バカラ必勝コラム 「ひよったら負けだ!!」

ちくわのゲーミングエッセイ・バカラ
*この記事は、casino japan誌に掲載されたものです。

6.バカラにもマナーを。(やってはいけない暗黙のルールとは)

ラスベガスでの想い出

 199X年、私は彼女と二人でラスベガスを訪れた。二人で初めての海外旅行である。ハードな仕事をこなし、上司(ハゲ)に怒られる毎日に耐えることができたのも、この旅行を楽しみにしていたからだ。

 ショッピングだのグルメだの、色々と楽しい計画も立てて和気藹々な私たち。しかし、到着するやいなやVIPルームに立ち寄ったことで事態は一変する。「まだ到着したばかりなんだから」と諌める彼女に、ついつい「1000ドルだけ」と言い訳してバカラ卓に座ったものの、ものの10分で資金は尽き、さらに1000ドルの「おかわり」をした。私の対面にヒゲ面のアメリカ人が同席し、仲間4人を引き連れ酒を飲みながら打っていた。この集団の質(たち)が悪かった。他人が張ると文句を言いながら逆を張り、勝つと、そらみたことかと話しかけ、負けるとテメーこのやろう的な態度で迫る。無視して勝負に集中しようと思うのだが、なかなかベットしないので気になってしょうがない。ディーラーも苦笑気味だ。一緒に打っていた客は一人減り、二人減り……最後は、この集団と私達だけになってしまった。

 予想されたことではあるが、ヒゲ面は私の逆ばかりを張ってくる。そして……ヒゲ面が勝つ。流れは確実に私に悪くなっている。私は熱くなり、「おかわり」を繰り返し、ベットの額が大きくなる。そして負ける。意見が合うと、ヒゲ面は私より少ない額をベットし、「ノーモアベット」の合図寸前に私より多い額をチップに乗せる。だから私にはカードは見ることができなくなる。いくらなんでも人を馬鹿にするのも程がある! ついに私は資金のほとんど全てをプレイヤーにベットした。ヒゲ面は当然の如く、バンカーにベット。ところが、その額なんと100ドル。ミニマムである。ニヤニヤ笑いながら「キル ユー ジャップ!」と私に言った。私に配られた2枚のカードは、絵札と3サイド。これは強い。ゆっくりめくり上げると、真ん中にマークが……一つ……そして二つ! ナチュラルエイトである。これは勝ったも同然だった。彼女に微笑みかける。「俺は負けないよ」と。しかもディーラーが彼らに配った2枚のカードのうちの一枚が捲れてしまい、その一枚は絵札だった。彼らは、ディーラーに悪態をつきながらももう一枚をスクイーズ。そして「ジーザス」と叫んだ。……んどうしたか? 早く見せてよ。どうせ負けてるんでしょ。ふふふ。私は早く配当を手にしたくて気がはやる。

 ヒゲ面は絞り終えた。そして私を見て、手をピストルの形にして「BANG!」と言った。ヒゲ面が投げたカードは9。ナチュラルナイン。彼らは大笑い。私達は資金のほとんど全てを小一時間で失った。悔しくて、何か一言言ってやろうと「リ、リメンバー パールハーバー!」といってやった。日本語の「覚えてろよ!」と言いたかったのだが・・・ちょっと間があって更なる大笑い。ディーラーにまで笑われ、彼女は私を「バカ」と面罵し、一人立ち去ってしまった。私が英会話学校に通う2ヶ月前の話だ。

バカラ暗黙のルール

 以上、相手の挑発に乗り、熱くなってしまったがゆえに負けてしまった私の体験談である。質(たち)の悪い客とのプレイはぜひとも避けたいものだが、己の態度にも常に気を付けたい。バカラの世界には「やってはいけない暗黙のルール」がある、と私は思っている。なぜ、ルールなのに「思っている」なのかというと、そんなのはどこにも書いてもいないし、決められている訳でもないからだ。しかし、それは他人様にぶつかってしまったら「ごめんなさい」と謝りを入れるようなもので、普通に考えれば至極当然な事なのだがバカラ卓では熱くなって、このルールが破られる。よくあるのは「呼び込み」だ。相手に勝ちたいからと言って、「コン、コン!」と叫んだり、「アボジ!」と叫んだりするような行為。対ハウスのようなワンサイドの勝負なら構わないが、相手がいる場合はマズイ。自分がタイを欲しているからといって、タイになるカードを叫ぶのも好ましくない。

 また、カードを必要以上に長く絞ったり、負けたからといって破いたりするのもマナーが悪い。また絞った後にディーラーにカードを投げつけたりする輩もたまに見かける。ディーラーだって人間である。カードが悪いのは自分のせいではないのにこんな悪態をつかれては腹も立つだろう。バカラは人間性が出る。時には卓上で闘争のようになることもある。そんな場であっても、どんなに負けがこんでも楽しい博打を打っていられる……そんな人に私はなりたい。

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