リゾカジ カジノレポート

Makati in Resort World Sentosa ①

* シンガポール 2014/ 10/ 23 Written by マカオの帝王

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■7月17日(木)

関空を定時に出発したシンガポール航空は……、と書きたいところであったが、今回は3人分の飛行機代を節約する為、ベトナム航空VN659便を利用したので、途中でTan Son Nhat国際空港で一旦降機した後に、定刻通り19時30分にシンガポールのチャンギ国際空港に到着した。

今回は当方にとって25年振りのシンガポール、そして初体験の“ファミカジ”である。

シンガポールにカジノが出来たのは知っていたが、今までただの一度も足を運んだことは無かった。

その理由は;早い・旨い・安い、である。

① マカオの方が早い・・・・移動距離が短いので、早く着く → 長時間プレイ出来る。
② マカオの方が旨い・・・・食事が美味しい、和洋中と選べる。
③ マカオの方が安い・・・・エア代、ホテル代、為替レート、等何でも安い、様な気がする。

なので避けていたのだが、今回海の日にシンガポール遠征を決めたのは;

① リゾカジのオフ会が開かれる。
② ポーカーのトーナメントが開かれる。
③ リンちゃんからの強い要望・・・(何でも、シンガポールに旅行に行った女友達から、散々自慢話を聞かされたので、それに対抗する為、ワタシも是非とも行かねばなりません、のだそうだ……)

が主な理由である。(③が一番かも……)

まずは空港でレートを確認する。

リゾカジの2万シンガポール$(約170万円)のプログラムに今回は入った為、空港には出迎えが来ていた。
クルマに乗り込み、煌びやかなビル群を眺めながら、一路リゾート・ワールド・セントーサへ向かう。

今回の宿泊先は、ファミリー向けのフェスティブ・ホテル。

部屋は3人用(大人2名+子供1名)として、ダブルベッドが一つと、ロフト風の小部屋が一つ有り、リンちゃんの子供(チカちゃん)も満足そう。

チェックインした後、チカちゃんには部屋で待機するよう言い含め、リンちゃんと二人でカジノへ向かう。

まずは長い長いエスカレーターを下り、まるで地獄の入口のような(というより、ここはそれこそ人間世界の地獄そのものかも知れない訳だが……)ところに、RWSの入口は有った。

パスポートを見せ、ゲートを通る。

どうやら、メンバーズ・カウンターは2階らしい。

2階に昇るとそれらしきカウンターを発見。

パスポートと現金(170万円)を預け、顔写真を撮影し、待つこと10分、ゴールドのメンバーズカードが発行された。(同伴者用としてリンちゃんにも)

ノンネゴチップ:2万S$を受け取る。
何だか安っぽい……。

兎も角、それを握り締め、カジノに突入!

まずはVIPフロア内をグルッと一回りするが、何故かこの時間なら何人かは必ずいる筈のリゾカジメンバーも、大阪のポーカー関係者も誰にも会わない。

おかしいなぁ……、と思いながら、兎に角バカラ卓に座ると、ミニマムが500S$と結構高額である。
別にそれでも構わないのだが、メンバーズカードを出し、当方が日本人だと分かると、ディーラーのお姉さんから、「日本人の方は皆さん、奥のM22の部屋に集まっていますよ」と告げられる。

道理でおかしいと思った……、と席を立ち、奥の部屋の扉を開けると、リゾカジ&ポーカーでの顔見知りが大勢、4卓あるバカラテーブルで、それぞれ思い思いにプレイの最中であった。

ミニマムは手頃な200S$。

『ふぅー、ようやく辿り着いた。マカオと比べるとやっぱりシンガポールは遠い。特に今回のように経由便だと、マカオの3倍は時間がかかるなぁ……』

そんなことを考えながら、初手;500S$をバンカーにベットする。

ハウス・プレイヤーとなった中国系の女性ディーラーが、自分のカードを伏せながら確認してくるが、面倒くさいので最初にはっきりと、
「自分がバンカーのベット・オーナーの場合は時間短縮の為、常に2枚とも即オープンすること」と告げる。

その言葉に従い、サクっとディーラーがオープンすると共にピクチャーの0。

何となく、しっくりこないカードだったが、バンカーは絵札と3ピン。

ぎりぎりと斜めに絞ると、二つ付いてナチュラル8で勝利!

配当の475S$を受け取ると、隣のリンちゃんから、
「アナタァ! 爪楊枝を忘れないでね!」と言われる。

そこから、毎回100S$ずつベットを増やすことにする。

B、B、B、B、B!

600$ → 700$ → 800$ → 900$ → 1,000$といきなりバンカーの6連勝である!
取り敢えず、初日はバカラで5千シンガポール$勝てばOK! と考えていたのだが、いきなり目標まで後一勝と迫る!

まさに疾風怒濤(シュトゥルム・ウント・ドラング)であったが、ここで横のリンちゃんから、「アナタァ~、ワタシの爪楊枝忘れないでね。それと、今回、シンガポールでは一本幾らぁ?」と声が掛かる。

「幾らって、25HK$≒4S$ なのだから一本4S$だよ」と答えると、

「4ドル! 駄目ダメ、4は数字が悪い! 5ドルね、消費税も上がりました、爪楊枝も上がりまーす♪」とリンちゃん。

何となく押し切られ、5$×6=30$を 毟り取られる。

口切りからのバンカーの面を見て、ポーカー大会の為に参加した、大阪のポーカー・プレイヤーのSさんがバンカーに500$バックベットしてくる。

『うーん、ちょっとバンカーが重たくなったな……、こんな時のハウス・プレイヤーはどういう訳だか強いんだよなぁ……』

7目め、これに勝てば5,000$突破であったが、予想通りプレイヤーのナチュラル9で負ける……

この時、何故だか分からないが、今回のシンガポール遠征での勝ちのピークが“今”過ぎ去ったような気がした……

その後は勝ったり負けたりで、ノンネゴチップのローリングはサクサクと進むが、勝ちは徐々に減る。

結局、ローリングが終了した時点での、当方のプラスは僅か千$に留まった。

「アナタァ、もう家(=ホテルの部屋のこと)に帰って寝よぅ~」
とリンちゃんに言われ、マカオに比べると長旅の疲れも加わり、珍しくあっさりと同意する。

キャッシャーで千$札21枚と交換するが、香港$の6倍のバリューがある筈なのに何だか安っぽい。
『この内、1枚は、明日の10時から始まるポーカートーナメントの予選の参加費で消える……、まぁ良いさ。戦いはこれからだ!』

シンガポールにおける“我が家”に向かい、住宅会社の昔からのテレビCMを口遊みながら、RWSにおける初戦を何とかプラスで終え、家路についた。


■7月18日(金)

今日は10時からポーカー大会の予選である。(午後にも2回ある)

この予選で、参加者の上位20%に入ることが20日(日)の準決勝進出の条件だ。

リンちゃん(+1名)は部屋で寝ているので、当方のみ早起きして予選会場へ向かう。

RWSのカジノの一番奥に、その予選会場は有った。
しかし、誰もいない。

正確に言えば、スタッフらしき若い男女が1名ずつはいるのだが、それだけである。

「確か、10時からここでポーカー大会の予選がある筈だが、どうなっているのか?」
と尋ねると、
「10時からの分は、参加者が少ないので中止になりました。午後に2回(13:30と17:00から)有りますので、それにご参加下さい」
と言われる。

『何じゃそれは!?』

と思いながらも仕方がないので、その場を離れようとすると、同じようにこの予選に参加する為に来た、京都でポーカー・バーを経営しているOさんと出会う。

「おや、マカティさんじゃないですか? 弱りましたねぇ、大きなトーナメントを主催するのは初めてらしいけど、大会のストラクチャーといい、何だか全般的にいい加減ですねぇ……」

激しく同意しながら、取り敢えずカウンターで今日の17時からの部に振り替えで再エントリーを行う。

Oさんは13:30の部にエントリー。

食事がまだだったので、レストランでワンタン麺とビールを頼み、暫しポーカー談義を行った後にOさんと別れ、フェスティブ・ホテルに戻る。

「アナタ! 早かったわねぇ。どうした?」

「どうしたもこうしたも、10時からのポーカー大会は中止だって。振り替えで17時からの部に参加することに決めたよ。それで、今からリンちゃんの行きたがっていた“Adventure Cove Water Park”に出発だ! さっさと起きて、水着を用意して、何かご飯を食べて、部屋を出て出発だ!」

当方にとって、観光はあくまでも“オマケ”であるが、例え“オマケ”であっても、観光する以上は最適のプランを立てるのが当方の“流儀”である。
この“Adventure Cove Water Park”を観光するに関しては、まさに“今”がベストであった。

今から巨大プールに行くのだから、とリンちゃんの化粧は省略。
その結果、比較的短時間で準備完了。

歩く途中で、あのニューヨーク・タイムズ紙から「世界の10大レストラン」に選ばれた台湾の鼎泰豐の支店を発見し、中に入る。
早速“秘伝のレシピに守られた台北本店と変わらぬこだわりの味”の小籠包と点心をオーダーするが、チカちゃんが8S$もする“西瓜のジュース”を頼もうとするので、「そんなものは不要。子供は水で十分」と言うとリンちゃんが怒り出す。

「何でチカちゃんが西瓜ジュースを頼んだらアカンの! バカラには一回千$も使う癖に!」

「それとこれとは別だ。この店の“売り”は何だ? 小籠包だろ? だったらそれが美味しいからもっと食べると言うのなら、幾らでも追加で買うけど、単なる西瓜ジュースに700円も払うのは勿体ない」と説明するが、納得行かない様子。

ここで横を見ると、滋賀県のポーカー&バカラの両刀使いのMさん夫妻を発見。

みっともないので、言い争いを一旦止め、世間話に切り替える。

日本でも、「餃子の王将」に良く行くが、コスト/パフォーマンス的に考えると“元祖焼き餃子”以外は凡庸なように、この「鼎泰豐」も“小籠包”以外は普通だった。

とにかく、目的地である“Adventure Cove Water Park”に到着。

大人36S$×2、子供26S$を支払い中に入る。

荷物をロッカーに入れ、水着に着替えて、まずは“Adventure River”に。

これは様々なシーンが現れる流れるプールを、浮き輪に乗って漂いながら下るのを愉しむという、何ともノンビリしたアトラクションである。

最初は馬鹿にしていたのだが、途中からこの緩さが何とも心地よくなってきた。

『赤道直下のリゾート地、その名も“リゾート・ワールド・セントーサ”の中心にある巨大人工プールで、美しい妻と可愛い娘?、に囲まれ、真夏の太陽の光を浴びながら、ユラリユラリと流れに任せて漂う……、うーん、この脱力感が何とも言えず心地良い……、このまま眠ってしまいそうだ……、これが所謂一つの“リゾ”という奴か? そして美味しく食事をし、夜になると着替えてカジノを愉しみ、フカフカのベッドでゆっくりと眠り、昼間はまた“リゾ”を愉しみ、夜にはカジノで遊ぶ……、そうか! マカオ歴25年、リゾカジのメンバーになって足掛け8年、何もかも熟知したつもりだったが、自分は何も分かっていなかった。これが真の“リゾカジ”なのだ!!』

ずっとこれでも良かったのだが、リンちゃんに促され他のアトラクションに……。

多少の違いはあったが、基本的には全て“上から下への滑り台”である。まぁ、滑っている瞬間は面白いのだが、暑い中、長時間並ぶのは退屈であることを割り引くと、コスト/パフォーマンス的には今一つであった。

一つ、毛色の変わったのでは、“ドルフィン何チャラ”とか言うのが有り、モノは試しと見に行ったところ、見るのはタダだが、触ったり一緒に泳いだりするのには、何と追加で約200S$!必要だと言われ、眠気が吹っ飛ぶ!

「アナタァ! イルカと遊ぶ、してみたいの」とリンちゃん。

「駄目なものは駄目! 200香港$でも躊躇するのにその6倍強のシンガポール$のところに、もし3人揃って参加したら約5万円だぞ!とんでもない!」と却下する。

「そしたら、今からどうするの?」

「それはぁ、さっきの浮き輪に乗ってプカプカ流されながら、グルッと一周するやつだよ。あれならタダだし、並ばなくても良いし、マァマァ面白かっただろ?」

渋々ながらOKが出たので、再度“Adventure River”へ。

そうこうする内に16時となり、水着を着替え、17時から始まるポーカー大会の予選に参加する為に、“Adventure Cove Water Park”に別れを告げる。

リンちゃんらはホテルの部屋で休憩。

当方はカジノ内のポーカー会場へ。

会場で京都のOさんと出会う。

13時半からの予選に出場して、予選突破まで後二人のところで飛んでしまった、とのこと。

このDAY1Cの参加者は45人、明日の準決勝へ参加する為には、上位9人に入る必要がある。

『トーナメントはインマネしてなんぼだ。まずは予選突破! 全てはそこからだ……』

トーナメント・ディレクターからテーブルの上にRWSのメンバーズカードを提示するよう促される。

9人中8人は赤い一般カード、当方のみバカラプログラムに参加している関係から、ゴールドのメンバーズカードを卓上に取り出す。

ささやかな優越感……
ポーカーに臨む際の当方の儀式として、新婚旅行先のパリで記念に買った、ピカピカのカードガードと、グランドリスボアのミニチュアのキーホルダーを取り出す。

こうして、リゾート・ワールド・セントーサ初の本格的なポーカー・トーナメントの予選が始まった。

持ち点は1万点スタート。

序盤戦は様子見。

生き死にの勝負は避け、小さくとも確実にポットを取り、人数が減るのを待つ。

ラウンドが進むに連れ、徐々にオールイン合戦が始まる。

45人が約半分に絞り込まれる。

こうした中、当方BBの時、♠3、♡2という、最弱のハンドが入る。

『屑手だ。けど、全員がフォールドしてくれたらSB分が貰えて儲けもの何だがなぁ……』

“あまちゃん”な心を見透かされたのか、そうは簡単にポットを取らしてはくれず、ミドルポジションの若者がコール、それに釣られてSBの中国系おっさんもコール。

当方勿論チェック。

フロップ;

♠T、♡8、♢6とレインボー

SBのおっさん、チェック。

当方ブラフで4BB打つ。(持ち点の約40%)

若者フォールド。

けれども、SBのおっさんは迷った末にコール。

ターン;
♠9
おっさんチェック。

こっちも弱いが、おっさんも弱い。(精々8以下のワンペア)

けど、最後まで行けば、当方が最弱なハンドである以上、ポットが取れないことは確実だ。

であるなら、こっちにフラッシュもしくはストレートの可能性が有ると見せかけ、その恐怖でフォールドして貰う以外に勝ち目は無い。

オールインを宣言する。
おっさん、長考に突入。

『頼む、ここは大人しく降りてくれ! アンタが勇気を見せて虎になるのは今じゃない……、猫だ、猫だ、お前は猫になるのだ!』

散々悩んだ挙句、おっさんはフォールドした。

これで一息付く。

残り16人。(予選突破まで後7人)

その後、♠K、♡Jという、中途半端な手が入る。

取り敢えずコールする。

3人参加でフロップが開く。

♠Q、♡T、♢9

いきなりストレートが完成する。(JK最強!)

当方が誘いのベットをすると、一人がコール、お次もコール、ショートの三人目がオールイン♪ という理想的な展開となる。
当然、当方もオールイン。

コールの二人はダウンしてショウダウン!

ショートは以外と強く、♡Q、♢Tのトップ2ペア!

『まさかフルハウスに昇格するのでは……』

と一瞬怯えるが、ターン、リバーとラグで当方の勝利!

これでほぼ予選突破が見えてきた。

残り12人(予選突破まで後3人)

対面の若いシンガポール人の女の子が喜びの声を上げる。

隣のテーブルでオールインが宣言される。

席を離れ高みの見物……、すると元のテーブルでもオールイン宣言!

シンガポール人の女の子は現金なもので、両方のテーブルで「ショートの人、飛んで頂戴!お願いだから、ワタシのお願い♪ お願いよ―」と絶叫する。

普通は心の中で思っても、中々口に出せないものだが、若いって素晴らしい……

まずはお隣、ショートのAK 対 チップリのQQの宿命の対決。

AもKも落ちず、QQが押し切って勝利!

女の子、大喜び!

続いて自分の席に戻ると、ここでもショートのTT 対 チップリのA9のオールイン対決。
ショートがやや有利だったが、リバーでAが落ちショートが飛ぶ。

どうやら、勝利の女神は早く予選を終わりにしたいらしい。

“飛んで飛んで飛んで飛んで……”

脳内に一発屋の古いヒット曲が鳴り響く。

お祭りムードの中、チップリがレイズ、次々にフォールドする中、ショートのBBが悩む。

すると、周囲から「オールイン! オールイン!」の声が湧き上がる!

悩んだ末に、ショートのBBがオールインを宣言する。

ショートは88、それに対しチップリは66。

シンガポール人の女の子が「6(リゥ)、6(リゥ)」と叫ぶ。

いきなり3枚目の6が落ちる。

そのまま終了。

はしゃぎまくるシンガポール人の女の子!

バブルで飛んだ一人を除いて、生き残った全員に笑顔が広がる。

明日に備え、チップカウント。

当方の持ち点は約9万点。

予選通過者の中では、ちょうどアベレージである。

明後日の14時から始まる準決勝の“SESSION CARD”を受け取り、会場を後にする。

ホテルの部屋に戻る。

「アナタ! ポーカー、どうなった?」

「勿論、突破したよ! これでもし明後日の決勝で優勝すれば約400万円、30位までに入れば、約9万円だ」

「そう! それは良―かったねぇ。そしたら今からどうする?」

「そうだなぁ……、タクシーでRWSを出て、リンちゃんが行きたがっていたマーライオンでも見物して、ついでにその辺りで晩ご飯でも食べるとするか?」

「賛成!」

話が纏まり、3人で出発!

タクシーは湾岸にある、コペンハーゲンの人魚姫の像、ブリュッセルの小便小僧と並ぶ“世界三大がっかり”の一つ、元祖マーライオンの像へと向かう。

確か25年前に仕事の関係で一度来た筈であったが、殆ど記憶に残っていないことから、その名の通り“世界三大がっかり”に相応しい代物であるのだが、ライトアップの効果か、それなりに見えたのは意外だった。

故郷の友人たちに、中国版フェイスブック上で自慢する為に、写真を撮りまくるリンちゃん。後ろに見えるマリーナ・ベイ・サンズもバカバカしくて一興である。

けれども、ここで一つ問題が発生する。

夜景は目で見る分には綺麗で良いのだが、写真に撮ると背景が暗くて良く分からない……。

「アナタ! こんなんじゃ駄目! 明日の昼間にもう一回来るのこと。分―かった?」

『一度なら我慢するが、こんな“マーライオン”の為に二度も来れるか!』と断固拒否しようとしたものの、リンちゃんの中国版フェイスブックにかける情熱の重さを考え、口をつぐむ。

『まてよ……、このままだと、シンガポールにあるもう一つのカジノ、MBSには足を踏み入れないまま日本に帰ることになる。それは残念だ。明日の昼間にちょこっとマーライオンの写真を撮った後に対岸へ渡り、MBSでショッピング……と称して当方はカジノで一勝負! うん、これは名案だ!』

リンちゃんに、明日の昼間の“マーライオン”再訪を約束し、観光終了。

湾岸のシーフード・レストランで名物の蟹料理とビールを頼む。

名物のカレー風味の蟹料理は大変美味であった。

お値段もそこそこしたが、納得して支払う。

タクシーでRWSに戻る。

チカちゃんを部屋に残し、当方とリンちゃんはカジノへ出動。
(大人の時間の始まり始まり)

日本人専用ルームの“M22”の扉を開ける。

ポーカーとバカラの二刀流の顔見知りの人達と挨拶を交わす。

リンちゃんと空いているバカラ卓に座る。

『手元には無傷の軍資金2万シンガポール$、ポーカーは予選突破、観光もここまで順調、体調も良し、やや寝不足なのと、さっき飲んだビールのせいでほろ酔い気分ではあるが、“いざ来いニミッツ マッカーサー 出て来りゃ地獄へ 逆落とし”だ!』

弛緩した気分のまま、マカオとは微妙に異なる絞りにくいカードでのバカラが始まった。

P、P、P、P、P、P

昔誰かの結婚式の際に聞いたスピーチに、「人生には“三つの坂”があります。三つの坂とは、上り坂、下り坂、そして “まさか”です。誰でも上り坂の時には、良いことがずっと続く、さらにもっと良くなる、と思うものですが、実はその時にこそ、“まさか”が忍び寄っているのです」とあったのを思い出す。

所謂一つの“バンカー地獄”である。

あっと言う間に、貴重な“イエローチップ(=5千S$)”が1枚、羅紗の海に沈む。(蒼龍、沈没)

“バンカー地獄”は終わらない。

続いてもう一枚、圧倒的なハウス・プレイヤーのナチュラル攻撃を受け、2枚目のイエローが羅紗の浪間に消える。(加賀、沈没)

その僅か15分後、3枚目のイエローも羅紗の海の藻屑となる。
(赤城、沈没)

総兵力の75%を失う。

段々酔いが覚めてくる。

『イエロー1枚は5千$、けど、これはいつものマカオの香港$じゃない。その6倍のバリューを持つシンガポール$だ。ということは、えぇ! この短時間で9万香港$以上も負けてしまった!?』

ただ一つ幸いなことに、リンちゃんはシンガポール$の交換レートをはっきりと把握しておらず、普段余り目にしない、この“5000”と表面に書かれてある黄色のチップのことを“5千円よりはちょっと高いが、香港$と一緒? ぐらいで、1枚約5万円??”とでも認識しているようで、「アナタァ……、負けてばっかりじゃないかぁ……、爪楊枝もちっとも増えない。面白うないわぁ」と“不機嫌モード”止まりなのは救いであった。

覚悟を決め、2,500$(残金の半額)をバンカーにベットする。

絵札と足が有ることだけを確認し、ハウス・プレイヤーにオープンを促す。

いきなりナチュラル8!

このまま全滅も覚悟する。

サイドを確認する。

4サイド。

何とか絵になる。

『これで負けたら“終戦”だな……』

そんなことを考えながら、馴れないカードを絞る。

真ん中に何やら“希望の兆し”が見えた。

8対9で辛くもバンカーの勝利。

ようやく“バンカー地獄”は終わりを告げ、逆落とし状態から反撃モードに移行する。(飛龍、奮戦)

1万5千S$負けから何とか半分を挽回する。

ここでリンちゃんから恐れていた質問が飛び出す。

「アナタァ、やっとちょこっと勝ち出したわね。 ところでこのシンガポール$は日本円で幾らになる?」

「えーっと、それは……、80円位かな?」

「ふーん、80円、80円……、ちょっと待って! 今幾ら負けてる? 7千$ちょっと? それは日本のお金で幾らになる!」

リンちゃん、“不機嫌モード”から“激昂モード”に移行する。

「アナタ! 60万円も負けてるじゃないか! さっきまではもっと負けてた! こんなバカラは今すぐ終了よ!”」

強制終了が宣言され、“M22”を出る。

辛くも残ったイエロー2枚(総兵力の約半分)はリンちゃんのエルメスのバッグの中に収納される。

「アナタ! どうしても何かしたいのなら、残ったお金で“ブーラク・ジャク”ね! バカラはもう終了よ!」

仕方がないので、黙って頷く。

VIPエリア内でミニマム100$のブラックジャック台を発見したので、いつもの様にサードベースに座り、残存兵力の3,000$をバイインし、シンガポールでの初ブラックジャック開始。

適当に3ボックスに、100-150-200$をベットする。

一進一退。
1本5$と決めた、リンちゃんの爪楊枝は順調に増えるが、逆に言えばそれ以外はまったく増えない。

ただ時間だけが過ぎて行く。

それはそれで良かったのだが、ディーラーから「あぁ、このテーブルはあと10分程でクローズします。ブラックジャックでしたら、下の一般フロアでプレイ願います」と告げられ、渋々手仕舞いし席を立つ。

エスカレーターで1階に移動する。

いつも馴染みのマカオのカジノはもっと明るいのだが、このRWSは何故だか全体的に薄暗い。そのせいか、当方はよく(平均すると週に約1回)カジノの夢を見るのだが、このRWSは当方の夢の中に出てくる、お馴染みのカジノに似ていた。

『中国系のディーラー達が大勢いるが、マカオじゃない。リゾカジのメンバー達も、いつもマカオで見るのとは何だか雰囲気が違う。それと、大阪のアミューズメントで良く会うポーカー関係者が、一緒にバカラ卓でプレイしているのもおかしな感じだ。リンちゃんが良く、人間の世界とそっくりだが実はそうではない世界のことを“カエル世界”と呼んでいるが、ここがそうなのかも知れないな……』

RWSの平場を徘徊する。

中々適当なBJ卓が見当たらない。

やっとサードベースから二つ連続で空いている卓が見つかったのでリンちゃんと座るが、良く見ればそこはBJではなく“PONTOON”であった。

『しまった、こんなことなら、PONTOONのことを下調べしておくのだった。確か10が無い代わりにいろいろな役が有るゲームだったな……。何となくマカオに似ているがマカオじゃないカジノで、何となくBJに似ているがBJじゃないゲームをするのも一興だ』

手持ちの3,000$を取り出し、2ボックスで初の“PONTOON”スタート!

10が無いのだから……、と親のローカードに対し、12,13でヒットするとピクチャーでバスト。
こちらのダブルはあまり決まらない。
ディーラーはなかなか飛ばない。

ベット金額は少な目なのだが、チップを削られる。

手持ち資金が遂に千$を切る。
このままでは、残り二日間の観光&食事にも支障をきたす恐れが出てきた。

爪楊枝も貯まらないので、リンちゃんから“強制終了”を告げられる。

こうして、RWS(=“カエル世界”)における二日目の夜は、ちょうど軍資金の半分のマイナスで終わりを告げた。
                          (続く)

*このレポートはリゾカジ.SNSの日記を転載したものです。


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