リゾカジ カジノレポート

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*マカオ

澳門夏日記③ 【加倍奉還編】

Written by マカオの帝王

投稿日:2013/10/27

コメント(1 件)

*

Casiono Report

■ 8月17日(土)

昼過ぎに目覚め、再びMGMへ。

まずは腹ごしらえ! と中華と西洋料理を両方同時に食べることが出来る、「食八方」に入る。

リンちゃんは中華を、当方はスパゲティとビールを頼む。

「リンちゃん、この店はね、中華と西洋料理を一緒に注文出来ることの他に、もう一つ良いことがあるんだよ」

「それは何のもの? 言うてみて」

「それはね、このカードを出すと、何を食べても全て “タダ” になるんだよ!」
そう言いながら、MGMのメンバーズカードをテーブルの上に取り出す。

「そんなエエこと、あるかいな!」とリンちゃんが叫ぶ。

「それが有るんだよ。今までここではブラックジャックとしては結構な金額を賭けて回しているので、ポイントがいっぱい貯まっているという訳だ。グランドリスボアでも同じ位回しているつもり何だが、ポイントの換算レートの違いからか、グラリスじゃ割り引きになるだけだけど、ここでは無料になるんだよ。」
理由を説明しながら食べる。


食事後「マイタン(=お勘定)」を告げると、予想通り今回もポイントで賄えた為、タダであった。

リンちゃん、ひどく感心する。

店を出て、昨日と同じ卓に座り、同じようにプレイするが、勝率は下がり気味で、それでも瞬間的にプラス1万$に達したものの、それをキープ出来ず、結局チャラで手仕舞うこととなる。(リンちゃんの爪楊枝分だけ勝利……)

その後はリンちゃんのリクエストで、地元の南光百貨店に行きピエールカルダンのスーツケースを買い、それに各種のローカルフーズ(何が美味しいのか分からないが、各種のヒマワリの種など)や中国の薬等を詰め込み、それだけでは飽き足らず、タクシーで移動して新八佰伴商場へ向かう。

ここでは、少し高いお土産を……、という訳で、400$前後の月餅(ユエピン)を数箱と、各種のドライフルーツ、乾肉、それと日本では手に入りにくい香辛料を何種類か次から次に買い込む。

カジノでのホッピングなら何とも無いのだが、両手いっぱいに荷物を抱えてのショッピングは、体内に大量の疲労物質が放出される気がした。

「リンちゃん、もうアカンわ……、一旦部屋に帰って休憩だ……」
とギブアップを宣言し、リスボアに戻り仮眠を取る。

午後7時半、チャージ完了。

今回のマカオ遠征で、ポーカー関係では最後となる午後8時スタートの参加費:6千$のトーナメントに出場すべく、タクシーに乗り込み、コタイのシティ・オブ・ドリームスへ向かう。

参加者のほぼ全員がメインの敗者だという “負け犬達の最後の宴” の始まり始まりであった。
(尚、午後4時から、参加費:2万$の別のトーナメントも開催された模様だが、こちらはやや“敷居” が高いので見送った……)

リンちゃんは会場周辺で当方の応援&スマホで読書。

予想より参加者が多くなったのか、廊下の隅に設置された予備テーブルでプレイ開始。

開始早々、帝王に相応しい ♠A、♠Kが入る。

500点ベットすると、対面の白人がコールし、他は全て降りた。

フロップ、♠J、♡10、♠5。

フラッシュ&ストレートのドローとなる。

千点をベットすると、再び白人がコール。

ターン、♡Q。

ロイヤル・ストレート完成。

2千点をベットすると、悩んだ末に白人がコール。

リバー、嫌な♡5……。

これで相手にはハートのフラッシュ、フルハウス、無いとは思うが5のクヮッドまで考えないといけなくなった。
もしそうなら幾らベットしても相手を降ろすことは出来ないので、素直にチェックで回す。

これに対し、白人は微妙なベット(2千点)を仕掛けてくる。

今度はこちらが悩む番になったが、相手を下のストレート、若しくは何らかの2ペア、可能性は低いが5のトリップス、無いとは思うがAAorKKのワンペア、まさかとは思うがフラッシュ滑りのブラフ、このいずれかだと読みコールする。

ショウダウン。

こちらの♠A、♠K、を見て、白人が悔しそうに♠9、♠8(読み通り下のストレート) をテーブルに叩きつける。
(最初から最後まで負けていたのだから、そんなに悔しがらなくても良いと思うのだが……)
その後も小さなポットを何度か取り、持ち点がほぼ倍の2万点になった時、テーブルブレイクで本来の会場に引っ越しとなる。

ここでは、時々アキバギルドで顔を見かける、確か2年前のレッドドラゴンでも同卓だったメガネの若者と一緒のテーブルになる。

暫くハンドが入らず、徐々にチップを減らす。

ボタンの際、♢A,♢8 とバカラなら最強のハンドが入る。
メガネの若者が750点をベットする。

それを見て当方は1,750点とちょこっとレイズ。

SB、BB共にフォールドし、ヘッズアップ(二人の勝負)となるが、若者から微妙なミニマムレイズ(3,500点)が飛んでくる。

ミニマムなのでこれをコールする。

フロップ、♢J、♢6、♠2

何も当たらない。
けれど、ダイヤのナッツ・フラッシュ・ドローが付いた。
また、残る3枚のエースが出ても、かなり強力である。

そう考えていると、若者からオールインが飛んできた。

こちらは残り約12,000点、若者は少し多く約16,000点。

負ければ終了である。

『こんなところで終了するのは嫌だな……、今なら降りてもまだ戦える……、けど、相手は一体何故ここでオールインしてくるのだろう? もし本当に強いハンドを持っているのなら、無理にオールインしなくても良いのでは? だとすれば、相手はさほど強くは無い筈だ。恐らく7~10のポケットだろう。 降ろせればそれで良し、仮にオールイン勝負となっても何とか勝負になる、と判断したに
違いない。良し、ここは思い切ってコール!(=オールイン!)』

互いにショウダウン。

若者は8のポケット。(想定内)

当方のハンドを見て、8が被っているので、“しめた!” という表情を浮かべる。

ターン。

若者の希望を打ち砕く、♠A降臨!

『一か八か? だったが、何とか勝ったかな……』

リバーはラグで終了。

一気にチップが増える。

その後、ショートスタックとなった若者が約4千点でオールインを宣言。

こちらのハンドは♣A、♠T とさほど強くはないが、BBだったので負けても良いとコールする。

若者は ♡8、♡9。

『良し! 2オーバーだ。A.T.フィールド全開!』 と心の中で呟いてみる。

フロップ、記憶が曖昧で申し訳無いが、AもTも9も8も、どれも落ちず。ハートもストレート目も無い。

ターン、同じくラグ(関係無し)

『何とか持ちこたえてくれ! A.T.フィールド!』 と祈る。

リバー、最後までラグ。

何とか“A.T.フィールド(オフスーツ)” は耐え抜いた。

その後も当方がAKの時に、AQで突っ込んでくる香港人のおっさんとオールイン対決となるが、これまた逃げ切りダブルアップする。

チップがあるとポーカーは楽しい。

夢のような時間が過ぎ去っていく。

そうこうする内にテーブルブレイクを告げられる。
移動先にはビッグスタックを築き上げているおっさんが約1名、他は当方と似たり寄ったりだった。

そうした中、ボタンのポジションで10のポケット が入る。

リンプが一人、3倍レイズが一人で回ってくる。

『ここら辺でスティールして、明日に備えておくか? 6万点弱だと、あのおっさんを除いては他のプレイヤー達も気軽にコールは出来ないだろうし……』

“甘ちゃん”が顔を出す。

オールインを告げると、隣のSBのビッグスタック(約30万点)のおっさんがクィックコール。

BBとリンプはフォールドするも、3倍レイズのメガネ男は悩んだ末に約5万点をオールイン。

『まずい! A,K,Q,J のどのポケット、若しくはそのワンペアが出てもほぼ死亡だ……、もう少しここで、このシティ・オブ・ドリームスで “真夏の夜の夢” を見させてくれ!』

祈りは僅かだが、ポーカーの神様(そんなものがいるとしたらだが……)聞き届けられた。

ビッグスタックのおっさんと、メガネ男のハンドは共にAK!

『やった! これで危険なAとKが互いに被ったので、相手側のアウツは残り僅か4枚だけだ。ここを凌げば一気にトリプルアップ! 明日のインマネが射程圏内に入る。AだろうがKだろうが、当たらなければどうということは無い!!』

フロップ、スーツは忘れたが、J,8、5

トリプルアップの期待が高まる。

ターン、恐怖の大王、King降臨……

『直撃だ! 後はTしか望みが無くなってしまった……』

ハイタッチで喜ぶおっさんとメガネ男。

最後の望みをリバーの残る2枚のTに託すもラグで終了。

シティ・オブ・ドリームスでの “真夏の夜の夢” は突然その幕を閉じた。

目の前で当方のチップが勝者である二人に分けられる。

『もし特殊レンズで相手のハンドが見えていたとしたら……、一人のAKは危険だが、二人のAKの場合はリスクは33%減、リターンは約2倍だ。百回同じ局面が巡ってきたとしても、やはり同じアクションを取ったことだろう。トーナメントで頂点を目指す為には、ここで飛んだのは残念だがある意味納得だ。さて、“夢の続き” は何処で見るとするかな?』

席を立ち、リンちゃんを探す。

こちらに向かって手を振るリンちゃん発見。

「アナタ! さっきね、ワタシに白人のイケメンが声かけてきたんよ! ビューティフル! ワンダフル! なんかどうかXXXXXXって英語で喋って、自分は真面目な人間だと、イギリースのパスポートを見せてくれて、それでね、ワタシには旦那様がいるって伝えると、悲しそうな顔をして、最後にワタシの手に跪いてキスをして、それから何処かいっちゃったの」と興奮しながら一気に喋る。

「そうか、よーかったねぇ……」

イケメンの白人に声を掛けられたのがよほど嬉しかったのか、普段なら “爪楊枝”を稼げないポーカーのディープスタック・トーナメントの直後は不機嫌なリンちゃんが上機嫌なのは重畳であった。

CODを出て、タクシーで “家(=リスボアホテル)”に帰る。



■ 8月18日(日)

朝方、リンちゃんが不思議なことを口にする。

「アナタぁ~、今、右の目が “ぴくぴく” 動いたんよ……」

「ふーん、それで?」

「中国の言い伝えで、“左の目がぴくぴく動くと、一日以内に良いことがあるが、右の目がぴくぴく動くと、一日以内に不吉なことがある” と言われているんよ……」 とリンちゃんがのたまう。

単なる迷信と聞き流す。

長かった澳門遠征も今日で最終だ。
ホテルをチェックアウト後、荷物をフロントに預け、MGMを目指して散歩する。

途中のローカル中華店の看板の中に “田鶏”の文字を見た瞬間、リンちゃんの目が輝く!

「アナタ! ここに “カエル” の炒めものがあるんだって! 食べろぅ!」

彼女が “カエル好き” なのは、台北の帝国ホテルでも注文していたことから知ってはいたが、まさかまた食べる羽目になるとは思わなかった。
(注)因みに、台湾で食べたカエルは味付けが甘過ぎ、彼女の故郷の湖南省のカエルより歯ごたえが無く、余り美味しくなかったそう……

店に入ると彼女はカエルの炒め物と白ご飯を、当方は何かの焼きそばとビールを注文する。
(尚、カエルは “ピリ辛” にするよう、念を押して注文)
台湾で見たのより、幾分小振りなカエルが出てくる。

「これこれ♪ これがエエんよ! 大きなカエルは美味しくない。カエルは小さいが美味しいんよ♪」 と喜ぶリンちゃん。

パクパクとカエルの足に被り付き食べる様をボンヤリと眺めていると、当方にも、一本いかが? と勧められる。

小さ目の足を一口だけ齧るも、鶏肉と似ている食感であったが、余り積極的に食べたいとは思えず、焼きそばに戻る。

「アナタ! マカオのカエルは辛くて美味しいわねぇ♪ ワタシはカエルが大好き! 故郷の湖南省では週に2回は食べていたわ。 それと、アナタも大好きよ!」 と嬉しそうなリンちゃん。

「その言い方だと、何だか自分がカエルになったみたいな気がしてきたよ」 と答えると、

「そうよ! アナタ、知らなかった? アナタはワタシのカエル!美味しの “食べ物”、誰にも渡さな~い、結婚もしたし、もう何処へも行けな~い」 
リンちゃんの目が妖しく光る。

目の前のリンちゃんが、まるで “タガメ(=大型の水生昆虫で、主に蛙などを好んで食べる)”に見えてきた……

“マイタン”を済ませ、店を出る。

食後はMGMでブラックジャックをするが、本日も±1万$を行って来いの展開で、リンちゃんが爪楊枝を稼ぐのみで終わる。

何だか不完全燃焼な気持ちになり、普段は素通りするウィーンでブラックジャックに挑戦するも、良いところなく1万$負けて終了。

結局、カエル(=当方)が、タガメ(=リンちゃん)に、養分(=爪楊枝分のお金)を吸い取らせるだけの結果で終わった。

この時点での収支は以下の通り;

ブラックジャック・・・・・プラス2万$(シェラトン;+2万$、MGM;+1万$、ウィーン-1万$)
ポーカー・・・・・・・・・マイナス2万$(レッドドラゴン・メイン;11,000$ ディープスタック;6,000$、サテライト他;約3,000$)
バカラ・・・・・・・・・・マイナス2万$(リスボア;-2万$)
爪楊枝・・・・・・・・・・約2万$少々(推定)

今日の夜のエバー航空の最終便でマカオを離れるまでの間に、せめてバカラのマイナス分位を何とかしないと、“帝王”の名がすたる。

『良し、本日のゲームプランはこれで決まりだ。最終日はバカラのみ! やられたらやり返す! ここは一つ、スタンレー・ホーに “倍返し”だ!』

グランドリスボアに突入する。

意気込んで、平場のミニマム千$の卓を中心に平均ベット:3千$でプレイするが、思いは空回りするばかりで、“倍返し”どころか徐々にチップを削られ、逆に2万$のマイナスとなる。

『駄目だ! このままじゃ。バカラ開始前の時点なら、リンちゃんの爪楊枝分を組み込めば、実質 “チャラ” だと嘯くことも出来たが、このままではそれも儘ならない。エリートルームでのプログラム解除の時間を考慮すると、マカオにおける “活動限界” も迫ってきた。確か6時半にマカオ空港行きのクルマを手配していたっけ……、待てよ? 飛行機の出発時刻は10時半だったな、何でまたこんな早い時間に予約したのだろう……? そうそう、土産を買うんだったな。良し、空港での土産物のショッピングは省略だ。クルマを8時にずらして、“加倍奉還(=倍返し)”だ!』

ゲームプランの立て直しを考えながらフロアを歩いているとリンちゃんが、

「アナタ! 見て。この台はアナタの好きなバンカーが良く勝っているわ! それにみんな何となく調子が良さそう……」

その “お奨め台” は、普段は避けるノン・コミッション卓(所謂、バンカー6)であったが、コミッション卓で勝てないので、空いている席に座る。

何時でも、何処でも、誰とでも、ひとたび “マカオの帝王” が座った瞬間から、その卓におけるバンカー側の絞り手は当方になる。(逆に言うと、自分がベットオーナーに成れないような卓には、最初から座らない)

この卓では、それまで毎回5千$チップをベットする中年女性が絞り手になることが多かったようだが、その女性に対し、
「貴女がプレイヤーに賭ける時は勝手にどうぞ、但しバンカーに賭ける時は、これからはこちらが絞りますよ」 
とリンちゃんに通訳して貰う。
その意思を明確にする為に、手持ちの香港ドル全額(=約8万$)を卓上に積み上げる。

戸惑いながら中年女性が流れからバンカーに5千$をベットしたので、当方が6千$をベットする。
中年女性が6,500$に増やすと、当方は7千$に増やす。
遂に中年女性は断念し、何やらぶつぶつ言いながらチップを引っ込め、この勝負“見”を決め込む。

初戦;ナチュラル9で勝つ!

確かにそれまで和気藹々と進行してきたテーブルの雰囲気を乱す、大人気無い行為である、とは思う。
けれども、カジノにおけるゲームは所詮、全て自己責任だ。
その時間/その場所において、次のゲームにおけるバンカーの勝利を最も強く願っている者(=最も多くの金額をバンカーにベットしている者)にバンカーサイドのカードを絞る権利が与えられる、というのがこの世界のルールだ。

雰囲気など糞くらえ! バカラとは、ハウスでは無く客のプレイヤーを相手に、バンカー側に、俺が張り、俺が絞り、俺が勝つ! それがバカラだ! 罫線など所詮まやかし、この四半世紀の間、それを貫くことで “この美しく残酷な世界”を生き残ってきたんだ。

最後に“帝王”は覚醒した。

リンちゃんから、「子供の頃にみた香港映画の“黒道(=ヘイタオ、つまりはヤクザ)”みたい……」、と評判が悪いので控えていた“咥え爪楊枝”を全面解禁し、敵に止めをさす“牙”をアイテムに加えた。

若い男性ディーラーはテンポ良く、しかも多くは3ピン4ピン+絵札、2ピン3ピン+1,2,3、といった、所謂“絵に成る”カードを配ってくれるので、負けることも有ったが、絞っていて退屈することは無かった。

途中から主にプレイヤーにベットする形で勝負に復帰した中年女性も中々しぶとく、連戦連勝とはいかなかったが、時間の経過と共に、まずは本日のグランドリスボアでの負け分の2万$、続いてエリートルームでの負け分の2万$を挽回した。

「アナタ! 凄いわ! 爪楊枝がどんどん増える。あの女の人はどっかいっちゃった……、このまま頑張って!」

同じ卓の他の客人たちは、途中から当方を信頼してか、“ほぼ”バンカーに乗るようになっていたのだが、3回に1回は半分位の人が少な目の額をプレイヤーに賭けるので、何故なんだろうと、普段はみない罫線を確認すると、

・・・BBP、BBP、BBP、BBP、B??・・・

と“ニコイチ”のパターンに嵌っていることが分かった。

『成る程なぁ。どうりで一気に増えない訳だ。すると、さっきからパターンに沿って、素直に3回に1回はプレイヤーに賭けているあの白い服のお姉ちゃんは、ベット額は控え目だがウハウハな訳だ。もし自分にこれが出来たら……、いや、“タラレバ”を言い出せば限がない。いずれにせよ、次はバンカーが勝つ順番な訳だ……』

ずっとバンカーには2千$、プレイヤーには千$を張っていた白い服のお姉ちゃんが、微笑みながらバンカーに、気持ちだけアップの2,500$をベットした。

他の客も全員がバンカーにベットする。

一人が8千$をベットしたので、ディーラーを惑わせない為に、1万$をバンカーにベットする。

バックベットの手も多数伸びてくる。

その全てがバンカー。

するとここで、さっきからじっと勝負の行方を見守ってきた30歳前後の黒メガネの若者が、所持金の全額の3万$をバンカーの枠内ではなく、臨席との境界線上にベット(通常これは自己の“絞り”の権利の放棄を意味する)した。

ディーラーが若者に対し、「貴方が絞りますか? それとも横の“老板(=社長さん、つまりは当方)”に引き続き絞ってもらいますか?」と尋ねた。

若者は震えながら首を振った。

普段なら気にせず、“代絞り”を引き受けるのだが、恐らく若者にとって“重たい”意味を持つ3万$を引き受けるのは、さすがに気が引けたのでリンちゃんに、
「本当に“代絞り”で良いんだな? 遠慮は無用だよ、後悔はしないね?」と通訳して貰う。

若者は下を向いて、只管頷いた。

『どうやら、この3万$は若者にとって“血銭”であるようだ。そうであるならば、現状12万$持っている者が、1万$ぽっちで絞る訳にはいかない。若者の重い思いに答える為にも、ここまで良いカードを配ってくれた気持ち良いディーラーを戸惑わせない為にも、思い切って勝負だ!』

このテーブルでの勝ち分の全額、4万$をバンカーにベットし直す。

これで明確になったので、ディーラーがバンカーの絞り手を示すプレートを当方の前に置く。

カードが配られる。

全員がバンカーにベットした為、ディーラーがプレイヤー側のカードをオープンする。

絵札と3の3点だった。
取り敢えず一安心。

黒メガネの若者は膝をガクガクと震わせながら、じっと成り行きを見つめていた。

目の前のカードを手元に引き寄せる。

一枚目はガッタウ(=2若しくは3)

二枚目は絵札。

『どうやら3枚目勝負になりそうだな……、所謂ひとつの“差不同(=あまり違いが無い)”という奴だ。とはいえ、出来れば3の方が当然好ましいのだが……』

などと思っていると、結局一枚目は2で、やや不利な状況となる。

ディーラーがプレイヤーの3枚目のカードをオープンする。

『チャッ・パー・ガウ!(=7か8か9!)』
と心の中で叫ぶも、2が顔を出し、3+2=5とますます不利になる。(この時点での勝利確率は約33%)

黒メガネの若者は今にも倒れそうであった。

『まずは足!』

そう願い、祈りながら右手の親指に力をこめる。
口に咥えた爪楊枝が折れる。

足は有った。
(この瞬間、勝利確率は約33%→54%にアップした)

こちらを見つめる観客たちに向かい「足は有ったよ」と小さく手を振る。

一同、安堵する。

黒メガネの若者の心臓のバクバクという音が、ここまで聞こえるような気がした。

カードを斜め横に向けてサイドを少しずつ確認する。

右端以外、何も見えない。

どうやら4ピンでは無さそうだ。
(この時点での勝利確率は75%)

どこまでいっても、何も見えない。
3ピンでも無さそうだ。

2ピン確定!

長年、コミッション・バカラをやり過ぎた“性(さが)”により、勝利が確定した瞬間に、一秒でも早くその緊張から解放されようと、数字まで確認することなくそのカードを放り投げた。(まるでスピードスケートでゴールした瞬間に、選手がそのウェアを脱ぎ捨てるように……)

テーブル上には、歓喜と溜息が交錯した、何とも言えない声が飛び交った。

『勝ったのに、どうして……?』

と思いながらテーブルを良く見ると、自分が放り投げたカードは真ん中が真っ白な4であり、2+4=6での勝利により、恐怖のコミッション(50%)をカジノに搾取される運命にあるということをようやく思い出した。

残酷なこの世界の支配者は、稀にしか訪れない、客人にとって祝福すべき最高の勝利の瞬間にさえ、血の生贄を要求するのであった。

『これが朝方にリンちゃんが予言していた、“不吉なこと”という奴か……、けど、勝ったのだから、さして悪い訳では無いのでは? もうこれでゲームは全て終了だ。 今から“不吉なこと”など起きる筈は無い……』

そんなことを考えている内に、当方にコミッション分の50%を差し引いて半分の2万$が、黒メガネの若者にも半分の1万5千$が付けられる。

『こっちの力不足で勝ち切れず、済まなかったな……』と黒メガネの若者に目で合図を送ると、
『いえいえ、半分だけでも勝っただけで十分です。もうこんな怖い思いをするのはコリゴリです。今日はこれでお終いにします……』との若者の心の声が聞こえたような気がした。

若者はフラフラしながら席を立ち、大事そうにチップを抱えてキャッシャーへと消えた。

もうタイムリミットであった。

他の客たちから、「もう帰るのか? もっとバンカーで絞りまくってくれよ!」
と引き止められるが、リンちゃんが「飛行機の時間なのよ、ごめんね、またね」と中国語で説明すると一同納得し、笑顔で見送ってくれる。

帰り際に次のゲームを見ると、プレイヤーがあっさりとナチュラル9で勝利。
白い服のお姉ちゃんは、しっかりとプレイヤーに1,500$ベットしており、またしても勝利をゲットしていた。

エリートルームに戻り、人質となっていた日本円130万円を10万香港$と交換する。
(残りの約4万$は次回の種銭)

結局、当方の収支はプラス2万$で、トータルで爪楊枝を約一千本(=2万5千$)獲得したリンちゃんには、僅かながら及ばなかった。

『これじゃあ、“倍返し”ならぬ“半返し”だ……、せめて最後の勝負が丸々勝っていれば……、けど、勝負にタラレバは禁物だ。さて、このエリートルームで最後にワンタン麺を食べて、ビールを飲んで、今晩は台北の空港内にあるエバー航空のトランジット・ホテルでゆっくり朝まで眠るとするか……』

しかし、さっきから頭の奥に小さな“警告音”が鳴っているような気がしてならない。

『今は8時前、8時にこのリスボアを出発して、8時15分には空港に着く筈だ。出発は10時半だから、何の問題も無い。それなのに何故だろう? この何とも言えない違和感は……』

クルマの準備が出来たと告げられ、スーツケース一式を積み込み、空港へ向かう。

予定通り、8時15分に空港に到着する。

クルマを降りる際に、臨時の運転手にチップをあげなかった性か、小さな声で「ふん、何だこのケチな野郎どもめ……」と貧相な運転手が悪態をつくのをリンちゃんは聞き逃さなかった。

「あの運転手、私たちの悪口を言った! マカオの運転手、みんな人間悪い!」と憤慨するリンちゃん。

それを尻目にエバー航空のチェックイン・カウンターに向かう。

乗客らしき人は誰もいず、地上スタッフたちは何やら片付けをしている。

胸騒ぎがますます大きくなる。

パスポートとeチケットをエバー航空の地上スタッフに差し出す。

怪訝そうな表情を浮かべ、エバー航空の地上スタッフは、当方のeチケットをじっと眺めながら、事務的に告げた。

「あぁ、ミスター。本日の最終便であるBR812便はたった今離陸しました。あなたは1時間前に来るべきでした。このチケットは空席があれば振替可能ですが、残念ながら明日も明後日もマカオ~台北間は全便満席です。明日の9時以降に予約センターに電話して、どうするかお決めください」

パスポートとeチケットを返却される。

そこには、エバー航空:BR812便のマカオの出発時刻として、“20:35”と書かれていた。

『待てよ! 出発時刻:20時35分ということは、それは今じゃないか! だから最初にクルマの手配を18時半にしていた訳だ。それにしてもどうしてこんな勘違いを……、
推定理由① 20時35分=午後10時35分と単純に勘違いした。
推定理由② もっとマカオで勝負したいという願望が“+2時間”を脳内で捻出した。
推定理由③ 飛行機に乗りマカオを離れたくないという“潜在意識”が、滞在延長を仕組んだ……』

理由は何となく推定出来たが、起きてしまったことは今更どうしようもない。

これぞまさに、“覆水盆に返らず(そういえば、今年は盆休み期間中に、実家に帰らずずっとマカオだったなぁ……)”である。

「アナタァ~、どうする?」とリンちゃん。

不吉な“予言”は的中した。

人影も疎らになった夜のマカオ国際空港で、両手いっぱいに荷物を抱えて、“マカオの帝王”は立ち尽くした。



*このレポートはリゾカジ.SNSの日記を転載したものです。

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このレポートへのコメント(全1 件)

2013/11/15(Fri) 17:14GAKU

>マカオの帝王さん:

ご無沙汰しております(^_^)

当方、ポーカー超初心者ですが、状況解説が詳細で分かりやすく、たいへん良い勉強になりました。
マカオの帝王さんが横について解説を受けながらプレイ出来れば、初心者でも短期間である程度のレベルになれそうですね。
いつか個人指導お願いしたいです(笑)。

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