リゾカジ カジノレポート

新年快楽2016!【前編】

* マカオ 2016/ 02/ 05 Written by マカオの帝王

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■ 12月25日(金)

関空発18:45のエアマカオ9869便は、定刻通り22:20にマカオ国際空港に到着した。

今回は久しぶりの澳門6泊! もっとも、リンちゃんから“バカラ禁止令”が発令中の為、ポーカーが中心となる訳だが、それでも大晦日までの一週間をホームグラウンドであるマカオで過ごすことが出来るというのは嬉しかった。

宿泊は、クリスマス&週末で料金が跳ね上がる最初の二日間は経費節約の為、タイパ島側の4つ星ホテル“タイパ・スクェアー”に泊まり(1泊約千$)平日料金に戻る後半の4日間は、リンちゃんが室内の二つのミニサウナがお気に入りの“グランド・リスボア”に泊まる(4泊で約10万円)計画とした。

滞在期間中の野暮用としては、28日(月)に珠海の中国銀行に行き、リンちゃんの人民元口座から、1年間に中国公民に合法的に許可されている海外送金額(5万US$)分を日本に送金すると同時に、マカオに合法的に持ち込み可能な人民元(5千US$×2=1万US$相当額)をキャッシュで持ってマカオに戻り、それも香港$→日本円に両替し日本に持って帰る、というのがあった。

「アナタ! ワタシの勘と経験だと、円安は終了よ! これからまた円高になるから、手持ちの人民元はバンバン日本円に交換しなくちゃ!」とリンちゃん。

(注)予言的中、リンちゃん恐るべし!

為替に関してはニュートラル(何も考えない、ノーアイデア)の立場の当方としては「好きにしたら……」という態度であったが、これが年末マカオ遠征の条件(グラリス宿泊もその一つ)であったので、渋々了承する。

空港内のATMで、取り敢えず2千$だけ降ろす。

勝負は明日以降、本日はホテルで眠るだけ、そう考え、タクシーで“タイパ・スクェアー”へ移動する。

ここは最上階に受付があるという変わった造りになっており、デポジットとして500$を預け、チェックイン。

部屋は値段の割にはマァマァ、小腹が空いたので早速ホテル周辺を散策。
夜中の12時過ぎだというのに、ローカル四川料理屋は営業していた。

リンちゃんが目を輝かせ店に飛び込み、要するに “激辛肉野菜炒め” とでも言うべき料理を注文する。

当方は無難な炒飯とビール。

待つこと10分、脂ぎった、真っ赤な注文した料理を一口食べた瞬間、リンちゃんが呟いた。

「アナタ……、ワタシの舌はアカンになってしまった……、もう辛いものが昔みたいに食べられない。」

何でも日本で長く暮らす内に、段々日本風の味に慣れてしまい、最近“激辛”が駄目になってきたそうだ。

程ほどで切り上げ、ホテルに戻る。

此処にもカジノはあるようだ。

そこにカジノがあり、自由になる時間があり、手元に僅かでも元手があるのなら、プレイしない訳には行かなかった。

一通り回ってみる。

典型的な地元密着型の小カジノで、ポーカーは勿論、BJも無く、バカラとマシンゲームだけというシンプルな構成であった。

軍資金が僅かだとは言え、マカオまできてマシンゲームは論外! となるとゲーム種目は自動的に対人バカラに決定。

ミニマム300$の卓に座る。

様子見で300$をバンカーにベット。

初戦、プレイヤーに500$張った地元民がサクッと絞る。

絵札+7=7点だ。

やや苦しい。

記念すべき開幕戦だと言うのに、絵札2枚+3=3点と見せ場無く負ける。

仕切り直し、と再度バンカーに300$をベットする。

次戦、プレイヤーは4+2=6点

これに対し、絵札+アシ有り。

『やっと絵になった。連敗は嫌よ、チャーシューで勝たしてね♪』

願いは叶えられず!? ナチュラル8で勝利。

『今回は7で良かったのに、無駄に8まで行くのは余り良いとは言えないなぁ……』

悪い予想は当たるもので、3戦目はP8:B7で負け。

その後も、中々連勝出来ず、水面下を彷徨う。

「アナタ、眠たい! 何時までする!」リンちゃんから怒り」の声が……

「分かった、分かった。次で最後にするから……」

1,200$スタートで現状600$、勝てばほぼチャラ、負ければゼロの安いオールインを決意する。

ベットは当然バンカー、1枚目は♠A,ここで絞りを中断し、まずはプレイヤーの点数を見守る。

地元民のおっさんがオープンしたのは、♢3+♡2=5点、まぁ普通である。

『3ピン! それが駄目ならせめて2ピン!』

そう祈りながら2枚目を絞りに掛かるが、何も見えない。

2枚目も♣Aで合計2点であった。

『AA(アメリカン、エアライン)か……、これがポーカーなら最強なのに、せめてBJならスプリットでチャンスなのに、バカラじゃ唯の2点だ……、3枚目に期待するとするか……』

プレイヤーの3枚目は9、合計4点で確定する。

状況は若干改善し、現時点での勝率は5/12=41.7%、感覚的には五分五分である。

『足、若しくはガッタウ(=2か3)!』

しかし、願いは空しくまたも何も見えない。

3枚目も♢A、合計3点で敗北。

『珍しい“AAA”で負けか……、ポケットエースがセットになったのに、これがポーカーだったらなぁ……』

「アナタ、帰って寝ろ」リンちゃんに促され、部屋に戻る。

結局、初日のバカラ勝負はマイナス1,200$で終了となった。


■ 12月26日(土)

昼まで眠り、ようやく活動開始。

低血圧のリンちゃんに引き摺られ、一日の活動時間が最近は短い……。

タクシーで兎に角COD(City Of Dreams)に移動する。

まずは食事! と鼎泰豊で小龍包とビール、及び野菜と点心を数品オーダーする。

ブランチ終了。

当方は当然のこととして、6時から開催予定の参加費3千$のPOKERSTARS主催の“Saturday Super stack 100K Guarantee”に参加するつもりであったが、その肩慣らしとして、参加費500$のサテライト(予選、上位15%位に入れば、その時点で入賞者に対し本日のメインイベントへの参加資格が与えられる、というもの)がもうすぐ始まる、と聞いたので、それへの参加を決める。

リンちゃんはウィンドウ・ショッピングをしたい、とのこと。

これ幸い、と暫し別行動となる。

『ポーカーは何時でも出来るが、自由なバカラは今だけだ! さて、どこでするか……』

2階にはポーカーの他にはマシンゲームしか無いので、一旦1階に下りる。

取り敢えず、8千$だけ軍資金を用意する。

まずは昨日の負け分を回復すべく、ノーコミッション・バカラでバンカーに1,200$をベットする。

おばはんのハウス・ディーラーは5点。

それに対し、1枚目は昨日と同じA。

少し嫌な予感がしたが、2枚目に足は有った。

リンちゃんの気紛れな“ウィンドウ・ショッピング”がいつ終わるか分からないので、時間を掛けずに一気に縦のまま絞る。

適当に星が散らばっている。

数えると星は7つあった。

北斗神拳、炸裂である。

ナチュラル8で勝利!

次も同じくプレイヤーの7点をナチュラル8で粉砕し、二手で昨日の負けを挽回し、逆にプラス1,200$となる。

3戦目もナチュラル8で勝利し、これは“進撃モード”突入か? と思ったが、4戦目で残念ながらストップする。

ここから、×○×○と一進一退モードに突入し、
『中々、勝ちが増えないなぁ……』
と思い出した時、予想よりもやや早く、携帯が鳴った。

「アナタ! 今どこにいる? まさかバカラをしているんじゃないだろうなぁ!」

全力で否定し、海外なのでフェイスタイムが使えないことに感謝しつつ、チップをポケットに突っ込み、テーブルを離れる。

「ちょっとトイレに行っていただけだよ」と弁解しつつ、サテライトの席に着く。

この時点でモニターを見るとトータルの参加者は21名、すでに7人が飛び、残りは14名。通過は上位3名と掲示されていた。

『残りが14人なのは結構だが、皆さんが平均して自分の1.5倍のチップを持っているというのは余り戴けないなぁ……、どこかでダブルアップしないと満足に戦えない』

そう感じつつ卓につき、お守り代わりのカードプロテクター、グランド・リスボアのミニチュア・キーホルダー、金のサンテFXの目薬を取り出す。

最初の数ハンドは屑手ばかりだったので、即フォールドを繰り返したが、ボタンの時、いきなり ♠A,♡Aが入る。

『これはこれは……、バカラでなく良かった。 ここまでリンプが二人か……、いきなりオールインして全員に降りられると、折角のAAで稼げないので、そこそこの手でスチール狙いに行ったと思わせるよう、誘ってみるか?』
暫し悩んだ振りをして、3BBを打つ。

SBはフォールドするも、BBとリンプの二人はコール。

ポットが膨らむ。

フロップ;♢A、♠9、♡4

Aのセット完成!

ドローも無い、理想的なフロップである。

BBがハーフポットをベットする。

リンプの一人がフォールドするが、もう一人の白人が悩んだ末、これをコールする。

理想的なオールイン場面である。

当然、オールインを(悩んだ振りをしながら)宣言する。

これを見て、当方の約2倍のチップ量のBBがオールインを宣言。

最終アクションとなった強面風白人もオールイン!

全員ショウダウンとなる。

当方が♠A,♡A をオープンすると二人は天を仰ぐ。

BBは♣A、♢9のトップ2ペア、残る一人は♠4、♢4のボトムセットであった。

ターン;♡9

一瞬ドキっとするが、当方がAAA99のフルハウス、BBは999AAと下のフルハウスなので現状問題無し。

(注)BBにとっては、サイドポット争いで、44499と更に下のフルハウスとなった残る一人より上となったので多少は意味があるが、当方には無関係。若干の問題点としては、当方のフルハウスを破り、4カード(クゥワッド)に昇格する可能性の有るリバーカードが、♣4、1枚から♣9を含めた2枚に増えたこと位である。兎に角、この時点での当方の勝率は40/42=95.2%、所謂“現状・頑丈”状態であった。

リバー;ラグ

幸い4でも9でも無く、何かの絵札が出たのは覚えている。

これで一気にトリプルアップ+αを果たし、上位に喰い込む。

ブラインドの上昇に耐え切れず、ショートが次々に脱落し、ファイナル・テーブルとなる。

♠J、♡Jが入る。

迷わずオールイン。

誰もコールせず、スチール成功。

その後もA9、66などでオールインするが、誰もコールせず、上から3番目の位置をキープしつつ残り5人となる。

4位でも、端数分の補助が貰えるが、5位で終了すると何も貰えないので、皆さんタイトになる。

その緊張に耐え切れなくなったのか、一番ショートな香港人とおぼしきおっさんがオールイン。

それをチップリの若者が代表してコール。

ショート;♠A、♡T

チップリ;♢K、♡J

フロップ;♢A、♠T、♡5

いきなりショートが2ペアとなる。

ターン;♣2
関係無し。

しかし、このサテライトのファイナル・テーブルでは、ショート以外の全員が一つのことを願っていた。


それは……


『Q(クィーン)よ落ちろ、Q(クィーン)よ落ちろ。落ちてチップリがストレートになり、ショートのおっさんを飛ばしてしまえ! Q様、お願い!』

この世界は多数決である。
1対4では4の方が強い。

運命のリバーで“Q様“降臨!

がっくりと項垂れて、ショートのおっさんは席を立った。

その後は早かった。

端数分で十分だと思ったのか、残るショートの白人が♢6、♡6でオールインすると、これまたチップリが♠A、♢5でコールする。

『ワンオーバーか……、Aが当たらないと苦しいな……』

フロップ;♠J、♢J、♡9

Aは顔を見せない。

ターン;♢8

依然としてAは顔を見せない。

(けれども、この時点でチップリが勝利となるカードの枚数は、残り3枚ずつあるA、9、8の計9枚と増えたので、9/44=約20%に増えた計算となる。)

どうやら、このテーブルは民主主義のルールが支配しているようだ。
リバーで♠9が落ち、ボードがJJ99の2ペアとなった為、66のペアは消え去り、キッカーがAであるチップリの繰り上げ勝利!

入賞が決定した3人(内一人は当方)が互いに喜び合う。

当方がチップリの若者に向かって、「Good Job!」と告げる。

敗れた白人もさばさばした様子。

トーナメント・ディレクターが現れ、全員にメンバーズ・カードとパスポートを出すよう告げる。

僅か500$で3千$のトーナメントの参加権を獲得する。

6時スタートのメイン・トーナメントは既に始まっていたが、余り慌てる必要も無いので、トイレに行き、その後バーカウンターで待機中のリンちゃんのところに報告しに行く。

「予選を通過したよ! これで3千$(正確には2,500$だが)節約だ」と告げると、
「アナタ! 良-かったねぇ♪ この調子で本番も頑張ってね」と返事が返ってくる。

賞金総額は最低10万$保障の、2015年最後のビッグ・トーナメント? だとアナウンスが流れる。

『3千$を直接支払って参加した奴らはご苦労さんだ。其れに比べ、俺たち3人+0.5人は、厳しいサテライトを突破してきた“選ばれし者たち”だぞ! 図が高い! 控えおろう!』

といった心境でテーブルに付く。

3千$の参加費のディープスタックらしく、誰も無茶をしないので、序盤戦は静かな戦いとなる。

その中を、小刻みにジャブを繰り出し、小さなポットを連続して獲得し、アベレージ以上をキープする。

静かな戦いの中でも、徐々に脱落者は出てくる。

同じテーブルで、下手なプレイを何度か繰り返した挙句、ショートになったメガネの若者が、10分間の休憩直前のラストハンドで、ショートの癖にオールインでなく、中途半端なベットを仕掛けてくる。

皆さん、トイレに行きたいのか、煙草を吸いたいのか、誰かと携帯で会話したいのか、即フォールドして席を立つが、BBの当方のハンドを確認すると“帝王ハンド”の一つ、♠A、♠Kであった。

『若者よ、残念ながら君に僕のBBを無条件で献上する訳には行かないな。欲しければ君の“トーナメントライフ”、即ち残りのチップを全部賭けることだな!』

若者に中途半端なベットを後悔させるべく、オールインを告げる。

迷った挙句、若者もオールインを宣言。

若者のハンドは、ここまでの中途半端なプレイと同じく、中途半端な ♢A、♡6 であった。

フロップ;♢K、♡Q、♡9

キングがヒットし、6を殺す。

これで安心する。

ターン;♡K

キングがトリップス(3カード)となる。

ますます強力になった筈だが、何故か胸騒ぎ……。

『若者の♢Aはドミッているので怖くない、6がヒットしても単なる2ペア、ストレートの可能性も無い、ただ、やけにボードが赤いのが気に入らない……、良く見れば♡が3枚、若者の6も♡、ということは後1枚♡が出れば、若者がフラッシュになるではないか!』

そう思った瞬間、リバーに赤いカードが出る。

♡5であった。

若者に1枚フラッシュを作られ、ポットを逃す。

『死に馬に蹴られる、とはこのことだな……、どうせなら、♡Aが出れば良かった(当方がフルハウスになるので)のに……』

大昔のキャンディーズの歌(♡のエースが出てこない~)が脳内に流れる。

休憩直前にチップを減らし、暗い気分で新ラウンドを迎える。

何とかして失ったチップを挽回しようと、無理なプレイを試み、更にチップを減らす。

エントリーが締め切られ、プライズが発表される。

入賞は上位7名まで、優勝者は約4万$、7位は約8千$とのこと。

この時点で残る参加者は約30名であった。

徐々にブラインドが上昇し、弾き飛ばされる者が出てくる。

残り18名(2テーブル)となる。

2度セミブラフを決め、何とかサバイバルはしているが、このままでは苦しい状況となる。

こうした中、ボタンで♠A、♡9が入る。

リンプが一人。

『これはこれは……、誰かと思ったが、リンプの御仁はサテライトの際、当方のAAのトップセットに44のボトムセットごときで突っ込んできた白人野郎じゃないか……、どうせ大したハンドじゃないだろうから、チップ量はほぼ互角だが、オールインには耐えられまい……』

スチールすべく、オールインを宣言する。

SB、BBは即フォールド、白人が最終アクションとなる。

当然フォールド……、と思いきや、迷った挙句、オールインの宣言が!
何かのポケットかと思ったが、出てきたハンドは ♠K、♡J!

『逆にこっちを10以下のポケットとでも読み、2オーバーのジャンケン勝負を挑んできたと言う訳か……、現状はこっちがやや優勢だが、油断は出来ない……』

フロップ;♢A、♡T、♣9

エースがヒットし、オマケに9もヒットし、俄然優勢となる。

ターン;♣7

何か、嫌な感じがする。

『相手はJK(=女子高生)だ、ここまでノーヒットだが、Q(クィーン)が落ちればロイヤル・ストレート完成だ。Qよ、出るな!』

願い通り、“Q”は出なかった。

その代りにリバーで出たのは、♢8であった。

『うん? 8、8、と……、7,8,9、T、J……、エェ! 相手にストレートが出来ているではないか! こんな馬鹿な……』

“江戸の仇を長崎で打つ”といった感で、白人野郎が隣の白人に早口の英語でペラペラ喋りだす。

「うん、最初はしまったと思ったけど、ターンでダブルベリー(8でもQでもストレートになる状態)になった時に何とかなるような気がしたのさ……、彼(=当方のこと)とはサテライトでもぶつかったけど、今回は僕がラッキーだったよ。これがポーカーと言うものさ……」

まったくその通りなのだが、だからと言って現状を素直に受け入れられない。

500$のサテライトからの“藁しべ長者”物語は、またしても強面風白人によって邪魔される結果となった。

リンちゃんに残念な結果報告をし、同じフロア内の御粥専門店で夕食をとる。
もうトーナメントは無いが、リング(キャッシュゲーム)なら開催中であった為、参加費;2千-6千$、ブラインド;25-50$のリングにエントリーする。

一つだけなら、空き席がある、とのこと。

バイインとしてMAXの6千$を支払い、8月のオーストラリア以来、久しぶりのリングゲームに参加する。

『半分位はトーナメント会場で見た奴らだ、今ここに座っている、ということは自分より早く飛んだ、ということだ。それならば大したことは無い、ならば誰が本日の“リングの王者”であるか、はっきりさせてやろうじゃないか?』

ブラインドの50$は大した金額では無いので、積極的に参加する。

座って数ハンドで、♠J、♣8が入った際、SBだったので25$払って取り敢えず参加する。

総勢5人でフロップが開く。

♡9、♢7、♠6

ストレートの両面ドローとなる。

面白いので100$ベットすると、二人がコールで付いてくる。

ターン;♢5

ストレートが完成する。

様子見で250$ベットする。

一人フォールド、残る一人がコールで付いてくる。

『T、8の上のストレートだったら嫌だな、それと♢2枚持ちのフラッシュドローも嫌だ……』

リバーを見守る。

リバー;♣T

J~7のストレートに昇格する。(ナッツ)

喜びを噛みしめながら、不安気に500$をベットすると、元々ショートスタック(約2千$)だった若者がオールインを宣言する。

謹んで、これを即コールする。

若者のハンドは♢T、♢8!

『やはり途中までは負けていたのだな……、リバーがTで助かった』

2千$強を獲得する。

その後も小さなポットを小刻みに獲得し、1万$を突破する。(プラス4千$)

そうした中、♠K、♣K降臨!

UTGからちょろっと打つと、そこに“危険な匂い”でも感じたのか? 皆さん降りるが英語を流暢に喋る若い中国人女性が即コールで付いてくる。

フロップ、♡A、♢Q、♢T

『しまった! エースが落ちたか……、けどまだ相手にAがあると決まった訳じゃない。但しチェックで回すとこちらにAが無いことがばれてしまう。ここは様子見だな……』

200$打つと中国人女性はスナップコール。

ターン;♣8

依然手探り状況だが、打たない訳には行かないので、300$をベットする。

これまたスナップコール。

リバー;♠J!
嬉しいロイヤル・ストレートの完成である。

ナッツであるが、オールインした場合はこちらにキングがあるのがばれてしまう為、弱々しげに500$をベットする。

オールインを期待するが、中国人女性は最後までコールで500$を出す。

ショウダウン。

中国人女性のハンドは♢A、♠Q!

フロップが開いた状態では強力なトップ2ペアだった訳だが、ターンの段階でコールに留めたのが、相手にとっては拙かったことになる……(もしここでレイズされていたら、幾らKKでもAが無い以上、フォールドせざるを得なかっただろうから)

最後のコールは、こちらが下の2ペアの可能性もある為、ある程度は納得が行くが、この結果は“コールガール”が自ら招いた悲劇であると言える。

本日のリングでの勝ちが5千$を突破する。

もっとゲームを続けたかったが、ここにリンちゃん登場。

「アナタ、何時までする。もう眠たい! 席で寝ていたら、店の人に起こされた! 帰って寝ろ!」

泣く子とリンちゃんには勝てない。

終了を決め、その旨をディーラーに告げる。

心なしか、ややこしい日本人が消えて、テーブルの皆さんほっとしている様子。

兎に角、二日目はバカラで2,400$、ポーカーで4,500$、合わせて約7千$の勝利となった。

昔のバカラのワンベットだが、今この瞬間を刹那的に生きる“月光族”的ライフスタイルを改め、中国共産党流に言えば、“新常態(ニューノーマル)”へ移行途中の健全なる一市民(良き家庭人)としては、満足すべき結果であると言えた。

「アナタ、良-かったねぇ! 今回は爪楊枝はいらないわ♪」
とホテルへ戻るタクシーの中でリンちゃんから珍しいお話が……

「その代り、明日欲しい化粧品のセットが有るから買ってね♪ 2千$以上買うと可愛いおまけが貰えるの!」

どうやら本日のバカラの勝ち分は丸々消え去りそうであった。

下手に値切ると要求がエスカレートすることは学習していた為、笑顔? で了解する。

こうして、マカオ遠征の二日目は、ささやかな満足と共に終了した。

■ 12月27日(日)

さて、本日は“新葡京(グランド・リスボア)”へのお引越である。

荷物を片付け、12時ぎりぎりにチェックアウト。

デポジットの500$を返して貰い、タイパ・スクェアーを後にして、タクシーで半島側へ移動する。

ほどなく、グランド・リスボア玄関に到着。

人が少ない。

『何だこれは! 幾ら何でも少なすぎるではないか! これではAGODAで一泊2万円台まで下がる訳だ。空室よりましだろうからな……、中級クラスのホテルの値下がり幅が小さいことを考えると、+5千~1万円程度でこのグラリスに宿泊出来るのなら、お得だと言える。昔、一度エリートルームで数十万$バカラを回して、副賞で無料宿泊チケットを獲得したこともあったが、その際には結局ベッドで眠ることなく、荷物を預けてシャワーを浴びただけでチェックアウトしたっけ(超高級シャワー付きロッカー)、最近はリンちゃんのお陰様で、ルーム内滞在時間が長くなっていることを考慮すると、今日から4泊で10万円弱なら安い買い物だ……』

デポジットとして2千$を預け、ルームキーを二つ貰う。

14階の1470号室が、今日から4日間の、リンちゃん式に言えば“家(いえ)”である。

「ワァ! アナタ、景色が良いわぁ! スリッパも感じが良いし、部屋にサウナも二つ有るし、早速サウナに入って、少し休憩よ!」

今日は夜にCODで参加費千$のトーナメントが有るので、取り敢えずそれに出た後にリングゲームをする計画であったが、他に大した予定もないので暫し休憩する。
(当方のグラリスにおける“休憩”とは、ベッドの上で無料の缶ビールを飲みながら、大画面テレビでNHKの衛星放送若しくは日本語のアニメ放送を見ることである)

午後2時前にホテルを出て、“蛙料理の店(メトロパークホテル近くのローカル中華料理店)”で、今回は蛙以外の料理(当方はワンタンメン麺と野菜とビール、リンちゃんは得体の知れない、真っ赤な肉野菜炒め)で食事した後、薬房で咳止めを数品購入する。

その後、スターワールドホテルへ。

ここでマカオ航空の搭乗券の半券を、1Fのメンバーズ・カウンターに提出すると、一人100$の張り切りチケットと50$分の飲食券が貰えると機内でアナウンスされたので、散歩がてらによってみたのだが、何とも段取りが悪い。

毎度のことながら、どこから集めてきたのか、ハイヒールを履くと2m近い長身美女軍団のお出迎えを受けたのはご愛敬だが、前述のサービス券を受け取る為にカウンターに行くと、とろそうなスタッフが出てきて、まるでこの処理をするのが生まれて初めてであるかのように、
「あぁ、これねぇ、これこれ……、取り敢えずスターワールドのメンバーズ・カードとパスポートを出して、ふんふん、ちょっとコピーさしてね……、それで顔写真を取らして頂戴、それから、えーと、どうするんだったっけ? おーい! マニュアルはどこだったかな? あっ、そうそう、これで良しと……」

合わせても高々100$相当のバリューしかないのに、びっしりと印字された仰々しいサービス券が音を立ててプリントアウトされる。

「お待たせしました。ここにサインをお願いしまーす」

漸く、2種類のサービス券を手にする。

カジノの入口で警備員に年齢確認の為、パスポートの提示を求められ喜ぶリンちゃん。

「アナタ! ワタシ何歳にみえたのかなぁ?」

「さぁ、相手も仕事だから、念の為疑わしい人間全部に要求しているんだろ?」

ふくれるリンちゃん。

バカ長いエスカレーターで2階に昇る。

“バカラ禁止令”は依然発令中であったが、今回はサービス券が2枚あるので、2勝負だけ例外として許可を貰う。(2連敗を避けたければ、バンカー/プレイヤーの双方に両張りすれば良いのだが、さすがにそれはバカラプレイヤーとしての“矜持”が許さなかった)

罫線はどうでも良いのだが、絞れる台を探す。

客が一人の、ミニマム千$の台を発見し座る。

取り敢えず、2千$をチップに交換する。

当然のこととして、千$チップ1枚+100$のサービス券をバンカーにベットすると、ディーラーが何やら話し掛けてきてゲームが始まらない。

「アナタ! このお姉さんが言うには、この券が使えるのはプレイヤーの時だけなんだって。バンカーは駄目なんだって」

『うーん、そりゃ、バンカーが勝った際の5%のコミッションを考慮するとややこしいのは理解するが、ベット出来るのがプレイヤーのみとはなぁ……。しかし、二ハンドしか勝負しないのに、BJ台に移動するのも面倒だ。このままプレイヤーでさっさとけりを付けるとするか?』

仕方なく、プレイヤーに変更する。

2ヵ月ぶりのバカラだというのに、プレイヤーでは気合いが入らず、絵札+2=2点

それに対し、バンカーはナチュラル9で、あっさり負ける。

「アナタ! 100$貰いにきて、千$負ける、何してる!」とリンちゃんからお叱りの声が聞こえてくる。

黙って再度プレイヤーに千$チップ1枚+100$のサービス券をベットする。

絵札+足有り(3ピン)

今度は絵になった。

余り勿体をつけても仕方ないので、サクッと絞ると付き付きのナチュラル8。

ひとまずホッとするが、これでも勝利が決まらないからプレイヤーは嫌いである。

ハウス・バンカーは、何か忘れたが7以下でこちらの勝利!

お金が戻ってきたので、リンちゃんの怒りも静まる。

何だか喉が渇いたので、同じフロア内のレストランに入る。

ちょうど50$の果物ジュースがあるので、さっき貰った飲食券を出し、2杯頼む。

ここは昔、何度か来たことが有るが、余り良い想い出が無い。
(興味のある方は、過去レポートをご参照ください)

飲み終わると、スターワールドを後にして、道路の向かい側にある、伝統的ローカルデパートの、“南光百貨店”で滞在期間中に飲む缶ビールの補充とリンちゃんのローカル土産(各種中国食品)の購入を済ませ、一旦部屋に戻り出撃体制を整える。

午後3時半、旅立ちの時は来た。

タクシーに乗り込み、運転手に行先としてCODの中国語名である“新濠天地(シンハオテンチィ)”を告げる。

午後4時、“新濠天地”に到着。

トーナメントが始まるまで少し時間が有ったので、参加費(千$)位を稼ごうと、軽い気持ちで昨日と同じく25-50$のリングゲームに、参加費を昨日の勝ち分に合わせて5千$で参加する。

メンバーの半数は昨日の夜と同じ。

皆さん好きねぇ、と思う。

座って初手、いきなりKKの降臨!(スーツは忘れた)

『良し! まだ良い流れは続いているぞ! 上手くすればワンハンドで千$ゲットだ!』

白人Aが100$ベット、隣の白人Bが200$にレイズ、自動的に途中参加の強制ブラインドとして50$をベットしていた当方も、「OK、これは所謂一つの“ストラドル”ゲームだね? それなら僕も参加させて貰うよ。200$の倍だと400$だね? これで良いのかな?」
と350$を追加し、大したことの無い手で、お付き合いで、お遊びに参加した小金持ちのお人好しのカモ(=Fish)を装いながら、400$をベットする。

SB、BBは即フォールド。

「おぉー、これはこれは……、面白くなってきたねぇ、其れじゃ僕もお付き合いしようかな?」

と白人Aが400$でコールを告げる。

しかし、和気藹々とした遊びの時間はここまでだった。

膨らんだポットを前に、シリアスモードに突入した白人B(推定チップ量、約6千$)が、ここが勝負! とばかりに大きな声で「オールイン!」を宣言する。

一瞬躊躇ったが、何故か頭の中から“AA”が消え、ワンハンドで5千$超を獲得出来る幸運を逃してなるものか、とこちらも即オールインを宣言してしまう。

このオールインを前にして、白人Aは、「ワォ! 何てこったい! お二人さんはAA? KK? 僕も良い手なんだけどなぁ……、これで降りなきゃならないの? そうなんだろうなぁ……、まさかAKじゃないよね? 分かったよぅ、フォールドさ、僕はQQだよ、さぁ、見せて頂戴?」

この時、やっと思い出した。このテーブルの真の支配者が誰であったかを、KKが最強で無いことを、その上にはAAがいることを……。

白人Bが想定通り、このテキサスホールデムにおける最強のハンド “AA” をオープンする。

当方がAAに対しては非常に弱いKKをオープンする。

白人Aが胸をなで下ろす。

フロップ、ターン、リバー、何事も起らず白人BがAAで勝利!
(おっと、AもKも落ちなかったが、ターンでQがポロッと1枚落ちていたので、もし白人Aがコールしていれば、結果論だが総取り出来ていたことになる……)

大喜びする白人B!

ワンハンドで昨夜のリングゲームの勝ち分全額(5千$)を失う。

リヴァイはせず、頭を冷やす為、一旦離席し、スターバックスでアイスコーヒーの大を購入し、マシンバカラの台に座り、一人反省タイム。

『プリフロでオールインしてきたことから、白人BのAAは当然考慮すべきだった。現にQQの白人Aはフォールドしたじゃないか? しかし、あそこでKKは捨てられなかった……。仕方が無い、もうすぐ始まるトーナメントで頑張るとするか?』

反省タイム終了。

目の前にマシンバカラの台が有り、手元にキャッシュが有り、トーナメント開始まで15分程時間が有る。

元祖“クラブ・スコーピオン”会長としての“血”が騒ぎ出した。

『5千$は無理でも、参加費の千$位は目の前のこのマシンバカラで即効で稼げるんじゃないか? 幸い、ここまでバカラは千$ちょいのプラスだ。その分を運試しにこのマシンに投入してみることにしよう……』

スルスルと千$札がマシンに飲み込まれていく。

最初は200$ずつバンカーにベットする。

○○××○×○×

コミッション分だけ減る。

ここまで勝敗は五分五分だったが、40$のマイナス。

残り時間が段々と少なくなってくる。

これで最後と思い、バンカーペアに60$、本線に900$をベットする。

プレイヤーは1+1=2点

バンカーは2+3=5点

プレイヤーの3枚目は絵札でゴン!

Bペアは取り損ねたが、マシンバカラは勝利で終わった・・・・・・
筈であったのだが、何かがおかしい。

本線の勝利で、900$×1.95=1,755$
になっている筈が、僅か117$しかない。

こんなばかな! と係員を呼ぼうとしたが、冷静になり事態を振り返る。

『117$、117$……、これは60$×1.95=117$ということだろうなぁ……、だとしたら最後のベットを慣れないタッチパネルで行う際、本線とペアを逆に張ったのかも知れない……。本線でのバンカー勝利にベットした60$だけが有効で、900$は誤ってバンカーペアにベットしてしまい、ペアに成らなかったからそれが失われたのだとすれば、辻褄は合う……。係員を呼んでも恥をかくだけだ。もしさっき、バンカーペアが成立していれば、1万$近い勝利になっていた訳だが、そうは問屋が卸してくれないか……』

残金の117$を清算してトーナメント会場に戻る。

千$を支払い、トーナメントに参加する。

トーナメントの良い点は、参加者全員が開始時は平等であることだが、何だかマイナスからスタートした気分である。

しかし、今回はそれが良い方向に働いてくれた。

一歩下がった気持ちになり、良いハンドの際はトコトン勝負する、屑手はさっさと降りる、マージナル(微妙な)ハンドの際は周りを見て参加し、フロップと絡めば勝負、絡まなければ即撤退、と教科書通りのプレイを繰り返す内に、二十数人の参加者の中で、残り4人まで残る。

1位はメガネの中国人、2位は巨漢の白人、当方は暫定3位、4位はインド人?であった。

参加者が少ないので、入賞は3位まで。
1位が約9千$、2位が約6千$、3位が約4千$、4位は何も無し、なので、残り4人はトーナメントで一番厳しい、所謂一つの“バブルライン”であった。

こんなささやかなデイリートーナメントでも、一応賞金がかかったファイナル・テーブルとなると、暇人が数名、手摺の向こうで見物する事態となる。

「アナタ! 頑張ってねぇ♪」と声援を送るリンちゃん。

休憩時間となる。

「後一人飛べば入賞なんだけど、誰も勝負に行かないなぁ。誰かあのインド人を飛ばしてくれたら良いんだけど……」

「アナタ! 絶対にオールインしないことよ。じっと我慢したら自然に 3位→2位と上がっていくから……」

リンちゃんから“オールイン禁止令”が発令されるが、こればっかりは守る気は無い。

行くべき時は行く、と決めているのだが、そこは曖昧に返事を濁す。

観客の一人の、当方と同年配の中国人風男性と、リンちゃんが何やら中国語で会話を始める。

「アナタ! この人はオーストラリアのカジノのレストランの料理人だって。今同じ台でゲームしてる太い白人の友達なんだって。アナタはポーカーが上手だって。若い美人の奥さんで羨ましいだって!」

適当に返事する。

そうこうする内に10分間の休憩終了。

プレイ再開である。

“バブルライン”では、中々フロップが開かない。

ショートは勿論飛びたくない、スタックの多い者も下手に勝負して、ショートに転落したくない、皆がそう思う中で、それでも“オールイン”してくる者には、それに相応しいハンドが有るのだろうから、それ相応のハンドが無ければ勝負出来ない、ということになる。

ジリジリと身を削られるような、静かな戦いが続く。

遂にそれに耐え切れなくなったのか、チップリの中国人(約10万点)の1万点ベットに対し、4位のインド人(約3万点)がオールインを宣言、これを中国人がコールする。

インド人・・・・・・♠6、♡6
中国人・・・・・・・♢A、♣6

6が被っているので、インド人が優勢である。

フロップ、ターンとA(エース)は姿を見せない。

このままインド人の勝利か……、と思われた時、
リバーで♡A が降臨!

『やっと“ハートのエース”が出てきたか……、これで入賞は確定した。リンちゃんに叱られなくて済むな……』

憮然とした表情で、インド人退場。

その次のゲームで、ボタンの当方(約4万点)に♢Q、♡Qが入る。

SBの中国人(約13万点)がオールインを告げる。

BBの白人(約5万点)はフォールド。

覚悟を決めてこちらもオールイン。(これで行かなきゃいつ行くの?)

白人がオープンしたのは♠J、♢J。

良い手だが、当方が一目リード。

後ろでリンちゃんが、「そのまま、そのまま!」と声を張り上げる。
(門前の小僧、習わぬお経を何とやら……、で、これくらいの状況は理解している模様)

フロップ、ターン、リバーと一目差は大きく、そのまま逃げ切りで勝利!

ダブルアップし、8万点で2位に浮上する。

再び、睨み合いとなる。

数周後、3位に転落した白人が、「OK! もう俺はお腹が減った。後ろで友人も待っている。そろそろディナータイムだ。さぁどうぞ」
と呟きながら5万点をオールイン。

ハンドを確認する。

♠K、♣J

悪くは無い。

仮に負けてもまだチャンスは有る。

オールインを告げる。

中国人はフォールド。(高みの見物)

白人のハンドは♢K、♡T

K(キング)がドミッて、キッカーは勝っている。
当方が俄然優勢である。

フロップ;♡Q、♡8、♣4

Tは落ちない。

ターン;♡2

依然Tは落ちない。

後ろでリンちゃんが、「そのまま! そのまま!」と絶叫する。

リバー……

最後までTは落ちなかった、
しかし……、

♡A!

♡のフラッシュ完成で白人の勝利!

大喜びする白人!

これでショートに転落し、戦意喪失する。

その後、スーツは忘れたがA、Kが入り、ティルト(ヤケクソ)気味にオールインを宣言すると、SBの中国人はフォールドするも、当方の小芝居を信じたのか、BBの白人に、今度は逆にコールされる。

白人のハンドは又もやK、T!(スーツは忘れた)

K(キング)がドミッて、キッカーは勝っているので、今回も当方が大幅優勢である。

しかし、ポーカーの女神に見放されたのか、Aは落ちず、リンちゃんの声援も空しくターンでTが落ち、そのまま白人の勝利となる。

結局3位で終了し、賞金約4千$を受け取る。

よほどお腹が空いていたのか、白人が中国人に、ここでトーナメントを終了し、1位と2位の賞金を、自分が8千$、中国人が7千$で“ディール”しないか? ともちかける。

これはこの時点で全体の約41%しかチップを持っていない中国人に対し、残った賞金の約47%を進呈しようという、中国人にとっては有利な提案であった為、即座に了承され、ここでトーナメントは終了となる。

興奮状態の白人は、上機嫌で友人と食事に消える。

「アナタ、残念ねぇ……」とリンちゃん。

「あぁ、でもまぁ、愉しかったよ、それなりにね……」と答える。

明日は朝から珠海入りして、リンちゃんの野暮用(中国銀行珠海支店の口座開設、人民元の日本円への交換及び電子送金、一部人民元キャッシュのマカオ持ち込み、中国国内専用携帯電話購入、地下のショッピングモールでの風水グッズ購入、足裏マッサージ、その他諸々)を片付ける為、今晩は早めにホテルに帰る必要があることを思い出す。

マシンバカラのベットミス?で、瞬間的に今回のマカオ遠征の収支がマイナスとなったが、このささやかなインマネ(バカラだとワンベット分)で再びプラスに転じたことを考えると、今日のところはここいらで手仕舞いしても良い気分になる。

『これが“ニュータイプ”ならぬ“ニューノーマル”のギャンブラーというものか……』

心の中で呟きながら新濠天地を後にして、“家(=グランド・リスボア)”に帰る。


■ 12月28日(月)

今日はリンちゃんの野暮用の為、珠海へ行く日である。

自分の用事だからか、珍しく早起き(といっても9時過ぎだが……)するリンちゃん。

平日の10時過ぎに、マカオから珠海に行く人は余りいないので、スムーズにイミグレを通過し拱北に入る。

辺りを歩く通行人にリンちゃんが、「中国銀行の珠海の本店はどこですか?」と尋ねると、
「目の前の大きな道を真っ直ぐ歩くと右手に大きな『銀都酒店』が見えるから、そのすぐ横に有るよ。誰でも分かるさ」とぶっきらぼうに教えてくれる。

その通りに10分程歩くと、教えられた通り『銀都酒店』の隣に中国銀行の珠海の本店はあった。

リンちゃんの合法的な人民元の送金等の詳細については省略するが、マカオにキャッシュで個人が持ち込むことが出来る人民元(一人約5千US相当)として、二人分で7万人民元を窓口で下した際、いつも見るボロボロの赤い百元札ではなく、全て新札で番号続きの、100枚ずつ帯封がついた貴重品? を5束、(2束はバラの旧札)で渡されたのが当方にとっての“サプライズ”だった。

『うーん、確かにこんなものも中国のどこかに有る筈だとは思っていたが初めて見た……、やはり、有るところには、有るものなんだなぁ……、それにしてもこの美しい5束をバラして日本円に両替するとは勿体ない。日本円への両替はバラの旧札の2万元だけにして、新札の5束はそのまま日本に持ち帰り、金庫にでも仕舞っておいたら……』

そうリンちゃんに告げると、「何を言う! 人民元はこれから下がる! 絶対よ! ワタシは持っている人民元を成るべく早く、全て日本円に交換するつもりよ! 交換が遅れて、ワタシが損したらどうしてくれる?」と責められる。

(注)その予言の通り、年明けに円高/人民元安が進行したことには驚かされた。

その後、インターネット・バンキング用に中国国内の電話番号が必要だとかで、近くの携帯電話屋で安物を一つ購入し、3時過ぎにようやく“野暮用”終了。

お次は地下街にある回転寿司屋で、久しぶりの“醤油味”のものを食べ、リンちゃんの風水物の買い物に付き合う。

「アナタ! お金持ちになるには水晶の豼貅(ヒキュウ)をオスとメスのペアで買うのことよ」とリンちゃん。

以下、豼貅(ヒキュウ)についての解説。

貔貅は、角があり、真ん丸い容貌で利発で聡明だった為、天帝のペットとしてとても可愛がられていました。

しかし元々貔貅は、とても凶暴な瑞獣で、次第にペットとして、横になって寝ているだけの生活に飽きてしまい、やりたい放題するようになりました。

そしてついには、大胆にも場所を選ばず、どこでもむやみにトイレをするようになってしまいました。

そんなある日、ちょうど貔貅がトイレをした場所を天帝が歩き、知らずに踏んでしまったのです。

天帝はたいへん怒り、貔貅のお尻を平手で何回も叩いた為、貔貅のお尻は腫れて穴が無くなってしまい、二度とトイレをする事が出来なくなってしまいました。
元々貔貅の主食は、金銀などの財宝だったため、金銀財宝を吸収することはできますが、それを出すことができなくなったそうです。

雄の貔貅は、翼を広げて高く飛び敵を偵察し、攻撃する役割がありました。
また主人の歓心をかう為と自分が食べる為に、大好きなお金の匂いを嗅ぎ分けて、財宝を見つけては、お金を咬んで主人の元に持って帰っていました。

雌の貔貅は、陣地を守り、敵からの攻撃をかわし、財産を守る役割がありました。

これが獲得と財産、保持のシンボルとしての貔貅の起源です。

* 解説終了


何軒も風水物の店をはしごするリンちゃん。

その内、やや大きめのオスメスがペアの豼貅がリンちゃんの目に留まり、女性店主と交渉開始。

「綺麗なお姉さん、ちょっとその豼貅を見せて! 幾ら! 3,800元! ちょっと高いわねぇ。2千元なら買うわ! 3,500元? まだまだ、3,000元? もう一声、2,800元? うーん、2,200元なら買うわ! 見て、お金は持ってるわよ。2,700元、惜しい! 2,300元なら出すから! これが限界? そんな筈はないわよねぇ? よし、そしたら間を取って2,500元! ねっ! これなら良いでしょ! もうすぐ閉店だし、こんな高いもの、なかなか売れないわよ! 明白了? それじゃ交渉成立ね♪」

あっという間に、3,800元の豼貅が2,500元になった。

しかも、そこから更なる粘り腰が……。
「あらあら、このちっちゃなキーホルダー型の豼貅も可愛いわぁ! 幾ら? 100元? これもオマケに下さいな! 領収書「発票(ファーピョウ)」はいらないから、ついでにもう一つこっちのアクセサリーも、ねっ! お願い♪」

交渉の末、一旦決まった筈のラインから、更なる譲歩を相手から引き出す、これが中国4千年の業である。

その後、足裏マッサージに行き、ボーダーを通過し、マカオに戻る。

経費節約の為か、一回り小さくなった、“新葡京”行きの無料バスに乗り込む。

少し休憩し、一勝負する予定であったが、カジノと異なり、昼間珠海を歩き回って蓄積された肉体的疲労は、足裏マッサージを受けた位では解消されず、お風呂に入り、風呂上がりに500mlの青島ビールを1本と、無料のサンミゲルを一気飲みすると睡魔が襲ってきた。

リンちゃん共々朝まで熟睡モードに突入し、4日目はこれにて終了。



               -------(後編に続く)------



*このレポートはリゾカジ.SNSの日記を転載したものです。


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