リゾカジ カジノレポート

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*マカオ

新年快楽2016!【後編】

Written by マカオの帝王

投稿日:2016/02/06

コメント(2 件)

*

Casiono Report

■ 12月29日(火)

昼まで眠る。

目覚めた後に、リスボアホテル内のレストラン「日麗」で、本格的飲茶を食べる。
(平日の昼間だというのに、ほぼ満席であった。)

ここはいつ来ても料金に見合った料理を提供してくれる、古き良きマカオの名店である。

いつもの点心とビールを頼む。
中華にはうるさいリンちゃんも満足した様子。

その後は、野暮用の続き。

まずは、珠海から合法的に持ちこんだ7万人民元の香港ドルへの両替だが、これについてはカジノ内が最悪(100RMB=112HK$)、街の両替屋は普通(100RMB=115HK$)、リスボアホテル1階の大豊銀行(100RMB=118HK$)だった為、新札を2千人民元だけ残して、残りの68,000人民元を大豊銀行で、約8万HK$に両替する。

次なる問題は、香港ドル→日本円への両替であるが、街の両替屋にはレート以前の問題として日本円の在庫無し。カジノ、大豊銀行、中国銀行はほぼ横一線で、1万円=約645HK$であったが、大豊銀行には在庫が10万円分しか無いという。
それでは埒が明かないので、手っ取り早いカジノでの交換を提案するが、リンちゃんは何故か反対する。

「レートが同じなら、中国銀行の方が安心よ! カジノだと変な人がいっぱいいるでしょ! もしスリにでも掏られたらどうしてくれる?」

『成る程、確かにカジノには銀行と比べた場合、“変な人”がいっぱい居そうだな……、おっと、自分もその一人だったっけ。まぁ良い。それで納得するのなら、言う通りにしてみるか……』

毎回、マカオに来る度に何度も目にするが、中に入ったことは数える程しかない、マカオにおける中国銀行本店ビルに入る。
ここは、風水的には、元祖リスボアホテルと並び、マカオ半島の要であるそうだ。
“この地を制するものがマカオ半島を制し、マカオ半島を制する者が、全マカオを制する!”
との思想を基に建てられただけ有って、中に入る者を威圧する造りとなっている。

入口で外貨両替は2階だと言われ、2階に上がる。

受付で番号票を発行し、暫く待たされる。

日本円への両替は幾らまで可能かと尋ねると、窓口のお姉さんは無愛想に、「幾らでも可能よ。逆に貴方達は幾ら両替したいの?」と帯封のついた百万円の束を無造作に取りだし、聞き返される。

『うーん、最近、日本円への両替が出来ない、出来ないと聞くが、やはり有るところには有るものなんだなぁ……。この感じだと、銀行営業時間内なら、日本円への両替は問題無さそうだ……』

リンちゃんに取り敢えず100万円=64,500HK$だけ両替し、それを一旦グランド・リスボアの室内金庫に仕舞い込み、残りは当座の資金にするよう提案する。

リンちゃんも納得し、パスポートを提示し百万円を受け取り、両替は無事終了。

一旦部屋に戻り、再び休憩。

黄昏時の到来と共に、“ミネルバの梟”よろしく、牌の大空に飛翔すべく部屋を出る。

グランド・リスボアの正面玄関には、大晦日のカウントダウンの特設会場らしきものが設置されていた。

『今年ももうすぐ終わり……、残念だが31日には日本に帰るので、今年はカウントダウンも花火も無縁だ……。 今から20年程の大晦日の夜、急にバカラ台から人が消えたので「何があるのか?」とディーラーに尋ねたら、「今から花火の打ち上げがあるから、皆さん見に行きました。どうしますか?」と逆に尋ねられたことが有ったな……、其の時も、当方と同じくバカラ中毒者のおっさん(約1名)から「花火なんぞより、目の前のこの勝負よ! お前もそうだろ? 日本人! このまま続けようや!」と言われ、激しく同意し、結局朝まで絞り続けたことがあったな……、何もかもが懐かしい……』

タクシーを捕まえ、再び、“新濠天地”へ。

有名タレントがオーナーだという、「左麟右李粥麵小菜專門店」で夕食。

メニューを見ると、昔香港駐在中に良く食べた、“陰陽飯”が目に入る。

これは炒飯の上に、白=クリームソース、と、赤=トマトソ-ス、が半々でかかった、ちょい洋風の一品で、リンちゃんの好みでは無いようだが、懐かしくなりオーダーする。

「アナタ? 良くそんな変なものが食べられるわねぇ……」

『それはこっちのセリフだ、一応はメニューに載っているということは、香港人の舌には合っている筈だぞ……』と思いながら、無言で食べる。

食事終了。

ポーカールームに入る。

本日火曜日はトーナメントが無く、キャッシュゲームだけの為か、テーブルが動いていない。

仕方がないので時間潰しの為、ベネティアンに移動し、ショッピングモールを見学。
一通り見て回るが、リンちゃん曰く、「なかなか可愛い服がないわぁ、これだったら大阪の方がずっとマシよ」との有り難いお言葉が出る。

「そうだろ、だったら似合わない服をわざわざここで買う必要はないな? 良し、それじゃ、“新濠天地”へ戻ろう」

どことなく、不満気なリンちゃん。

COD2階のポーカールームへカムバック。

ウェイティングリストを見ると、25-50$の待ちが4名。

駄目元でエントリーすると、5人揃ったので、今からディーラーを呼んでテーブルを開く、とのこと。

タイミングが良い。

何だか今日は勝てそうな気がしてきた。

途中からキャッシュゲームに参加した場合、ショートスタック戦略の者と、一部の“Fish”を除く大半のプレイヤーがMAXバイインの自分よりも多くのチップを持っている為、プレイがし難い。
それに対し、ゼロからスタートした場合は、MAXで入らない者もいる為、相対的なチップ量は平均よりも多いことになる。

面子を確認する。

気弱そうな中国系の若者二人組と、軽薄そうな白人二人組、共に男性で、苦手な女性プレイヤー及び強面風白人男性はいない。

当方はMAXバイインの6千$で入るが、中国系の若者二人組はそれぞれ3千$、白人二人組は5千$で入る。

【リング】開始のリングが鳴る。

最初の内は、他の4人のプレイスタイルが分からないので、暫く様子見を続けたが、その内に驚くべきことが分かってきた。

彼らは(目の前の自分のハンドとフロップ以外)何も考えていない!

自分のポジションも、他のプレイヤーのアクションも殆ど考慮せず、良い手でもレイズせずコールに留め、何かがヒットしたらコールで回し、ヒットしなかったらチェックで回し、誰かが少しでもレイズすれば、よほど良い手の時以外はフォールドする。

昔読んだ小説の中のフレーズ、“He that has one eye is a king among the blind.(片目でも盲人の国では王様)”を思い出す。

『確かに自分のポーカースキルは、トッププレイヤーと比べると半人前だ。しかし、素人が相手となると、さすがに“一日の長”がある。誰が本日の“リングの王者”であるかを、今宵彼らは思い知ることになるだろう……』

ナッツを握ってこっちがオールインを仕掛けても、所持金が乏しいのか、中々乗っては来てくれない。

けれども、ガットショット位でも、何かのドローがある時は、夢を追いかけリバーまで付いて来る。

対処は簡単だ。

相手がストレートやフラッシュを完成させたと思われる場合は降りる、失敗したっぽい場合は降ろす。

3~4回に1回は運よく完成させることも有るだろうが、その場合は降りれば良いだけなので、長期的スパンで見れば、彼らにドローを追いかける代償を払って貰うことになる訳だ。

少しずつ彼らから“夢の代償”を削り取り、チップを増やす。

そうした中、♡A、♡2で参加した際、様子見で、UTGから100$打つと、珍しく? 全員コールでファミリーポットとなる。

フロップに、♡Q、♡T、♠2が落ちる。

SBの白人Aが珍しく250$ベットする。

BBの白人Bが「ユー、♡K、♡J? ロイヤル・ストレート・フラッシュ?」と笑顔で呟きながらこれをコールする。

ワンヒット+フラッシュドローの当方も勿論コール。

中国人Aはフォールドするも、ボタンの中国人Bはコール。

ポットが膨らむ。

ターン;♣K

SBの白人Aがまたも250$ベットする。(ドローを引き摺り下ろしたいのなら額が小さい……)

BBの白人Bはこれをコール。

後1枚♡が落ちればフラッシュ完成なので、勿論コール。

中国人Bもコールで付いて来る。

リバー;♡7!

ナッツ・フラッシュが完成した。

SBの白人Aが500$をベットする。(意味不明……)

BBの白人Bはこれをコール。(所謂 “Calling Station”)

当方の番となる。

ナッツなので、当然オールイン! と行きたいところであったが、それだと皆さんに降りられてしまいそうなので、ギリギリでコールして貰えそうな額のレイズ(1,200$)を行う。

中国人Bは、散々悩んだ挙句、嬉しい? オールイン(約2千$)を宣言する。

これを受け、今度は白人Aもオールイン(約3千$)

当然? “Mr. Calling Station(コールばかりの初心者に対する嘲りの言葉)”の白人Bもオールイン(約3,500$)

待ってました、と当方もオールイン。

全員ショウダウン。

中国人Bのハンドは♠Q、♢Q!

一晩中プレイして一度有るか無いかという、強力なフロップでのトップセットである。
捨てるには惜しいハンドであるが、ポットが欲しけりゃターンでもっと強く打つべきだった。
残念だが、今日は彼の日では無かったようだ。

白人Aのハンドは♡J、♠9!
ターンの時点では強力なストレートが完成していた訳である。
これも惜しいが、リバーで3枚目の♡が出た時点で、ストレートでは勝てないと断念すべきであった……

白人Bのハンドは♡K、♡9!
ストレート・フラッシュの可能性もある強力なドローである(あった)

最終的にフラッシュが完成してしまったので、泡良くば……と考えたのだろうが、♡Aの存在を考慮しなかったのは、若気の至り、といったところか……

一同、当方のハンドを見てガッカリ……、

約1万$を手にする。

ここでちょっとした異変が発生する。

ディナーがまだだったのか、所持金が底を尽きたのか、明日の仕事を思い出したのか、原因は不明だが、当方の可愛い“Fish”達が一斉にディーラーに本日のプレイ終了を告げ、どこかへ立ち去ってしまった。

呆然とする当方に対し、スタッフが、「隣で同じ25-50$のリングを開催中なので、プレイ続行を希望するのであれば、そちらに移動しますか?」と尋ねて来る。

「勿論」と答え、お引っ越し。

テーブルに座り面子を見ると、一昨日当方から一撃で5千$を奪った白人野郎、トーナメントで良く顔を見かける中国系おっさん連中、怪しげなインド人、流暢な中国語だが、アクセントが日本語風のメガネの男性ビジネスマン? と相手にとって不足は無い。

当方の2万$近いチップを見て、一同ざわめく……

『どうやら子供の時間は終了し、ここからは大人の時間に突入したようだな……』

【リング2】の始まり始まりである。

深夜のCODで、大人の時間に繰り広げられる【リング2】の世界は怖い。

セミブラフ、ブラフ、三味線、勝つ為なら何でも有りである。
(但し“貞子”はいない)

全員の力量に差が無い為か、ちっともチップが増えない。

逆にハウスのレーキの分だけ、少しずつ削られる感じである。

周囲を見渡すと、アクセントが日本語風な日本人? と思しきメガネの男性が立て続けにバッドビートを喰らい、チップの買い足しを余儀なくされているのに対し、若いのか、おっさんなのか、年齢不詳な背の低い中国人がラッキーに恵まれ、当方に迫る勢いで保有チップを増やしている。

『あの“チビ”は要注意だな。逆に、あの“日本人?”はついてないようだが「水に落ちた犬は叩け」という……、悪く思わないで頂戴』

BBだったので、♠K、♢3という弱いハンドだったが参加する。

フロップ;♣K、♡J、♢6

一応トップヒットとなる。

ちょろっと打つと皆さんフォールドするが、日本人?男性がコールで付いて来る。

ターン;♠8、

関係無さそうだが、様子見で250$打つ。

日本人?男性はこれまたコール。

リバー;♣3!

2ペアに昇格する。

嬉しさを噛みしめながら、弱々しく375$打つ。

これを見た日本人?男性、千$にレイズ。

しめしめ……、と思うが、セットやK、Jの可能性を考慮し、これをコールする。

相手のハンドは、♡K、♡Q!

当方の♢3を見てがっかりする日本人?男性。

スロープレイの代償は少々高くついたようであった。

こうして、同じ日本人?から稼いだチップであったが、それが手元に留まってくれない。

ボタンの位置で、♠J、♠9で参加した際、

フロップ;♠Q、♠T、♢3と出る。

両面ストレート&フラッシュ(ストフラの可能性まで有り)の、モンスター・ドローとなる。

やや強めに打つと、中国人の“チビ”がコールで付いて来る。
(他は皆降り、ヘッズアップとなる)

ターン;♡6

関係なさそう。

降りろ! とオーバーポットを打つが、“チビ”は性懲りもなくコールで付いて来る。

リバー;♡J

ストレートもフラッシュも出来なかったが、Jのワンペアは出来た。

様子見で千$打つと、“チビ”は即コール。
オープンしたハンドを見て悶絶する。

“チビ”のハンドは♢J、♣3!

『ボトムの3ヒットだけで付いて来て、リバーでJを拾ったという訳か……、それなら最後はコールじゃなくレイズだろうに……、まぁ良い、まだ帰るんじゃないぞ! そのチップは一時的に預けただけだ。今晩中に“倍返し”で返して貰うからな!』

その後も、4のセットがターンでクゥワッドに昇格し、白人から中くらいのポットを獲得するが、やっと出来たフロップセットを、またしても“チビ”の、訳の分からないコールの末の1枚フラッシュで捲くられ失う。

時計の針が深夜4時を回る。

「アナタ~、何時までするの? もう眠たい」とリンちゃん。

「それは分かるが、昨日は一日珠海でカジノは無しだったろ? もう少しだけ、そうだな……、5時になったら終了するから」と返答する。

BBの時、♠5、♡4という弱いハンドであったが、誰もレイズしないので自然に参加となる。

フロップ;♢7、♣5、♠4

ボトムの2ペアとなる。

これは美味しい! と100$打つと皆さん降り、因縁の“チビ”とのヘッズアップとなる。

ターン;♢4

フルハウスに昇格する。

ますます美味しくなった! と300$ベットすると、珍しく“チビ”が千$のレイズ!

“チビ”の手が何かのストレートなら良いが、上のフルハウスだと苦しい。

少し迷うがここでフォールドは出来ないので、取り敢えずコールする。

リバー;♣4!!!

本日2度目の、それも数字まで同じ4のクゥワッドである。

『これはラッキー! “何も怖くないわ♪”だ。 どうやって嵌めてやろうか……』

“チビ”に何がしかの良い手があることは確かであったが、こちらが“オールイン”した場合、逃げられる可能性が有った。

しかし、ベット額が低いとあっさりコールで終了となり、その場合は当然こっちが勝つが、余り稼げない結果となってしまう。

考えた末、スーパーマーケットの安売りのように“お得感”を出し、且つ “チビ” がコールし易い用、相手の保有チップの約半数に当たる“9,800$”をベットする。

悩める“チビ”……。

『悩め、悩め! そして散々悩んだ挙句、愚かな“オールイン”して所持金の全額2万$を俺様に献上しやがれ! さもなければ、最低でも“コール”で、今まで俺様から奪ったチップ(約5千$)を倍返しで返しやがれ! 頼むから降りるんじゃないぞ!』

どうやら、“チビ”の辞書には、“オールイン”も“フォールド”も無いようだった。

小さな声で“コール”を告げ、9,800$を差し出す。

“目出度さも、中くらいなり、おらが春”といったところか……

“チビ”がオープンしたハンドは、♠7、♡7のセカンド・ナッツのフルハウス!

当方の “♡4”(のクゥワッド)を見て、項垂れる“チビ”……

本日のリングの勝ちが2万$を突破した。

『一晩で2度目のクゥワッド、それも因縁の“チビ”からガッツリ稼がせて貰った。リンちゃんも眠たそうだ。そういえばこちらも何だか腰が痛い。今宵の宴はそろそろお開きの時間だな……』

ディーラーに終了を告げる。

獲得したチップを、一回り大きい黄色の1万$チップ2枚+千$チップ8枚と交換する。
本日のリングでの勝ちは約2万2千$、バカラやBJと比べると小さいが、元手(6千$)との比較で考えると大きい。

メガネの男性に日本語で話しかけると、やはり日本人の駐在員であった。

昔の自分を思い出し、健闘を祈りつつ席を立つ。

1階のキャッシャーの手前のバカラ台で、一つだけ黒山の人だかりが……

電子罫線を見ると、バンカーの10何連勝の後、今度はプレイヤーが10何連勝している。

これを見てリンちゃんが、「アナタ! これが“サービス台”よ! 次もきっとプレイヤーが勝つわ! その黄色い1万$チップをプレイヤーに張ったら?」と興奮して話し掛ける。

「そんな上手い話が有るか! 折角ポーカーで獲得した“黄色(=1万$チップ)”を、人任せの、それもプレイヤーに何か張れるものか!」そう告げ、結果を見守る。

はっきり見えなかったが、プレイヤーがナチュラルで勝った模様。

「ほら! ワタシの言う通りじゃない? またプレイヤーよ!」

肩をすくめ、キャッシャーへ移動する。

またまた後方から歓声が聞こえてくる。

『どうやら、まだ“お祭りモード”継続中のようだな……、こんなものは単なる確率上の偏りだと思うのだが、不思議と良く見かけるなぁ……、せめて“お告げ”がバンカーなら、遊びで乗っても良かったのだが、プレイヤーじゃ遊びでも乗れないな……』

とにかく、“City Of Dreams”での、本日の“夢の時間”は終わった。

タクシーで、“家(=新葡京)”に帰り、“リゾ(=免費の缶ビールを飲みながら、獲得した千$札を机の上に並べる行為)”を愉しんだ後に、ふかふかのベッドで心地よい眠りに着く。

■ 12月30日(水)

いよいよ長いようで短かった、今回のマカオ遠征も実質本日が最終日である。(明日は飛行機に乗って帰るだけ)

昼前に目覚め、まずは中国銀行へ。

リンちゃんは1階のATMで、人民元口座のキャッシュカードから、まずは1日の引き出し限度額である1万香港ドルを下ろす。

続いて、昨日の残りの香港ドル(約1万5千$)と合わせて、1万円=644HK$の適正なレートで両替する為、2階に上がるが、その際、
「アナタ! ここまでのカジノでの勝ちは幾ら?」と尋ねられる。

「バカラはほぼチャラ、ポーカーは昨日の勝ちが大きく、約2万4千$かな……」

「そう、それは良-かったねぇ。だったらその分だけ残して、残りの香港ドルは日本円に交換しておきましょうね」

「それは別に今でなくても、今晩カジノでも、明日の朝一番に銀行でも出来るじゃないか?」と反論するも、
「駄目よ、駄目駄目! 今晩はアナタのことだから、きっと最後にバカラをするでしょ。そうに決まっている。まぁ、今回はポーカーで勝っているから、其の分で勝負するのは認めてア・ゲ・ル。けど、元手まで使うのは絶対ダメ! だけど手元に香港ドルを持っていたら、きっとアナタのことだから全て使ってしまう……。 負けて日本に帰るのはイヤでしょ。今回はポーカーだから爪楊枝も貰ってないでしょ。化粧品もワタシのカードで立て替えて払っているでしょ。だからよ! 今の内に日本円に両替しておくのよ。さぁ、出しなさい!」

こうして、元手の約1万$は、本日の飲食費、買い物及びタクシー代として約1,500$を除いて没収されてしまう。

リンちゃんは、33,500HK$を約52万円と両替。(1万円≒644HK$)

その後、前回美味しかった四川料理の店に行くが、改装中だった為、南光百貨店2階の“徳興”に行く。

冬はやっぱり火鍋だな……と思いつつ、肉/野菜を平らげた後に、締めの中華麺を頼み、最後の一本まで食べる。

その後、日本円を金庫に仕舞い込む為、一旦グランド・リスボアの部屋に戻ると、リンちゃんが「ご飯を食べて、歩き回ったので眠たくなってしまった。休憩よ!」と言い出す。

今日は、今年最後のポーカー・トーナメントが7時から、そのサテライトが5時からあるので、それには参加するつもりだと伝えるが、
「1時間だけよ」と言われ、休憩モードに……、(時刻は3時)

睡眠のサイクルは90分だと言うが、その通りで4時半に目が覚める。
起こそうとするが、リンちゃんはベッドから出ようとしない。

「アナタ~、この部屋は暖かくて、寝ごこちが良くて、サウナも有って良いわぁ。どうせ今晩は徹夜するんでしょ? だったらワタシはもう少しここで寝ているから、アナタは先に、“新濠天地”に行ったら?」と思いがけない提案が……。

一応、尤もな提案なので、同意する。

タクシーを使わなくとも、一人だと近くの新華酒店から、“新濠天地”行きの無料バスが出ていることを思い出し、それに乗って来るように伝える。

タクシー乗り場に行列が出ていたので、新華酒店まで歩き、そこから無料の送迎バスに乗り込む。

これも悪くない。(何と言ってもタダだ)

“新濠天地”のポーカールームで、「トーナメントにエントリーだ」と言うと、「どっちだ?」と聞き返される。

何でも、サテライトだと後5分で〆切りで参加費は250$、メイン・トーナメントだと7時からで、参加費は1,200$だ、とのこと。

間に合うのなら、とサテライトにエントリーする。

約6人に1人がサテライトを通過して、メイン・トーナメントの参加権を得られる、とのこと。

年末・年始の休暇に突入した為か、若い日本人プレイヤーの姿も何人か目にする。

といっても、日本人の本当のトッププレイヤーの皆さんは、こんな安いトーナメントではなく、マカオなら高額なリング、若しくは他国に遠征中だと思われるので、鬼の居ぬ間の何とやら……、で今年最後の “有終の美” を目指す。

参加費が250$のサテライトなので、スタートチップは僅か千$であった。

BBとして200$を前に出す。
そこそこのハンドならオールインするつもりだったが、♠J、♠8ともう一つ。

そこを見越してか、チップリの白人が千$をベットして来る。

皆さんフォールド。

『まぁ良い、所詮250$だ。はいはい、オールイン……』

オールインで答える。

白人のハンドは♢A、♢J

まぁ、想定内である。
Jがドミっているので、敗色濃厚……

フロップ;♣8、♡8、♠4!

8がトリップス(3カード)になる!

ターン、リバーと何も起こらず、そのまま勝利!

いきなりダブルアップする。

その後もハンドに恵まれ、順調にチップを増やす。

昨晩の良い流れは継続中。

関東出身者らしい、若い男女の日本人グループも、基本に忠実に健闘するが、ブラインドの急激なアップに耐え切れず、次々に姿を消す。

気が付けば、最後の4人に残り、サテライトは終了。

本日のメイン・トーナメントの参加権を獲得する。

ここまでサテライトの突破率は100%である。

時刻は7時を回っていたので、既にメインは始まっていた。

さっきサテライトで目にした日本人プレイヤー達の姿も見える。

泣いても笑っても、これが今年最後のトーナメントである。
この時点での参加者は約30名、まだまだ増えそうであった。

指定された席に着く。

座ってすぐ、♠A、♠Kという、好きなハンドが入る。

3BB打つと一人がコール。

フロップ;♢A、♡J、♢J

A(エース)がヒットする。

この瞬間、浮かれモードの頭から、相手のジャックの可能性がどこかに消える。

千点打つとコールされる。

ターン;♢K、

K(キング)もヒットする。

これでますます強くなったような気がしてしまい、危険な“ジャック”が思考から消える。

2千点打つと、またコールされる。

リバー;♣J

ボードにジャックが3枚出ているのを見て、ようやく目が覚める。

『しまった! ここまで相手がコールで付いて来ているということは、Jを持っている可能性大だ。幾らこっちがJJJAAのフルハウスでも、クゥワッドには勝てない……、これが所謂一つの“Jack the Giant Killer”と言う奴か……』

チェックするとオールインが飛んできて、フォールド。

相手がチラッと“♠J”を見せる。

これでショートに転落する。

その後、♠A,♠Jでスチール気味にオールインすると、背の高い中国系の若者に、たかが♣6、♣3でコールされる。

フロップ;♠K、♠8、♢4

良い感じだ。

ターン;♡T

このまま!

リバー;♡3

あれ!?……

♠の6と3は殺していたのに、薄いアウツを引かれ終了。

『くっ、今年最後のポーカー・トーナメントの幕切れがこれか……、何か納得が行かない。このままじゃ不完全燃焼だ……』

そう感じながら席を立つと、スタッフから、

「あぁ、ミスター、このトーナメントはリヴァイ可能ですが、どうされますか?」と尋ねられる。

「リヴァイ? OK!」

スタッフが頷く。

やり直しの機会が与えられる。

今度は正規の参加費である1,200$を支払い、再び着席する。

BBで♡6、♣4という屑手が入る。

取り敢えずリンプで参加する。

フロップ;♢7、♣5、♡3!

“フロップ・ナッツ・レインボー・ストレート”の完成である。

喜びを隠しながら、ちょこっと打つと、大柄な中国人に打ち返される。

望むところ!とコール。

ターン;♠7

少し嫌な感じがするが、現状まだ優勢と判断し、2千$打つとオールインが返ってきた。

ここが勝負! と考え、こちらもオールイン!

相手は♡7、♢A

7のトリップスは確かに良いハンドだ、キッカーのAも強力だ、けれども、当方のストレートには敵わない、予定通りダブルアップ! する筈であったが……

リバー;♣3!?

大柄な中国人が77733のフルハウスに昇格し、飛ばされる。

再び席を立ち、トイレへ。

顔を洗い、鏡を見る。

『これで終わりか? 今年のポーカー・トーナメントがこんな終わり方で良いのか? まだだ、まだ終わっちゃいない! リヴァイの締め切りまで、あと5分有った筈だ。リヴァイ上等! やってやるよ……』

残りのプレイヤーは26人、総参加者は52人なので、約半数が飛んだ模様。

いつも良く目にする白人やインド人が、何故か余り残っていない。
若い日本人プレイヤー達の姿も見えない。
中国系プレイヤーの姿ばかり目立つ。

『どうやら、この2015年末のCOD2階の“美しき残酷な世界”を支配しているのは、“進撃の中国人”達のようだな、上等上等……、おめぇら皆纏めて、この “ミスター・リヴァイ”様が駆逐してやる!』

リヴァイの締め切り直前に1,200$払い、再び戦場へ戻る。

座ってすぐに7のポケットが入り、オールインしようとするが、前方でショートが一人オールイン、その後ろの、どことなくリンちゃんに似た、このテーブルチップリの若い女性中国人プレイヤーもオールイン。

二人相手に77は弱い、ワンハンドで飛ぶ訳にも行かないので、フォールドする。

ショートのハンドは66。

女性チップリのハンドはQQ。

何も起こらず、QQの勝利で、彼女は更にチップを増やす。

BBの時、このテーブルで当方よりショートの、最後に残った白人青年がSBからオールインする。

リンプが一人。

怖いリンちゃん似の女性チップリは今回はフォールド。

ハンドを確認する。

♠A,♠T

ベストでは無いが、悪くも無い。

平均チップ量が2万点強なのに、1万点では自由に戦えない。

覚悟を決めてオールインする。

白人青年のハンドは♠8、♢8

何とか2オーバーは確保。

フロップ;♢T、♡9、♣♢7

Tがヒットしたのは良いが、相手が両面ストレート・ドローになる。

ターン;♢5

♢の1枚フラッシュの可能性も出てきた。

『A.T.フィールド全開!』

相手方はアウツの嵐だったが、リバーはラグ(関係無し)

『やはり、A.T.フィールドか……』と心の中で呟く。

これで平均近くとなる。

テーブルを去りゆく白人青年に向かい、心の中でそっと呟く。

『お前は十分に活躍した。そして・・・・・・これからもだ。お前の残したチップが俺に力を与える。約束しよう、俺は必ず!! 中国人どもを絶滅させる!!』

その後、年の瀬の新濠天地における、“日本人最強ポーカー・プレイヤー、ミスター・リヴァイ”の進撃が始まった。

若い、未熟な中国人男性プレイヤー達を片っ端から削り、ショートに転落した奴の息の根を止め、チップリに肉薄し、堂々とファイナル・テーブル進出!

そこに、リンちゃん登場。

「アナタ! どうなった?」

「何とか最後まで来たよ。7位から入賞で優勝すれば2万$弱だ。この調子だと、悪くても入賞は出来そうだよ!」

「そう、それは良-かったねぇ♪ アナタ! 頑張ってね」

テーブルを見渡す。

当方以外、全員が中国人である。

一人の男性プレイヤーが、テーブルチップリのリンちゃん似の女性プレイヤーに、「綺麗なお姉さん、ご出身は?」と中国語で話し掛けるのを耳にする。

「湖南省よ」と彼女が答える。

『通りで雰囲気が似ている訳だ。しかし、この“”女型の中国人”は要注意だな……』

一人飛び、残り8人の“バブルライン”となる。

此処まで来たら、誰も泡に成りたくない。

皆さんタイトになり、フロップが開かれないまま、ゲームが進行する。

そうした中、SBで♠8、♣8が入る。
リンプが二人。

スチールチャンス(だと思われた……)

皆さん、フォールドすると思い、オールインを宣言する。

BB・・・フォールド、背の高い中国人男性・・・フォールド、残るは一人、“女型の中国人” だけである。

少しの逡巡の後に、彼女の口から、“オールイン”が宣言される。

『オールインだと! ここでか? まさかここで……』

“女型の中国人”がオープンしたハンドは、♠K、♣K!

1枚フラッシュの可能性も封じられている。

フロップ、ターン、リバーと赤い8は姿を見せてくれない。

硬化した“女型の中国人”に怒りの刃を浴びせることは出来ず、ここで息絶える。

『KKでリンプインか……、姿を隠し、その身をテーブルに潜めていたのを見抜けなかったな……、2015年のポーカーはこれで終了だ』

荷物を纏めて席を立つ。

「アナタ、残念ね」とリンちゃん。

「あぁ、でも、仕方が無い、これがポーカーだよ」

ちらっとリングを見るが、こっちでもまた“ミスター・リヴァイ”になっては洒落に成らない。

『さぁ、バカラの時間だ!』

素通りして、新濠天地を後にし、タクシーでグランド・リスボアに戻る。

タクシーがグランドリスボアに到着。

エスカレーターの上を早足で2階に上がる。

空き台に座り、最後の軍資金の2万$をチップに両替する。

早速、バカラを始めようとするが、リンちゃんからストップが……

「アナタ! バカラをするなら、良い台を選ばなければなりません。ワタシが探すからちょっと待つのことよ……」

リンちゃんのお眼鏡に適う台を探す為、場内を彷徨う。

その中で一つ、黒山の人だかりが出来ている台を発見!

「アナタ! ここよ! さっきからみんなずーと勝っているんだって! 3つの“路”が綺麗に揃っているんだって!」

「そう、それは良-かったねぇ。けど、最後の勝負を、そんな人任せには出来ないよ。やっぱり自分で絞らないと……」と反論するも、

「ワァ! アナタ! またお客さんがみんな勝ったわ! バカラをするならここよ!」

ここで考える。

『確かにリンちゃんの言う通り、何故だか分からないけど、罫線が示すところの“三つの路”とやらが揃って、テーブルの客全員が勝つ“マジックタイム”が時々カジノに有るのは確かだ。それに乗らない手は無い。が、自力でケリを付けたい気持ちも有る……』

迷った挙句出た結論は……

① リンちゃんに半分の1万$を託し、外れるまで“路”の示す側に張らせる。(ミニマム2千$の台なので、取り敢えず2千$ずつ)
② 自分は残りの1万$を元手に、隣の台でバンカーに5千$ずつ張り、自分で絞って勝負する。

何とも中途半端な結論ではある。
昔からの諺にも、“二兎を追うものは一兎も得ず”とある。

しかし兎に角、この時はこれが良い案に思えたのであった。

リンちゃんに千$チップを10枚渡し、毎回2枚ずつ皆さんと同じ側に賭けるよう指示する。

自分はバンカーに5千$ベットする。

2連敗したら、“こっち”は終了だ。

* 1戦目

一枚目、二枚目共に足有り。

良いのか悪いのか……

考えても仕方無いので、ハウス・ディーラーにさっさと2枚共オープンするよう促す。

プレイヤーは3+3=6点。

サイドを確認する。

共にリャンピン。

材料としては十分!

鞄から馴れ親しんだ日本製の爪楊枝を出し、咥える。

慣れ親しんだ“儀式”は、心を落ち着かせてくれる。

左右両手を使い、2枚同時に斜めに絞り上げる。

2枚共 “4”!

『そりゃ、ポーカーでも3のペアより4のペアの方が強いわな……』

まずは勝利!

その時、横から「アナタ! また勝ったわ! 次はどうする?」とリンちゃんの声がする。

「こっちも勝ったよ! 次も皆さんと同じ側に同額を張ったら?」と指示する。

* 2戦目

“歴史は繰り返す”という諺の通り、次もバンカーが、9+9=ナチュラル“8”であっさり勝利。
リンちゃんの方も、依然お祭りモード継続中らしく、何だか分からないけど勝利!

* 3戦目

プレイヤーはK+K=0点(バカラ)

バンカーは8+8=6点。

優勢な筈だが、何だか嫌な感じである。

プレイヤーの3枚目は6!

ますます嫌な感じとなる。

引き分けでも良い、と思ったがそうは甘くなく、足が見えた時点で勝利の可能性が消滅する。

結局、8が3枚で4点に下がり敗北。

「アナタ! また勝ったわ!」とリンちゃんの声にやや救われる。

『ここまで、“他力”は3連勝で+6千$、“自力”は2勝1敗で+5千$、悪くは無いが、どうしたものか……』

特に名案も浮かばないので、現状維持を選択する。

(注)長丁場の遠征での蓄積された疲労と、直前のポ-カーでの敗北が、意思決定の“質”の低下を招いていた。この“ツケ”は後で支払うこととなる……

* 4戦目

再びバンカーに5千$をベットする。

どこから現れたのか、中国系のおっさんがプレイヤーで絞るが、絵札+3=3点止まり。

楽な気持ちで絞ると、絵札+9=ナチュラル9であっさり勝利!

バカラは(簡単な時は)簡単である。

横を見るとリンちゃん、にっこり♪
またまた勝利、とのこと。

* 5戦目

おっさんプレイヤーはゴンゴン(絵札2枚)で、0点(バカラ)

それに対し、こっちはA+3ピンの8=ナチュラル9で鎧袖一触の勝利!

目を瞑り、耳を澄ませて、お隣のテーブルの声を聞く。

歓声が湧きあがる!

「アナタ! 5回で1万$勝ったわ! だけど、横のお姉さんは言うた,もうすぐ“路”がバラバラになるんだって。だから後少しで終了になるんだって……」

配当する内にハウス側のチップが足らなくなり、お隣にアルミボックスに入った補充用チップが運び込まれ、ゲームが一時ストップとなる。

* 6戦目

最近のこの台の罫線はというと、BBPBBP、(※ここから参加)BBPBB、と綺麗なニ個一パターンである。当然、皆さん(といっても他には二人しかいないが……)プレイヤーに大き目にベット。当方は、バンカーに同じく5千$をベットする。

おっさんプレイヤーが退屈そうに捲ったので、『大したことはなかろう……』、と安心しながら眺めると、何と絵札+9=ナチュラル9!

この瞬間、勝利の可能性が消滅したので、裏向いたまま放り投げると、何とも惜しい絵札+8=8点……

『やはり、“パターンの壁”に阻まれたか……』

この結果、ここまで“他力”は5連勝で+1万$、“自力”は4勝2敗で同じく+1万$となる。

「アナタァ~、どうする?」とリンちゃん。


* 最終戦

隣のお祭り台を見ると、どうやらここでも主役は“女型の中国人”のようで、30代と思しきショートカットのお姉さんが、ここまで絞り続けたらしく、目の前にチップの山を築きあげていた。

と、其の時、当方の右隣に全身黒ずくめの、“ルパン3世”みたいな髪型の中国人が、1万$チップを山のように抱えて座る。

決断の時が迫る。

『そろそろ隣の台の“お祭り”も終了だ。バカラの最後は“オールイン!”だとして、どうする?
案1)全額(4万$)をリンちゃん→“女型の中国人”に託し、“他力本願”での救済(無明長夜の闇を破し、衆生の志願を満てたまう……)を狙う……(これの良い点は負けた時にリンちゃんから責められずに済む点である)
案2)“他力”に2万$、“自力”に2万$、それぞれ“オールイン”する。(一見良さそうだが、1勝1敗の“行って来い”で終わる可能性が高い。しかも隣の“お祭りモード”が終了したなら、次回はこの手は使えない……
案3)リンちゃんの2万$を引き上げ、こっちの“自力”に全額の4万$張る。(ここまでの勝率は66.7%、確かに自分で絞って勝てば嬉しいが、勝率100%! の“お祭り台”で勝負せず、これで負けたらリンちゃんに何を言われることやら……。考えうる最悪の結果がこれ……)

隣の台のチップの補充が終了する。

苦し紛れに、案2)を選ぼうとした瞬間、右隣の“ルパン3世”がチラッとこっちを見て、
『とっつぁんよう、こんなのBBPBBPで次はバンカーに決まってんじゃんか? 今までバンカー一本で絞ってきたのに敬意を表して、とっつぁんがオールインするのなら(絞りの権利を)お譲りしようと思ったけど、モタモタしてっと俺っちが行っちゃうよ?』 と1万$チップを数枚握り締めながら、目で合図を送ってくる。

気迫に押され、『どうぞ、ご自由に……』と黙って頷く。

“ルパン3世”がバシッと5万$をバンカーにベットする。

この瞬間、案2)は選択肢から消えた。

『自分で絞れないのなら、案2は無しだ。案3を選んで、負ければリンちゃんの、その名の通り“逆鱗(ゲキリン)”に触れることになる……、とすればここまで勝率100%の“他力”による救済に運命を委ねて見るか……』

隣の台を見る。

どうやら“お告げ”はバンカーのようで、皆さん、バンカーに限度額近くまでベットしている。

プレイヤーなら躊躇したが、バンカーなら望むところだ。

時間的制約の中、消去法で、案1)に決定。

しかし、この最終決定に至るプロセスは、様々な問題点を含んでいた。

(注)意志決定のプロセスにおける“質”は、そこに「十分な時間があるか否か」に大きく依存している。「時間がある」場合には、徹底的な情報分析を行い、いくつかの代替案をプラスとマイナスの天秤にかけることで、高度のレベルでの意思決定を行うことができるが、「時間がない」状況下では人は極度のストレス状態に陥る為、直面した最悪の危機を避けられそうな『最初に浮かんだ案』を選択する傾向がある。たとえそれが、どんなに配慮を欠く、非常識な決断であっても……「1秒でも早く、緊張から解放されたい」という深層心理が、常識やモラルを完全に凌駕してしまうのだ。
* 日経ビジネス・オンラインの記事より

「リンちゃん、この2万$も合わせて、全部で4万$をバンカーに置いてくれ! そう、その通り! 全部だ、全部! 勝ったらこれで終了! さぁ、早く!」

目の前では、ハウス・プレイヤーが3点、それを尻目に“ルパン3世”がサクサクと絞る。

『こんなの、楽勝だぜ!』とばかりに、6+2=ナチュラル8を決める!

案3)を選べば実現した筈の“幻の勝利”が目の前で現実となる。

『しまった! やっぱりこっちでバンカーにベットしていれば……、まぁ、まだ分からない。後1回で良いから、何の“路”かは知らないが、“女型の中国人”様がパワーを発揮して勝ってくれれば……』

この時、異変発生。

ここまで、皆の期待を一身に背って絞り役を担ってきた“女型の中国人”が、急遽ベットを半分(8万$→4万$)に落とし、それだけではなく、何と! 張るサイドを皆と同じバンカーから、唯一人だけプレイヤーに変更!

『何故だ! 何故ここで変える? お前は何を考えているのだ!』

ベットが締め切られる。

※ 以下、カジノ内で時々使える超能力(テレパシー)による、思考解読。

『まぁ、今日のワタシって、とっても勘が冴えてるのよね。もう十分勝ったし、ここで辞めても良いんだけど、後1回位は続けてみようかなって、ちょっち思ったんだけど、何だかバンカーが重たいわぁ……、さっきは黒服がやってきて、ディーラーにゴソゴソ言ってたし、何かやな感じ。だから、別に今回は負けても良いの、ここは気紛れでちょこっとプレイヤーに賭けてみよっと♪』
余裕しゃくしゃくの表情を浮かべながら、ショートカットの“女型の中国人”が目の前のカードを絞る。

サクっと絞ったカードは絵札+7=7点。

これに対し、急に絞り役が回ってきた太い中年男性は、冬だというのに、顔いっぱいに脂汗を流しながら、目の前のカードに息を吹きかける。

しかし、努力も空しく、7+3=0(バカラ)

この瞬間、バンカーの敗北はほぼ決定……

こうした展開の場合、3枚目は足すらなく、“ゼロ・イチ・ニー・サン(所謂、アート引っ越しセンター)”で終わることが殆ど……

それでも、微かな望みをかけ、中年男性の視線の行方を追うが、すぐにその望みは消滅する。

絵札(ゴン)で終了。

一瞬で奈落の底に突き落とされる。

蜘蛛の子を散らすように、人だかりが消える。

“他力”による救済は得られなかった。

「アナタ、残念でした……、次はまた来年の今頃ね」と呟くリンちゃん。

部屋に戻り、そのままベッドに崩れ落ちる。


■ 12月31日(木)

朝、ベッドの中で考える。

『まてよ? 中国銀行からの海外送金だが、“年一回”というのは、限度額(5万US$)まで送金した日から1年後だと思い込んでいたが、それだと銀行側の管理がややこしくなる筈だ。そうじゃなく、単純に暦年での管理になっているんじゃないかな? つまり、2016年に成れば、再びリンちゃんの“枠”が復活するのでは? とはいえ、さすがに正月3が日は休みだろうから、1月4日以降ならOKになるのでは……』

朝起きてチェックアウト後、荷物をフロントに預け再び中国銀行へ。

窓口で確認すると、思った通り、2016年1月4日以降なら、再び5万US$までなら海外送金がOKになるとのこと。

「アナタ! また2月の旧正明けに来るのことよ!」
リンちゃんから、有難いリベンジの許可が出る。

『1年後だと長過ぎだが、2月だとちょうど良い。その頃だと、ポーカーの大きな大会も有る。待ってろよ、“進撃の中国人”共よ!』

こうして大晦日の日に,“自由なる翼”はリベンジの決意を胸に秘めながら、マカオの空に舞い上がった。

                      (完)



*このレポートはリゾカジ.SNSの日記を転載したものです。

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このレポートへのコメント(全2 件)

2016/02/16(Tue) 13:34べいぷー

はじめまして! 新年快乐!恭喜发财!(もう正月は明けてしまいましたが)
いつもレポート楽しみにしてます

帝王さんのレポートは本当に面白くて何回見返したか分かりませんが
今回も面白いですね

オーストラリアの時のヤン・ウェンリーもそうですがこのレポートを読んでる方々でリヴァイ兵長を知ってる人がどのくらい居るのか疑問ですがこういう小ネタは私は本当に大好きです

今回は残念でしたが春節明けのレポートも期待してます

2016/02/18(Thu) 18:30マカオの帝王

べいぷ-さん、新年快楽!

来週はマカオです。

今回もポーカートーナメントに出る予定ですが、リバイ無しですので、“ミスター・リヴァイ”に成ることは無さそうです。

さて、どうなることやら……

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