードをディールしてしまいました。そのカードは「3」。

「うわぁ?!何やってんだ俺!」

 悲鳴ともいえる梶野さんの大声がフロアに響きました。前回のケアンズでも似たようなシチュエーションがあったばかりなので、梶野さんは大きく落胆してしまっています。梶野さんは今までノーミスでBS通りのプレイをしてきたのに、なぜかこのときだけ痛恨のミス。前回のケアンズと全く同じ状況です。

「なんでGAKUさんがマックスベットのときに限ってこんなミスするんだぁ??」

 と自分を責める梶野さん。でも、こうなったらもう仕方がありません。たとえどんな結果であっても受け入れるしかないのですから。

 開かれたディーラーの2枚目は「9」。タラ・レバは厳禁ですが、話の都合上解説します。梶野さんがBS通りステイしていたとすると、6+3+9=18。US$1,000をベットした僕のハンド19は勝利していたことになります。しかし、現実のディーラーのハンドは、6+9+5=20。無情な結末でした。

 自分の責任と感じて大きくうなだれる梶野さん。。。

 僕にとっても、マイナス最下点まで引き込まれる大きな一撃でした。でも、勝負がここで終わった訳ではありません。こんなことは長い勝負の中において、ただの途中経過に過ぎません。勝負の流れは誰にも分からないのです。

 「梶野さん、気にするのは止めましょう。僕は大丈夫ですよ。さっきの勝負は僕のモチベーションを上げるきっかけにしか過ぎません。そして、これでプラスに戻せたら、それは梶野さんのお陰ということになるんですからね。大丈夫。また伝説を作りますよ。」

 こんなときにメンタル・コントロールを乱しては、現時点での成績よりも将来の成績の方が心配です。たとえどんな負の要因があっても、メンタルをリセットして勝負に臨むのがGAKUストラテジーの真骨頂。さあ、きっちりプラスまでもっていこうじゃありませんか!

 そこからはベットアップ怒濤の6連勝。1敗をはさみ、さらにそこからもう一度6連勝。このセッションプラスUS$700ほどになったところで勝ち逃げ終了!最後は梶野さんとガッチリ握手でした。

(この時点での成績:プラスUS$3,600)

■ エピソード3:脅威のGAKUスト10連勝!

 初日プラスUS$2,925、二日目プラスUS$700と、苦しい展開を運良くプラスでしめることができた僕は、完全に気を抜いて他のリゾカジメンバーの応援にまわっていました。一段落してソファーに腰掛けていると、リゾカジマスターがやってきました。

「GAKUさん、ここにUS$360あるんですよ。なんとかこれをUS$1,000にしたいと思うんですが、つき合ってもらえません?」

「それならやはりGAKUストですね(笑)。ちょうどあのテーブルでちくわさん達がプレイしているようですから、GAKUストの条件が入ったときだけバックベットで勝負するというのはいかがですか?」

ふたりはすぐにBJテーブルに向かいました。

 そのBJテーブルではちくわさんがど真ん中に陣取り、良くも悪くもペースメーカーになっている様子です。

「GAKUさん!(GAKUストの条件が)入ったらお願いしますよ?!」

とちくわさん。

「OK, OK!入ったらすぐ声をかけますよ!」

 テニアンオフ会のBJテーブルでは、みんながGAKUストでプレイしています。何も打ち合わせた訳じゃないのに、これは異様な光景です(笑)。さっきまでプレイヤー全員がミニマムでプレイしていたのに、GAKUストが入ると、とたんに全員がベットアップするんですから。インスペクターやピットボスは、この訳の分からないプレイヤー集団に目を丸くしています。

 さて、肝心の勝負の方は、ちくわさんがチップリーダーとなってテーブルを引っ張っています。GAKUストが入ったときだけちくわさんにバックベットしているマスターも着々と手持ちのチップを増やし続け、いつの間にかUS$900を超えるほどに。なんとちくわさんはベットアップ7連勝を達成。いつまで連勝が続くか分からない勢いです。

 ただ、マスターには出発の時間が迫ってきています。その後はなかなかGAKUストが入らず、マスターの焦りがひしひしと伝わってきます。

「GAKUさん、今いきたいんですよねぇ?!」

「マスター、GAKUストでここまで持って来たんですから、ぐっと我慢して最後まで貫きましょうよ。勝負目が来なければ来ないで仕方が無いです。それはあくまで流れですから。」

「そうですね。。。ここまできたんですから、そうします。」

 我慢した甲斐があり、その後ちくわさんは脅威のGAKUスト10連勝を記録!いつもやっている僕ですら7連勝が最高なのに(笑)!

 ちくわさんも、バックベットしたマスターもこのセッションを快勝!最高に盛り上がったBJテーブルでした。

■痛恨のミス

 最終日はまったくプレイしないでゆったり時間をつぶそうと考えていました。前回のケアンズでの疲労が残っていたので、早めに上がってゆっくり寝ておこうと考えたのです。しかし、ベッドには入るものの、なかなか寝付けません。身体はケアンズからの連戦で疲れ切っているはずなのに、カジノというところはまったく不思議なところです。喉が渇いたのでなにか飲み物をと思ったら、部屋の冷蔵庫は鍵が掛かっていて開けられません。しばらく悩んでしたのですが、仕方が無いのでカジノに行って何か飲み物を飲んで来ようと考えました。しかし、こういうところから大敗を喫した過去の苦い経験がふと浮かんできます。今思えば、「まあすぐ帰ってくるのだから」と軽く考えていたのが僕のミスでした。「カジノに行くときはいつでも全力投球できる用意と気構えを持つ」という僕のポリシーからあきらかに反する行為でした。カジノにはいつなんどきでもプレイヤーを大敗に引き込む魔力が存在するのですから。。。

 もうすぐ朝を迎えようという時間なのに、パシフィックポーカーのテーブルでは、リゾカジメンバーが大勢で大騒ぎしていました。テーブルの真ん中に陣取った今回の「勝ち頭」のちくわさんは、配られた5枚のカードをノールックのままベットするプレイをしています。案の定と言うべきか、どんどん負けていきます。

「GAKUさ?ん!900ドルも負けちゃいました!BJで取り戻して来ますから、付き合ってもらえませんか?」

 ミニマムUS$10のテーブルに合わせてベットスプレッドを下げれば大丈夫だろうという、まったく安直な考えでした。ちくわさんは開始早々からGAKUストラテジーのベットアップモードを連取すると、

「GAKUさん、もうさっきの負けは取り戻しました!僕はもう寝ます!」

と言い残してテーブルを去って行ったのです。さすが今回の「勝ち頭」ちくわさん。快勝の回は引き際にも迷いが無いものです。

 「はて。。。?」

 僕はなぜ今BJテーブルに座ってプレイをしているのか?時折そんな疑問が浮かんでくるのに、疲労困憊していた僕はすでに冷静な判断を下せない状態に陥っていました。ちくわさんとはまるで対照的な自分。簡単な自問に自答できないなんて、すでに限界を超えている赤信号です。

 気の入らない惰性のプレイを続ける僕は、GAKUストラテジー通りのプレイではあるものの、ずるずるとマイナスのセッションを重ねていきます。そんなとき、僕は今までに経験の無い痛恨のミスを犯してしまったのです。隣りに座ったやまかんさんのハンドA4と見間違え、自分の10+5=15をなんとダブルダウン。そこに配られた3枚目のカードは6。なんと合計21です。

 この1回のゲームの結果だけを見れば、結果オーライなのかもしれませんが、僕にとっては自分の信じるGAKUストラテジーから外れた痛恨のミス。すべてはこんなミスを犯すほど疲労し、気が抜けた状態でプレイしていた自分の責任です。気合いを入れるため途中からパーソナルリミットをもらって、いつも通りのベットスプレッドに切り替えたのですが、その後もセッションごとにマイナスを積み重ねて行く有様です。ベットアップの勝率も非常に悪く、負け数が勝ち数を上回るというペースで、なかなか勝機を見出せません。出発まであと4時間とタイムリミットも迫って来ました。このまま悪い流れを引きずってしまっては、次回に悪影響していまいます。この時点でこのセッションマイナスUS$7,100まで引き込まれていた僕は、別のテーブルでディーラーとのヘッズアップで臨むことを決意しました。

(この時点での成績:マイナスUS$3,500)

■ハイスピードBJ

 あと4時間。ここからは時間との戦いという負の因子を背負いながらのプレイです。全ては自分のミスが原因なので、今回の成績がマイナスであっても受容する気持ちの整理はできています。ただ、次回は今年度前半戦のヤマと位置づけているラスベガス。このまま終盤にペースを乱したままでは、次につなげられません。なんとか手応えを掴んで帰りたいところです。リハビリというより猛特訓モードと言えるセッションがスタートしました。

 ディーラーとのヘッズアップでの2ハンドでのプレイは、得意としているシチュエーションです。展開がスピーディなので、カードの流れがなんとなく見えるような気がするのです。ディーラーも僕のスピードについて来てくれるリズミカルな展開なので、次第に集中力が高まっていきます。1時間に240ゲーム以上を消化するスピードは、同時に2ハンドですから1時間に合計480ゲーム以上を消化するハイペースです。

 ラスベガスだとディーリングのスピードが非常に早いディーラーも数多く存在します。僕はBJにおいて、プレイリズムの主導権をプレイヤーが握ることがとても大切だと考えます。以前はスピーディなディーラーのペースについていけずに、いつの間にかディーラーにプレイリズムの主導権を握られている経験が多かったのですが、現在はヘッズアップでもディーラーに主導権を握られることは無くなりました。。。それほどヤリスギてしまっているのですね(^^ゞ。

 スタートと同時にベットアップを外し、トータルのマイナスは一時US$7,000ほどになりましたが、その後すぐに立て直して、マイナスUS4,000前後まで戻しました。まわりではリゾカジメンバーが応援部隊として心強い声援を送ってくれています。これは本当に心強いものです。みなさん、ありがとうございました。

 さて、プレイリズムはリズミカルで良いのですが、打たれ越しモードが続く展開で、時間だけが過ぎていきます。出発まで残り1時間。彼はそんなところに現れました。

(この時点での成績:マイナスUS$4,000)

■敵意のディーラー

 リゾミカルにプレイできているものの、成績はずっと膠着したまま。タイムリミットだけが確実に近づいてきます。そんなときディーラーチェンジで彼が現れたのです。チャイニーズ系の色白で若い男性ディーラー。

「ようこそ。」

と声を掛けても返事は無く、まったく目を合わせない完全無視。テニアン・ダイナスティのディーラーにしては珍しく愛想がありません。何か面白くないことでもあるのでしょうか。まあ、ディーラーが誰だろうとGAKUストラテジーには無関係。とにかく自分のリズムでプレイするだけです。

 しかし、新しいシューの開始からいきなり8連敗。2ハンドのプレイが両方とも同時に8連敗したのは過去に経験がありません。幸い打たれ越しモードなので、ベットはミニマムのUS$25。でもそれが2ハンド分のUS$50なので。ボディブローのように効いてきます。

「勝てるもんなら勝ってみな。」

相変わらず無表情のディーラーからそんな気がビンビン伝わってきます。僕は担当ディーラーと気持ちよくプレイするのが主義なのですが、これほど敵意を放つディーラーには初めて出会いました。彼のディールするカードは、まるで何かに呪われているかのように、まったく勝負にならない組み合わせが続いていきます。それはとても言葉では言い表せないほど。。。リゾカジ応援団の声援が深いため息に変わり、誰も声が出せないほど重い雰囲気に飲み込まれていきました。

 多くのリゾカジメンバー応援部隊がテーブルを取り囲んでいるにも関わらず、シーンと静まり返ったBJテーブル。沈黙の中、ゲームは2勝8敗ほどのペースで淡々と進行していきます。そしてゲームの勝敗そのものよりも、ディーラーの放つ敵意にずっと押されっぱなしです。これはかつてない強烈な重圧感。それでも僕は、ベットアップのチャンスがやってくるのをただひたすら待ち続けるしかありませんでした。リゾカジメンバー応援部隊からは、

「こんなシューは見たことが無い。。。」

という声が漏れ始めました。

 もうすぐシューエンドというところで、やっと入ったベットアップを2回連取。いずれも会心の一撃だったはずなのですが、なんだか精神的に完全に打ちのめされた状態です。  

 そのシューが終わったときには、恐らくそこにいた全員が「GAKUさんはこのシューで随分負けた」と思っていたはず。ディーラーはシャッフルしながら、僕にだけ聞こえるような小声で、

「このシューは勝ったのか?」

と聞いてきました。この声のトーンも明らかに敵意剥き出しです。トータルの成績を確認すると、自分でも信じられなかったのですが、このシューはUS$600の勝ち越しでした。

「600ドル勝ったよ。」

という僕の一言に、リゾカジメンバーは一斉に皆驚きの表情。正直僕自身も信じられません。僕はそのときのディーラーの言動を聞き逃しませんでした。

「本当に彼は勝ったのか?」

インスペクターに怪訝な表情で問いただすディーラー。

「ええ。600ドル勝ってるわ」。

インスペクターがそう答えると、ディーラーはほんの一瞬だけ僕を見て、

「(手持ちの)チップの心配をしておいた方がいいぞ。」

と言ってきたのです。間髪おかず、

「カジノのね。」

と一言返すと、無表情だったディーラーがさらに敵意丸出しの視線を僕に向けてきました。

 僕は自分のプレイスタイルでBJをプレイしているだけ、ディーラーの個人的感情にかまっている暇などありません。それに、こんな場合はディーラーの気を受け止めずに、受け流してやれば自然とこちらが勝つことになるでしょう。ただ、タイムリミットだけは確実に迫って来ています。あと30分でどれだけの成績を残せるか。今滞在の負けは受容していますので、タイムリミットまでの結果がどうあれ、次回につなげるプレイを意識し続けること、そしてGAKUストラテジーを最後まで信じ切ること。今の僕にできることはこれだけです。

 その後も一進一退の攻防が続き、チップは思うように増えません。依然マイナスUS$3,000からUS$4,000程度を漂ったまま。出発の時間が迫り、ついにリゾカジメンバー応援部隊も帰り支度のためにいなくなってしまいました。あと十数分。これがラストシューになるでしょう。そしてここでディーラーチェンジ。

「ありがとう。お陰で楽しめたよ。」

と声を掛けても相変わらずの無表情。まあ、人それぞれ。仕方ありません。彼もいずれは大人になることでしょう。

 交代したディーラーは、こちらの挨拶にも笑顔を返してくれる優しそうな女性。さっきのディーラーとはえらく違います。ただ、流れが悪い。。。シューの大半のゲームが打たれ越しモードで淡々と消化されていきます。時間はあと10分を切りました。

「今回はもうどうやっても負けかな。。。でも、GAKUストラテジーでここまでやって来れたんだから、とにかく最後まで信じよう。」

 依然として打たれ越しモードを続ける展開に、最後はもう祈るような気持ちでした。こんなことはなんの自慢にもなりませんが、プレイのスピードは自分の過去最高速を記録していたことでしょう。まさに無心でした。シューエンド近くでベットアップが入りだしたのは覚えています。勝ったり負けたり。。。でも最後の一撃はUS$1,000の2ハンドが片方ダブルダウン。合計US$3,000の今滞在最高ベットはディーラーのバストで終了でした。

 チップは大分増えたようですが、成績のことなどよりも、一刻も早く部屋に戻って帰り支度をしなければとあせっていました。ディーラーにカラーチェンジをしてもらって、そのとき初めて気がつきました。トータル成績プラスUS$100だったのです。これはもう、ただただ幸運としか言いようがありません。

■戦績詳細
成績:+US$100
プレイ時間:20時間50分
ターンオーバー:US$286,000
コンプ:テニカジ10Kプログラムによる
シュー勝敗数:57シュー(25勝31敗1分)
ベットアップ・ストラテジー勝敗数:82勝34敗
(ベットアップ・ストラテジーの「敗数」は、スプリットとダブルダウンで負けた場合を除いて1敗につき2連敗を意味するので、勝:敗=2:1がほぼ勝敗数のイーヴンということになります。)

※今回はセッションごとのプレイが長時間におよび、トータルで4セッションしかありませんでしたので、最終成績のグラフは割愛させていただきました。

■重大なミスの真相

 今滞在の成績を振り返ると、ベットアップの勝率はいつもよりもかなり良いのに、肝心の成績がマイナスになっているというケースがとても多いのが気になっていました。こんなことは今まであまり経験がありません。本来ならもう数千ドル勝っていてもおかしくない手応えなのに結果はマイナス、というシューがとても多かったのです。

 滞在中はこの原因がまったく分かりませんでした。GAKUストラテジー戦記を書こうと成績を振り返っていたときに、やっとその「重大なミス」に気がつきました。連戦と仕事の忙しさで疲れていたのでしょうか。あるいはいつもと勝手が違うカジノだったからでしょうか。未だにまったく信じられません。

基本ベットのベットパターンは以下の設定が正しいのですが、
1回目 - 2回目 - 3回目=1単位 - 1.5単位 - 2.5単位
これを間違って、ずっと
1回目 - 2回目 - 3回目=1単位 ? 2単位 ? 3単位
という設定でプレイしていたのです。

 このことが最終結果にどれほど影響するのかは分かりませんが、ベットアップモードに対して、基本モードのベット比率が高くなってしまいますので、僕の考え方としては明らかに間違った設定でした。いずれにしても今までずっと間違えたことなく、身体の一部となっていたGAKUストラテジーの設定を間違えるなど、考えられない重大なミスだったのです。


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