リゾカジ カジノレポート

『素晴らしきかなカジノ』~2011年最終戦・7luckヒルトンで改めて気づいた事~

* 韓国 2011/ 12/ 07 Written by madamada

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 「バチッ、バチッ、バチバチバチバチ」
 仁川に向かう早朝便の機体に、小石の礫が投じられているような不規則な連続音がして、私は目を覚ました。

 飛行機の小窓を涙のように雫が伝っている。同時に「ゴーーーーっ」という減速音が、機内に響いた。

 11月末の平日、私は2011年最終戦に臨むため、ソウルに降り立った。
 シンガポールで〝チキン〟になって以来、約3カ月。ついに待ち侘びた雪辱の時、到来である。しかし――――――

 心は決して「ウキウキ」した期待感に満たされていた訳ではない。むしろ不安の方が大きかったかもしれない。
 本当に、己の不甲斐なさを払拭する事ができるのか? また無様なチキンになってしまうのではないか?
 しかも、外は雨。

 ソウルにはこれまで20回ほど来ているが、到着早々、雨に見舞われたのはこれが初めてだ。
 ――――――なんとなく嫌な予感がした。


「あんな事件のあったこんな時期にカジノに行くの?」
 ―――――出発前、仕事先で数人の女性陣から云われた。(=忠告された、というのが適当だろうか?)
たしかにカジノ遊びを知らない人にとって、今、〝カジノの印象〟は最悪なのだろう。地獄行の特急電車に乗っているように映るのかもしれない。

 もっとも、私にあの人ほどつぎ込む甲斐性がある筈もなく、そんな心配はご無用なのだが、或る意味で私が、〝カジノ資金を借金をする形で賄っている〟のは事実だ。
  ※韓国の場合、私は基本的にプレーチップのほとんどをショッピングで調達する。この形式だと「カード上限額がバンクロール」になる。即ち私の場合、日常生活で使う枠を差し引くと「100~150万円」になる。(上限と云いつつ幅があるのは、我ながらいい加減だと思うが)
   
 ちなみに、今回所持した現金は約2万円。これを前述した仕事先の女性陣に告げると、さらに目を丸くされた。海外旅行に「2万円しか持っていかない」というのは、彼女たちからすると、余程常識はずれの行為らしい。

            

[1日目:セッション〝ゼロ〟]

 朝10時、ミレニアムヒルトン到着。荷物はクロークに預け、直ぐカジノに行く予定だったので、別にアーリーチェックインなど望んでいなかったのだが、部屋が空いているという事でアーリーチェックイン。
 …とは云え、部屋で寛ぐことなどない。荷物をばらしたら、カジノ直行。 さぁ、早速勝負だ!

 ところが―――平日なのに矢鱈と混んでいる。やはり雨のせいだろうか。

 今回も同行者はいつものツレ。スロット専門の彼女は5万円を換金したら、そのまま「じゃあ、ちょっと戦ってくるね~」と、軽口を叩きスロットゾーンへと向かった。
 私の方はチップショッピングで400万ウォンを〝引き出し〟て、BJテーブルをブラブラ―――しかし混んでいる為、…というより、開いている卓が少ないせいか、1万テーブルはもちろん、5万テーブルでさえ中々インできそうにない。

 BJ卓は、SLICKさんからご報告があったように、ミニマム額に関わらず、全卓シャッフルマシーンが撤去され、ハンドシャッフルになっていた。
 前回、特段CSMに抵抗感が無かった私は、どこか肩すかしを食ったような……そんな気分。CSMはシュー終わりを待たずに(というか、シュー終わりなんかないし)自由に席を立てるので、嫌いじゃなかったんだけどな…。


 ブラブラしていると、ツレがものの30分で戻ってきた。 「どうしたの?」 「うん?ダメだ、朝は回らん」 不機嫌そうに呟く。
 私はその反応に不穏なものを感じ、突っ込む。
 「幾ら呑みこまれたのさ?」 「少しだよ」 ――――――明らかにはぐらかそうとしている。

 「正直に言ってみ?」 「・・・・・・・・・30万」
 オイオイ、あんた…5万円換金という事は70万ウォン強だろ? 到着30分で半分近くすったのかよ?
 ――――――その勝負魂には感服するが、やはり、この女のギャンブルは危険である。

 まぁ、しかしギャンブルは完全独立会計である。私がクドクド云う事ではないし、旅行初日から険悪なムードにはなりたくないので、それ以上は突っ込まない事にした。
 

 そんなこんなでBJ卓を回っていると、1万卓のひと席が、目の前で空いた。
 私は7LUCKのコンプを受ける関係で、正直、1万卓では打ちたくない。

 「じゃあさ、たまにはブラックジャックにでも入ってみない?」 何気なくツレにすすめてみた。すると「う~ん、じゃあ、教えてくれる?」と、結構素直に着席。
 
 これにはちょっと驚いた。
 実はこれまでも、私は何度か彼女にBJを勧めた事があるが、「スロット以外は…」と、頑なに拒まれてきたのだ。それが――――――余程30分で30万はショッキングだったらしい。
 しかしともかく、今回初めて、ツレと二人でBJに入るという経験をすることになった。セッション・ゼロのスタートである。


 1万卓は当然フルボックス。私が30万ウォンをテーブルに投げ、ツレがメンバーズカードを出し3番ボックスへ。ベットはミニマムの1万で基本的にフラット。

 入って当分の間は、親のフェイスカードが絵札や8・9で、とにかく17まではヒット。ツレもそれに従う。(当面、サレンダーは教えない)

 当たったり外れたりを繰り返し、原点をウロウロ。
 そうこうしているうち、親のフェイスに「6」が入った。ツレの手は「13」。――――――彼女は迷いなくテーブルを指先で叩いた。私を含め周囲のプレイヤーが慌てて、止めに入る。
 
 「えー、どうして~?17までは手を作った方がいいんでしょう?」 「いや、自分の手を作るだけでなくディーラーをバーストさせるゲームでもあるんだよ」…云々の講釈を垂れる私。
 
 それでも一度、卓を叩いた彼女の指先は止まらない。「判った、次からはそうするよ。でも今回はもうヒットしたんだから。一度出したサインを変えるのはイヤ」
 ――――――他の人に「申し訳ない」と頭を下げ、ディーラーに改めてヒットをお願いする私。
 
 来たカードは「8」=21完成。 「おおおおお」と歓声が上がる。 だがこういう時、得てしてディーラーがバーストしなかったりする経験を、リゾカジの方々はお持ちだろう。バーストしなければ、非難の目は全てこちらに来る。
 その他のボックスは、ダブル手がいなかった為、当然全員ステイ。ディーラーがホールカードをめくる。

 「7」―――再び歓声が上がる。そう、ヒットが無ければ「6・7・8」で「21」だったのだ。そして次の1枚は「K」で、あっさりバースト。
 皆、口々に「ナイスヒット」「ラッキーガール!」  最高の結果オーライにテーブルの雰囲気が一気に良くなった。

 そのうち、ペアに賭け続けていた6番ボックスに、ようやくペアが出た。 
 ツレ「えっ、あんなに貰えるの?」 「うん、11倍付けだから。でも確率的に考えると、滅多に入らないよ。ペア貧乏って言葉もあるからね」 
 「ふ~ん、そう」―――と受け流したツレだが、どうやらその瞳には何か怪しき光が。 

 数ゲームのあと…予想通り「じゃあ、ペア」と、嬉々として1枚ベット。 (まあ、仕方ない…)と容認した私。すると―――あっさり5・5ペア。待望のブラックチップが来た。「やった~!当たったよ!」

 それは、それは最高の笑顔になったツレ。恐るべしビギナーズ・ラック。私が「ペア貧乏って言葉を心に刻んでおいてね」と繰り返すので、毎回毎回賭けるという事はしなかったのだが、
 その後も時折、気分転換のようにペアにベット。しかもそれが相当の頻度で当たる。ペアベット成功、都合4回。当然、スプリットやダブルチャンスが増した訳で、本手の方も好調。
 
 ――――――約2時間後、30万で始めたチップが81万に。丁度、昼時という事もあり、手仕舞い。

 ツレ「じゃあ、取り分半々ね」と、40万を私に渡す。 「うん?」なんか釈然としなかったが、ペアで勝ったのは彼女だし、まあ、いいか。
 スロットでの負けを取り返したツレは、「BJって楽しいね~」と上機嫌。 たしかに私もかなり楽しかった。普段はペアになんか賭けないので、かなり興奮する。ペア貧乏を覚悟で賭け続ける人の気持ちが少し判ったような気がする。



 昼食は、私の韓国B級グルメではお馴染みの、新村の「ソソカルビ」へ。
  ※ご存じで無い方で興味があれば、『嗚呼、結局カジノの勝ち金って奴は・・・11年第二戦:現実逃避の韓国グルメリポート』を参照下さい。

 相変わらず絶妙のタレで旨いのだが、驚いたのは日本人の多い事、多い事。全20卓余のうち、6卓が日本人だった。 今年、多くのガイドブックに「ドラム缶立ち食いカルビの名店」として掲載され、すっかり有名になったらしい。

 たくさんの人に、この美味しさを知って戴きたいので日本人が増えるのは構わないのだが、残念だったのは、私たちの後ろの卓に入った女性二人組が、タレの中に入れるニンニクをワザワザ追加注文したにも関わらず、そのニンニクを食べずに、大量に残して帰った事。

 「金払ってんだから」という言い訳は通用しない。 
 ニンニクはタダである。否、この店では飲み物を除けば、1人前14000ウォンの「ソ・カルビ」以外にメニューは無い。店内には白飯やキムチを食べている人の姿を見受けるが、それらは全て客が持ち込んだものだ。(つまり持ち込み自由の店なのだ)

 そりゃあ、女の子は「臭く」なるのはイヤなのかもしれないが、だったら追加注文してまで大量に入れなければ良い。そもそも〝お上品に食べたい〟のならば、この店に来る事自体、間違っている。排煙設備ゼロ、煙モクモクで食べるので、洋服や髪の毛には、尋常では無い程、〝焼肉臭〟が染み付く。 ※だから、この店に行く際、私たちは必ず消臭スプレーを持参する。

 お店のオバちゃんたちが、彼女たちの残したタレを見て「なんなんだろうね」と文句を云っていた。 私たちもニンニクを追加注文したのだが、煮込まれてトロトロになった絶品ニンニクは、当然、全て戴いた。マシソヨだったよ、おばちゃん。

 食事後、ソウル駅近くのサウナ・シロアムで、リフレッシュ&アカスリ。
 平日昼間だというのに、こちらも日本人客多数。ソウル駅至近の最高の立地で、入浴料9千ウォンにアカスリ1万2千ウォンと格安だけに、このサウナも随分有名になった。
 早朝出発で睡眠不足だったので、酸素房で仮眠。

 リフレッシュ後、ロッテマートに立寄りホテルに戻ったのは夜7時半。いよいよ勝負である。



[1日目:セッション①]  5万卓  基本BET10万/2ボックス バイイン400万ウォン (&ルーレット バイイン100万ウォン)

 400万ウォンで10万×2ハンドという無謀な挑戦からスタート。もちろん、これはフルバイインではないという前提がある…(もっとも「うまくいったら」という下心もあってだが)
 
 ①シュー目:+85
  よっしゃよっしゃ、これは良い出だしだ。2割増しは、私の基準からいくと「止め時」でもあるのだが、たった①シューで止めるわけにもいかない…と、ニヤニヤしていたら――――――

 ②シュー目:いきなり場が悪くなる。何をやってもうまくいかない。10万×2⇒5万&10万⇒さらには5万×2にベットを落とすが、それでも浮上する気配なし。結局-175。トータルで-90となる。

 ③シュー目:悪い流れは引き続き。-63 ④シュー目:-37 ⑤シュー目:-20  ⑥シュー目は+10・・・でようやく浮上の兆し、ベットを10万×2に戻す。―――が、

 ⑦シュー目:-43  ⑧シュー目:+1  ⑨シュー目こそ+55なるが、⑩シュー目は再び-30に。

 しかもこの⑩シュー目でマズかったのは、もうこれ以上、負けたくないという気持ちが強くなり、またもやチキンになってしまった事だ。

 自分が11の手でも、親がTならダブルダウンなし。―――結果、Tカードは来なかったが、親のホールカードがLOWカードで、折角のダブル手をふいに。
 また親がTの時、Aのペアが入ったが、スプリットなしでヒット。―――この時は、素直に2枚連続Tカードが入り、文字通り、大バカを見た。

 (こんなことやってたら勝てねえよ)――――――そう自責の念に囚われていると、私の肩を叩く人が・・・仕事先の友人であった。
 
 彼も同スケジュールでソウルだと聞いていたので特段、驚きは無かったが、やはり偶然(?では無いか。ヒルトンにいると云っていた訳だし)海外で知り合いに会うのは嬉しい。
 ここまでトータル-233。つまり手元にはもう160程しか無い。 ゲーム時間、3時間半。一度、区切りをつけようと席を立った。

 友人は1万卓に入ろうと目論んでいた。だが23時過ぎの繁忙時間帯に、1万卓が空くのは余程の幸運が必要である。そこでルーレットへ。私は、ツレに「席を移動する」と告げるため、一旦スロットゾーンへ向かった。

 スロットマシーンはよくわからないが、彼女の好きな台は判る。炎に包まれている7があって、3つゲーム柄が揃ったら、エクストラゲームが出来る奴だ。――――――探すまでもなく、今回も、その台の前にいた。
 声を掛ける、すると振り向いた彼女が嬉々として手招き。
 「丁度いま、ゲーム中、早く早く!」  見たら、エクストラゲームが始まった所だった。
 
 1つ目エクストラ―――外れ。 2つ目―――な、なんと当たった! 金額は・・・・・147万ウォン! 

 3つ目は外したが、約10万円のビッグヒットを偶然にも目の当たりにした。これはもしや、俺には運が無く、ツレは絶好調という事を神様が教えてくれているのか?

 この3時間半、黙々と打ち続けた彼女は、当たったらバウチャーを吐き出しながらやるというシンガポール方式を踏襲。
 ここまで、この147万に加え、財布には50万ほどバウチャーが。ちなみに原点は35万ウォン(5万札×7回入れた)だそうだ。つまり約160万の儲け。

 う~ん・・・またまた敗北感。 
 早朝出発で殆ど徹夜状態だった彼女は、満面の笑顔で「眠い」と言い放ち、そのまま部屋に戻った。――――――まぁ、これで心置きなく、友人と共同戦線が張れる。



 ルーレットに戻った私は、友人の隣が空いていたので100万ウォンでバイイン。これを失うと「痛い」と思いつつ、シンガポールで有効だった10点張り作戦でいく。
 一投目―――出目32。ハーフ6枚ゲット! またまた32である。これはシンガポールで「幸運」を呼び込んだ数字・・・気分が一気に晴れる。

 二投目も32、ハーフ6枚ゲット!100万が130万に。以降も
 出目9× → 出目00◎ → 出目5× → 出目7× → 出目7◎ → 出目13◎ → 出目19× → 出目0◎ → 出目2◎ → 出目5◎ → 出目16× → 出目33◎ → 出目31× → 出目2◎ → 出目00◎ → 出目31◎ → 出目0◎ と19投中13的中、順調そのもの。配当にばらつきはあるものの、70近く浮いた。

 ところが―――ここからディーラーが罠を仕掛ける。投球間隔を短くしたのだ。

 私は結構、じっくり考えながら数字を選択する。投球間隔が短くなると、〝置ききれなく〟なる。すると途端に、的中まで無くなる。 出目23× → 出目12× → 出目22× →出目8×
 
 4投連続で外し一気にジリ貧、トータル約+20と目減りさせたところで、BJ卓を注視していた友人が「1万卓が空いた」と席を立ったので、私も終了を告げた。



[1日目:セッション2]  1万卓  基本BET1~2万/1ボックス バイイン100万ウォン

 友人の隣は空いていなかったが、1stベースが空いていた。正直なところ、1stベースは余り好きではない。だが「1万ならいいか」と、メンバーズカードを出さずにイン。(あくまでアベレージは下げたくない)

 午前2時。〝気楽な感じ〟で、セッション2スタート。

 様子見の1万から始めたが、すぐに2万にベットアップ。別に好調だった訳ではないが、ディーラーが強すぎる訳でもなかったからだ。
 時折、〝昼間のツレ〟を思い出し、ペアにもベットしてみる――――――が、私がそれほど〝引きが強い〟はずが無かった。単にディーラーへのプレゼントとなる。

 それでも友人との共闘は、とても楽しかった。 もちろん勝ち続けた訳ではないし、悔しい勝負も多々あった。
 しかし1万の気楽さから、親がTでも11なら文句なくダブルダウン、Aのペアならスプリット。(単にBS通りではあるが)これが決まった時は嬉しいし、決まらなくても、心の傷とはならない。
 純粋にゲームとして、BJを楽しんだ。
 
 そう――――――私はいつの間にか、この楽しさを忘れていたように思う。
 10万、20万~さらに時に50万とベットアップすることで、チップを失う恐怖しか考えられなくなっていた。
 
 違うのだ。BJは金額の多寡ではなく、ゲームとして愉しいのだ! そんな簡単な事に気づかせてくれた友人に、この場を借りて感謝する。


 さらに云うと、1stベースというのは、〝流れが見えないような気がして〟これまで敬遠していたのだが、それも間違いだった、と感じた。

 今回私は、前のゲームのカードの流れを受け継いで、ベットアップを考えた。
 即ち、前のゲームのラストがTカードの流れならば、ちょい多めの5万程度に。その条件にプラスして、ディーラーがバーストしたら10万にする、というような戦略をとった。

 そうしていると、結構、1枚目にTが来ることが多い。――――――そんなのは偶然だ、と云われればその通りである。2枚目にLOWカードや5・6が来て「あちゃちゃ」という事も少なくなかったと思う。
 しかしBJは、ご存じのように、自分が16でも勝てるゲームであり、重要なのは、〝ベットアップした時に勝つ〟事だ。

 言い換えれば、恐れずに〝ベットアップする〟事だと再認識した。※但しこれが〝無謀〟〝自暴自棄〟であってはならない…
 GAKUスト然り、クロオシステム然り、自分の中に、「ベットアップのルールを作る」という行為は、大変、有効であった。やはり尊敬する先人たちの言葉は正しい。


 ――――――3時間後、友人は沈んでいたが、私は+30。
 サウナで仮眠をとったとはいえ、私もさすがに眠い。
 友人は、まだ続けるという。(彼はホテルをとっていない。シロアムに行き眠るのだそうだ)私は、友人に別れを告げ、部屋に引き上げた。



|初日収支 -187万ウォン
|     ※忘れかけていたBJの愉しさ プライスレス…(クサッ)





[2日目:セッション3]

 朝5時に寝たのに、朝8時半過ぎに目が覚めた。う~~~ん、最近、長い睡眠がとれない。年を取ったということか(苦笑)
 相当早くに寝た筈のツレだが、まだぐっすり眠っていた。これは当分、起きそうにない。仕方ない、シャワーを浴びて朝カジノといくか。


 今日も雨のせいか、カジノは早朝のわりに混んでいた。
 昨夜、友人と共闘した際、同じテーブルだった〝戦友〟が、まだ1万卓にいた。親指を突き立て笑顔で挨拶すると、彼は目をしょぼしょぼさせながら首を横に振った。
 友人の姿はない…その後、どうなったのだろうか?聞きたいところではあったが、会話は成り立たないだろう。戦友は多分ベトナム系だから。

 まずはキャッシャーへ。所持金200万ちょい。これでは到底、今日を乗り切れないだろう。 追加ショッピングは600万にした。限度額は、あと1000はあるだろう…しかし実際にはあと500で止めておこうと思っていた。
 
 (あと1回〝引き出し〟たら、終わり)――――――無節操に〝引き出す気〟は、毛頭ない。

 ちなみに私が一気に〝チップ・ショッピング〟をしないのには理由がある。 それはのちのちの〝ショッピング・キャンセル〟を考えてだ。
 『2011年初戦 僅かな勝利と大きな学習』に私も記したし、このシステムが導入されてから結構経ったので、もうご存知の方も多いだろうが、一応、説明させて戴く。
 
 ショッピングで買ったチップは、キャンセルする事ができる。つまり、ショッピングなので〝返品〟が出来るのだ。
 ただ〝返品〟であるから、同額でなければならない。即ち、1000万ウォン分のチップをショッピングしたらなら、1000万ウォン分のチップでなければ〝返品〟できない。
   ※さらに言えば現金でもキャンセルは出来ない。現金を持っていくと『チップにしてきてください』と突き返される。 

 一気にチップ・ショッピングをしないのはその為、というか、返品しやすいようにする為である。同じ1000万をショッピングするのだとしても、400万、600万に分けた方が負けている時も〝返品〟しやすいのだ。(負けた時を前提に考えたくはないのだが…) 



 さて、「お金が落ちている」と、最近リゾカジで話題の朝カジノ。私はどうだろう――――――昨夜同様、5万卓に800万ウォンでバイイン。今朝も基本ベット10万×2ハンドでいく。

 ①シュー目:結構、調子いい。+60  ②シュー目:さらに好調、+85   僅か②シューで945に増えた。トータルで考えれば、バイインは1000である。あと55――――――
 
 ところが③シュー目:-5。ほとんど〝五分〟ではあるものの、流れに不穏な気配が…。決まるはずのダブルダウンが決まらない。加えて親がバーストする筈の手が、バーストしない。
 今、闘いを終えて考えれば、ここで止めておくべきだったのかもしれない。不穏な気配は、一瞬にして流れを変える。

 ④シュー目:予感は当たり、-85。やることなすこと、見事に裏目。②シュー目の勝ち分を全て吐き出した。 

 (もう、やめておくか?朝の勝ち分は、まだ50以上ある) またもやチキンな心がもたげてきたが、今日は踏ん張る。 ⑤シュー目:+55 なんとかトータル910に再浮上。

 ここで姿を見せたのが、ツレ。 おはよう、と挨拶したのに続き、「お腹空いたんだけど」   
 時刻は10時半。ああ、そういえば腹は減ったなあ。 
 でも今日は昼ごはんに、仁寺洞で〝今回目玉のB級グルメ〟を予定している。 ここで鱈腹食うのは控え、とりあえず軽いカジノ飯で〝繋ぐ〟ことにした。



[2日目:B級グルメ①]

 雨の中、仁寺洞へ。ツレとの韓国旅で仁寺洞は、必ず行くスポットになった。お気に入りはサムジキル。若手アーティストの小さな店が数多く入ったビルだ。
 何度も訪れているので、それなりに「ここで買ったもの」は持っているのだが、訪れる度に新店があったり、新作があったりするので、毎回かなり楽しい。

 一軒、一軒、新作が出ていないか細かくチェックしていると、午後2時になろうとしていた。お目当ての「江南麺屋(カンナム・ミョノッ)」に向かう。

 以前から、ツレが「ソウルで一番、美味しい冷麺」と、足を運んでいた店であるが、店名が判らず(読めず)にいたところ、中宝さんから店名と「カルビ・チム」なる名物がある事を教えて戴いた。
  ※『ソウルMHセブンラック2011第3戦後編・「負けないルーレット実験」&超B級グルメリポート』参照

 今回は、その「カルビ・チム」を食すのが目的である。

 カルビ・チムは、(大)(中)(小)とあり、(小)で35,000ウォン。ソウルの麺屋にしては、かなり高額なメニューである。その為、注文するのに二の足を踏んでいたのだが、思い切ってオーダー。ツレは当然、大好きな絶品冷麺を頼んだ。

 メニューには日本語で「ふかしカルビ」という文字も添えられている。蒸し肉なのか?…とすると、タレ付のボッサムのような感じか? 想像を巡らせて待っていると――――――

 で、でかい…。 35,000ウォンという値段から、それなりに量はあると思っていたが、想像よりも大きい。おそらく本質的には一人で食う量ではない。
 肉は全て骨付きカルビ。オバちゃんが鋏で、綺麗に骨と切り分けながら「辛い、平気?」と、たどたどしい日本語で聞いてくる。 「OK,OK」と私。

 早速、肉から食す。

 う、うまーーーい! やわらかーーーーーーーい! 成程、ふかしカルビである。使用しているのは牛なので「豚の角煮」とは風味が違うが、柔らかさは角煮のそれと近い。そして角煮よりも〝ぼそぼそ感〟が無い。蒸しているので〝肉汁がジューシー〟という表現は出来ないが、とても味わい深い肉である。

 またタレは、たしかにピリ辛なのだが、牛の旨味と相まって、決して辛くは感じない。おばちゃんに「マシソヨ」と親指を突き立てると、とても嬉しそうな笑顔で「そうだろ、そうだろ、どんどんお食べ」(推定)と答えてくれた。(実際には何を言ったのか、全く判らなかったが、多分、こんな感じだろう)

 続いて肉の傍らに申し訳程度に添えられているエリンギを食す。と…

 う、まーーーーーーーーーーい!
 タレと牛の脂が絶妙に絡んでいる。調子にのって、箸を緑のししとうにも伸ばす。 
 
 「辛っっっっっっっっっっっっ」 青唐辛子だった。こりゃ辛えや。 これはきっと、手を付けない方がいい。


 いや、しかし本当にカルビ・チムは旨い。冷麺を頼んだツレも、一口食し「美味しいねええええ」 冷麺を食べる手を休め、二口、三口と連続で食べた。私も負けじと肉をむさぼる。

 そして日本人なら、おそらく誰もが、以下の思いを抱くに違いない。

 (これはきっとご飯が進む! 白飯が欲しい!! 白米と一緒に喰いてぇぇぇぇ!!!)
  
 ――――――しかし、(小)カルビ・チムは、数えてみると骨付きカルビが10本。1本1本も決して小さくは無い。付け合せに「白菜キムチ」「貝の塩辛?」「青菜」などの小皿と味噌スープも付いている。ご飯を頼めば、かなりオーバー・ウェートである。

 おそらく男2~3人で来て、それぞれがご飯を頼んだら「適正量」というようなボリューム。 
 そう考えると、35,000ウォンは全然〝高過ぎ〟ではない。ちなみにご飯は1000ウォンと格安である。

 今度、仲間たちと大所帯で来ることがあったら、是非、連れて来ようと思う。  ありがとう、中宝さん、カルビ・チムを教えてくれて。



 店を出ると、雨が上がっていた。 化粧品が欲しいというツレの希望で、明洞へ。
 雨上がりで人が出始めたせいか、明洞は大変混雑していた。化粧品店の前で往来する人の言葉に聞き耳を立てていると、日本語が随分と飛び交っている。半分近くが、日本人のような印象を受けた。

 その後、ロッテ免税店へ。私は完全に冷やかし気分だが、昨夜〝勝っている〟ツレは、かなり本気で物色。すると、さるブランドショップのバックを注視。

 「これ幾らですか?」 「日本円で6万7千円です」 
 ツレは、私の〝ロッテ免税店VIPカード〟を取りだす。(このカードは、セブンラックの青カードだと作れます)
 「これを使ったら、もう少し安くなる?」 「はい。15%引きね。5万6千円ですね」 ――――――――――――ツレ、長考の末、引く。

 「買わないの?」 私が訪ねると 「ううん、勝ちを確定させてからにしようかなって。明日、また来てもいい?」
 シンガポールでの、二日目大敗の記憶があるからか・・・珍しく消極策をとった。 これを〝学習〟と云うのだろうか?




[2日目:セッション4] 5万卓  基本BET10万/2ボックス バイイン900万ウォン

 ホテルに戻ったのは夕方4時半。荷物を部屋に置き、すぐカジノへ。
 
 ①シュー目:前半、かなり調子いい。1枚目のカードはLOWカードが多かったが、そこに7・8・9などがくっついて、親のアップカードによってはダブルダウンが決まる。
 シュー半ばまでに、手元には990万のチップが。あと10――― とりあえず目指すは原点復帰。いけるか?
 ――――――しかし、後半伸びず。結局 +57

 ②シュー目:①シュー後半の悪い流れは継続。全く伸びない。-50  この卓を諦め席を立つ。




[2日目:セッション5] 5万卓  基本BET10万/2ボックス バイイン900万ウォン

 ①シュー目:一進一退の攻防。手は悪くもなく、良くもなく。-10

 ②シュー目:   〃       このシューも、-10

 ③シュー目:ディーラー強し。アップカード5や6から、あっさり20や21を作る。
 全く太刀打ちできる気配がないので、ベットダウン。5万×2ボックス、さらに終盤は掟破りだがボックスを減らさせて貰う。
 このシューだけで-80の惨敗であったが、途中からベッドダウンした分、被害は少なかったと思う。通常通りで打ち続けていたら、-100オーバー、いやー200に到達していたかもしれない。

 ④シュー目:やや流れが戻ってきたが、負け続けたせいかベットアップのタイミングが見えない。とくにシュー前半は、全く読めなかった。
 後半、ベットアップを始める。-43で終了。このセッション通算 -143。トータルで考えると、マイナス額がバイインの25%に達した計算だ。

 ⑤シュー目:逃げ出したい衝動にかられながらも挑んだ⑤シュー目、ペア=スプリット手が多く入る。
        
 (ペアベットしようかなあああ) ついつい脳裏に浮かぶ昨日のツレの幻影。しかし10万以上で1万のペアベットをしても仕方ないし、10万チップを置く勇気もない。
     
 とりあえずスプリットを〝ひよらずに〟行うようにする。(5・5はもちろんダブルで)
 8・8のペアが何度かあったが、親がTでもスプリット…まぁ、BS通りなんですけどね…それでも〝チキン〟にならなかったのは、一応、成長の証かと。
       
 しかも8・8スプリットだと、2や3のLOWカードが来る事が多く、親のT・Tにも、少なくとも1手は勝てた。当然、ダブルもしたし。
 このシュー、+74。  トータル -69としたところで、ツレがやってきた。 
      
 「お腹空かない?」 「ええ?もう、そんな時間?」 時計を見ると20時になろうとしていた。 まぁ、上がり目で切った方がいいかと思い、夕食へ。



[2日目:B級グルメ②]

 夕食にも狙いの店があった。明洞にある「鼎泰豊(ディンタイフォン)」だ。

 私の以前のリポートを読んで戴いている方は、「またかよ」と呆れ顔かもしれない。そう、前回シンガポール遠征で〝2度も食べた〟小龍包の名店のソウル支店である。
  ※読んでいない方は、『チキンライスの国で』~2011年第4戦・初めてのシンガポール~ 参照。
   それなりに私の小龍包へのこだわりがご理解いただけると思う…


 今回の旅の目的の一つとして、私たちが掲げた事――――――それは、〝世界の鼎泰豊ランキングを決めよう〟というものだ。(…なんのこっちゃ?)

 これまで台湾、日本、そしてシンガポールと、3か国の鼎泰豊を制覇。(おいおい、少ねえ制覇だな?) もう20回も来ている韓国で、これ以上、鼎泰豊ソウル店から逃げる訳にはいかないっ!
 いざ、明洞ポストタワーの横で異様に目立つ、赤いネオンの元へ!


 颯爽と乗り込んだ鼎泰豊・・・受付のお姐さんが「30ミニッツ、ウェイト」と英語で説明してきた。 
 30分待ち―――望むところだ。否、理想的な待ち時間である。これぞ、美味しい小龍包の〝黄金の法則〟なのだから。 ※意味の解らない方、しつこい様だが『チキンライスの国で』参照の事。

 ちなみに受付のお姐さんは、私たち以外の客には皆、韓国語で接している・・・どうやら日本人客率は、相当低いらしい。そりゃそうだ…わざわざ韓国にきているのに、小龍包を食べる理由が日本人にはない。

 私たちが入った時点で、入口付近には5組ほどの待ち客が。僅か5組で30分も待つのか?と思ったら、10分後、すんなり店内に案内された。 ちょっと拍子抜けしたが、まぁ、別に〝待ちたい〟訳ではないので…

 ソウル店の規模は、かなり大きい。私たちが入った時に開けていたのは2階席までだったが、多分3階まで客席がある(少なくとも階段はあった)。しかもワンフロアがでかい。

 店内はたしかに満席状態。特徴的なのは年齢層が若い事。
 時間的なものもあるのかもしれないが、OL風や大学生風などが多く、とても華やいだ雰囲気。そういえば待合席は、みんなカップルだった。オシャレなデートスポットなのだろうか?

 席に着くなり注文するのが、通常の私たちの「鼎泰豊スタイル」。
 しかし今回はメニューに目がいった。 一番目立つところにあった文字は「松茸小龍包」。

 二人で顔を見合わせた。 なるほど、ご当地小龍包がある訳だ。 ソウルは松茸の季節である。これを試さない道理はないだろう。さらに、世界中どこにでもある「小龍包(オリジナル)」と「蟹小龍包」を注文。
 またソウル店はサイドオーダーが極めて豊富だ。だが正直、鼎泰豊に於いて、小龍包以外で感動した事はない。一応、隣のテーブルの注文品を横目で覗いてみると、エビマヨのようなものや青菜があるが、積極的に箸がすすでいるようには見えない。ここはパスしておくのが賢明だろう。

 ――待つこと10分。まず運ばれてきたのは、注目の「松茸小龍包」である。 早速、食す。

「・・・・・・」 「・・・・・・・」
                 
 続いて、小龍包と蟹小龍包を食す――――――まぁ、台湾本店にかなり近い味かな――――――感想、以上。

 別に悪評をたてよう、などとは微塵も思っていないので誤解なきよう。「だったら書くな」というご意見もあるでしょうが、これは私の備忘録でもあるのでご容赦戴きたい。
 完全に企画倒れだった、世界の「鼎泰豊ランキング」。でも今回の旅の目的の一つだったので一応、発表しておこう。

(ドラムロール、スタート~) さぁ、注目?のランキングは――――――――――――

 ①シンガポール(RWS)  ②日本(新宿)  ③台湾(本店)  ④韓国   ………申し訳ない、ソウル店。

 残るはニューヨーク、中国、香港、インドネシアだ!(おいおい、まだ半分しか行ってないのかよ…)


 
 満腹感が無かったので、夜の明洞で屋台の「ふな焼き」(=日本のたい焼き)を食す。3個1000ウォン。丁度いい腹具合に。
 
 ソウル駅のロッテマートに寄って、配り用のお土産を大量買い。夜の11時近くにホテルに戻ると、カジノは大盛況!・・・って全然嬉しくないけど。
 ガイド同伴のツアー客がワンサカ詰めかけ、もう凄い状態。テーブルに入るのが難しいだけでなく、普通に歩くのも大変。
 
 「今日はもういいか?」「うん、朝やるよ」 意見が一致し撤退。


 ヒルトンのロビーでは、「世界のサンタクロース」なる企画が壁面を賑わしていた。
 文字通り、各国・各地域の「イメージ」でサンタクロース姿の人形を展示したものである。

 別に〝リゾカジ〟でご紹介するほどのものではないのだが、あまりに違和感のある人形があったので、記念に掲載させて戴く(己の備忘録だし)

 部屋に戻ると、今回もツレは、ベッドに綺麗に〝札〟を並べ始めた。 そう――――――すっかり彼女のお気に入りとなった、「帝王式リゾ」である。

 気にしてないように装いながら横目で伺うと・・・どうやら金額は200万以上ある。

 「換金って、幾らしたんだっけ?」 出来るだけ普通に聞いてみる。  「えっ?云わなかったっけ?最初に5万円換えたって」 「ああ、そうだった、そうだったね」
 
 (おいおい、最初の5万円だけかよ…って事は、3倍? しかも今日、仁寺洞で小物をたくさん買って、ウォンを使いまくっていたのに) ……心の中に湧き上がる嫉妬心。
 
  ――――――嗚呼、私もいつか、「帝王式リゾ」を愉しみたい。


|2日目:収支 +31万ウォン  トータル -169万ウォン
|         ※痛感させられる己の博才の無さ、プライスレス…(アタタッ)     



 翌朝も私は8時に目が覚めた。…とは云え、昨夜は1時前には寝たのだから…7時間以上は寝た。うん、睡眠時間十分!
 「朝やるよ」と云った割に、ツレは今日もまだ寝ている。じゃあ、一人朝カジノといきますか。

 


[3日目:セッション6]  5万卓 基本ベット20万/1ハンド  バイイン830万

 今回の旅で初めてのワンハンド。それはフルボックスだったから。5万卓でのフルボックスは珍しいが、実は5万が1卓しか開いていなかったのだ。
 基本ベットを20万にするのは、バイイン額からみれば少々不安だったが、まぁ、仕方ない。勇気を振り絞る(弱っ)


 ①シュー目:はじめの心配をよそに絶好調。本当に、朝のカジノにはお金が落ちている…そう、思えた。
 とにかくカードの流れがよく、大してベットアップもしていないのに90万の勝ち。ところが―――――――――

 ②シュー目:いきなり流れが変わる。勝てない、勝てない、勝てない―――心が折れる展開。 -130で、最初の勝ち分を一気に吐き出してしまう。

 ③シュー目:前半はLOWカードの流れ。酷い、ヒドすぎると云っても良いほど。一時は-200を超え、今回の旅で初めて、トータルのマイナスが400を超えた。(つまり最初のチップ・ショッピング分を全て溶かした計算になる)

 だが中盤から、目に見えてカードが良くなる。絵札やAが面白いように来る。そう、相当にカードが偏っていたようだ。

 (よし、ここは攻める!)

 私はベットアップを決めた。20万で勝ったら倍プッシュ。40万で勝ったら60万(80万には出来ない根性なし…トホホ)
 結果、全戦全勝…とはいかなかったが、徐々に戻す。
 ③シュー目は結局、-34。ゲーム中盤の「どん底」から考えると、150くらいを戻せたようだ。

 ④シュー目:カードが偏っていた訳ではないが、流れは良。何より、ディーラーが〝ちゃんと〟バーストしてくれる。
 ベットは20~40を流れを見て。 この旅で初めて、1シューでの収支が100を超える。+114。

 ⑤シュー目:よき流れ継続。ダブルやスプリットが決まる。楽しい、楽しくて仕方ない! +116 トータルは980超え。 

 ⑥シュー目:好調ではあったが、前2シューほどではない。+64で終了、トータル1052――――――ついに原点を超えた!しかも50万プラスである!

 この時、ようやくツレが起きてきた。「お腹減ったよ」……昨日と同じ事をのたまう。 
 ここ3シュー半の流れは最高、だが勢いが落ちてきているのは明白だ。そして私も小腹が減った。ここは欲張ってはいけない、とりあえず〝原点逃げ〟をする事に決めた。




[3日目:B級グルメ③]

 7Luckカジノの入口の奥にある駐車場行エレベーターで降りて外へ出て(ここが、私たちの普段の通用口)ソウル駅と逆方向へ。陸橋をくぐると、対面が南大門市場である。

 歩きながらふと思い出した事があった。それは、ガイドブックで見た「カルグクス通り」だ。 

 カルグクス、つまり韓国式うどんの横丁が、南大門市場の中にある、と写真つきで載っていた。その写真は、あたかも築地場外市場の海鮮丼通路のようで、とても魅惑的に撮られていた。
 「行ってみない?」 私がふると、ツレは「いいねえ」と即答。 「昼にはちょっと早いから、うどんくらいがちょうどいいと思ってたんだよね」とも付け加えた。

 カルグクス通りは、意外と簡単に見つかった。…というか、ミレニアム・ヒルトンからは一番、行きやすい場所だ。
 両側に何軒ものカルグクス店が連なっている通路に足を踏み入れる。途端に、嵐のようなオバちゃんたちの呼び込み。

 「オニさん、カルグクスどう?」 「ビビンパどう?」 「サビスするよ」などの言葉だけでなく、腕も掴まれる。

 まるで昔の風俗店の客引きだ。 通りは約20~30mほど続いているので、それなりに〝見〟をしようと思ったのだが――――――とてもではないが、中ほどまで進めない。
 結果、入口付近(実はこれが出口らしい、私たちは通常の反対側から入った)の店に腰を下ろすことになった。

 店の名前は判らない。メニューもハングルしかないのでよく判らない。でも、オバちゃんが盛んに「ビビンパ、ビビンパ」とススめてくる。目の前の炊飯ジャーを開けた時、中に麦飯が見て取れた。
 
 (はは~ん、これがボリパッ・ビビンパというやつだな)

 ガイドブックで読んだ事がある。所謂、麦飯ビビンパである。韓国の昔ながらの家庭の味と書いてあった。B級グルメファンには、おあつらえ向きではないか。
 ならば、と…私は「ビビンパ」を、ツレは狙い通りの「カルグクス」をオーダー。オバちゃんは、まず、沸いた湯の中に、麺を入れた。(のちに、この麺はオバちゃんが、その場で打った手打ちだと判る)

 続いて用意したのは、冷麺のような麺。それを小さな器に入れて、コチジャンベース(推定)の辛そうな赤いタレと絡める。
 「はい、サビス。ビビン麺」
 私とツレの前に、ふた皿のミニ・ビビン麺を出した。 そうだ、これもガイド本で読んだっけ。ミニ・ビビン麺がおまけでついてくるのだ。
 続いて、味噌スープ、キムチ及び青菜の小皿、そして私の注文したビビンパ(これはかなり皿が大きい)が目の前に置かれた。
 
 私もツレも、ミニ・ビビン麺からいただく。

 おっ!旨いんじゃない? でも私はネンミョンは余り得意ではない。そこでネンミョンにはうるさいツレの表情を伺う、…と、「意外にイケるねえ」と驚いた様子。どうやら高評価。

 そうしていると、ついにカルグクス登場。それも大きいのと小さいのと二つ。 「はい、これカルグクス。 こっち、サビス、ミニ・カルグクス」 …ミニは私の分だそうだ。

 ビビンパにミニ・ビビン麺にミニ・カルグクス、さらに味噌汁・キムチ小皿付きで、5000ウォン=約350円。安い上に、コチジャンタレ(?)が、とても旨い。具に高級品など一切ないが、それがかえってヘルシー&さっぱりを際立たせている。麦飯も極めて味わい深い。かなり気に入った。
 カルグクスも、打ち立てのうどんはコシがあって美味。(但し、量が多いので時間が経つと、どんどんスイトンように膨らんでいく) こちらも具は簡素なものだが、スープに深みがあり、味は大変、私好みだ。

 ちなみにツレの「本注文カルグクス」は、相当に大きい。とても「小腹を満たす」というような量ではない。彼女は結局、大半を私に差し出した。(カルグクスは、ミニ・ビビン麺付きで4500ウォン)


|結論:カルグクス通りは、かなりオススメ。しかも寒い冬に暖かいカルグクスは、相当嬉しい。
|   ただ「小腹が空いた」ではなく、ちゃんと朝飯or昼飯を食べるつもりで来た方がいい。



[番外編:驚異的な最後の〝引き〟]

 すっかり満足して、ミレニアム・ヒルトンに戻る。
 カジノは昼にも関わらず、またまた大盛況。5万卓は2卓開いていたが、一つはフルボックス、もう一つは5人座っている。入ろうかとも思ったが、後ろで〝見〟をしていると、プレーヤーは分が悪そうな展開。完全にディーラーの流れであった為、スロットの方へ。しかしツレも「出ない」と首を振っている。どんどん呑み込まれていく様子を、暫し「ぼーっ」とみていたが、ふと時計を見ると1時を回っている事に気付いた。

 まずい…コンプ基準の10時間プレイを忘れていた。あとどれくらい打てばいいのだろうか?
 販促に確認に行く。

 「アベレージを教えてください」 「11時間で19万ウォンですね」 ――――――うん?なんだ、もう全然OKじゃん!
 現金を一旦、チップに代えた。最終戦のGAME SETを告げるチップ交換だ。
 1000万ウォンのチップを持って、ショッピング・キャンセルへ。無事、-400万と-600万の伝票を貰う。

 「仕事、終わったよ」 スロットに苦闘するツレに報告すると、彼女はすぐに立ち上がった。 「なんだ、じゃあ、終わろうか」

 ツレは残ったクレジットをバウチャーで掃き出し、現金化。全部で1700万ウォンあまり。
 現金では約11万円の儲けだそうだ。意外に少ない、と思ったが、最後の最後に、300ほど呑み込まれたらしい。
 さらに帰り際、7LUCKポイントカードを確認。20万ウォン分(10万×2)の韓国観光カードを貰う。 

 私が友人たちと来ていた経験上で言えば、BJで20万ウォン分のポイントを貯めるのは結構、大変だったように思う。(私の仲間たちは皆、基本的に超ローローラーなので)

 スロットって、やっぱりポイントになりやすいのだろうか?それともツレは、とてつもなく〝回転〟させているのだろうか? もの凄い勢いでクレジットが減っていくものなぁ~。
 このポイントの計算方法もしくは換算率をご存じの方がいたら、是非、教えて戴きたい。あくまで参考知識としてだが…。(スロットをやろうなんて気は、私はサラサラない) 

 ツレは「はい、じゃあお裾分け」と、貰った韓国観光カードの1枚を私に差し出した。大負けしていたら惨めだったが、今回はトントンなので、さほど引け目がない。有難く頂戴しておく事にした。



 飛行機は夜便なので、勝利を掴んだツレは、昨日の言葉通り、ロッテ免税店へ。
 実はショッピングでも、彼女は最後に「驚異的な引きの強さ」を見せた。

 お目当てのブランドに直行すると、目を付けていたバックが、昨日あった位置にない。

 「えーーーっ!もしかして売り切れちゃったぁぁぁ?」 一瞬、泣きそうな顔になるツレ。しかし店の奥の棚に、昨日のバックを発見。しかもその棚には「SALE」の札が。

 「SALE?」 「はい…実は明日からSALEなので、今日からこっちに移動しましたんですね」
 「明日からってことは、今日はSALEしないの?」 「いえいえ、もう動かしましたからSALEですよ」

 なんという[引き]。昨日、思いとどまっただけではなく、明日からのSALE品を1日早くゲット。
 しかも―――――――――

 「SALEだと幾らになるの?」 「はい、33500円ですねですね」 
 ツレ、信じられないという表情で私の顔を見る。
 「…それってつまり、半額ってことぉぉぉ?」 「はい、この品だけ、ゴジュパー、オフ」
 なんと…目当てが唯一の50%オフ商品。強い、この女の引きは強い! しかも東京で値段を確認したところ………日本定価は99,500円であった。恐るべし!

 荷物をパッキンし直し、夕方、チェックアウト。当然、販促から請求はない。
 アーリーチェックイン+2泊+レイトチェックアウト。通常なら4泊分ってトコか?
 エアー代金を浮かせるまでは出来なかったが、コンプ分の部屋代8万円(1泊2万×4…すっかり4泊分に算定!)は、少なくとも「勝ち」と意識することにしよう。
 (もっとも部屋を押さえているカジノ側にとっては、アーリーチェックインやレイトチェックアウトで、差額発生なんて概念は無いのだろうが…)

 付加事象として、今回の滞在で、ヒルトンの会員レベルが「シルバー」になった。(年4回の滞在でシルバーになる)まぁ、シルバーになったからって、「なんだ?!」てな、もんではあるが……。

 私のヒルトン滞在履歴は、全てミレニアム・ヒルトンでのコンプある(苦笑) 
 貯まったポイントを使えば、ミレニアム・ヒルトン滞在が1泊無料になるらしい。――――――が、ミレニアム・ヒルトンでポイントを使う事は、多分ないんだろうな(笑)
 

[2011年最終戦で気付いたこと]

 かくして、2011年最終戦は終わった。
 今年のトータル収支、約70万円のマイナス――――――負け惜しみと云われるかもしれないが、それは、明日につながるマイナスであったと確信している。

 否、マイナスなどとは考えないでおこう。私はそれ以上に価値のある〝愉しい時間〟を、カジノから買ったのだ。


 最近、カジノに対する風当たりは強い。国会に議案が提出されようとも、一般の人たちの中には抵抗感を抱く人が少なくないだろう。
 カジノに嵌る人間を、蔑む目で見る人もいるに違いない。私の周囲には、そういう人たちが少なからず存在する。
 
 それでも私は胸を張って主張したい。 「私の趣味はカジノです。囲碁や将棋を趣味にしている人がいるように、私はBJというゲームを愉しんでいるんです」と。

 もちろん、だからと云って「儲けよう」という下心が皆無だなんて云わない。そりゃ儲けたい。損をするのは嫌だ。
 でも―――――――――それだけではない。

 2011年最終戦・・・改めて気づいたBJの愉しさ。それ以上に大きな収穫はない。
 その愉しさに仕掛けられた「大きな罠」も含め、全てが「BJ」というゲームの醍醐味である。
 だからこそ・・・その罠を突破した時、至上の喜びを感じる。無類の達成感に満たされるのだ。

 諸先輩方からすると、「何をいまさら」と思われるかもしれないが、私はルーティンのようにカジノを訪れることによって、このところ、本質的な喜びから乖離したカジノライフを送っていたかもしれない。

 でも、もう大丈夫だ。私は私の〝分相応の中で〟この大切な趣味と、一生付き合っていこう。

 素晴らしきかなカジノ、素晴らしきかなBJ。――――――――ああ、なんとか今年、もう一度行けないかな…(えっ!最終戦じゃなかったの?)

〈了〉


このReportへのコメント(全 8件)

2011/12/08(Thu) 18:30

madamada

訂正

申し訳ありません。文章中に誤りを発見しましたので謹んで訂正いたします。
ツレの最後の収支部分です。

誤:全部で1700万ウォン ⇒ 正:170万ウォン
誤:300ほど呑み込まれた ⇒ 正:30万ほど

0を多くつけ過ぎてしまいました。1700万も儲かってたら、もう少し分け前貰います(笑)

いつも投稿してから、誤字脱字や適当でない言い回しなどに気づくので、今回はそういう事が無いよう、入念に推敲したはずだったのですが……その他にも、脱字などが結構ありました。

なんでいつもアップしてから気づくのか・・・本当に、私は「madamadaまだまだ」です。
つたない長文にお付き合い戴いた方、誠に有難うございました。


2011/12/08(Thu) 22:39

中宝

カルビチム召し上がりましたか! 私、まだ食べたことないんですよ。(笑)
なんか、このカルビチムを食べ終わったあとの残りのタレでポックンパブ(炒め飯)を
作るのもこの店の定番なんだそうですよ。となると、3、4人で行ったほうがよさそうですね。

madamadaさんの旅行奮戦記を拝見していますと、食事やショッピングで街歩きをなさるのが、
ちょうどカジノで疲れた頭をクールダウンし、新鮮な気持ちを充電する
いい気分転換になっているように感じます。
引き時が今回はすばらしかったですね。見習わなくては。

韓国にまた行ってみたくなりました。春までは寒いだろうけど・・・





2011/12/09(Fri) 13:41

しゃんぱん



カルビチムいいですね~♪

シロアムは私も気に入っています。

素晴らしいレポートありがとうございます。


2011/12/09(Fri) 20:05

madamada

この投稿はトップページから削除されたようですね。
不適切という事なんでしょうか・・・?

対象となりそうな記述は、やはり業者のくだりですかね?
事実誤認だったのでしょうか?そうは思えないのですが・・・
ともかく、サイト管理の方、運営の方にご迷惑やお手数をとらせた事をお詫び申し上げます。
誠に申し訳ありませんでした。

madamada


2011/12/09(Fri) 20:14

madamada

もうリンクが無いので、このページには辿り着けないかもしれませんが・・・読んで戴いた皆様に御礼申し上げます。


中宝さま

いつも真っ先にコメントして戴いて、本当にありがとうございます。
カルビ・チム、是非、お試しください。(それにしても食べていないのに…中宝さんは本当に詳しい!ボックンッパ、今度食べてみます!)

「引き際」でお褒めの言葉を戴きましたが…いつも「負け」からスタートするので、原点復帰が止め時になっているだけです。、「最初から勝っていれば」問題ないわけで…。

来年のテーマは「第1セッションに勝つ」です(笑)



しゃんぱんさま

リゾカジ・アドバイザーにして、尊敬する大ベテラン・しゃんぱんさまにコメントをつけて戴き、光栄です。
私も世界中のカジノで、できるだけ多くの「食」「文化」「人付きあい」を目指していきたいと思います。本当にコメント、有難うございました。


madamada


2011/12/14(Wed) 11:57

ジョニッパ

こんにちは。

相変わらずのmadamada節、最高です。
カジノに食、さらにお連れさんとの掛け合い、いつも楽しませていただいております。

カルビチムもホントに美味しそうですね。
次回の宿題がまた増えました。
ありがとうございます。

それと・・・
なんで外されてしまったのか?
リゾカジの王道を行く投稿ですのにね・・・


2011/12/15(Thu) 18:27

madamada

ジョニッパさん

こんにちは。いつもコメント有難うございます。
B級で満足するmadamadaの舌の独評ですので、当てにはなりませんが、
カルビチム、是非、ご賞味ください&感想をお聞かせください。

あと問題の部分ですが……最近、ジョニッパさんがお読み戴いたとすると、
もう、判らないですね(苦笑)

実は管理人さまのお手を煩わせ、書き直しをして戴き…当該部分は変更されていまして。
まぁ、どんな内容だったかと言うと――――――って書く訳にもいきません(アタリマエですね)

それはいつか私がオフ会に参加した時にでも詳しく……
では、それも含めて(?)お会いできる日を楽しみにして。

madamada


2011/12/19(Mon) 20:21

madamada

管理人さま

リンクを再アップして戴き、有難うございます。
今回は、大変、お手を煩わせてしまいました。本当に申し訳ありませんでした。

madamada


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