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済州島でのカジノ売買に見るゲーミング市場のトレンド

2016/ 07/ 29

フィリピンのブルームズベリーリゾートは先日、昨年買収した済州島のカジノをマカオのジャンケットオペレーターに売却したが、この動きにはゲーミング市場における2つのトレンドが反映されている。その1つは、韓国のゲーミング市場への国際的な投資意欲が上昇から下降へと転じたことである。昨年頭には、アジアを席巻する韓流ブームで韓国を訪れる中国人旅行者が増加、既にインチョンや済州島では海外のカジノオペレーターや企業が次々と大型のIRプロジェクトに取り掛かっていた。しかしその後、流れに変化が現われた。30社以上もが興味を示していたあるプロジェクトには、実際の入札はわずか2社で、そのうちアメリカの部族カジノであるMohegan Sun1社のみがライセンスを与えられたのだという。加えて、昨年5月のMERS(呼吸器系疾患)騒ぎや中国国内でのカジノへの違法勧誘行為で韓国の代理店が摘発された影響もあり、今年の韓国カジノのVIP売上は昨年比4分の3に落ち込んでいる。韓国政府が自国民に制限付きカジノ利用を認めるのではないか、とのオペレーターの期待が今だ実現されていないこともマイナス要因の一つとなっているようだ。一方、カジノを買収したIao Kunの動きは、マカオのジャンケットオペレーター達が「マカオのVIP市場頼み」からの脱却を目指す流れを象徴している。マカオ政府の規制強化、中国本土での不正取締り強化、VIP客からの売掛金回収トラブルなど多くの問題を抱えるジャンケットオペレーターにとっては、VIP客を自らが所有するマカオ以外のカジノへと誘導することができるならば、その方が都合が良いということなのだろう。 By Resocasi.com