リゾカジ カジノレポート

新年快楽2012!(ゴールド・フィンガー)前編

* マカオ 2012/ 02/ 08 Written by マカオの帝王

コメント( 13)

■ 12月末

『今回は帝王式ブラックジャックで勝負!』 そう心に決め、12月末にリスボアホテルの宿泊(3日)がついた “ブラックジャック15万$プログラム”をエリートルームに申し込んだ。

すると・・・・・・

「ブラックジャックのプログラムは上層部の決定により、1月より廃止されました」 との、木で鼻を括ったようなメールの返事がエリートルームより返ってきた。

『もうすぐ新年だというのに……、廃止するならせめて旧正明けからではないか! 所詮中国式のサービスとはこんなものか?』 と呆れながら仕方なく 、空港送迎と宿泊(1泊)、それに御食事券300$分がついた“バカラ8万$プログラム” に変更して申し込んだ。

今回の遠征はエアマカオのフライトの都合もあり、1月2日から6日の4泊だったので、出来れば到着日の2日の夜をリスボア泊としたかったのだが、「2日の夜は満員です。 5日の夜ならOKです」 とのエリートルームからの返答により、仕方なくプログラムによるリスボア泊を最終日とする。
(いつも最終日はベッドを使用せず、部屋は単なる “ロッカー兼シャワールーム” と化すので、余り意味は無いのだが……)

ネットの宿泊予約サイトで、手頃な価格の4星級酒店 “カ-サ・リアル” を予約する。(一泊約9千円なら妥当な範囲)


■ 1月2日(月)

例によって小さめのスーツケース一つに最小限の荷物を詰め込み、関空に到着する。
それほど混雑はしていない。
エアマカオとANAの共同運航によるNX837便は、16時半発に定刻通り関空を飛び立った。

薄味のマカオ・ビールを飲み、うつらうつらしている内に、マカオ国際空港に到着する。

ゲートを出ると、リスボアの皇牌天下の新顔の女性スタッフが、ネームカードを持ち当方を待っていた。

リスボアの皇牌天下(エリートルーム)に案内され、1万円=979HK$という余り良くないレートで日本円82万円を預け、端数の現金278$と1万$の四角いノンネゴチップ8枚を受け取る。

今回の軍資金は約170万円。
その内の、約半分をデポジットした訳だ。

何故こうしたについて説明すると;
① 最終日の時点でプラスなら普通にデポジット分を解放し、浮き分をカジノで日本円に両替する。(香港ドル→日本円への両替については、カジノも銀行もレートは殆ど同じ)

② 最終日の時点でマイナスなら、その時点での 円 ⇔ 香港ドル のレートにもよるが、大抵の場合、最初にデポジットしたレートが再両替する際には最も有利である為、朝一にリスボアホテル1階にある大豊銀行のカウンターに行き、予備の日本円を8万$に満(みつる)まで香港ドルに両替し、最初に預けた82万円を解放する。

つまり最初に預けた8万$が全て溶けた場合でも、銀行レートだと1万円=1,002HK$であるので、予備軍が80万円あれば、最悪の場合でも82万円は解放できる次第である。(約2万円お得……)

こうして、不本意ながら2012年の最初の勝負はバカラで始まった。
顔馴染みのリゾカジ・メンバーのTさんと同卓となる。

「新年明けましておめでとう御座います。ところで、当方はバンカーにしか張りませんが、プレイヤーへのベットはご自由に……」

「あぁ、帝王さんは“バンカー屋さん”でしたね……」とTさん。

こうして、当方が毎回平均5千$をバンカーに、Tさんが500~千$を主にバンカー、時々プレイヤー、ところによりタイ&ペアにベットする形でゲームは進んだ。

タイパ島のグランドハイアットで、BJをプレイ中のシャンハイさんと合流する約束になっていたので、何とかサクッとローリングしたかったのだが、一進一退の苦しい展開が続く。

こうした中、突如“シャンハイ”さん登場!
掲示板では何度か交流があったものの、リアルでは初対面となる“まーちゃん22”さんとも挨拶を交わす。

BJ派のお二人は近く撤去されるという隅っこのBJ卓に座り、プレイ開始。

途中までプラスだったが最後に連敗し、結局当方は、マイナス1万$で新年初バカラを終了し、BJ卓へと移動する。

右から3ボックスをシャンハイさん、ラストの2ボックスを当方、その間の1ボックスをまーちゃん22さんという、“新春豪華メンバー?”で、恐らく近日中に撤去される予定のエリートルームのBJ卓での、最初で最後のプレイがスタートした。

特に印象に残るシーンは無かった。

B/S通りに、ほぼフラットベットで回し、ディーラーが3から6の時は全員がステイし、通常よりも高い確率(約2回に1回)でディーラーのおばちゃんがバストしてくれたお陰で、何となく3人共が勝利の内に終了した。
(本当はもっと続けたかったのだが、シャンハイさんが連日連夜の激闘で “お疲れモード” に突入した為、手仕舞い決定)

(こんな風に、あっさりとプレイヤー全員に勝たれてしまうと、BJ卓を撤去し、バカラ卓を増やしたくなるという “エリートルームの上層部” の考えとやらも判らなくはない。但しその場合、当方のようなバカラとBJの“両刀使い”はともかく、リゾカジの中でも約2割はいると思われる “BJオンリー派” を切り捨てることになる訳だから、少なくとも一月前には通知が必要なのでは? と考える)

このBJでのプラスはちょうど1万$。
バカラと合わせるとまさに“行って来い”で、正確に言えばリスボアホテル1泊と、御食事券(300$)分、及びバカラで追加のローリング(2万$)した分の1%キャッシュバック分(200$)だけがプラスであった。

『これでバカラとBJの “新年初打ち” は終了した。 カジノにおける“オールラウンダー” を目指す身としては、後はポーカーだな……』

約5ヶ月ぶりに訪れたマカオで、まるで久しぶりに散歩に出た犬のように、お気に入りの場所を “マーキング” する為、リスボアから空中廊下を渡って、グランドリスボアのポーカールームへと向かう。

深夜1時だったが、さすがはアジア最大を謳い文句にしているだけあって、リング卓は盛況であった。

10-25$の一番安いレートの卓の、ウェイティングリストの8番目に名前を載せて貰うと、程なく新たにもう1卓オープンされることになり、バイイン5千$でのポーカー(ノー・リミット テキサス・ホールデム)がスタートした。

小さなポットを何度か取るが、大勢に影響無いまま、深夜のポーカーは続いた。

そして、手元に44が入った。

当然参加だが、SBの若者から、10-25では大き目の6倍レイズ(150$)が入る。

当方コール、他のプレイヤーが皆フォールドし、ヘッズアップとなる。

フロップはK、9、4のレインボー。

4のセット(俗に言うスリーカード)完成、ポーカーの神に感謝する瞬間である。

と、ここで若者が500$をベットしてくる。

レイズも考えたが、ここはコールに留める。

ターン、2。

関係無さそう。
若者が再び500$をベットする。
即コールする。

リバー、A。

若者の目が一瞬キラッと光った!

自信有りげに「オールイン!」が宣言される。

とはいえ、若者の手持ちのチップはそれ程無く、約2千$程……

『フラッシュは無い。まさか35からのストレート完成も無いだろう。とすればAKか? もしオーバーセットなら寝るだけだ……』

約5秒間考えた後、ディーラーに「コール」を告げる。

予想通り、若者はAKのトップ2ペアだった。

『リバーのAが当方にとってはラッキー、若者にとってはアンラッキーだったな……』

そんなことを考えながら、そっと44をディーラーに示す。

天を仰ぐ若者。

荷物をまとめて席を立とうとする若者に対し、ディーラーが「リバイして戻ってくるのか?」と尋ねるが、うな垂れて首を振る。
レーキ分を引かれ、ポットの約3千$獲得する。

その後何事も無く数ハンドが進行し、当方のボタンが終わった時点でディーラーにプレイの終了を告げる。

こうして、初日の “マーキング” は静かに終わりを告げた。


■ 1月3日(火)

早朝、回力娯楽場に寄り、いつもの儀式(黄金像の頭を撫でる)を済ませた後にMGMへ向かう。

理由は勿論、ここの綺麗な金色の千$チップを積み上げてBJをする為だ。
しいて言えば、A(エース)の再スプリットが可能等、BJのルールがリスボア系列よりやや有利なこともあったが、メインの理由としてはこのチップの感触に有った。

数少ない稼動しているBJ卓のラストボックスに座り、中国銀行のよれよれの千$札20枚をディーラーに放り投げる。

が、しかし、受け取った千$チップは手垢に塗れ、何となくくすんでいた。

『これじゃあ、何だかなぁ……』

ラストの3ボックスを用いて、500-1000-1500と毎回平均3千$をベットするも、ディーラーは殆どバストせず、苦しい展開が続く。

程なく、バイインの2万$が溶ける。

テーブルを変わり、再度2万$を投入するも、まるでビデオテープを見ているかのように同じ展開が続き、この2万$も溶ける。

席を立ち、帰ろうとするが、BJ卓の隣にプレイヤーの連勝で全員がプレイヤーに張り、盛り上がっているバカラ卓を発見する。

『確かマカオでは、天国は地獄の隣にあるんだったな……』

天邪鬼精神が発動し、一人バンカーに5千$をベットする。

プレイヤーはナチュラル8。

盛り上がりは更に続くが、不思議と冷静だった。

枠と4ピン。

金箔の付いた指先で一気に絞ると、真ん中に何か徴(しるし)が見えたような気がした。
信頼度80%位の気持ちでカードを中央に放り投げる。
見事なナチュラル9であった。
ここからまさに“シュトゥルム・ウント・ドラング(独:Sturm und Drang)”のバンカー攻勢が始まる。

一人だけ、次のゲームから当方に乗り換えた綺麗なお姉さんがいたが、それ以外の者はプレイヤーの連勝の残像に惑わされ、当方に歯向かい、傷口を広げていった。

2度のタイを挟み、“バンカー天国”は12ゲーム続いた。
このテーブルの勝ち分は5万$を超えた。
ディーラーが黒いカットカードを出した。

手元のチップを整理すると、勝ち分は55,200$であった。

『ラスト1回、勝てばプラス6万$!(負けてもプラス5万$……)』
と、バンカーに5,200$ベットする。

すると、これまで当方にピッタリと千$ずつ乗っかってきたお姉さんが、何故かプレイヤーに2,550$をベットする。

最後の勝負が始まった。

お姉さんはチラッと見ただけでカードを放り投げる。
一瞬、絵札と10のゼロに見えたが、よくよく見れば絵札と9のナチュラル9であった。

絞る気が消滅し、裏向いたまま放り投げると、何と絵札と8、であった!

お姉さんは満面の笑みを浮かべながら配当を受け取り、颯爽とテーブルを去っていった。

こうして、“パーシューガウ(8対9)”で始まったMGMでのバカラは、その逆パターンで終わりを告げた。

『結局このMGMではBJで4万$の負け、バカラで5万$の勝ち、差し引きプラス1万$か……、それにしても、さっきのバカラ卓のお姉さんは見事だったな。余り目立たなかったが、あのテーブルの真の勝者は他でもない、あのお姉さんだった訳だ……』

BJ、バカラときたらお次はポーカー……。
MGMを後にして、グランドリスボアへと向かう。
毎週火曜日はトーナメントがお休みなので、必然的にリングへ。

昨晩と同じテーブルに座るものの、ハンドに恵まれず、結局昨晩の勝ち分(約3千$)を溶かしたところで席を立つ。

6時にくるくるさんと約束した、リスボアのエリートルームへ向かう。
秋に新宿・歌舞伎町の雑踏の中でばったり会って以来のくるくるさんとの再会。
少し遅れて “ikuno” さんも登場。
それでは、火鍋でも! と声を掛けるが、どうやら “ikuno” さんのお腹の調子が悪いらしく、とても火鍋は無理な様子。

それではと、人数も少ないことだし、お二人の宿泊先であるホリディ・インにも近いことから、日本食の “三井” に向かう。

ここは、リーザナブルな料金で、そこそこの日本食を提供してくれる、外れの無い店だ。
三人で、しばしカジノ談義に花が咲き(例の“大王事件”…)適当にビールとつまみを頼み、お開きとなる。(トータル3人で670$、安い)

この後、“ikuno” さんは部屋に戻り、当方とくるくるさんはタクシーで回力娯楽場に向かう。(本まで出版したマカオ通のくるくるさんが、前は何度も通ったが、中では一度もバカラを打ったことが無いというので……)

折角ここまで来たので、近くの雑居ビルの1階にある、タイ風の “黄金象” の頭をなで、その金箔を指先に付けることで、自らの指を、所謂一つの “ゴールド・フィンガー” に変身させるという “儀式” を行う。

くるくるさんも真似して、これを実行する。

「良し! お互いこれで指先に黄金が注入されました。これで勝利間違いなし!」 などと適当なことを言いながら、金箔に塗れた指先で回力娯楽場の入り口のドアを開ける。

現在改装工事中の場内は、奥のスペースが全て閉まっており、入り口付近の約三分の一程のエリアだけが営業中であった。

その古さに感心するくるくるさん。
当初は見学だけのつもりであったが、“目の前に場があり、手元に軍資金があり、拘束されない時間がある” なら、“何時でも、何処でも、誰とでも” 勝負すべし! という “スコーピオン” の精神が発動し、気が付けばテーブルに座っていた。

最初は様子見でバンカーに1,700$をベット。

あっさりとナチュラル8で勝つ。

次もバンカーに2,500$をベット。

これもチャーシューで勝つ。

その後も、バンカー有利な局面が続く。

途中から、くるくるさんも参戦する。

当方に気を使ったのか、バンカーのみに応援ベットしてくれたが、何故かその時の勝率は今一で(約55%位)期待に答えるところまでは行かなかった。

結局、当方がプラス2万$、くるくるさんも僅かながら勝利で、久しぶりの回力娯楽場での戦いは勝利で終わった。

くるくるさんと別れて、本日の寝床であるカーサ・リアルに向かう。


■ 1月4日(水)

昼前に目覚め、リスボアの皇牌天下(エリートルーム)に顔を出し、中華風焼きそばと、ビール(ハイネケン)を頼む。

その後、グランドリスボアで、去年の夏の “BJ天国” の夢よ もう一度!とBJにトライするが、再現されたのは昨日のMGMの悪夢で、ここでもバイインの2万$が炎天下のソフトクリームのように、即効で溶けた。

『これで今回のBJの負けは5万$、バカラで何とか6万$のプラスなので帳尻は合っているが、何だかなぁ……』

気分転換にポーカールームで、本日開催のディープスタック・トーナメントのサテライトに申し込む。

参加費として220$支払い、上位20%に入れば夜に開催される1,000$トーナメントの出場権が貰えるという訳だ。(20$はカジノの取り分となる)

エントリーがちょうど20人だったので、権利獲得するには上位4人に入ることが条件となる。

持ち点(スタートチップ)が1,500点と少ないが、余り気にせず普通にプレイを続ける。

小さいポットを何度か取り、AAが入った時にプリフロで750点とかなり大き目のレイズをしてくる奴がいた際に、『しめしめ、良しここで一気にダブルアップ!』と2千点余りをオールインするが、こちらのAAを読まれたのか、長考の末に降りられる。

そうこうする内に、残り9人の時点で99が入る。

『そろそろここいらで勝負だな……』

虫の知らせに従い、約3千点をオールインする。

すると後ろのフィリピン人らしき女性プレイヤーが即オールインを宣言、続いてボタンの、それまで堅くプレイしていた香港人らしき男性プレイヤーもオールインを宣言する。
『しまった! 二人に来られては99では苦しい……』

一瞬そう思うが、ショウダウンすると、何と二人ともAKだった!

『しめた! 二人がそれぞれAKの持ち持ちだと、どちらも出ない可能性が高くなる、トリプルアップも見込まれる。よーし、そのままぁー!』

当方の祈りが通じたのか、結局フロップ、ターン、リバーとA(エース)もK(キング)も場に落ちず、そのまま99で当方がスクープ(全部を一人で獲得すること)となった。

運の悪さを嘆く二人を尻目に、この勝負所の中盤で一気に1万点を超えてからは、ショート同士の潰し合いを高みの見物する内に、人数は絞られて5人となった。

最後は当方AT、手前のショートスタックの若者がオールインしてきた時に、仮にここで負けてもまだ平均以上のチップ量が残ることを確認した上でこれをコールする。

『A.T.フィールド全開!』 と心の中で呟いてみる。

相手から出てきたハンドはA6のドミネイトハンド(圧倒的に当方が有利)であった。

『勝ったな……』 と再び心の中で呟く。

そのまま何も起こらず、当方がチップリで上位4人が確定し、千$トーナメントの出場引換証を貰う。

但し、この日のポーカーに関する “運” をここで使い果たしたのか、肝心のメイントーナメントでは、中盤でQQが入り、オールインした際にこの若者にKTでコールされ、ターンまでは勝っていたがリバーでKが落ち、大きくスタックを減らし、次手で終了となった。

(その後、バカラの合間に覗いて見ると、結局、サテライトで当方が飛ばしたこの若者は、メイントーナメントでは最後の二人である“ヘッズアップ”まで残っていた)

『まあ良し、これで本日の “リゾ” は終了。これからは “カジ” の時間の始まりだ』

(注) 所謂 “リゾカジ” メンバー各位には、その名の通り、“リゾ” と “カジ” をバランス良く愉しまねばならないという、不文律がある。
“カジ” の合間に “リゾ” として、世界遺産を見学したり、シルク・ド・ソレイユのショーを観たり、ダイビングを楽しんだり、有名店でのグルメに舌鼓を打ったり……、等々が出来ればそれでOKなのだが、それらに食指が動かないとなると、“カジカジ” となってしまう。何かの“リゾ”は必要だ、しかし手元に伏せて配られた2枚のカードを捲る“快感”を上回るものを見つけることが出来ない、そんな当方にとって、マカオでのポーカー(テキサス・ホールデム)の安いトーナメントや、低いレートのリングに参加することは、この上ない “リゾ” と言えた。

(ポーカー派の皆さん、御免なさい)

グランドリスボアの各フロアに、まるで海のように広がるバカラの卓の間を、それこそ“水を得た魚”のように泳ぐ。
バンカーにしか賭けない当方にとって、意味の無い電子罫線など見ない。
見るのはそのテーブルのミニマムの金額、コミッションかバンカー6か、客の所持金と平均ベット金額、そして何より肝心なのは、“このテーブルに座った場合、自分がバンカーで絞れるか?” ということであった。

そう考えた場合、この日は余り“良い”卓は無かった。
少しばかりバンカーの連勝が始まると、すぐに誰かがドカンと大玉をバンカーに張る為、当方が絞れなくなる。
バンカーの面が切れ、やっと絞れるようになると、今度はプレイヤーの面に突入する。

そんなこんなを繰り返している内に、ズルズルと5万$が溶ける。
警戒ラインに突入する。
残り資金は4万$

この内、香港上海銀行の新札2万$を最終部隊と位置付け、その手前の殿(しんがり)部隊として、同じく香港上海銀行の旧札2万$を、このグランドリスボアの平場のバカラで、過去に何度か勝った記憶のあるトイレのそばの卓に座り、投入する。

誰もバンカーに大玉を張らないので、毎回当方が絞れる。
絞ると、ほぼ毎回、どちらか1枚には足が有り、絞りを愉しめる。
プレイヤーは引きが弱く、良くても7止まり。
全体的には3勝2敗のペースでバンカーが優勢。

『ふふふ!!! 負け戦もいいじゃないか』

と呟いてみる。

殿(しんがり)部隊は良く健闘し、グランドリスボアの大海の中で、2万$ → 4万5千$と盛り返してきた。

ここで黒いカットカードが出た。
バンカーに5千$をベットする。

この時点までに、プレイヤー派は全員飛び、テーブルに残っているのは当方と歩調を合わせた、“ミニマムバンカー派” とでも言うべき、バンカーに大きく張る気はしないが、妙な日本人が毎回バンカーに張り勝っているので、自分もそのおこぼれに預かろう……という感じのおばちゃんと若者だけになっていた。

ディーラーが絵札と8をサクッとオープンする。

卓上に落胆の声が広がる中、取り敢えず足を確認する。
絵札と足。
今日、一番多かったパターンだ。

次に横を向けて、その数を確認する。
星は4つ!

帰り支度を始めた皆さんであったが、期待が蘇ったのか、再び座り直す。
ゆっくり絞る。
見事なナチュラル9であった。

一同大満足!
テーブル全員がハッピーになるのも、偶には良いものだ。
『これで3万$挽回した。さて、どうする?』

と、その時、カジノのマネージャーらしき男が現れた。

「あぁー、ミスター××? 今日はプレイして頂き感謝致します。お手数ですがここにサインをお願いします」
と勿体をつけながら、リスボア系列で使える“100$”分の御食事券をくれた。
 
『どんなに凄いものをくれるのかと思えば、百$分の御食事券とは……、けど、取り敢えず今日はこれで良い。今日はこれで……』

まだ2万$のマイナスであったが、“負け戦こそ、戦の華よ!”と思い直し、グランドリスボアを後にした。 
 
午前3時、『もう本日の戦いは終了!』そう思って本日の宿であるカーサ・リアルに戻ってきたのであったが、手元に軍資金があり、まだベッドに倒れ込む程は疲れて無く、明日(もう今日だった)の朝もフリー、とくれば、悲しき “スコーピオン” の習性として打たない筈は無く、殆どプレイしたことの無い、ここカーサ・リアルの平場でプレイ再開。

入り口にBJ卓が一つだけある。
若い、(まぁ可愛い)お姉さんのディーラーが暇そうに客を待っている。

『幾ら何でも、もうそろそろBJも勝つだろう……』

そんなことを考えながら、いつものように左端に座る。
すると、関西弁を喋る若い日本人男性が二人、少し酔っ払いながら右側のボックスに座る。

その間に中国人が一人入ってくる。

当方以外は皆ミニマムベット(100$)から最高でも300$まで。
一人、毎回3ボックスにその約10倍をベットする。
しかし勝てない。
少しずつ削られる展開がここでも繰り返される。

『こんな場末のカジノの、しかも駆け出しの女性ディーラーが相手でも勝てないのか?』
そんなことを考えていると、関西弁のお兄ちゃんのところにA7のソフト18が、そして当方のボックスの一つ(中国人のおばちゃん相乗り中)にもA7のソフト18が入った。
ディーラーは6。

中国人の常識ではステイだがB/Sではダブルの手だ。

関西弁のお兄ちゃんは、B/Sを知っているようで、『よーし、これは勿論ダブル! さぁ、行くでー!』 と元気が良い。

ダブルのカードは絵札で、変わらず18。

さて、当方の番になる。

相乗りの中国人のおばちゃんは身振り手振りで、そのまま “ステイ” を当方に訴える。

B/Sに従えばダブルなのだが、自分一人なら、迷わずダブルするのだが、過去の経験上、同時にソフト18で2ボックスをダブルした際には、何故だか “忌まわしい出来事” が起こる予感がした。

『おばちゃんの言う通り、ここは大人しくステイするか?』
一瞬そう思ったが、関西弁のお兄ちゃんが、「あれ? もしかしてステイするんや無いでしょうね? こんなもん、百万回やったら絶対ダブルの方が勝つんやから、100パーダブルでしょう!」 痛いところを衝かれる。

確かにお兄ちゃんの言う通り、百万回試行したらダブルが勝つのだろうが、ここで問題なのは “この1回” なのだ。

15秒程迷った末に、ダブルを選択し、千$を追加する。
天を仰ぐ中国人のおばちゃん。

9が配られ17と一目下がる。

残りの2ボックスは15と19なので当然ステイ。
ディーラーの次のカードは7。
もしダブルしなければ、6+9+7=22でバストしていた訳だ。

おばちゃんがワーワーと騒ぐが、次のカードを見守る。

お姉ちゃんディーラーが、サクッと捲ったカードは、何と“8”!
ディーラーの21で、プレイヤー全滅。

「XXX! XXX!」おばちゃんが広東語で悪態の限りをつきながら、席を立つ。

「こりゃあかん、しゃーないな……」と、関西弁の若者二人も退散。

一人、取り残されるが、次のゲームも負け、ちょうどマイナス1万$でBJ終了。

そのまま夢遊病者のように席を立ち、バカラ卓に座る。
相変わらず、バカラは好調であった。

ノーコミッション卓であったが、気にせず毎回2,500$ずつバンカーにベットする。

勝ち○、勝ち○、負け×、勝ち○、勝ち○、負け×、勝ち○、負け×、勝ち○、勝ち○

ベットを5千$に増やす。
勝ち○、負け×、勝ち○、負け×、勝ち○、勝ち○

16ゲームを11勝5敗、嫌なバンカー6も無しで切り抜け、BJの負けを取り戻し、逆に1万$のプラスとなる。

今回の遠征では、ここまで絵札と4ピン、7と2orは3といった、所謂 “地獄/天国” の場面では、3回に2回は勝っている(ような気がする)

タイの黄金象の金箔のお陰か、“ゴールド・フィンガー”が触れたカードの運勢は上々であった。

最初に配られた2枚のカードに同じく触れるポーカーの調子もまぁまぁ。
そういえばBJで唯一勝ったのも、マカオでも珍しくなった自分でカードに触りオープンするという変則ルールの元祖リスボアホテルだけで、一切カードに触れない他のカジノでは散々なこともこれで説明が付く。

『今回、触れないBJは封印しよう……』
そう心に決める。

午前5時、さすがに眠くなってきた。
本日の戦いはこれにて終了。
キャッシャーでチップを両替する。
4階の部屋に戻り、眠りに付く。



*このレポートはリゾカジ.SNSの日記を転載したものです。




このReportへのコメント(全 13件)

2012/02/09(Thu) 12:27

くるくる

帝王さん、

こんにちは!

なんか、私のネームがくどいほどたくさん出てきていますねぇ(笑)
また、次回ご一緒できる機会を楽しみにしています。(^ ^)/


2012/02/09(Thu) 13:32

シャンハイ

マカオの帝王さん

こんにちは。

“リゾ”と“カジ”の不文律が守れず、泣きを見ているシャンハイです。

今度は旧リスボア平場で一緒にBJをしましょう(カード触れるのでゴールド・フィンガーが使えます)。


2012/02/09(Thu) 16:44

sonic

マカオの帝王 様

こんにちは。
1月6日の朝(マカオの帝王様の滞在最終日)にエリートルームでお会いした者です。
30分ほどお話しさせていただき,いろいろと楽しいお話をありがとうございました
(握手までさせていただきました。)。

またお会いできましたときにはよろしくお願いします。


2012/02/09(Thu) 17:56

おさぼ~い

マカオの帝王様

はじめまして。おさぼ~いと申します。

マカオの帝王様のレポートをいつも楽しく拝見させていただいております。
今回もBJ、バカラ、(マカティ様の)ポーカーと、体操の内村式オールラウンダーならではの極意を見せていただきました!

さて、僕はこれまで「BJ専門、勝負の場所はソウルのみ」のカジノ経験者ですが、昨年の秋からポーカー(テキサスホールデム)の勉強を始め、「初めてポーカーをやるならマカオ(グランドリスボア)がオススメだよ。」という友人の話もあり、2月15~17日に単身、マカオに行くことを決意しました!

まったく初めての場所なので、マカオの帝王様をはじめとするたくさんの方のマカオに関するレポートを参考に予習をさせていただいております。

今回のレポートにも出てきていた「デイリートーナメント(15、16日)」に参加し、空いた時間でBJをしようと思っています。もし、マカオ&ポーカー初心者が気をつける点がございましたらアドバイスをいただければ幸いです。

また、楽しいレポートを期待しております!










2012/02/09(Thu) 22:45

マカオの帝王

くるくるさん こんばんは!

今回はバカラだけしていれば……、といった結果に終わりましたが、次回はまた懲りずに色々手を出してしまうのでしょうね。

また宜しくお願いしまーす。


2012/02/10(Fri) 00:04

マカオの帝王

シャンハイさん こんばんは!

旧リスボア平場でのBJには、一つ問題があります。自分でカードに触れられるのは、ワンボックスだけなので、帝王式で3から4ボックスのプレイをした際には、“ゴールド・フィンガー”のパワーが減殺されてしまうことです。まぁ、大人しくワンボックスで共闘しましょうか・・・


2012/02/10(Fri) 12:52

シャンハイ

マカオの帝王さん

おっしゃられるとおりです。うっかりしてました。

逆にディーラーのおばはんにゴールドフィンガーを使われるとたまりませんね。

次回もよろしくお願いします。


2012/02/10(Fri) 22:22

マカオの帝王

sonicさん こんばんは!

またゴールデン・ウィーク若しくはお盆休み(その両方かも?)にマカオ入りする予定ですので、その際はよろしくお願いします。

それでは!


2012/02/10(Fri) 22:47

マカオの帝王

おさぼ~いさん こんばんは!

マカオの帝王です。

男子体操の内村式オールラウンダー! といきたいところでしたが、メジャー入りしたダルビッシュ投手になぞらえると、ストレート(バカラ)はまずまずだったが、変化球(BJ)はさっぱり、チェンジアップ(ポーカー)もいま一つで、直球の球威だけでなんとか打者(カジノ)をねじ伏せた、という結果に終わりました。

さて、グランドリスボアでポーカーをする際の注意事項ですが、まず最初にメンバーカードを作成することをお勧めします。

パスポートを見せ、基本的事項を記入すればすぐに発行してくれます。

なお、トーナメント用には“POKER STARS”、リング用には普通のグランドリスボア共通カードと、二種類作る方がお得です。
(それぞれ、若干ですがコンプが付いたり、トーナメントでインマネした際等にいちいちパスポートを出さなくても良いので手間が省けます)

あと、18日から26日にかけてポーカーのビッグイベントである“レッドドラゴン”が開催されるのですが、その直前になるので、ちょうど“祭りの前のざわめき”は味わえるかと思います。
(もし一週間後なら、それはそれは凄い騒ぎとなります)

なお、トーナメントでは飲食は全て有料ですが、リングではちょっとした飲食は無料です。

ただ、レートの高いリングのテーブルでは、初心者は“フィッシュ”として食い物にされてしまいますので、一番安いテーブル(10$-25$)に座るのが無難です。

最後にお土産としては、“POKER STARS”の金色の綺麗なカードプロテクターを、一つ50$で売っていますので、これなどが手頃です。

それでは、愉しんで来て下さい!


2012/02/10(Fri) 22:53

マカオの帝王

シャンハイさん

オールラウンダーを目指す者としては、BJが錆付いたままでは闘えません。

そこで2月中に近場(またまた韓国:釜山)に、BJの師匠と共に“修行”に向かうことにしました。

この遠征で錆を落として、次回はマカオでおばはんディーラーどもを切り刻んでやります!

それでは!


2012/02/11(Sat) 19:08

おさぼ~い

マカオの帝王様

「直球でねじ伏せる」ことができたのは「本格派の投手」である証拠ですね!

そして、マカオの貴重な情報をありがとうございます!
メンバーカードを作成しようとは思っておりましたが、POKER STARS用のカードがあることを知りませんでした。「トーナメント直前に行ってエントリーすればいいや」と思っておりましたが、時間に余裕を持ってグランドリスボアへ行き、BJ&リングゲームのために、グランドリスボアのカードと2種類作成いたします!

“レッドドラゴン”開催による“祭りの前のざわめき”は初マカオの僕にとっては気後れしそうな・・・しかし、メンタルで負けないように心を整えてから向かいます!

”トーナメントでは飲食は全て有料で、リングではちょっとした飲食は無料”
こちらもとても有益な情報です。ソウルでは、”カジノではすべての飲食が無料”でしたが、マカオでは食事は有料だと聞いていました。リングゲームをしたときに少し食事をさせていただきます。それと、BJもローローラーなので、ポーカーでは一番安いテーブル(10$-25$)に座ります!どちらにしても、僕がフィッシュになることは間違いないと思います!(笑)

お土産の件もありがとうございます。カジノ関連のグッズを何かほしいな・・・と思っていたところでした。僕はカードプロテクターを持っていないので、到着時に早速購入し、実際のプレイ時に使用します!

これで初マカオがさらに安心&楽しみになってきました!
マカオの帝王様、どうもありがとうございました!
(できれば、後日レポートしたいと思います。)


2012/02/13(Mon) 01:31

マカオの帝王

おさぼ~いさん こんばんは!
 
最後に一つだけ、中国語では数字の“250”は相手に対する悪口なので、(古代中国では、一人前の大人には金500元を与えていたことより、その半分の250元は、半人前の半端野郎! ということで悪口となる)相手を挑発したい時は、“250”ベット作戦を発動して下さい。

(但し、白人には効かず・・・)

レポート、期待しています。


2012/02/13(Mon) 10:39

おさぼ~い

マカオの帝王様 こんにちは。

「“250”ベット作戦」了解です! 各国でいろいろな文化があるのですね~・・・
そのときは、相手にベットが「250」であることを示した後、テーブルにたたきつけます!!(笑)

ポーカーの場合、チップを相手から奪い合うゲームですから、互いに多少の敵意をあらわすことになるのは、避けては通れない道のように感じております。現地の方は相手が日本人だと必ずリレイズしてくるとも聞いております。(怖!)
ですので、この知識は大変役に立ちそうです!

どこまでもご親切にアドバイスいただきありがとうございます!






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