Integrated Resort インテグレーテッド リゾート

佐藤亮平の VIVA! IR!!

IR推進法案や各地の誘致の動きから、エンターテイメントとしての魅力まで。
Integrated Resort(統合型リゾート)とは何か?を様々な角度から、専門記者がレポートしていきます。

佐藤亮平 Profile

民間でのIR誘致調査に従事したのち、2011年よりカジノ・IRの取材を開始。専門誌「カジノジャパン」記者、IRの政治・経済情報ポータルサイト「カジノIRジャパン」記者を経て、現在フリー。

#111 IR議連が幹部会を開催。「ギャンブル等依存症対策基本法案」の成立を目指す 2017/04/13

 超党派の国会議員からなる「国際観光産業振興議員連盟」(IR議連)は4月12日、国会内で幹部会を開催しました。今回の幹部会では各党から党内議論の進捗状況について、政府からIR推進本部の状況について、それぞれ報告がなされました。また、IR議連は近く議連総会を開催し、その中で「ギャンブル等依存症対策基本法案」の今国会期間中の成立を目指すことを確認するとしています。

 こちらのコラムでもこれまで取り上げてきたとおり、自公両党はこれまで党内でギャンブル等依存症対策について議論を重ねて論点整理を取りまとめ、先週7日には与党政策責任者会議のもとに依存症対策のためのワーキングチームを設置しています。日本維新の会は「ギャンブル等依存症対策基本法案」を策定し、今年2月に国会に提出しています。民進党でも党内に「カジノ検証プロジェクトチーム」を設置し、通常国会期間中を目途に党としての結論を得たいとしています。

 IR議連はIR構想実現のための議連ですが、一方でギャンブル依存症対策はIRに関連する課題でもあります。今後、自民党や公明党、日本維新の会、民進党など、各党間で調整し、IR議連の所属議員のほか、広くその他の議員にも賛同を呼びかけていく方針です。

(写真)12日、国会内で開催された「国際観光振興産業議員連盟」(IR議連)の幹部会。挨拶に立つ細田博之会長

#110 自民党・公明党がギャンブル等依存症対策のワーキングチームを設置 2017/04/12

 4月7日、自民・公明両党の政務調査会長などからなる「与党政策責任者会議」(与責)が国会内で開催されました。この中で、与責のもとに「ギャンブル等依存症対策の法制化に関するワーキングチーム」を設置することが承認されました。

 昨年末のIR推進法成立をきっかけに、自民党は政務調査会のもとの「IR実施に向けた制度・対策に関する検討プロジェクトチーム」(自民党IRPT)の中で、公明両は政務調査会のもとの「ギャンブル等依存症対策検討プロジェクトチーム」(公明党依存症PT)の中で、それぞれギャンブル依存症の対策を検討してきました。その検討結果をもとに、先月30日に自民党政務調査会が「ギャンブル等依存症対策の強化に向けた論点整理」を菅義偉官房長官に対して申し入れ、公明党依存症PTも同日、菅官房長官に対して「ギャンブル等依存症対策に係る要望」を申し入れていました。両党の申し入れも踏まえて、翌31日の「ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議」の中で、「ギャンブル等依存症対策の強化に関連する論点整理」が取りまとめられた経緯があります。

 7日の与責が国会内で開かれていたちょうどその時、自民党本部で開催された自民党IRPTでは31日の閣僚会議で示された調査結果について厚生労働省からヒアリングを行っていましたが、公明党でも5日に厚労省からヒアリングを行っています。ギャンブル等依存症対策推進について、「両党の考え方はそれほど違いはない」(茂木政調会長)ため、与党が共同して法制化を進めることは自然な流れと言えます。

 今後は、都議選前のタイトな通常国会の日程の中で、ギャンブル等依存症対策の法制化の動きがどこまで進むのかに焦点が移っていくことになるでしょう。IRについては各党間で賛否があるものの、ギャンブル等依存症対策を推進することについては、与野党を超えて異論はないと見ています。一方で都議選を前に、与野党で選挙戦を見据えた動きもちらほら見えるようになってきました。揚げ足ばかりを取るような不毛な議論ではなく、是非とも生産性のある議論を期待したいものです。

(写真)7日の与党政策責任者会議。自民党の茂木敏充政務調査会長(奥右)、公明党の石田祝稔政務調査会長(奥左)

#109 専門家による「IR推進会議」が開催されました。 2017/04/10

 先週4日、首相官邸において「特定複合観光施設区域整備推進会議」(IR推進会議)が開催されました。

 IR推進会議はIR推進法第二十一条の規定にもとづき、IR整備に関する重要事項について調査や審議を行い、「特定複合観光施設推進本部」(IR推進本部)に提言を行う機関です。IR推進本部は安倍晋三首相を本部長として、全閣僚を本部員として内閣に置かれ、総合調整・法令の立案・関係機関との連携などを行うのに対して、IR推進会議は推進本部の諮問機関としての役割を果たすことになります。

 発表された名簿を見ると、大学教授や弁護士、エコノミストなど、各分野の専門家が委員として名を連ねていることが分かります。安倍首相により八名の委員が任命され、この日、委員の互選により一橋大学大学院商学研究科教授の山内弘隆氏が推進会議の委員長に選任されました。山内氏は「IR/MICE PPP研究会」で会長をつとめています。

 会議の冒頭に推進本部で副本部長を務める石井啓一国務大臣が挨拶の中で4日の推進本部における安倍首相発言を踏まえて、観光振興・地域振興・雇用効果についての期待と、懸念事項への対策が必要との認識を改めて示し、そのうえで「日本型IRの実現に向けて夏を目途に大枠の取りまとめをお願いしたい」と発言。続いて会議の運営について話し合ったほか、事務局からこれまでの経緯および諸外国におけるIRについての説明がなされました。

 その後、委員間で日本型IRのコンセプトについての自由討議が行われました。出席者によると、
・IRは日本経済にプラスとなるだけでなく、世界に向けた日本文化や芸術などの発信、地方創生などの多面的な効果がある。一方でリスクを最小限にとどめる必要があるが、それは(各種対策の導入により)可能である
・「カジノはギャンブル」というイメージを持たれているが、世論とのギャップを埋めることが重要
・IRへの規制と事業継続性とのバランスの確保
・MICEを全面的に打ち出すべき
などの意見が委員から出されたそうです。

 推進会議は今後、月2回程度開催し、①「日本型IR」のコンセプト、②IR区域の認定制度、③カジノ規制、④カジノ管理委員会、⑤納付金・入場料等の論点について、夏ごろを目途に大枠を取りまとめる方向です。IR推進会議の山内議長は会議後、「専門家の立場としてコンテンツを詰めて国民の方々に提案したい」と話していました。

(写真)3月22日のIR/MICE PPP研究会特別講演会で挨拶に立つ、IR推進会議の山内弘隆議長

#108 「特定複合観光施設区域整備推進本部」が初会合を開催 2017/04/05

 4月4日午前、官邸で「特定複合観光時節区域整備推進本部」の初会合が開催されました。推進本部は昨年12月に国会で成立した「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(IR推進法)三章の規定に基づくもので、同法附則の「三章の規定は(略)政令に定める日から施行する」の”政令”(平成29年政令第41号)の定めにより、3月24日に発足していました。

 IRの設置というものはこれまでこのコラムでも見てきたように観光振興、地方創生、経済活性化、雇用創出などの効果が期待されています。一方で同時に、安易な施行にはギャンブル等依存症、マネーロンダリング、青少年への悪影響、反社会勢力の関与などのマイナス面が起こる可能性もあり、IR導入のメリットを最大限に享受するには、マイナスの効果を最小化するための対策が必要になるわけです。観光政策は国土交通省(観光庁)、地方政策は総務省、経済政策は経済産業省がそもそもの所管であり、省庁の横の連携が必要になるわけです。

 そのため、IR推進本部はそういった要請を踏まえ、本部長は安倍晋三内閣総理大臣、副本部長は菅義偉内閣官房長官および石井啓一国務大臣、そして本部員としてすべての閣僚が参加しています。会議の中で安倍首相は、「クリーンなカジノを含んだ、魅力ある「日本型IR」を創り上げたい」と話していました。

(写真)4日の特定複合観光時節区域整備推進本部で挨拶する安倍晋三首相。首相官邸HPより引用

#107 厚労省がギャンブル等依存症について記者会見を開催 2017/04/05

 3月31日朝、「ギャンブル等依存症対策推進閣僚会議」で発表された論点整理の中にギャンブル等依存症に関する疫学調査の予備調査の結果が盛り込まれたことを受け、厚生労働省は同日午後に記者会見を開催しました。国内では類似の疫学調査が2013年度に実施されていましたが、政府の成長戦略にIRの検討が盛り込まれたことを受けて内閣官房にIR推進の特命チームが立ち上がった直後の2014年の8月頃からテレビ・新聞などがスポットを当て、「国内のギャンブル依存症536万人」という報道が相次いでいました。会見には本年度の疫学調査を担当した国立病院機構久里浜医療センターの松下幸生副院長、2013年の疫学調査を担当した樋口進院長が出席しました。

 厚生労働省の研究班は現在、ギャンブル等依存症ないしギャンブル等依存が疑われる方々の国内人口に占める割合について、平成28年度、29年度の二か年で調査を進めています。今回発表された調査というのはあくまで予備調査であり、スクリーニング調査の診断基準として「The South Oaks Gambling Screen」(SOGS)の有効性を検証する目的で行われています。

 会見によると、今回の調査ではSOGSが5点以上、過去一年以内でギャンブル等依存症が疑われる方の割合は成人の0.6%、生涯を通じてギャンブル等依存症が疑われる割合は2.7%と推計されました。2013年度の調査では生涯で4.8%と推計されていましたが、前回調査では全国で調査を行っていたのに対して今回はそのものが11都市のみであり、調査方法も前回は自記式のアンケート調査であったのに対して今回は面接と診断であるなど前提条件が異なっており、「これをもって(前回調査より)増えた、減ったという話は早い」(樋口院長)との説明がなされていました。

 今回の予備調査の結果を検証してその課題を踏まえるかたちで、29年度の本調査を実施する予定です。

(写真)3月31日に厚生労働省で行われた記者会見の様子

#106 「ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議」が開催されました 2017/04/02

 3月31日朝の閣議前に「ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議」が開催され、その中で「ギャンブル等依存症対策の強化に関する論点整理」が決定されました。

 閣僚会議は昨年12月にIR推進法案が成立したことをきっかけに、政府一体となって包括的な対策を推進するために設置されました。国内では公営競技や遊技などのギャンブル等依存症者が存在していますが、それら産業を所管する省庁は現状では分かれており、それらとは別に医療政策等を所管する厚生労働省も存在しています。そのため内閣官房長官の主宰で、幅広くギャンブル等依存症全般について関係行政機関の緊密な連携により対策強化に関する検討を進めているのが、この閣僚会議ということになります。

 31日の閣僚会議で取りまとめた論点整理は検討事項を整理したもので、公営競技や遊技におけるギャンブル等依存症対策についての取り組みや、医療・回復支援、学校教育、消費者行政などについてギャンブル等依存症対策の現状と課題を明らかにしています。前日の30日には自民党、公明党がそれぞれ党内で取りまとめた論点整理を菅官房長官に申し入れており、閣僚会議の論点整理も与党の申し入れを踏まえたかたちです。

 菅義偉官房長官は会見で、「今後これを踏まえ、具体的な対策やその実施方法について更に検討の上、本年夏を目途に取りまとめをする予定」と話していました。具体的には、①公営競技やパチンコにおける本人や家族の申告によるアクセス制限、②簡単にお金を賭けられるインターネットでの勝馬・車券・舟券等投票券について対応、③パチンコ・パチスロ遊技機の射幸性抑制、などについて早急に具体化し実現することとしています。

#105 公明党依存症PTが菅官房長官に依存症対策を要望 2017/03/31

 公明党ギャンブル等依存症対策検討プロジェクトチームは30日、首相官邸にて菅義偉内閣官房長官に対し「ギャンブル等依存症対策に係る要望」を申し入れました。申し入れには対策チームから桝屋敬悟座長、佐藤茂樹副座長、佐藤英道副座長、熊野正士事務局長、伊藤孝江事務局次長が立ち会いました。

 コラム#102で紹介した通り、公明党では昨年12月に党内にPTを設置。今月28日午前にPTがギャンブル等依存症対策の論点整理を取りまとめ、午後の党政調部会長会議で承認されています。自民党では「IR実施に向けた制度・対策に関する検討PT」でギャンブル等依存症について議論しているのに対して、公明党では28日の部会長会議でも「規制と振興が一緒ではいけない」(桝屋座長)との発言も上がっています。

 出席者によると、菅官房長官も論点整理に対して前向きに応じたそうです。政府・与党のあいだでギャンブル依存症対策の推進について一致したことになり、依存症対策の推進が期待されています。

(写真)申し入れの様子。佐藤茂樹衆議院議員ホームページより引用

#104 自民党政務調査会が「ギャンブル等依存症対策論点整理」を政府に申し入れ 2017/03/30

 自民党政務調査会は30日午後、首相官邸において政府に対し「ギャンブル等依存症対策の強化に向けた論点整理」の申し入れを行いました。自民党政調からは「IR実施の向けた制度・対策に関する検討PT」の岩屋毅座長、西村康稔座長代行、牧原秀樹事務局長、鈴木馨祐事務局長代理、上月良祐事務局長次長が申し入れに立ち会い、政府からは菅義偉内閣官房長官が文書を受け取りました。出席者によると菅官房長官は「政府の対策にしっかりと反映させたい」と話していたそうです。

 昨年末の衆参両院におけるIR推進法の国会審議において、国内の既存の公営競技や遊技などのギャンブル等依存症についてスポットが当たりましたが、今回の一連の議論と申し入れにより、IR推進本部や有識者会議などを立ち上げる環境が整ったことになります。(2017/3/30 16:41)

#103 速報・自民党が「依存症対策の論点整理」を了承。午後に官邸に申し入れ 2017/03/30

 自民党は30日午前、国会内で政調審議会を開催。その中で「ギャンブル等依存症対策の強化に向けた論点整理」が報告され、一部修正ののち了承されました。論点整理は「IR実施の向けた制度・対策に関する検討PT」(自民党IRPT、座長・岩屋毅党 中央政治大学院長)でまとめられたもので、28日のPTで意見集約し、座長一任となっていました。

 論点整理は、同日午後にも菅義偉内閣官房長官に申し入れされる見通しです。(2017/3/30 11:45)

(写真)30日の自民党政調審議会、奥左から三番目が茂木敏充政務調査会長

#102 公明党依存PTが論点整理をまとめる。30日に官邸に申し入れ 2017/03/29

 公明党の「ギャンブル等依存症対策検討PT」(座長・桝屋敬悟 党厚生労働部会長)は28日朝に国会内で会合を行い、「ギャンブル等依存症対策の取り組みについて(論点整理)」をまとめました。論点整理は同日午後の政調部会長会議で報告され了承。これにより、党として了承されたことになります。

 公明党では昨年12月22日に厚労省からヒアリングを行ったことを皮切りに、各公営競技や遊技の監督省庁、ギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子代表理事、国立病院機構久里浜医療センターの樋口進院長、NPO法人リカバリーサポート・ネットワークの西村直之代表理事、シンガポール国家依存症管理機構(NAMS)代表のクリストファー・チョク博士、オレゴン研究所研究主幹ケン・ウィンタース博士からヒアリングを行ってきたほか、今年2月には奈良県内の支援施設の訪問調査を実施しています。

 文書では、ギャンブル等依存症の実態把握と診断基準の策定が必要であり、今後進める対策の基礎として継続的な実態把握が必要と記載。さらに、対策の求められる方向性として、ギャンブルは存在そのものをなくすことは困難としたうえで、①予防教育と啓発活動、②多岐にわたる人材育成とネットワークの確立、③業界の自主的取り組み、④各省庁の枠組みを超えた取り組み、⑤ギャンブル等依存症対策のための法制化、⑥依存症対策の深化、が必要としています。

 また、現在行われているギャンブル等の規制のあり方について制度・規制とギャンブル等依存症の関係について検証し、関係団体の意見なども踏まえて議論を進めると記載。現在の法規制の見直し、新たな法規制の両面で必要性を検討するとしています。IRの取り扱いについては、「既存のギャンブルあるいは遊技とIRとはいささか趣きを異にしている」(桝屋PT座長)ことから、全国的に整備されるものではないものの、他のギャンブル等と比べて射幸性が高いことなどから、「別途検討する必要が認められる」としています。

 論点整理は30日午後に菅義偉内閣官房長官に提出予定。法制化するのかどうか、その際は議員立法あるいは閣法とするかといったその後の見通しについては、「政調会長と相談しながら進めたい」(桝屋PT座長)と話していました。

(写真)30日午後、国会内で開催された公明党政調部会長会議

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