リゾカジ カジノレポート

新年快楽2013!(後篇)

* マカオ 2013/ 03/ 19 Written by マカオの帝王

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■ 1月5日(土)

12時にロビーで、前日に大阪からピーチ航空の深夜便を利用し、香港経由でマカオ入りしたIさんと会う。
夜はサウナで仮眠したとのこと。

本日はバカラのことは暫し忘れ、BJオンリーのIさんに合わせて運試し……

程々のミニマムで、当方(3ボックス)、リンちゃん(1ボックス)、Iさん(2ボックス)の3人でテーブルを占拠出来るところを探し、カジノをホッピングする。

MGMを覗くが、時間が早いからか誰もいない。

仕方なく、隣のスターワールドに行くと、ここのミニマム300の卓で、ディーラーが暇そうに客待ちしているのが目に入る。

歩き回るのにも疲れたので、右側からIさん、リンちゃん、当方と座る。

バイイン2万3千$(内、3千$はリンちゃんの分)で3ボックスに400、600、千と張り、“帝王式”ブラックジャック開始!
(尚、Iさんは300~700$、リンちゃんは全てミニマムベット)

ディーラーは6なので、全員手札は今一つだったが、とにかくオールステイで一同バストを願う。

6+4+4+8=22

一瞬、やられたと思ったが、良く見るとバストだったので、幸先良好。

「全部勝ったから、今回の爪楊枝は2本だかんね♪」と愉しそうなリンちゃん。

その後も暫くはディーラーのバストが続き、“自動爪楊枝取り出し機”もフル回転の状態となる。
当方単独の勝ちが2万$を超え、リンちゃんのボックス単独の勝ちも約3千$、それに加えて爪楊枝分として途中で清算した分が約2千$と、愉しい状態が続く。
(因みに、Iさんのボックスは何故か今一つで、チョイ勝ちに留まる)
但し、それを後ろで見ていた中国人の若い男が、“これは勝てる”とでも思ったのか、右端に割り込んで来てから流れが変わる。

何故か急にディーラーが20、21、BJを連発し始め、あっと言う間に原点近くに叩き落とされる。

中国人の若い男はプイっと何処かに消えた。

Iさんのバイイン分、約8千$が溶ける。

「僕はこれで一旦終了します」とIさん。

「アナタ、どうする?」とリンちゃん。

リンちゃんには休憩するよう告げ、元手(2万3千$)と爪楊枝清算分を除いた本日の勝ち分の2500$を、500-500-500-1000と4ボックスに張る。
どれも今一つ(18以下)だったが、ディーラーが5からバストしダブルアップ。

リンちゃんが爪楊枝を4本取り出す。

『まずは良しだ……、次も全部勝ったら、ジャスト1万の勝ちで終了とするか?』

そんなことを考えながら、再び4ボックスに、500-1000-1500-2000と張る。

ディーラーのフェイスカードは同じく“5”。

当方の手札は右から順に、17-18-19-20とだんだん強くなる。

『良し良し、何とかラストの20は勝っただろう……』

しかし、現実は厳しかった。

ディーラーは、5+5+A=21!

『やられた! まったくもう、“551(ゴーゴーイチ)”は難波蓬莱の豚まんとアイスキャンディだけにして貰いたいものだ……(大阪人限定ネタ)』

溜息をつきながら席を立つ。

スターワールド内の中華レストランで一旦休憩。

その後、リンちゃんはグランドリスボア内の高級SPA:クラリンスで顔とボディのフルコース、当方とIさんはロイヤルホテル近くのローカルタイ料理屋へ。

Iさんと20年前の香港駐在時代の思い出話をしながら、昔と同じ“味付けそぼろ牛肉?”を白飯にまぶした定番メニューをビールと共に食べる。

食事後、Iさんは疲れたからと宿(カーサリアル・ホテル)に戻る。
当方はグランドリスボアへ。

待ち合わせは8時にグランドリスボア5階にある高級SPA(クラリンス)の入り口だったが、それまでに少々時間があった。

『確か、手元に軍資金が有り、目の前にカジノが有り、例え僅かでも自由な時間が有る場合の“クラブ・スコーピオン”の掟は一つ、“打つべし、打つべし、打つべし”だったな? 会長としてその掟に従うとするか……』

徐に席に着き、取り敢えず1万$をチップと交換する。

5千$をバンカーに張る。

プレイヤーが6なのを確認してから絞る。
絵札と3ピンで一つ付く。
あっさりとチャーシューで勝利、4,750$を受け取る。

続いてバンカーに4,700$を張る。(50$は予備としてプール)

いきなりプレイヤーのナチュラル9で戦意喪失、負ける。

次もバンカーに5千$を張る。

数字は忘れたがあっさりと勝つ。

けれども、その次のバンカーに張った4,700$は、これまたプレイヤーのナチュラル8の前に粉砕される。

その後も、BPBPとテレコが続く。

『この席に座って、ここまで4勝4敗、浮きは端数分の50$×4=200$か……、何とも効率の悪い。もし素直にテレコに張っていたら……、だが、それは考えないことにしよう』

時計を見る。

そろそろ約束の時間だ。

これが最後! とバンカーに5,200$をベットする。
プレイヤーは3、バンカーも絵札と“ガッタウ(真ん中が尖っているカードのこと。つまり、2若しくは3)”で絵に成らず、放り投げると3だった。

『3枚目勝負だな……』と思いつつ、プレイヤー側でカードを絞っている若者を見ると、何やら苦しげな様子……

『これは3ピンだな……、7でも良いが、どうせなら8で決まれ!』

どうやら、一つ付いたのだろう……、既に若者に勝利は無く、残るは8での100%の敗北か、7での92.3%の敗北(双方バカラ=0となる引き分けの可能性が7.7%)という、前途に何の夢も希望も無い“絶望への航海”だけであった。

(注) 因みに、3からダイヤ以外の3ピンをサイドから絞る際、同じ向きのマークが2つある方から絞ると、一つ目が抜ければそれは6で確定(時々、カードの構造を良く理解せず、二つ目も抜かなくちゃ! とばかりに気合いを入れて絞っている人を見かけるが、ダイヤ以外の場合は時間の無駄なので辞めて欲しいものだ……)なので重畳だが、一つ目が付いた場合は上記のような、“絶望への航海”が待つのみとなる為、当方は常に反対側から絞るようにしています。 この場合は、一つ目が付いた時点で、8が確定(=即死)する訳だが、それを堪えた場合は6(=9で天国)、若しくは7(=0で地獄)となり、バカラの醍醐味をたっぷりと味わうことが出来るので、お試しあれ。

溜息と共に若者がオープンしたカードは7であった。

何とか即死は免れたものの、生命維持装置に繋がれたのも同じ状態の相手に引導を渡すのに、気合いを入れて絞るのも大人気無いと思い、ディーラーにオープンを促す。

サクッとディーラーがオープンしたカードは8で有った。

『ふぅー! 危なかった。もし自分で絞っていたなら、嫌な汗をかかなきゃいけないところだったな……、まぁ良い。兎に角5千$は勝った。 一先ずこれで良しとしよう』

5階のSPA(クラリンス)に向かう。

顔とボディのフルコースのマッサージを受けて、すっかりご機嫌のリンちゃん♪

さて、勝負の時間だ。
移動するのも面倒なので、グラリス内のBJ台に座る。

当方が左端の3ボックス、リンちゃんが真ん中の1ボックスで、ミニマム200$の台で、200-400-600-1000を基本とする変則帝王式BJスタート。

間に“自動爪楊枝取り出し機”を鎮座させ、個々の勝負で少しでも勝てば1本、全ボックス勝てば2~5本の爪楊枝をリンちゃんに渡し、それが10本単位で集まったらキャッシュと交換しつつ勝負は進行していった。
(全般的には一進一退で、ややプラスといったところ……)

そうした中、“事件”は起こった。

マカオ人の中年女性マネージャーが、当方とリンちゃんの間の、勝負毎の爪楊枝の遣り取りに対し、何やら中国語でクレームを吹っかけてきたのである。

「XXX、XXX!(こらこら、そこの小姐! その妙な爪楊枝を卓上で遣り取りするんじゃない!」

これは想像だが、勝つ度に何本かの爪楊枝がリンちゃんの元に移動し、時々それが10本単位で当方の手元に戻る様は、所謂一つの変則的な“カードカウンティング”と見えないことも無い、とは思う。けれども、エンドレス・シャッフル・マシーンを相手に、昔より小さなレンジの張りでプレイ中に、チップの山でも築き上げているのならいざ知らず、殆どトントンの状況下で、怒らせると鬼より怖い“澳門女王”に対し発せられるべき言葉では無かった。

「XXX、XXX!(ちょっと、アンタ今何言ーた! ワタシのことを“小姐”てゆーたよなぁ? そんなこと、アンタに言われる筋合いは無いわ! それと、爪楊枝が卓上にあって何が悪い?)」リンちゃんが切れた。


閑話休題;一般的に香港・マカオ人は、本土の中国人を馬鹿にする傾向があります。特に、当方のような一見小金持ち風?の中年日本人男性に連れ添う、リンちゃんのような若い?本土の中国人女性に対しては、冷やかな態度をとるケースが多いような気がします。

「XXX、XXX!(“小姐”は“小姐”でしょ!・・・【解説:“小姐”には単に未婚と思しき女性全般に対する呼びかけと、水商売などに従事している“お姉さん”に対する蔑称との、二通りの意味があります】、それから、数を数えるようなものを卓上に置くのは、上からのお達しで禁止されているのよ!)」と中年女性マネージャーが反論する。

「XXX、XXX!(ほぉーそうかい、もうアンタじゃ話にならん! ごちゃごちゃ言わんと、今すぐここに責任者を呼んで来い! 目の前で電話して! イ・マ・ス・グ……分-かったなぁ?)」
氷の微笑を浮かべるリンちゃん。

渋々電話で連絡を取る女性マネージャー……
こうなるともうプレイする気になれず、甘ったるいアイスコーヒーを飲みながら“責任者”の現れるのを待つ。

そして、引きつった笑顔を浮かべながら、“責任者”と思しき中年のポルトガル系マカオ人男性がリンちゃんのリクエストに応じてやってきた。

まず最初に女性マネージャーから広東語で事情聴取した後で、リンちゃんに対し北京語で謝罪、その後に当方に対し同じ内容を英語で伝える。

以下、翻訳・・・

≪ふんふん、成る程、大体分かった、まぁ、確かにウチにはカードカウンティングは認めないという決まりはあるけど、今回のような“爪楊枝”はそれには該当しないんじゃないかな? とにかく君も反省なさい。それから、あぁー、リンさんでしたか? 不愉快な気分にさせたことは謝罪します、後、お隣のミスター……、どうでしょうか? このリスボア内で使用可能な“飲食券”を進呈しますので、それで気分転換をなさっては……≫

手渡された“飲食券”を見て呆れる。

『最低でも千$! と思ったが、たったの200パタカとは……、その上良く見ると有効期限が“2012年2月末”ではないか! まったくもぅ……』

有効期限の訂正を求めると、慌てて書き直した“飲食券”をくれる。(但し金額は同じ)

興ざめしたので、家(メトロパーク・ホテル)に帰り、眠りにつく。


■ 1月6日(日)

10時過ぎに起きて、11時に世界遺産のセナド広場へ行く。
リンちゃんはビデオカメラを回して、撮影に励む。
お決まりのエッグタルトを食べ、ついでにモンテの砦の前で記念写真を撮る。
12時になる。
ちょうど1時間で今回のマカオ遠征唯一の観光終了。

ブラブラ歩いて、マカオ唯一?の総合デパートである、“八佰半”に向かう。

昨日、リンちゃんがグランドリスボア内の高級SPA“クラリンス”で店の人に勧められたという、大人ニキビに効果のある化粧品を探す。

1階で発見、早速購入する。

その後、徒歩でグランドリスボアの中華レストラン、「エイト」に向かう。

Iさんも程なく現れ、食事が始まる。

鱶ヒレや鮑のような高級食材やワインを頼まず、点心/チャーハン/野菜にビールという、店にとってはうま味の少ない注文に徹した上(お味は大変素晴らしかった)、支払いは昨日獲得した200パタカのお食事券と、マカオパタカの現金という、これまた店にとっては有り難くない組み合わせで“マイタン”を済ませた為か、ウェイトレスは最後まで無表情だった。

Iさんは手持ちの香港ドルが無くなったので一旦銀行に行くとのこと。
互いの健闘を祈りつつ別れる。

実質最終日の、恐らく最後となるBJが始まる。
しかし、昨日からの負の連鎖は止まらず、ズルズルと沈む。

リンちゃんの監視のせいで、張りが抑えられているので損害は少ないとはいえ、当初のバイインの2万$は徐々に削られ、マイナスが1万$に接近する。

思うように勝てない中、ディーラーがローカード&当方が12~16でオールステイ、といったケースで、ディーラーのフェイスカードが“4”、お次は“8”、のような場合、左手にお守り代わりのグランドリスボアを模ったミニチュアキーホルダーを握り締め、絵札が来るのを祈りながらポーカー用の金属性カードガードに叩きつけるという、当方にとっての“儀式”を行う訳だが、(絵札若しくは10なら勝利で終了、5から9なら敗北でこれまた終了だが、1から4の場合は繰り越しとなる為、夏場だとまさに“手に汗握る”場面となる)それを何故か男性マネージャーが疑わしげにじっと見つめる。

そうした中、今回の遠征中2度目の“事件”は起こった。

珍しくディーラーが“2”から素直に絵札2枚でバストし、ほっと一息付きながら昨日お墨付きを頂いたばかりの“爪楊枝”をリンちゃんに進呈していると、今度は男性マネージャーが当方に対し英語でクレームを吹っかけてきた!

「XXX、XXX!(すみませんが、その左手に持っている“Electric goods” を見せて下さい。当カジノ内ではそのような電子機器類を用いてプレイすることは許可されておりません。」

これには、当方が切れた。

「君はこのカジノに何年勤めている? 1階の土産物売り場で、このグランドリスボアを模った、そっくり同じキーホルダーを78香港ドルで売っているのを見たことが無いのか? さぁ、その目でじっくりと見てみるが良い! このチャチなキーホルダーの一体何処に“電子機器”が内蔵されていると言うのだ!」

当方が差し出したキーホルダーを、うろたえながらチェックする男性マネージャー……

どこにも、自分が言うところの“電子機器”が内蔵されていないことを確かめた後で、間が悪そうにボソボソと、「あぁー確かにミスターの仰る通り、問題は無さそうです……ただ、これはカジノの定めたルールに則って、皆様にご協力頂いている次第でして、そこのところをご理解願いたく……」

リンちゃんが、「もう止めよう」と腕を引っ張る。

「もう説明は不要だ! BJはこれで終了! さぁ、行くよ!」

マイナス1万$で店仕舞いを決意し、席を立つ。
取り敢えず、リスボアの皇牌天下(エリートルーム)に向かう。

ビールを飲みながらスタッフを呼び、現時点で頂けるセカンドバイイン分の賞品(ノンネゴチップで追加のローリングを行った際、1%のキャッシュバックの他に基準額を超えた際貰える“おまけ”のようなもの。スワロフスキーのボールペン、マカオ → 香港のフェリーチケット、八佰半百貨店の買い物券、リスボア又はグランドリスボアの宿泊券、等、いろいろある)を確認する。

どうやら、八佰半の買い物券(800パタカ分)と交換出来るそうだ。
受け取りにサインし、100パタカの買い物券8枚を受け取る。

有効期限が2013年末と結構あるので、無理に使うこともないかと思ったが、そうは問屋が卸してはくれなかった。

「アナタ! 今からもっかい八佰半へ行って買い物よ!」

気乗りしないまま、徒歩で八佰半へ移動。

食品売り場で正体不明のソーセージと、何やら辛そうな調味料をしこたま買い込むリンちゃん。

こんな物が、果たして税関を通るものか不安であったが、リンちゃん曰く、
「大丈夫! 今まで何度も中国で食料品を買い込んだことがあったけど、一度も注意されたことは無い! オーケーよ!」

それ以上何も言えなくなり、買い物を終了し、八佰半を後にする。

一旦ホテルに戻り、荷物の整理をし、最終決戦の場である皇牌天下(エリートルーム)へ向かう。

スタッフを呼び、3万$分のローリングを頼む。

殆どの日本人は今朝帰国した、とのこと。
(明日から正月休み明けなので、当然か……)

閑散とした部屋の中、初日に勝った禁煙台に座る。
勿論、隣にはリンちゃんが……

チラッと罫線を見ると、ここまで全体の70%程が青(=プレイヤー)で埋め尽くされている。

不吉だ。

けれど、一旦座った以上、勝負するしかない。

リンちゃんに5千$、自分の手元に2万5千$を置き、最後の勝負がスタートした。

まずはバンカーに3千$をベットする。

ハウス・プレイヤーがあっさりナチュラル9を出し負ける。

続けてバンカーに3千$をベットすると、「アナタ! この台はプレイヤーが強いの台よ! だからプレイヤーに賭けるは良いけど、バンクに賭けると負けるよ!」と言いながら、リンちゃんがプレイヤーに千$をベットする。

結果はリンちゃんの予言通り、又もプレイヤーのナチュラル8!

その次もバンカーは4で、あっさりとプレイヤーの5に条件で負けた。
(リンちゃんのプレイヤーへの“保険”は2千$にアップされていた)

「どうして負けると分かっているバンクに賭ける? どうして?」とリンちゃん。

「どうしてって言われても、これが今までこのマカオで23年間続けてきたやり方だからさ。 プレイヤーで勝っても嬉しく無い。バンカーにベットし、自分で絞って負けるならそれで本望だ!」と反論すると、
「分からなーい! 負けて何が愉しい? そんなに捨てるお金が有るのなら、ワタシに下さい!」とリンちゃんが言い返す。

その後もプレイヤーの圧倒的優勢の下にシューは進んだが、常にリンちゃんがプレイヤー側に“保険”を賭けるので、損失は余り発生せず、ノンネゴチップのローリングが進んだ。

途中で何度もスタッフを呼び、無意味なローリングを繰り返す。

自分の財布から出たお金が原資のノンネゴチップが、ほぼ毎回バンカーとプレイヤーの双方に同額ベットされるという“未体験ゾーン”に対し(余りにもプレイヤーが強いので、リンちゃんの“保険”がバンカーと同額までは暗黙の了解でOKとした。ただ、プレイヤーがバンカーを上回るのだけは、足掛け四半世紀のバンカー派としての意地で認めなかった)自らの“絞り”に僅かでも意味を持たせる為、毎回“バンカーペア”に少額ベットするも、一度も獲得出来ない(プレイヤーのペアは何度か出た)内に、序盤の負けと時々勝つバンカーのコミッション分のマイナス(約2万$)でラストゲームを迎える。

残ったノンネゴチップは2,300$。

『バンカーペアに300$、残りは当然バンカーに……』
とバンカーに千$のミニビスケット2枚をベットすると、リンちゃんの手が伸びてきてその内の1枚をプレイヤーに置き直す。

『それじゃ意味が無いんだよ!』と、ノーモアベットの鐘が鳴る直前にプレイヤーに張られた1枚をバンカーペアに移動する。

今遠征で最後の勝負となるバカラのカードが配られる。

先ずは“足”の確認。

共に“足”は有った。
兎に角、ペア成立の為の、最低限の条件はクリアした訳だ。

ディーラーにプレイヤーのカードのオープンを促す。

(これ程、相手のカードをどうでも良いと思ったことは初めてだった……)

愛想のないオバちゃんディーラーがサクッとオープンしたのは絵札と9で有った。

この瞬間、本線の勝利の可能性は消えたが、まだ望みは有った。

まずは1枚目のサイドの確認。
4サイドだ。

次に2枚目。

ゆっくり時間をかけ絞る。
同じく4サイドだ!

喜びも一瞬、良く見ると共にスペードであることに気が付き、やや暗い気分になる。
(同じスーツだと、このバカラというゲームが、限られた8組のカードの組み合わせによる従属事象の下で行われる為、ペアが成立する確率が若干下がることによる)

普段なら、手元の2枚が共に4サイドの場合、まずは1枚が“9”であることを祈りつつ、それが“10”だった場合に2枚目に運命を託す訳だが、この場合は“9”でも“10”
でも同じな為、違和感を覚えつつもそのまま絞り続ける。

結果は“9”であった。

意味は無いのだが、長年の“性(さが)”で何となく嬉しかった。

続いて2枚目に取り掛かる。

同じスペードなので、確率的には良くない筈であったが、感覚的にはほんの数分前と同じ4サイドを絞っている為、何となく同じ“9”が姿を見せるような気がしていた。

まるでビデオカメラの再現シーンを見ているかのように、向きまで同じのスペードの“9”が現れた。

「アナタ! どうなった?」とリンちゃん。

「うん、負けたけど、勝ったよ」と、訳のわからない返事をする。

本線のチップは回収されたが、対子の配当(14,300$)を受け取る。

良い仕事をした、生き残りのノンネゴチップ(1,300$)は、その後隣のテーブルでリンちゃんが全額プレイヤーに張り、1勝1敗でその使命を終えた。

『それにしてもバンカー派にとっては悲惨なテーブルだったな…、席についた時はプレイヤー対バンカーの勝敗は7:3くらいだったのに、終わってみれば3:1だ! これが所謂“バンカー地獄”という奴か? もしリンちゃんの“保険”が無ければ今頃全滅で10万$近い負けになっていただろう。それを“保険”で何とかマイナス2万$で凌ぎ、最後のバンカーペアのゲットで5千$のマイナスで手仕舞えたのは僥倖だった……』

「アナタ! もう疲れた……、家(メトロパーク・ホテル)に帰えろ」

頷きながら、今回の収支を確認する。

ブラックジャック・・・マイナス1万$
バカラ・・・・・・・・マイナス1万$
合計・・・・・・・・・マイナス2万$

バカラで言うなら3サイド+2サイド
BJで言うなら絵札+ローカード

まったく絵に成らない。

(注)今回のレポートのアップが遅くなった主な原因はこの辺りに有ります。とは言え、最終日にまだ戦える軍資金が有り、出発までまだ時間も有る、といった状況下で手仕舞った経験が無い為、なかなか席を立つことが出来ない。

取り敢えず、スタッフにプログラムの終了を告げ、きっかり47,600$を渡し、1万円=850HK$の交換レートでホールドしていた福沢諭吉56枚を解放する。

まだ3万$有る。
普段なら最後にもう一勝負するところだ。

けれども、ここでリンちゃんから厳しいお言葉が飛んで来る。

「アナタ! もしさっき、ワタシの言う通り、全部プレイヤーに賭けていたら、今頃エルメスの鞄が買えていたわ! それを妙な意地でバンクに賭けて、それを続く続くして、勝手に負けて、もう知らない! これ以上バカラをするのなら半分ワタシに頂戴!」

これは苦しい!

3万$(現状)→ 5万$(何とか成るかも?)
3万$(現状)→ 1.5万$(リンちゃんに半分上納) → 5万$(絶対無理!)

バカラを断念する。

最後に“泣き”で、帰国後に今月が誕生日のリンちゃんに、バースディ・プレゼントとして最新型の医療用電動マッサージ・ベッド(36万円)を贈ることを条件に、スターワールドで1万$だけポーカーのリングゲームをすることを認めて貰う。

ブラインドとして、手頃な25$-50$を希望するが、待ちが7人!

一向に減らないので、仕方なく50$-100$の卓に、バイイン1万$で入る。
久しぶりのマカオでのポーカーで、感覚が戻るまでに1,500$ほど削られる。

前のプレイヤーの肩越しに『さっさと終われ!』とばかりにこちらを睨むリンちゃんの姿が目に入る。

そうした中、♠5 ♣5が入る。

二人がコールし、どうしたものか……、と考えていると、前方の香港人ぽいメガネをかけた若者からレイズ(千$)が飛んで来る。

降りても良かったのだが、何となくポケットでは無いような気がして、これをコールする。(AK上等!)
他は皆降りて、ヘッズアップとなる。

フロップ;♠A ♡A ♡5!

フロップ・フルハウスが完成する!
ポーカーの神様に感謝しつつ、相手の出方を見る。

ここで若者は2千500$をベット。
お付き合いでコールする。

ターン;♣K (若者の目が一瞬輝きを増す)

これを見て若者が約7000$のオールイン!

カバーされているので、選択肢としてはコール(オールイン)若しくはフォールドの二つに一つとなる。

『これが、所謂運命の“RIVER”と言うやつだな……』

AKB48の曲が脳内に流れる。

若者が上のフルハウスを完成させている匂いが充満してくるが、AQ、AJ、AT辺りの可能性も大きいだけに、ここまできてフォールドは出来ない。

クライング・コールする。

その瞬間、若者が♢A ♢K をテーブルに叩きつける!
(最強のフルハウスである)

お付き合いでこちらも5のポケットをオープンする。

『やっぱり! こうなると、残されたアウツは一つ、♢5を引いて5のクワッドを完成させるのみだ……、“Give me Five ! ”』

脳内のAKB48の曲が切り替わる。

ディーラーがゆっくりとリバーカードをオープンする。

赤いリャンピンが目に入り、一瞬喜ぶが良く見るとそれは ♢4 であった。

脳内コンサート、これにて終了。

BJ、バカラ、ポーカー、全て1万$のマイナスとなり、なんとも、“ヤオイ=「ヤマ(山、山場)、オチ(落ち)、イミ(意味)が無い」”結果で、まだ軍資金を残しながらプレイを終了し、リンちゃんとホテルに戻る。

朝目覚めると、枕元に何やらプレゼントらしきものがある。

「おはよー! これは昨日の夜、アナタがポーカーしている間にウィンの名店街で買った、前からアナタが欲しがっていたダンヒルのお財布よ。ワタシからの誕生日プレゼントだから、大事に使ってね♪」

確か値段は約3千$だった黒い長財布だ。

『思えば、今使っている同じダンヒルの長財布はかれこれ20年になる。長い付き合いだったがあっちこっちが擦り切れてきた……、そろそろ年貢の納め時だ。この新しいリンちゃんからのプレゼントの財布(元手が当方からの爪楊枝であることは一旦忘れる)の値段が十倍の3万$だったと思うことにしよう。これからこの財布を20年使うとして、今度はどんな物語が待っているのかな?……』

オープン化されたリゾカジSNS上では、これから様々な書き手による、圧倒的な大勝利/乾坤一擲の大勝負/奇跡の大逆転/致命的な敗北、等の血わき肉躍るレポートが続々とアップされることだろう。

それらに比べると、何ともささやかな“落ち”に、微かな“意味”しか込められなかったが、これをもって2013年最初のマカオ遠征報告は終了としたい。

お後が宜しいようで……

(完)


*このレポートはリゾカジ.SNSの日記を転載したものです。


このReportへのコメント(全 2件)

2013/03/21(Thu) 19:23

ひよーる

マカオの帝王さん、こんにちは!

後編も早速楽しませてもらいました♪

確かに、いつものマカオの帝王さんのレポートに比べると、ドラマチック感は抑え気味という印象はありましたが、バカラでの1300HK$対子ゲットなど、しっかり見せ場もあって、さすがです。それも、リンちゃんが居てこその展開だったり、金額の多寡ではない味わい深さを感じさせられました。
(「麻雀放浪記」から「新麻雀放浪記」への移行のような・・・)

今後の展開も楽しみにしております!

それはそうと、マカオのBJではカウンティングは実質意味無いとはカジノ側も分かっているだろうに、何らかカウントする行為に対してはイチャモン来ますね。昔からの習慣で、カジノやディーラーは生理的に受け付けないのでしょうか。
こちらとしては、堂々と記録付けたいな、と思うのですけど。
(頭の中に記憶容量が乏しいので(^^;;)

それでは。


2013/03/22(Fri) 01:27

マカオの帝王

ひよーるさん、こんばんは!

一人だと勝負に出る場面で、ついつい“ひよる”結果になってしまいました。

爪楊枝ですらNGな訳ですが、こうなるとテーブル上でカジノが認める唯一のモノ(=チップ)を用いるしか、手がありません。

昔は、端数の50$チップを余分に両替し、BJが出る度にそれを1枚ずつ別に積んで、何回BJが出たかをカウントしたりしたことも有りましたが、余り“美しくない”ので止めました……

再見!


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