リゾカジ カジノレポート

賭博戦士リゾカジ、逆襲の帝王

* マカオ 2008/ 08/ 25 Written by マカオの帝王

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■ 8月6日(午後)

 突然、電話が鳴った。


「あー、いつもお世話になっております。○○旅行社の足立です。実は本日の関空発マカオ行きNX837便のフライトですが、現地が台風の為キャンセルになりました。 それで後日チケット代金を払い戻すか、明日の同フライトにスライドするか、のいずれかを至急決めて頂きたいのですが・・・」


『まったく何てことだ・・・、今からそろそろ空港方面に移動しようと考えていた矢先だと言うのに。 キャンセルなど論外! こうなったらマカオ滞在時間が多少短くなるものの、明日にスライドして短期決戦だ!』


「それじゃあ、明日にスライドして下さい」と告げ、出発は一日順延となった。


 次の日、出発前の暇つぶしに入ったミナミのパチンコ店で、テレビでCMをしていた可愛い女の子が次々に“ラブラブ!”と話しかけてくる“アバンギャルド”という新台を試しに打ったところ、それが何故か連チャンモードに突入し止まらなくなった。


『そろそろ終わってくれないと関空行きのラピートに乗り遅れる! とは言え確変中にその権利を放棄すると言うのもなぁ・・・、“ゆうこりん”の顔も見飽きた・・・、おっ、やっと終わってくれたか』 と喜んだのも束の間、時短中にえらくド派手なスーパーリーチがかかった。


『まずい! これがかかれば完全に乗り遅れる。 外れろ!』と心の中で叫んだ。 日頃の行いが良いせいか、99回転目のスーパーリーチは外れてくれた。 (外れたのがこれほど嬉しかったことはない・・・)


 猛暑の中、ナンバの雑踏を南海ナンバ駅に向けて駆け抜け、関空行きの列車に飛び乗った。(直通のラピートは出たばかりだった)


 関空のマカオ航空のカウンターで更なる試練が待ち構えていた。


「お客様、誠に申し訳ございませんが昨日の台風の影響で、只今満席でございます。本日の宿泊代、お食事代、プラスお詫びとして80US$をお支払いの上、明日のANAの香港行きの午前便のビジネスクラスと香港→マカオ間のフェリーチケットをご用意致しますが、変更可能でしょうか?」


(マカオ滞在が丸2日では短すぎる! とはいえこの条件は少々魅力的だ。 香港には元秘書で今は人妻となったあの娘がいる・・・、殆どの香港人女性は結婚と同時に“小姐”→“太太”に変身するが、ごく稀にアグネス・チャンみたいに幾つ歳を重ねても変わらないタイプの女性がいる。彼女ももう30代後半の筈なのに、3年前逢った時はどうみても20台半ばにしか見えなかったものだ。 自分が日本に帰国して半年後に、『香港人の同僚と結婚して日本に新婚旅行に行くことになったから、一日大阪を案内してね』 との連絡が入り、新郎と3人でミナミの一風変わった創作日本料理の店で食事をしたことがあったっけ。旦那がトイレに入り、一瞬二人きりになった時、『本当はね、私、ボスのことが好きだったの。でも給料の計算をしていると、日本に奥さんがいることが分かったし、歳も離れているし、ボスのマカオ好きなところはちょっと抵抗があったし・・・、それでも一緒に仕事が出来る間は楽しかったけど、ボスが日本に帰っちゃったから、前から熱心にプロポーズしてくれていた彼と結婚することにしたの・・・』 と悪戯っぽく微笑んだ彼女はとても可愛かった。 久しぶりに逢って、食事でも出来たら楽しいだろうなぁ、それに些か疲れたので直ぐに近くのホテルで眠るのも悪くない・・・)


 人間の3大欲望と言われる、“食欲、性欲、睡眠欲”がトリオで襲いかかる中、マカオ航空の代行サービスをしているANAの地上職員の女の子に横から連絡が入った。


「お客様、通常クルーが座る補助席ならご用意出来るとの連絡が今入りました。但し座席は硬く、お食事の際少々ご不便をおかけすることになりますが、いかが致しましょう?」


 『今からマカオに行ける! 4時間後にはカジノだ!』


 彼女の顔が遠くに霞んで行き、所謂普通の人間の3大欲望は、当方の脳内に溢れ出た、“バカラ欲、ブラックジャック欲、ポーカー欲”とでも言うべきものに各個撃破されていった。 


 にっこり微笑んで「席は何でも良いです。今から出発する便でお願いします」と答えた。


 飛行機に乗り込む直前に、案内してくれた女の子に再度電話が入り、ビジネスクラスに変更となった旨を告げられた。 ゲートを一緒に歩く際、何とか使命を果たせてほっとしている彼女に向かい、こう話しかけた。


 「知ってるかな? トラヴェルとトラブルは、ラテン語の語源が同じ turba (不安・混乱) から来たことを・・・。昔は旅行とは必ず難儀を伴ったものだからだそうです。 いろいろ有難う」


 席は先頭の窓際の1-Aだった。


 『さあ出発だ!』


■ 8月7日(深夜)


 深夜にマカオ空港に到着。
 亜熱帯特有の生暖かい風と空気が心地良い。


 自分の中では、何故かマカオの風景としては“夏”のイメージがある。実際に香港で暮らした3年9ヶ月の間に、夏は4回あったのに対し、冬は3回だったこと、また年末年始と旧正月には日本に一時帰国することが多かったことなどから、トータル的にもマカオで過ごした時間の累計は、夏の方が冬よりも優っていることがその原因なのだと思う。


 さて、リスボアホテル前でタクシーを降り、早速ATMでみずほ銀行の国際キャッシュカードで軍資金を下ろそうと試みるが、何故か残高がゼロ、との表示が・・・。 『おかしいなぁ・・・、うん、待てよ! 確かこのカードは海外での引き出し用に入金する場合は向きを逆さまにして、“普通預金” 口座ではなく “貯蓄預金” とかいう方に入金するのだったな。 しまった!』


 予備の三井住友銀行の国際キャッシュカードの方は問題なかったが、これで今回の軍資金が当初の;
 日本円キャッシュ・・・・・・・・・・・・・・約9万リゾ
 米ドルキャッシュ・・・・・・・・・・・・・・約6万リゾ
 三井住友銀行:国際キャッシュカード・・・・・約1万リゾ
 みずほ銀行:国際キャッシュカード・・・・・・約2万リゾ(×)
 計;約18万リゾ → 16万リゾと若干少なくなったことになる。


 『まあ良い。それでは元祖リスボアのブラックジャックで軽く小手調べだ!』


 当初の予定通り、今は寂れた感のある、古き良きリスボアホテルの、タバコの吸える2階のブラックジャックテーブルに向かった。


 (ブラックジャックとバカラの関係は、ワインの白と赤、若しくは寿司ネタの白身と赤身の関係に似ている。 淡白な味わいのシロ(=ブラックジャック)の後で、濃厚な味わいのアカ(=バカラ)を楽しむことは出来ても、その逆は困難)


 当方がブラックジャックをする際、重きを置いていることがある。 


 邪魔者が不在で、ミニマムがそこそこで、かつ純朴そうな若者がディーラーを務める(これが重要)テーブルで勝負する、というのがそれだ。 


 フロアを一周し、条件にあったテーブルを発見する。


 ゲーム、スタート!


 まずはラストボックスに座り、小さくベットする。


 勝つ。



 徐々にベットを増やす。


 連続して負けるとボックスを増やし、段々後になるほど金額が大きくなるという傾斜配分方式(別名:一人マーチンゲール戦法)を取る。


 (ディーラーが一旦調子の波に乗ると、何度も連続して手元に絵札かエースを引っ張りこむ状態になることは皆さんも経験積みだと思います。その流れを断ち切る為にボックスを一つだけ増やせば、本来ディーラーに渡る筈だったその絵札、若しくはエースが一番高額のベットをした自分のラストボックスに入ることになる訳です)


 先日のテニアンの最終日と同じく、この戦法が効果を発揮し、最初の1万が4万超に増える。後ろで見ていた香港人が“これはチャンス”と思ったのか1番ボックスに座る。


 まだ惰性で勝つ。


 続いて2番、3番とボックスが埋まり、フルボックスでの固定遊戯状態となる。
 すると何故かディーラーが息を吹き返し、チップが減り始める。
 勝ち分がピーク時の約半分になったところで一旦席を立つ。
 隣のグランドリスボアに戦場を移し、同じ条件のテーブルを探す。


 カジノのディーラーより、中華レストランのボーイがお似合いの素朴な若者が暇そうにしているテーブルを発見し、ラストボックスに座りゲーム再開!


 元手の3万が最初は徐々に、そして途中から弾みがつき一気に増え、瞬間的に10万を超える!
 (主に5ボックスで回し、ディーラーが連続して飛び一気に増える)

 後ろに人だかりが出来る。
 そしてリスボアの時と同様に右端の1番ボックスに若者が一人座る。

 いきなり幸先良く、若者がブラックジャックで勝つ! 
 それを見て2-4番ボックスにおばちゃんトリオが座る。
 フルボックス状態となり、リスボアの時と同じくディーラーが復活する。
 グランドリスボア単独の勝ち分が、ピーク時の 7万→4万 に減ったところで初日の店終いを決め、常宿の一つであるメトロパーク・ホテルに向かう。 

 まずシャワーを浴びて、ホテル前のコンビニで買い込んだ青島ビールを一気飲みし、一人部屋の中で楽しい“リゾ”の時間が始まる。

 (“賭博戦士リゾカジ”としては、“リゾ”は欠かせません。 けど、ギャンブラーにとっての“リゾ”とは果たして何でしょうか? それは人それぞれでしょうが、当方の場合は次のようになります)  

 ステップー1 千ドル札の向きを揃えて、香港上海銀行/スタンダード&チャータード銀行/中国銀行、と発券銀行毎に分類する。

 ステップ-2 各銀行毎に、新札と使い古しの札を選り分け、新札は通し番号順に並べ替える。

 ステップ-3 並び替えた札を、以下の5つの“部隊”に再編成する。
  ・親衛隊A・・・・・・・香港上海銀行が発券の新札部隊。
  ・親衛隊B・・・・・・・香港上海銀行が発券の使い古しの札の部隊。
  ・外人部隊・・・・・・スタンダード&チャータード銀行が発券の札の部隊。(数が少ない)
  ・人民解放軍A・・・・中国銀行が発券の新札部隊。
  ・人民解放軍B・・・・中国銀行が発券の使い古しの札の部隊。

 * 明日は上記の“人民解放軍B”から順番に戦場に投入されて行くことになります。 なお、その他には以下の部隊があります。

 ・国連軍・・・・・・・・VISAカード
 ・航空自衛隊・・・・・・日本円の1万円札の番号続きの新札部隊
 ・海上自衛隊・・・・・・日本円の1万円札の新札/準新札部隊
 ・陸上自衛隊・・・・・・日本円の1万円札の使い古しの部隊
 ・自衛隊特殊部隊・・・・JCBカード
 ・米軍・・・・・・・・・米ドルの100$札部隊
 ・米軍特殊部隊・・・・・アメックスカード
 ・植民地軍・・・・・・・マカオパタカの現金部隊

(*注; マカオのカジノで我々が手にする最高額紙幣である千ドル札には3種類有ります。相応のUS$を預託することにより発券を認められた、香港上海銀行/中国銀行/スタンダード&チャータード銀行の3行が、それぞれ大きさや色調を揃えつつ、“信用”を得る為に発券しているものがそれです)

【初日の結果:リスボア・・・+2万、グランド・リスボア・・・+4万、計:+6万、共にブラックジャック】


■8月8日(午前)

 再びリスボアの2階、ブラックジャックコーナーに出撃。

“人民解放軍B(=よれよれの中国銀行発券の千ドル札)”を10枚、チップに両替する。

 鎧袖一触、“一人マーチンゲール戦法”が炸裂しあっという間に約6万勝つものの、1~3番ボックスに一般客が座りフルボックスになると何故かディーラーが息を吹き返す。
 勝ち分が4万に減ったところで席を立ち、セナド広場近くのローカルレストランで飲茶を食べる。(支払いは勿論、約3%お得なマカオパタカのキャッシュで)

 食事後、今度はグランドリスボアのブラックジャックコーナーに出撃。まるで出来の悪い再現フィルムを見ているように、短い時間で約6万勝ち、昨日からのトータルで今回の軍資金であり、当初の目標でもある約16万(リゾ)の勝利をあっけなく達成!

 しかし、またもや1~3番ボックスに他の客が出現し、予想通り負け出し勝ち分がちょうど4万に減ったところで予定調和的に終了し席を立つ。
 (最後にダブル&スプリットで総額約1万をベットすることになり、ディーラーの2に対し4ボックス全て18~20とそこそこの手をメイクしたものの、ディーラーがローカードをかき集めて16から最後に5を引いた結果、全部負けたのである種諦めがついた)

 全てを1万ドルチップに換え席を立つ時、ディーラーの安堵の溜息と、横のテーブルのディーラーから「イチバーン」というお褒めの言葉を頂く。

 気分転換にバカラにチャレンジする。

 ミニマム500のコミッション台で、平均ベット約2千でしみじみと勝負スタート!

 (当方はバカラの場合、全勝負の95%バンカーを賭ける為、罫線は余り関係ないのですが、そうは言っても余りに偏った出方をしていたり、やたらと引き分けが多いテーブルは避けることにしています。その他にはおかしな客、怪しい客、分不相応にお金を持っている客、外人{白人/黒人/韓国人}との同席も避けることにしています。 なお、ブラックジャックの場合と異なり、バカラではディーラーの選り好みは特にしません) 

 幸先良くB:7 VS P:6 であっさりと勝利。
 以降もバンカー優勢のままチップが増える。
 瞬間的に勝ちが4万を超える。

 しかしここからバンカー優勢と見たギャラリーがどこからともなく出現し、皆さんバンカーにベットする。
 (ディーラーがあっさりとナチュラル9を出し、配られたカードを放り投げると6+2の8であった)

 その後張りを落とすも、流れはプレイヤーに傾き、最後にプレイヤーが1で確定したのを、同じ1から引き分けでもなく、9を引いてバカラで負けたのを契機にプラスちょうど2万で席を立つ。

 (何か満たされないなぁ・・・、勝ちきれない。生温いローカルビールを飲んでいるみたいだ。もっと刺激が欲しい・・・)

 そう思いながら、グランドリスボアの中をブラブラしていると、2階の一角に5月に参加したAJPC(全日本ポーカー選手権大会)で見覚えの有る、テキサス・ホールデム形式のポーカー専用勝負卓が10数台あることに気がついた。

 近くに行くと、白人の女性マネージャーがやってきて、「参加しますか?」 と話しかけてきた。

 「ルールはご存知ですか?」
 「はい」
 「それは素晴らしい。手数料は5%で最大100ドルまで、スモールブラインド:10、ビッグブラインド20のテーブルから S:25、B:50、 S:50、B:100、それ以上とあります。 ミニマムのバイインは400、マックスは2000です。 今なら、えーと、10-20の台に空席が一つあります。 どうしますか?」

 女性マネージャーが指し示してくれた席は、すぐ目の前に大画面テレビが設置されており、時刻は8月8日午後8時ちょうど、北京オリンピックの開幕式開始の8分前であった。

 「参加します」 と答え、2千ドル分をポーカー専用のクレイチップと交換した。

 テーブルに座ると、鳥の鳴くような可愛らしい声の女性ディーラーから、「トェンティ、プリーズ」 と20ドルのベットを促された。

 (20ドル! さっきまでこの数百倍をポンポン賭けていたことを思うと、このテーブルで動くお金は今日本で流行りの “1円パチンコ” と同じ位か・・・、けど、テキサス・ホールデムを実際にカジノでするのはこれが人生初だ! どうやらここは飲酒も喫煙もOKらしい。 茶髪のピアス野郎、デブの白人、怪しげなサングラス男、鉄火場はこうでなくっちゃ・・・)

 北京オリンピックの開幕と同時に、人生初のカジノにおけるテキサス・ホールデムが始まった!

 【ここまでの結果:リスボア・・・+6万(全てブラックジャック)、グランドリスボア・・・+10万(ブラックジャック:8万、バカラ:2万)】




■ 8月9日(午前)

 メトロパーク・ホテルで目覚める。

 昨晩のテキサス・ホールデムを振り返る。

『それにしても弱かったな・・・、とにかくポットが取れない。 普通10人でプレイする場合、平均すれば10回に1回はポットを取れる筈なのに、約30回に一回と言うところか・・・、一度などスモールブラインドでQQのポケットが入ったので、ビッグブラインドの20ドルを頂戴しようと2千ドルのオールインを試みたところ、あっさりとコールされ、KKのポケットに粉砕されたこともあったな。 20ドルを取りに行ってその100倍を失う? そんなものはバクチじゃない。 ふう、結局4回リバイしたからトータルはマイナス1万ジャストか・・・、 まぁこれが10-20で良かった。調子にのって50-100の台にでも座っていれば5倍負けていた訳だ。 それを思えば良しとするか・・・』

 あれこれ考えながら、チェックアウトの準備をする。

(このメトロパークホテルに特に不満はないのですが、マカオ特有の“週末特別価格設定”により、平日:500HK$、金曜日:750HK$、土曜日:1250HK$ となっていることには些か納得がいかなかったので、土曜日だけはマスターズ・ホテル((萬事発酒店)という格下のホテル(土曜日でも600HK$)を予約していたのでした。 マカオ半島の西岸の海沿いにあるこのマスターズ・ホテル(萬事発酒店)は、部屋は狭いものの、とにかく安いし “CASINO JAPAN” で紹介されていた日本資本(マルハン)が作った新しい高級ホテル&カジノの“PONTE 16” にも歩いて3分なので、気分転換に引越しをした次第です)

 萬事発酒店にチェックインし、北京オリンピックを少しだけ見た後でシャワーを浴び、歩いてPONTE16に向かう。

 カジノについてはまだ1階と2階の一般フロアだけの先行オープンの状態で、上層階のVIPエリアは工事中であったが、東岸の埋立地に林立しているラスベガス資本のカジノ群とは異なり、個々のスタッフから、言葉にするのは難しいが、マルハンの従業員教育の賜物か? ある種の日本的なホスピタリティを感じることが出来た。

 また6階のレストランのセミ・ビュッフェでは、168パタカで寿司、刺身他が食べ放題の上、デザートには最近若い女の子に大人気のマカロンも食べ放題メニューの中に入っており、良く食べる女の子ならこれだけで元が取れるのでは? と思われた。 (客もまだ少ないせいか、サービスは過剰とも言える位に丁寧であった)

 1~2階のゲーム卓では北京オリンピック開催中である為、“斉斉来奥運抽奨券”(Go Go Olympic Lucky Draw Ticket) をゲーム中の客に一定時間毎に配っており、ホテル宿泊券等、様々な景品が当たる、とのことであった。

 さてカジノだが、昨日の戦いで“人民解放軍B” が全て新札の香港上海銀行の新札に入れ替わった為、様子見に“人民解放軍A(中国銀行発券の新札)” 全軍(約2万)を投入しバカラ台に座る。

 全勝負バンカーにベットを続け、6割前後の勝率で推移し、瞬間的に勝ちが4万を超えるも、回りの客(旧市街に位置する為か、地元のおっちゃん、おばちゃんが多い。 日本の田舎のパチンコ屋と同じ客層。 マルハンの狙いは不明だが、宿泊客は今後オープンする上層階で吸収し、下層階は地元民に日銭を落としてもらう、というのなら現状はOK)が一斉にバンカーに賭け出すと勝率が4割前後に低下する。


 またか・・・、と思いつつジャスト2万勝ちで終了し、タクシーに乗り“回力娯楽場”に向かう。

 いつきてもここは変わらない。
 殆どが地元民で、上品さの欠けらもなく、鉄火場そのものだ。 
 (これがマカオのバカラの原風景! 今のラスベガス資本のカジノで行われているバカラは、自分にはどこもかしこも嘘くさく思えて仕方がない。自分としては、このカジノこそがマカオにおける“世界文化遺産”と言えます)

 “人民解放軍”が全て無くなったので、スタンダード&チャータード銀行発券千ドル部隊(2万)を投入する。

 再現フィルムスタート!

 連戦連勝! → 相乗り急増 → 負け出す → 手仕舞い

 プラス2万5千の状態で、せめて最後に5千勝ってプラス3万で終わろうと願うものの、相手のスリーセブン(7+7+7=1点) に絵札+10+10と情けない手で負け、ここでもジャスト2万の勝ちで終了とする。

 行き着けの旧ヤオハン横の、古い雑居ビルの2階にある、45分78元の何の変哲も無い足裏マッサージ屋に入る。
 年季の入ったおばちゃんばかりだが、施術が確かなのと、昼寝し放題なのがありがたい。 (マッサージ終了後、何時間仮眠しても一切チャージ無し。 ホテルを確保しないまま、マカオでホテル料金が跳ね上がる週末にギャンブルを行い、深夜2時~5時に“オケラ”となった際などに、ほんの数時間仮眠を取るためにホテルに泊まり、クレジットカード等で高い週末料金を支払うのはもったいないと思いませんか? それなら、100ドル札1枚だけ残しておき、屋台でワンタン麺でも食べ、その後ここでマッサージを受け、朝まで数時間仮眠を取ることをお勧めします)

 仮眠後、軽くなった足で海岸沿いを歩いてウィーンへ向かう。

 去年の正月にここのブラックジャックで嫌な負け方をして以来だったが、今回、香港上海銀行発券の千ドル札でパンパンに膨れあがったポーチを手に、逆襲を試みるべく乗り込む。

 誰もプレイしていないブラックジャック台を発見し、ラストボックスに座る。

 負ける。
 更に負ける。

 ここでボックスを増やす。
 
 勝ったり負けたりが続く。

 お腹が減ってきた。
 
土曜日の夜な為、徐々に客が増え始める。
 
 右端にカップルが現れ、「ゲームに参加しても良いか?」 と尋ねられる。

 「1ゲームだけ待ってくれ」と告げ、収支の確認をする。

 現状、ちょうどチャラであることを確認する。 
 
 3番ボックスに300 4番ボックスに700、5番ボックスに1500、6番ボックスに2500 7番ボックスに5千をベットする。

 ディーラーのアップカードは8

 それに対しこちらの手は右から、20、20、19、18、17 と段々悪くなる嫌な感じ。

 ディーラーの次カードは3!

 一瞬、全滅を覚悟する。

 次カードはA、そして10、

 最初は10が何故か9に見え、『やっぱり “ディーラーマジック” に騙されたか・・・』 と落ち込むが、ディーラーが配当を付け始めたので、再度カードを確認すると10であることが分かりほっとする。

 忌まわしいウィーンも1万勝ちで終了。

 (ここで終了していれば・・・)

 【ここまでの結果:リスボア・・・+6万(全てブラックジャック)、グランドリスボア・・・+9万(ブラックジャック:8万、バカラ:2万、ポーカー:-1万)、ポンテ16・・・+2万(バカラ)、回力・・・+2万(バカラ)、ウィーン:+1万(ブラックジャック) 合計・・・+20万】



■8月9日(夜)

 馴染みのポルトガル料理屋で黒胡椒たっぷりのステーキを食べ、大ジョッキで生ビ-ルを3杯飲む(この3杯目が余計だった・・・)

 15年前、毎週末マカオに通い、怖いもの知らずに勝負していた“酒と薔薇の日々”に戻ったような気がしてきた。

 『そう言えばウィーンの隣に新しい派手なカジノ(MGM)があったな・・・、あそこにも軽く“制裁”を加えてやるか・・・』 そう思い立ちMGMへ向かう。

 3杯目のビールの酔いが回ってくる。

 どこでも良いや、と最初に目に付いたブラックジャック・テーブルに座り、5万をチップに換える。

 そこから後のことは良く覚えていない・・・
 はっと気が付くと、チェンジした5万が綺麗さっぱり無くなっていた。

 呆然としながら席を立ち、今度はバカラ・テーブルに座り、再び5万をチップに換える。
 1万ずつ毎回バンカーにベットするも5連敗であえなく消滅する。
 酔いが段々と醒めてくる。

 マシンゲームコーナーに移動し、状況の把握に努める。
 『ヤバイ! またやってしまった、“飲酒ギャンブル事故の元” その戒めを破った報いで勝ちが半分になってしまった・・・。 どうする? ここで手仕舞うか? それとも・・・』

 その時ポーチの中のグローバル対応携帯電話が鳴った。

 「あっ、俺や。 勝負の最中悪いな。 休憩中? それは良かった。 ところでマカオに行く前の“話”やけど、どんな感じかなぁ・・・」

 記憶の糸を辿る。
 
 電話の相手は昔馴染みのギャンブル仲間で、“話”というのは、‘今回マカオで勝てば、その勝ち分の半分(出来れば一本)を、有る時払いの催促無しで貸して欲しい’というものであったことを思い出す。
 
 「あぁ、あの“話”なぁ・・・、何とか今はプラスやけど、“一本”はキツイなぁ・・・、その半分やったら貸せんこともないけど・・・」
 「そっ、そうか・・・半分でもありがたいけど、出来れば一本! それも週明けの月曜日の朝イチに振り込んでくれたら助かるんやけど」
 
 『そんな無茶苦茶な・・・』と思いつつも、元々は小博打しかしなかった彼に、ギャンブルの醍醐味を教えたのが自分であったことに責任を感じ、渋々「今からもう一勝負する。 それで勝てば月曜日の朝イチに“一本”振り込む」ことを約束する。

 『あいつからはホンマにいろんなモノを借金のカタに貰ったもんやなぁ、浄水器に、携帯電話の充電器の設置権に、何年分もの洗剤/シャンプー/歯磨き粉/サプリメント、そうそう、全然使えないパチンコの攻略法? というのもあったっけ・・・、もっとも現金でも半分弱は返してくれてるし、‘情けは人の為ならず’、と言う諺もあるしなぁ・・・』

 運試しのつもりで目の前のビデオポーカーの小役をダブルアップする。 3連勝で、30ドル勝つ。

 『良し、何とか酔いは醒めた! ろくでなしの友の為に、もう一勝負だ』

 バカラ・テーブルに戻り、罫線(プレイヤー4連勝、バンカー1勝)をちらっと見た後、バンカーに7,800をベットする。

 ナチュラル8であっさり勝つ。端数の10ドルを脇によけ、元手+勝ち分の15,200を再びバンカーにベットする。 

 またもナチュラル8であっさりと勝つ。端数の40ドルを脇によけ、再び全額の29,600をバンカーにベットする。

 プレイヤーは7、バンカーは絵札+3ピン!
 ゆっくりと絞る。 一つ付く、そしてもう一つ!
 3連続ナチュラル8で勝ち、57,720を受け取る。
 端数の50とさっきビデオポーカーで勝った30を合わせると、57,800となる。 (57,800-7,800 = 50,000)

 ディーラーが「次もバンカーにビッグベットするのかい?」と目で合図を送ってくるが、首を振る。
 対面の客が無造作にプレイヤーに千ドルベットし、ゲームが進行する。  
 結果はプレイヤー:9、バンカー:8、もし4連勝を狙っていたならば、ここで飛んでいたところであった。

 ブラックジャックはどこも盛況で、ディーラーと一対一で勝負出来るテーブルは見当たらなかった。
 
 『MGMの負けは10万→5万になった。 これが所謂一つの“半ちぎり” というやつか・・・、 まぁ良い。 残りの5万は暫く預けておいてやる。今からグランドリスボアで最後の一勝負だ!』
 


 【ここまでの結果:リスボア・・・+6万(全てブラックジャック)、グランドリスボア・・・+9万(ブラックジャック:8万、バカラ:2万、ポーカー:-1万)、ポンテ16・・・+2万(バカラ)、回力・・・+2万(バカラ)、ウィーン:+1万(ブラックジャック) MGM・・・-5万(ブラックジャック) 合計・・・+15万】




■ 8月10日(未明)

 いよいよグランドリスボアで最終決戦だ! と考えたものの、MGMを出て車の行き交う道路脇を歩いている内に、ことはそうは単純でないことに気が付いた。

 まず時間の制約が発生した。 

 次に‘ろくでなし’の友人に帰国後すぐに回す分の“一本” を確保しないといけないという縛りが加わった。
 つまり、現時点での勝ち分全額勝負は勿論、半額勝負も難しいということになる。
 サッカーで言えば残り時間が後半の15分を切り、引き分け以上でOKな状態で、何を目標に戦い抜くか? というシチュエーションに似ている。

 考えている内にグランドリスボアに到着。

 まずバカラを選択肢から外す。
 さっきMGMでやった“ホップ・ステップ・ジャンプ” 作戦は一種の禁じ手であり、たまたま上手く行ったから良かったものの、日に何度もするもので無いことは最初から分かっていた。

 『やはりブラックジャックか・・・』 そう思い、誰も打っていないテーブルを探し、ラストボックスに座りゲームを開始するが、少し勝っただけで何故か黒服が現れディーラーの交代を命じる。
 
 そこに現れたのは“魔女の宅急便”に出てきそうな皺くちゃのおばあさんで、胸に付けている従業員No.は何と3桁!(今は殆どが5桁)
 今までの十分の一程度のスピードで、ゆっくりとカードを配り始める。2連敗しチャラになった時点で何となく不吉な予感がし、手仕舞いを決める。

 2階のテキサス・ホールデムコーナーに向かう。

 『10-20では物足りないが、50-100は敷居が高い。 真ん中の25-50がもし空いていたら・・・』

 そう考えながら、女性マネージャーにテーブルの空き状況を尋ねると、「25-50なら今すぐ参加可能です」との返答。

 その瞬間、今回のマカオ遠征の最後の戦場が決まった。

 バイイン5千で参加。

 中途半端なハンドではゲームに参加せず、ひたすらフォールドを続ける。
 ブラインドで削られるが、時々はポットも取れ、原点を維持する。
 そうする中、クローバーのKJという、初手169種類中ランク20位、勝率62.6%の勝負手が入った。

 手はポジションがボタンと有利な為、ここで勝負に出ることに決める。
 二人がコールしフロップが開かれる。

 女性ディーラーがテーブル中央に一気に開いたカードは、Tc、9c、8d! 7かQが出ればストレート、クローバーが出ればフラッシュ、もしクローバーのQが出れば何とストレートフラッシュだ!
 
 しかし、他の二人も良い手が入っているのか、一人目のルーズ・アグレッシブ(手に関わらずガンガン張る)なプレイスタイルの若い香港人が1500のレイズ、もう一人のタイト・パッシブ(良い手の時だけ参加し、受身で回す)なプレイスタイルの中年白人女性もコールで付いてくる。
 
 勿論当方もコールで付いていく。
 ターンはJh。
 取り敢えずJのワンペアは出来た。
 しかし、ここで若者が約3500のオールインを宣言。
 中年白人女性もコールで応じる。
 
 現状ではJのワンペアしかないが、手が改善される可能性は十分だ。 手持ちの全額(ほぼ3500)をオールインする。

 リバーは一番欲しかったQc! ストレートフラッシュの完成だ!

 若者はQハイのストレート(予想通り)、中年白人女性はAc、7cでターンでストレートが完成しており、最終的にはそれをÅハイのフラッシュに昇格させていた。(幾らタイトなプレイヤーと言えども、これでは乗ってくる訳だ・・・)
 中年白人女性は勝利を確信し、「貴方もフラッシュだったのでしょう、惜しかったわね・・・」
と話しかけてくるが、首を振りながらゆっくりと手元のカードをショーダウンする。
 ディーラーを含め、テーブル全員から驚きの声があがる!

 膨れ上がったポットを受け取る。
 リスボア系列の通常のチップとは異なる、ポーカー専用クレイチップを整理して積み上げる。

 獲得したポットは1万5千を僅かに超えていた。
 時計の針は午前4時を回っていた。
 ディーラーにプレイ終了を告げ、退席する。

 『あと一仕事・・・』と思い、MONEY EXCHANGE カウンターに向かう。

 交換レートの確認をする。
 708HK$=一万円 (銀行と遜色無し)
 『レートはOK、後は日本円があるかどうかだが・・・」
 そう思いつつ、窓口の男に尋ねる。
 「私は16万HK$を日本円に両替したい。可能か?」
 「すみません。手元には日本円は10数万円分しかありません」
 「仕方が無い。取り敢えずあるだけ両替だ!」
 約1万HK$分を両替し、グランドリスボアを出る。

 向かいのリスボアに行くが、こちらにも日本円の手持ちは無い、とのこと。(日本の存在感が薄くなっているのを感じる)

 持込分の外貨をホ-ルド出来るカジノが増えたのは朗報だが、勝った場合に適正なレートで交換出来る場が少ないのは、今後のマカオの課題だと思う。

 24時間営業の市中の両替屋の中で最もレートが良く、且つ在庫も豊富な、旧リスボアホテルの“四五六菜館”前の道路を隔てた所にある“環球通兌換(WORLD ROUND MONEY EXCHANGE)”に行く。

 交換レートの確認をする。
 707HK$=一万円 (リスボアより1ドル良い!)
 恐る恐る窓口のおばちゃんに尋ねる。
 「私は141,400HK$を日本円に両替したい。 可能か?」
 「可能よ!」と嬉しそうなおばちゃん。

 日本円の束を二つ受け取る。
 
 最後の仕事が終わった。

 缶ビールを買い込み、ホテルに戻り、両替した1万円札を向きを揃えて新札/準新札とよれよれに区分し、10枚ずつのセットにする。(所謂リゾタイムのスタート!)

 『テニアンやオーストラリア、また昔のソウルのように、カジノが“そこにしか無い”場合はカジノの提供するコンプ・プログラムに入るのも良いだろう(どうせプレイするのだから)。 けれどもマカオのように様々なカジノが至るところに在り、ターンオーバーに対するコンプがそれ程でもない場合は、賭金と比べると僅かなコンプに縛られて個人情報が晒され、自己の行動が制約されるのは果たしてどうなんだろう? 「さっきから勝ちまくるこいつは一体何者だ! 広東語も少々理解するようだが、どこの国の人間なのか?」とカジノに畏怖の念を抱かせつつ、僅かなコンプに拘泥せず、食事と宿代は納得のいく金額を自腹で払うというのがマカオでは“粋”なのでは・・・、まぁ良い。久しぶりにマカオの夏を楽しめた。何とか義理も果たせそうだし、再見!』

 6年振りの“夏のマカオ”遠征はこうして終わった。


このReportへのコメント(全 2件)

2008/08/27(Wed) 00:00

弟子

読んでいて
自分が旅行してカジノを楽しんだ気分になります。

バクチ心理が絶妙であり、行間がすばらしく、
テンポの強弱が読み手を引き込む。

たくさんの方に読んで欲しいと、弟子は常々思うので
あります。


2008/09/06(Sat) 00:00

みー

親衛隊等の使い方、面白かったです。
私も試して見ます!


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