リゾカジ カジノレポート

澳門夏日記② 【甘ちゃん編】

* マカオ 2013/ 10/ 19 Written by マカオの帝王

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■ 8月14日(水)

朝方、ベッドの中でここまでの戦績を振り返る。

『二日で8万$、リンちゃんに渡した祝儀分と皇牌天下(エリートルーム)からのおまけ分を合わせると実質9万$弱の勝利だ。今日はまず昨日と同じく、ここシェラトンのBJで軽く勝ちを上乗せした後に、シティ・オブ・ドリームスに移動しポーカー大会のサテライトにでも出て気分転換を図り、夜は新旧いずれかのリスボアでバカラ勝負といくか?』

自分が今いる場所はただキラキラと美しいだけではなく、巨人(=カジノ)に支配されている残酷な世界であることを忘れ、甘い考えに取りつかれながら、NHKの海外放送で「あまちゃん」を見る。
(これはさすがに評判になるだけあって面白い!)
 
ようやくリンちゃんの支度が整い、まずはベッドの中で立てた“本日のゲームプラン”の通り、宿泊先のシェラトン内のカジノへ……
(尚、当方の場合、マカオにおけるバカラ(=リスボア系列のせんべい型チップ)と記憶がリンクされている関係上、それ以外のチップだと今一つバカラをした気分になれません。また、ほぼ全ての勝負をバンカーに張る訳ですが、欧米系のカジノでは近年バンカーに不利な、所謂“バンカー6”の卓が増加傾向に有ることも足が遠のく理由の一つです。こうした事情で、消去法によりシェラトン、COD、MGM、ウィーン等でプレイする際にはBJが中心と成ります)

昨日と同じ卓(ミニマム500$)のサードベースが空いていたので、迷わずそこに座る。

昨日と同じく3万$をバイインする。

昨日と同じく、リンちゃんのボックスに500$、その左に千$、最終の自分のボックスに1,500$をベットし、ゲーム開始。

昨日と同じく進撃開始! と行きたかったが、そうは問屋が卸してくれず、開始そうそうチップを削られる展開が続く。

「アナタ! さっきから爪楊枝が少しも増えてないんよ……」とリンちゃん。

「そうだね……」と当方。

「いつまでここでする?」

「いつまでって……、そんなのは分からないよ」

「今で幾ら負けた?」

「1万7千$だよ」

「そしたら、2万$負けたら“終了”だかんね」とリンちゃん。

「分ーかったよぅ……」

そんな会話をしている中、リンちゃんのボックスに10が、真ん中のボックスに11が、最終ボックスに88が配られる。

ディーラーのアップカードは8。

嫌な感じだが、ここはダブル&スプリットをするしかない。

手元の1万$チップのチェンジを要求すると、リンちゃんから鋭いチェックが入る。

「2万$負けたら“終了”と約束したでしょ!」

「それはそうだけど、ここは普通誰でも“追加”する場面なんだよ。これで勝てば流れ変わるんだ!」

そう説得し、何とかダブル&スプリットを認めさせる。

リンちゃんのボックスは10+8=18

真ん中のボックスは11+7=18

スプリットした最終ボックスは一つは絵札で18、もう一つは3が入りダブルとなるが、これまた7で18止まりとなる。
『これは引き分けか……』

そう思った瞬間、ディーラーがサクッと捲ったカードはA(エース)!

エースの存在を忘れるとは、“甘ちゃん”だった……

全滅。

その後はリンちゃんの進言で、3ボックスフラットベット(500$)戦法に切り替えるが、減るのが遅くなっただけで、20分後には残存部隊も全滅し、バイインの3万$が消滅する。
(負け戦の中だが、リンちゃんはしっかりと爪楊枝を56本(=1,400$)ゲットしていた)

台風による悪天候の中、歩いてCODに移動し、フードコートで軽く食事を済ませ、落ち込んだ気分のまま昨日と同じくレッドドラゴンのサテライト(参加費:600$)にリンちゃんと出るが、AKのオールインを77にコールされ、何も落ちずに終了。

リンちゃんも健闘するが、AAのオールインをフラッシュで粉砕され、こちらも終了。

気分転換に、コタイ脱出を決める。

負の連鎖の中、長時間並び、やっと捕まえたグランドリスボア行きのタクシーの中で、更なる“事件”が起きる。

降りる際、タクシー代は70$であったが財布は空で、ポーチの中にはクリップで留めた千$札が17束あるものの、これをバラしてタクシー代を支払う訳にも行かない為、仕方なく百$札を4枚持っている筈のリンちゃんに立て替えて支払うよう告げる。

そこからの記憶が曖昧なのだが、リンちゃんが自分の財布から、百$札にしてはやや大きい、赤ではなく黄色のお札を運転手に渡したような気がしたものの、そんな大事なものを間違える筈は無いだろうと思い、その後運転手が何事も無かったかのようにお釣りを30$リンちゃんに返している様子から、やはり先ほど渡したのは百$札だったのだろうと思い直し、タクシーを降りた後でリンちゃんに財布の中に今幾らあるのかを尋ねる。

「今? えーと、430$あるんよ」

「何だって! じゃあさっきシェラトンで爪楊枝分として両替した千$札は何処に行った! まさかタクシーの運転手に渡したんじゃ……」
「渡したかも……、だって私は中国のお金と日本のお金は分かるけど、港幣(香港のお金)は馴染みが無いんよ! それにしても、あの悪い運転手! 今度会ったら殺してやるわ!」と怒り狂うリンちゃん。

幾らマカオが狭いとはいえ、また同じ運転手に出会うことは無いだろうと思いつつ、自分の“甘ちゃん”ぶりを思い知らされ、更に落ち込んだ気分のまま、グランドリスボアに入る。

何をするか迷ったが、皇牌天下(エリートルーム)でプレイすれば1%のキャッシュバックがあることを思い出し、バカラではなくBJを選択する。

ミニマム300$の卓でプレイすること約2時間、結局リンちゃんに“タクシー事件”の損失補填として爪楊枝数十本を稼がせるだけで、当方は±ゼロで終了となる。

上のフロアの「麺屋」で、お気に入りの刀削麺と、ジャンボ青島生ビールを頼む。

リンちゃんは何か適当に頼んだものに辛い薬味をぶち込み、やけ食いを始める。
(どうやら彼女の計算では、このグランドリスボアで獲得した“爪楊枝”はあくまでも正当な労働の対価であり、タクシー運転手にちょろまかされた千$(実際には900$)の損失補填にはならないようであった)

プログラムのおまけのお食事券で支払いを済ませ、二人とも体内にドロドロした“怒り”を秘めたまま、連絡橋を渡りリスボアの皇牌天下(エリートルーム)に突入する。

今回のマカオ遠征での勝ち分全部(=5万$)をノンネゴチップとチェンジする。

勝負スタート!(当然、ベットは全てバンカー)

PPBPBPB……(3勝4敗)

BPPPBPB……(3勝4敗)

ズルズルとチップが無くなる。

その間、当方のレポートを読んで、リンちゃんファンだというリゾカジ・メンバーの方が何人か挨拶にこられ、会話するものの一向に“進撃”が始まらない為、今一つ盛り上がらない……

『この道はいつか来た道……、確か前にもこのエリートルームで第1日目:勝利、第2日目:引き分け、第3日目:敗北、という嫌なパターンが有ったな。段々悪くなる皇牌天下と言う訳だ。一昨日の勝率が62.5%、昨日の勝率が52.5%、この感じだと本日の勝率は42.5%に成りそうだ。とはいえ、今更プレイヤーになど賭けられない…… 』
ローリングは進むが、手持ちのチップは着実に減り続けた。

この間、リンちゃんに先ほどのタクシー事件の“損失補填”の機会を与えてあげようと、
「プレイヤーが勝つと閃いた時には、一言告げてくれれば僕は一回休んでプレイヤーに千$だけ賭けるから、リンちゃんが自分で引いてそのゲームに勝てばタクシー代分の千$をあげるよ」
と言い、チャレンジさせるものの、中々すんなり行かず、3度目でやっとプレイヤーが勝ち、リンちゃんの機嫌が15%程度改善される。

しかし基調は変わらず、その後もプレイヤーが優勢でシューは進む。

「アナタァ~、アカンじゃないか! どうするよ?」

「どうするもこうするも無い! 外は天気が悪いし、移動するのも面倒だ。 それにここなら、おまけでスワロフスキーの綺麗なボールペンも貰えるし、1%分のキャッシュバックもある。このまま続けるだけだよ!」

5万$ → 4万$となるも、再度ローリング。

心なしか、プレイヤーの勝率がアップする。

4万$ → 3万$となるが、ローリング続行。

リンちゃんは隣でただ見守るだけとなる。
(当方に一旦、“スィッチ”が入った際には、何を言っても無駄なことが最近ようやく分かってもらえたようである)

バンカーが4や5で、プレイヤーが“アート引っ越しセンター(=0,1,2,3)”の際に、勝利の呪文である“ゴン”を唱えながら、リングの取れたグランドリスボアのミニチュアキーホルダーをテーブルに叩きつけるのだがまったくパワーが無く、やたらと2ピン、3ピンを引かれて捲くられる。

『駄目だ、しかし一体どこまで落ちるのか……、いっそ連戦連敗ならプレイヤーに賭けるなり、席を立つなり方法もあるのだが、4割ちょいはバンカーが勝つだけに見切ることが出来ない……』

3万$ → 2万$、2万$ → 1万$と負けに弾みがついてきた。

ここへきて、さすがに抑えてきたリンちゃんの怒りが爆発した!

「もう疲れた! 眠たい! 家(シェラトン・ホテル)に帰ろ! 終了!」

「はいはい、分かりました、そしたらこれを負けたら望み通り終了ね!」

そう告げ、最後の1万$のノンネゴチップをバンカーに賭ける。
プレイヤー・・・4、
バンカー・・・・5

ここまでは、まあ良し。

「リンちゃん、ここで“ゴン”だからね。分かった?」

「わーかったよう、ゴン! ゴン!」とリンちゃん。

しかし、リングを欠くキーホルダーにパワーは無く、ディーラーがオープンしたのは7で1に下がる。

「アナタ! どうなった? これは勝ちじゃないの?」

「残念ながらまだ勝ちは決まらないけど、ほぼ勝ったも同然だよ。次のカードが5でさえなければね。ほら、また“ゴン”、“ゴン”と唱えるんだ!」

そう言いながら、配られたラストカードを絞り始めるが、やはりそれは“ゴン”ではなく、嫌な足が有り、しかも最悪の2ピン(=4か5)で有った。

『思い出した! ここはパラダイスなどではなく、奴ら(=巨人たち)の支配する世界であったことを……、“甘ちゃん”にはここで生きる資格など無いということを……、そこを何とかこれまで凌げていた“リング”のパワーが失われた以上、もはや奴らには勝てない……』

2ピンは5であった。

高くついたスワロフスキーのボールペンを受け取り、席を立つ。

グランドリスボア1階の精品廊で、一つ78$で販売しているミニチュアのキーホルダーのリングが失われてからの負け分は、ローリング分のキャッシュバックとスワロフスキーのボールペン分を合わせて約2千$として差し引くと、ざっとその千倍の78,000$(=約100万円)に達した。

台風の中、タクシーでシェラトンに戻り、嵐のような(実際、嵐の真っただ中だった訳だが……)一日は終わった。



■ 8月15日(木)

いつもならグズグズするリンちゃんのお尻を叩いて、カジノへと向かうところだが、この日ばかりは気分が乗らず、朝から一緒にグダグダする。

取りあえず食事を済ませ、シェラトンのカジノを回るがBJもバカラも打つ気に成れず、再び部屋で休憩する。

そうこうする内に午後6時半となり、本日のメイン・イベントであるCODでのポーカー大会(レッドドラゴン;DAY1-B)が午後7時から始まる為、ようやく部屋を出る。

なお、このトーナメントは長丁場になることが予想されるので(参加費として11,000$も払うのだから、そうでないと困る)リンちゃんが手持ち無沙汰にならないよう、午後7時よりグランドリスボア内のSPA(クラリンス)で、顔とボディのエステ(約2時間)を予約していた。

ホテルの玄関前で暫し並んだ後にタクシーに乗り込み、当方はCODで降り、レッドドラゴンの会場へと向かう。(リンちゃんはそのままグランドリスボアへ)

受付を済ませ少し遅れて席に着くと、大阪のポーカーの集まりで以前からの知己であるRさんとJ君が同じテーブルであった。

基本的にマカオのポーカーテーブルでは、中国語と英語以外の言語(つまりは日本語等)での会話は禁止されているので、軽く会釈だけして席に着き、プレイスタート。

このレッドドラゴンはファイナルまで3日間の長丁場である為、ハンドを選びじっくりとプレイする。

そうする内に、J君と高そうなエルメスのバッグを持つ中国人のマダムとがぶつかる!

フロップ;4、7、8

でJ君オールイン、マダムすかさずそれをコール!

J君は44のセット!

しかしマダムは5、6のストレートで断然優勢……。

結局、ターン/リバーで4も7も8もその他のペアも出ず、マダムの勝ち。

J君は瀕死となる。

その後、当方がBBで、まぁまぁ強いKQの時にショートとなったJ君がオールイン。

一瞬迷うが、負けてもまだ戦えるのでこれをコールする。
(勝負に情けは禁物)

J君はローペア。

フロップが開き、Qがヒットし、そのまま終了。

J君のチップ、約4千点を受け取る。

その後、A6の時にフロップでAが当たり、Rさんとぶつかりそうになるが、Rさんから大き目のレイズが飛んできたので、あっさり降りる。

Rさんがショウしたのは恐ろしいセットであった。

『ふぅ、危なかった。もしうっかり付いて行ったら“事故る”ところだった。ここはRさんの“優しさ”に感謝だな……』

人数調整の為、別テーブルに引っ越しとなる。

午後10時過ぎに、エステが終わりリンちゃん登場!

休憩時間に会場隣のマシン式バカラコーナーで会話する。
「調子は?」

「まぁまぁだよ。スタート時の倍ちょっと位で、この分だと明日のDAY-2には残れるかな?」

「それはよーかったねぇ。ところでお腹が空いた! 何か食べろ」

それについてはもう暫く待つように告げ、席に戻る。

ラウンドは進む。

途中でポーカーにおける最強のモンスターハンド、AA(Amano Akiでは有りません)が入るも、フロップに危険なストレート目である

6、7、8

が落ちたので、さっさと撤退すれば良かったのにAAを捨てられず、結局59持ちに“ゴックン”と飲み込まれ、チップを削られる。(“甘ちゃん”だったと反省……)

午前2時半を過ぎ、DAY1-Bの最終11ラウンド、残り約25分で明日のDAY2進出が決まるという微妙な時間帯に、共にハートのAKが入る。

持ち点は約3万5千点、明日以降のことを考えれば、ダブルアップしておきたい局面では有った。

ポジションはボタン、前でリンプインが一人、3BBのレイズが一人で、スティール・チャンス到来。

『良し、ここは下手に刻むよりもオールインでいこう。全員降りたらそれでOK。もし誰かがコールしてきても、AA以外なら十分勝負になる。それで負けるようなら、所詮ここまでだ……』

覚悟を決め、オールインを宣言する。

後ろのSB、BBは即フォールド。

リンプの一人も降りたが、3BBのオリジナル・レイザー(約4万点)は暫し熟考の末、ディーラーにコールを告げる。

相手の方がやや多い為、負ければ今回のレッドドラゴンはこれで終了となる。

互いのカードがオープンされる。

相手は♣J、♠J。

こちらのAKを見て、上のポケットで無かったことから、ややほっとした模様。

“あまちゃん”なら“じぇじぇ!”と驚くところだが、これは予想の範囲内だった。

フロップが開かれる。

♡T、♣6、♡2。

エースもキングも出なかったのは苦しいが、相手の勝利を決定付けるJも出ず、またハートが2枚出たことでこちらのアウツ(勝ちにつながるカードの枚数)は残り45枚中、エースが3枚、キングが3枚、ハートが9枚と計15枚に上り、現状は負けているが確率的には優勢と言えた。

ターン。

♠Q。

これで苦しくなったが、♢Jもアウツに加わった(ストレート)ので依然として約36%は勝利の可能性が残っていた。

『赤(勿論ハート)! もしくはAK、それでなければ♢のJ!』
そう願いつつ、運命のラストカードを見守る。

リバー、♢Q。

一瞬、赤い額縁のカードが出たので、勝ったような気がした(♢K、♡Q、♡J、♢J、なら当方の勝利!)が、良く見ると残る5枚の赤い額縁のカードの中で、唯一当方の負けとなる “♢Q” であった為、この瞬間当方の敗退が決定する。

敗れたとはいえ、途中でドローイングデッドに成らず、最後の瞬間まで勝負を愉しめたので、納得して席を立つ。

リンちゃんを捜す。

リンちゃん発見。

「はい、これでポーカーは“終了”だよ。何か食べるか?」

「アナタぁ! お腹減った! 奥で韓国料理食べよ!」

頷いて、深夜でも営業中の韓国レストランに入る。

適当に頼むが、“空腹は最良の料理人”という諺通り、何を食べても美味しく頂戴する。

食事中に、レッドドラゴンの会場から、残った参加者全員の大きな歓声が聞こえてくる。

「アナタ? あの声は何?」

「あぁ、あれは今日の約8時間の戦いを、兎に角生き残って、明日またポーカーが出来ることが決まったプレイヤー全員の喜びの声だよ。後少しでその仲間入りが出来たんだけどなぁ……」

“甘ちゃん”だった自分を反省する。

「そうか、けどポーカーはアナタの横に座れないから寂しいんよ、爪楊枝も貰えないし…、明日はまた“ブーラク・ジャク”しよ♪」

リンちゃんの明るい声に慰められる。

「分ーかったよう。それじゃ、それそろホテルに帰って寝よう」

さっきまでの熱気が消えたポーカー会場跡を横目に見ながら、腕を組んで歩いてシェラトンに戻り、眠りに就く。


■ 8月16日(金)

11時過ぎに目覚めると、荷物を纏めて一旦部屋をチェックアウトした後に、スーツケースをフロントに預ける。

今日は大阪ポーカー界の大御所である、Kさん、Rさん夫人(RさんはDAY-2に進出したのでプレイの為不参加)、J君、又東京から参加のSさんら4人と一緒にマカオらしくポルトガル料理のランチだ。

シェラトンの玄関で待ち合わせし、タクシー2台に分乗し、氹仔市区の官也街にあるポルトガル料理の店「GALO」に向かう。
予め、リンちゃんがSさんに頼まれ、電話で予約(勿論中国語で)していたので、スムーズに2階に案内されたが、さすがは人気店だけあって、店内は満席であった。

写真で大凡の雰囲気を掴んだ後に、リンちゃんが店のウェイトレスに片っぱしからオーダーする。

さほど食に対する拘りが無く、アルコールに関してもワインや日本酒ではなく、気軽に飲めるビール党の当方であったが、ポルトガル料理を食べる時位は……、と思いポルトガルのビールをリンちゃんに頼むと、「あぁ、お姐さんはこう言うた。『ポルトガルのビールは冷えてないよ』って。冷たいのは澳門ビールだけだよって。どうする?」

『どうする? と言われても冷えてないビールなど飲めるか!』

という訳で、仕方なく薄味の(=余り美味しくない)澳門ビールをじゃんじゃん注文して貰う。

何かのシーフードや、ポルトガル風ステーキのようなものを、ビールをガブ飲みする合間に食べたような気がするが、余り記憶に残っていない。

覚えているのは、途中でRさん夫人の携帯が鳴り、残念ながらRさんが何か“納得のいかない”展開で飛んでしまったという報告がったこと位である。

ほろ酔い気分で食事を終え、一同シェラトンに戻る。

玄関でRさんがお出迎え。(やや浮かない表情)

当方とリンちゃんはシェラトン内のカジノに、Rさんらの一行はCODのポーカー会場に向かうことで、一旦解散。

ミニマム300$の卓でBJを始めるも、 “ツキの波” は底を打った様子で、±1万$をユラユラと行ったり来たりするだけで、一向に “進撃” は始まらない。

そうこうする内に背後に視線を感じ、振り返るとRさんの御一行が……。

『ここは一つ良いところを見せないと……』
と思うものの、2ゲーム連続、3ボックスで1勝1敗1分に終わり、「それじゃ、頑張ってね」と励まされ、小さく手を振って見送る。

結局、シェラトンでのBJは±ゼロ、リンちゃんのみ爪楊枝を約60本獲得で終了する。

スーツケースを抱えてタクシーに乗り込み、リスボアホテルへ向かう。

今日からの2泊はここが “家” になる訳だ。

チェックインを済ませ、早速勝負!と行きたいところであったが、まだアルコールが抜けず眠気がある為、タクシーで金龍酒店の対面にある健康足裏マッサージの「足康樂」へ向かう。

リンちゃんと二人で、足裏+身体の90分(196$)コースを頼む。
前回はタイ人だったが、今回はベトナム人が登場。
中年の不美人なので、リンちゃんもご納得。

うつらうつらしている内に足裏終了、続いて別室で身体のマッサージが始まるといつものように即“寝落ち” となる。

小一時間後、ベトナム人のお姐さんに “終了” を告げられたのでリンちゃんにマッサージの感想を尋ねると、「マッサージ自体は普通……、腕前で言うなら、来る途中で泊った台北帝国ホテルの近くのマッサージの店の方がずっと上手だった。それはそうと、ワタシはもうこの店には来ないからね」と言う。

「その理由はぁ-、ワタシも少し寝た時に、部屋の周りでオンナの “お化け” の囁く声が聞こえたんよ……、前もそんな気がしたけど、今回はもっとはっきりと、ヒダリ・ミギ両方から 『クルクル、クルクル---』 って聞こえたんよ、怖かったんよ……」と呟くリンちゃん。

少し考えてからリンちゃんに、「それは多分、リンちゃんが浅い睡眠状態に入った時に、周りのベトナム人女性が話す聞き慣れないベトナム語の会話を耳にし、脳がその情報を何らかの形式で認識しようとした際に、それを “オンナのお化けの囁き” として処理した結果だろう。 前回来た時には、マッサージのお姐さん達は、タイ語訛りの広東語を喋っていたので、それは恐らく“言語”として認識されたんだろうけど……」
ここまで喋ったところでリンちゃんから、
「アナタの日本語、難しくて分からな―い」 と言われる。

近くの“黄金象”に触れ、隣にあるカジノ(海立法)で運試しをするが、ここでもバカラ&BJで行って来いで、リンちゃんが爪楊枝を獲得するだけで終わる。

タクシーに乗り、MGMへ向かう。

ブラックジャックの卓が見当たらない……、と思いながら場内を歩くと、ミニバカラだと思い素通りしていた背の低い卓の中に埋もれていたBJ卓を発見する。

さっそく、左端に当方が座り2ボックスを、その二つ前方に露払いとしてリンちゃんを座らせ、500$-千$-1,500$で “帝王式ブラックジャック” 開始。

バイインの2万$は、1万$;1枚、5千$;1枚、千$;4枚、500$;1枚、100$;5枚に崩され戻されたが、ゲーム開始早々に1万$と5千$を全て当方の好きな黄色の千$チップと交換し、これを10枚ずつ積み上げるという、いつもの “儀式” を実行する。

この日のブラックジャックは、まぁまぁ好調であった。
リンちゃんは右側に座っている中国人のおばちゃん二人組と早口の中国語で、楽し気に世間話に打ち興じる。
「あぁ、アナタ! この二人はこう言うた。『私たちはマカオに住んでいて、毎日このカジノに来る。そして一日に1万$勝ったら、その日はそれで止めて後はカジノの中でタダのご飯を食べて、ブラブラして遊ぶ』んだって!」

『そんな結構な話があるかいな!』

と思いつつ、適当に返事をしてプレイを続ける。

不細工なマカオ人のおばさんディーラーを、先頭のリンちゃんの捨てボックスは負けるとも、真ん中のボックスには何故か “ブーラク・ジャク” が良く出現し、最終ボックスはしっかり勝つ(それも多くはダブルやスプリットで……)という、“帝王式” が炸裂し、MGMにおける当方の勝ちはあっという間に1万$を超え、2万$も突破し、3万$に迫った。

おばちゃん二人も、共にノルマである1万$を突破したからか、ニコニコ顔。

けれども、カジノ側がディーラーをチェンジし、武骨なおっさんが登場してから、何故か流れが変わる。

相手がローカードから飛ばない、というか、そもそもローカードも滅多に出ず、常に絵札若しくはエースを見せつけられ戦意を失う。(こちらの手といえば、「15,16,17と私の人生暗かった~」と誰かの歌でも歌いたくなるようなカードばかりが配られる)

見る見る内に獲得したチップが減りだす。

おばさん二人は “ノルマ”であるプラス1万$を超えた分が消滅した時点であっさりと “店仕舞い” を決め込み、勝ち分としての1万$を握り締め席を離れる。

「アナタ、どうするよ? 私たちも止めるか?」

けれども、そんなに簡単には止められなかった。

「リンちゃん、他のブラックジャックの卓はどこも満席だよ。このままここで続行だ」

そう告げ、更にプレイを続けるが、チップは減り続け、遂にプラス1万$を割り込んだ。

ここにきて、リンちゃんの怒りが爆発した!

「アナタ! いつまでする? さっきからいっちょんも爪楊枝増えない! せっかく3万近く勝っていたのに、今は1万もない! おばちゃん達の言う通りよ!」

「分かった、分かった。とにかく次勝ってプラス1万$に戻ったら止めるから……」

そう告げ手元のチップをカウントすると7,500$であった。

リンちゃんのボックスをクローズし、右横に千$、ラストに1,500$をベットする。

『せめて最後位は、この小憎らしいおっさんディーラーに一矢報いたい!』
と願うものの、右横は最悪の16、ラストは希望の持てる11が配られたが、肝心のディーラーのアップカードは絵札であった。

仕方なく16はサレンダーし、半分の500$を受け取る。

これで一気に目標を達成するには、ダブルするしか無くなった。

しぶしぶダブルする。

「いいかリンちゃん、ここが “ゴン” の声を出すところだからね。そしてディーラーの数字が12から16になった時に、もう一度 “ゴン” と大きな声を出すんだよ」 と指導する。

ポケットから、こんな時の為の予備のグッズとして、リングが吹っ飛んだグラリスもどきのキーホルダーの代わりに、ポーカー用の金属製のカードプロテクターを取り出し、絵札を呼び込む為にそれでテーブルを叩く。

配られたのは9で、11+9=20 となる。

『やはり代役ではこの辺が精いっぱいか……。まあ良い、一応の仕事はしてくれた。後は飛んでもらおう……』

ディーラーが勿体をつけ、ゆっくりとカードをオープンする。

1枚目は “3” で、10+3=13 となる。

ここで「ごーん」 とリンちゃん。

続いて2枚目をオープンしようとするので、リンちゃんに再度発声を促す。

「ごーん!」の声と共にオープンされたのは“2”で15 となる。

「もう一回!」とリンちゃんに告げる中、ディーラーがオープンした3枚目のカードは “A” で、15+1=16 となる。

「あれ? これでどうなった? 勝った? 負けた?」

状況を把握出来ていないリンちゃんに、「もう一回!」 と告げる。

当方、リンちゃん、それに同卓のもう一人の中国人の3人の「ゴーン!」という声が響く中、泣いても笑ってもこれが最後となるディーラーがオープンした最終カードは、最後まで紛らわしい “6” であった。

「??? アナタ、どうなった? 勝った/負けた?」と尋ねるリンちゃんに一言、「勝ったよ」と告げる。

最低限のノルマを達成しMGMを去り、近くのスターワールド・ホテルのポーカールームを覗いてみると、顔見知りの大阪のポーカープレイヤーのKちゃんと遭遇する。

暫し世間話の後、
「参加費1,100$のシット&ゴー(=1テーブル10人で行うミニトーナメントのようなもの。賞金は1位:5千$、2位3千$、3位2千$で分配される)があるので、出てみませんか?」 
と誘われ、面白そうなので出る気になり、しばらく座って甘ったるいコーヒーを何杯も飲みながら待つものの、結局人数が集まらず開催されず。

仕方なく、Kちゃんに別れを告げ、リンちゃんと歩いて“家(=リスボア)”に戻る。

こうして“甘ちゃん”モードの3日間は終了した。


   澳門夏日記③【やられたらやり返す編】に続く


*このレポートはリゾカジ.SNSの日記を転載したものです。


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