2014年4月12日 カジノ「バーテン・バーデン」
4月のドイツは、一年の中でも最も美しい季節である。どんよりと曇った長い長い冬を抜け出して、全ての花々が色鮮やかに咲き乱れ、木々も一斉に芽吹き、その新緑も目に鮮やかに映り出し、人々の心も表に飛び出して思わず踊りだしたくなるような、そんな季節。日本のように冬から春へと少しづつ季節が変わるのではなく、ドイツでは初春がなく一挙に本格的な春がやって来るのである。
バーデン・バーデンは庭園に囲まれているようなリゾート温泉地なので、十分に手入れがなされた庭園の芝や花々はことのほか美しい。この季節の空の色も抜けるような青一色で、町の歴史的な建物や庭園をこれでもかと映えさせている。
バーデン・バーデンの駅とカジノがあるバーデン・バーデンの町中はだいぶ離れている。鉄道駅はマンハイムとスイスのバーゼルを結ぶ幹線にあるが、ほとんどのICE(新特急)は停車しない。例外的に停車するICEも何本かはあるが、ドイツ鉄道としてはバーデン・バーデンはあまり重要視していないのであろう。まあ、バーデン・バーデンの高級ホテルに滞在する客は、余程の老齢でもない限り車でやってくるのである。
たまたま、この駅に停まるICEから降りた筆者がタクシー乗り場に向かうと、タクシーが長い列を作っていたが、乗降客の中で利用したのは、週末土曜日にもかかわらず筆者一人であった。
バーデン・バーデンの町に入ると、とにかく人で一杯。週末という事もあるのか、子供を連れた家族連れや老齢の夫婦が目立つ。木々の緑や花々に囲まれた庭園や芝生で春の訪れを楽しんでいるようで、誰もが明るい。筆者のようにこんな時間からカジノに行くのは少し後ろめたい。

バーデン・バーデンの象徴的な建物「クアハウス」。この中にはカジノばかりでなく、劇場やコンサートホール、レストランなど文化的な施設が揃っている。

バーデン・バーデン駅の駅舎。最近改装されたが、意外と地味な造り。タクシーは並んでいるが、利用する乗降客はほとんどいない。

ICE(新特急)が時速200km以上で走る同じ線路をトラム(路面電車)も利用して走っている。ICEの窓から反対側の線路を走っているトラムを初めて見た時は飛び上るほどびっくりした。
カジノのオープンは14時であるが、筆者の入場は14時15分。すでに2台のクイックテープルが稼動している。先回訪れた時は、対角線上に置かれた4台のクイックテーブルが14時ちょうどに全て稼動していたのに、今回は2台だけ。隣の部屋のビッグテーブルも1台動いていた。
すでにオープンから15分程経っているので、10投の出目が表示されていた。さっと見て、ツラっぽい目が出ている4番台に決めてカラーチップを50枚受け取る。賭け人は、どちらの台にもそれぞれ5、6人。その内の1人は、こんな早い時間にも拘らず、タキシードに蝶ネクタイを付けた完全な礼装でプレイしている。
ここまでの出目は、
[20-34-29-26-12-9-6-25-36-33-2]
これをゾーンのマークで表わすと、
[Or-Or-G-G-G-Or-Or-G-K-K-G]となる。
ヨーロピアンルーレットの盤面の数字の中心は0ではなく、左隣の26。盤面の37個の数字は一般的には3つのゾーンに分けて捉えられる。中心数字の26と左右8数字ずつの合計17の数字のゾーンをG(グロース)、その対面にあたる12数字のゾーンをK(クライン)、そしてGとKに挟まれた左右合計8数字をOr(オフラン)という分け方であるが、筆者はこの内のGを2つに分け、26を真ん中にして左右3数字ずつの7数字を0/3(ゼロ・スピール)、そしてその外側の5数字ずつの合計10数字のゾーンとして△の印で表わしていて、全体の盤面を4つのゾーンとして捉えている。
ここから参戦。
次の1投は見。
-2
Kは2投でGに戻った。
次は再び、Kに戻って小の2列とみて、5、8、11に各2枚、押さえに2、23、10に各1枚、そしてKのゾーンに6枚を置く。
出た目は、
-32
Gのリピート。つぎは出目表から、Kの3列大目と読んだが
-2
1投前の目に戻った。どうも出だしから厳しい展開。
-14-15-13
全く当たる事無く、最初の500を失う。
カッコ内の数字は、当たった時の配当のチップ枚数。
-8-22(17)
Kが2投出た後なので、Gの中目と見て、19/22で初めて17枚が取れた。
不調の真っ只中なので大きくは賭けず、流れに乗る事だけに専念。
-27-16(17)-35-27(17)-9
ここでも、次の500を投入。やはり、歴史あるバーデン・バーデンは甘くない。
9が出たものの、Orは「死に目」の傾向。GとKのゾーンは割と規則的に出ているのだが、列と目が定まらず、数字に的確な狙いが出来ない。
-19-26(17)-7-21-28
19からは5投のGのツラ。△に寄ってきた。ここでも次の500。
次の目も△の中目を押すべきなのだが、思い通りに素直に手が出せない。
出た目は、
-22
やはり、狙うべき目が出た。貧すれば鈍すか?
-33
これも取れなかったが、33はOrの1の隣、先ほどの22もOrの9の隣。「死に目」になっていたOrが生き返るのかも知れない。
-1(35)
やはり、Orの中心数字の1が出た。初めての単独数字の当たり。それにしても情けない展開。
-4(35)-31-22-6(52)
31は落としてしまったが、いずれもOr絡み。22はOrの9の隣。
-32(17)
Gが出たが、次はOrと押す。
-29-29-35(17)-11
Orを狙い続けたが、全くで出ずに傷を深めて、再度の500。
-16-28(17)-18-35-26
いいように弄ばれて、再度の500。
-6-5-3-36-36(35)
毎回、出目表から読み込んでこの結果。ここで最後の500の投入としよう。ここで失えば、トータルでマイナスの3000。敗退しかない。それにしてもこれほど当たらないとは・・・
-15-9
とにかく、凌ぎ越すこと。打たれ越すこと。この一点だけを頭に置くしかない。

ヨーロピアンルーレットの盤面の数字の配列。中心の数字は0ではなく、左隣の26であることがわかる。

ゾーンでは、Orがほとんど「死に目」になっているが、目と列もバラバラに散っていて、狙いが定まらずほとんど当たっていない。
Gのツラが強く続き過ぎたので、このあたりからKに移ると見て、Kの2列とKのゾーンを狙う。
出た目は、
-8(52)
狙いは当たった。流れを変えられるか・・・
-17(35)
Kと見たが、押さえの数字が当たった。
-25(35)
15から、G-Or-K-Or-Gとジグザグに出ているので、次は間違いなくOrと見て、厚く賭ける。
-9(87)
狙い通りで、初めて当たりらしい配当。
-32
出目の流れから、Kと見たがGに戻ってしまった。
ずっと、Orが「死に目」になっていたが、この辺で生き返るだろう。
-20(87)-9(35)-31(17)
3投、Orが続いた。
-24(35)-20(87)-26(17)-23(35)-0(35)
今までは何だったのだろうと思えるほど、出目が見えて来た。この調子で反転なるか?
-15
再度Orを狙っていたが、このあたりで目が切れて、Kに流れそう。
-30(35)
Kが続くか読めないので、次は「見」
-7
しばらく出ていなかった小目と1列の数字。小目に寄るか?
-3-34(17)-5-9(87)
やはり、小目に寄ってきた。9はジグザグの出目の狙い通り。
-3-24-36(34)
Kに寄るもまだツラにはならない。
-1(35)
Kを狙って、この1は押さえの数字。
-21-30(86)
30が出たので大目の3列に大仕掛け。27/30、33/36に各2枚、24、27、30、36に各1枚、Kのゾーンに6枚、そして、36ツボツボ(27-13-36-11-30)で5枚。
さあ、来い!!
-34
残念にも、2目ずれた。まだ本つきにはなっていないようだ。
-6-24-11
また、目が見えなくなってしまった。
-25(35)-21-29-26-28
5投のGのツラ目に対応できていない。以前から、Gのツラが強かったので、どこかでKに寄るはずなのだが。そろそろ手持ちのチップも少なくなってきた。
-27(35)
さあ、この27をきっかけにKのツラになるか?
-12
Gに戻ってしまったが、次もGの小目。
-5
Gが続かずにKが出た。次はKが続くか、Gに戻るかここは「見」。
-13
手持ちのチップが少ないので、もう1投、「見」。
-16
よ~し。間違いなくKのツラだ。出目表から大目の3列。
-30(52)
もう1投、大目の3列。
-33(51)
ここまでで、5投がK。先ほどのGのツラも5投だったので、一度Gに戻るはず。
-26(70)
狙い通り。さあ、次は再度のK。
-23(17)-11(87)-30(52)
みごとなツラ目。さあ、もう1投。出目表からKの3列、大目を狙う。
-30(173)
リピートとなったので、前の30の賭け分も生きて、今日最大の当たりに。
次はGに戻って大目。
-25(35)
大目の中でも△の数字が出た。Gの中でも△に寄りそう。
次はKに戻って中目と読む。
-16(87)
狙い通り。次もKの小目。2、4、7に押さえ。
-7(35)
押さえの数字が出た。次は間違いなく、Kの小目だろう。
-11(87)
GとKが交互に出ているので、次は△の10数字にベタ賭け。
-2(35)
読みどおり。次はKになるはず。
-2(35)
2のリピートになった。チップが減らないのでよしとする。
次は、Kに戻って小目の1列。10を厚く、2、5、8さらに1、4、7に押さえ。
-4(35)
押さえが取れた。
-33-26(17)-11
思わしくなく、3投を外す。
次はGの大目、2列と出目表から読み、26/35を集中して狙う。いわゆる『地獄待ち』の賭け方。26/29、32/35に各2枚、25、26、28、32に各2枚、29に3枚、35に1枚、そして0/3のゾーンに4枚。全部で20枚の賭け。
-26(139)
一番大きな当たりとなった。
ここまで、Orは「死に目」になっていて、何と30投出ていないのである。26はGの中でも中心数字なので、26から見て3時と9時の方向のOrは本来出やすい傾向があるので、次はOrを敢えて狙ってみる。
-20(52)
これで、「死に目」のOrが生き返えるだろう。
-13
Kに流れたが次はOrに戻る。
-6(87)
次も、Or。
-0(69)
0になったが、一応の押さえはしてある。次はOr。
-26(35)
0が出たので、0の隣は押さえていた。次こそ、Or。しかも中目の2列。
-17(139)
見事、狙い通り。次は出目表から、Kの中目。
-23(52)
次はOrの1列。1と31、34に厚く。
-15
外れたが、再度Orの1列。
-1(105)
次はKのはずだが、数字が読みにくいので、KとOrの両ゾーンで11枚。
-28
流れと全く違う方向に玉が入ってしまったので、ここで退場。まだしばらくはOrが出そうだが、足元の明るいうちに引くのが正解だろう。
最初の50投余りは手が定まらないまま下落を続けたが、その後の出目が規則的になったことと、最後に「死に目」になっていたOrの戻りにうまく乗れたことで、マイナスの3000近くから、一挙に復活することが出来た。まさに、奇跡的な勝利である。
終了は、17時45分。3時間半の長丁場だった。
戦績は、プラスの2420ユーロ。ティップは別途に64枚、640ユーロ。
すでにドイツは夏時間になっているが、表に出るとまだ真昼の明るさ。
バーデン・バーデンの鉄道駅までタクシーに乗ったが、乗車した車は大型の黒のSタイプのメルセデス。運転手もタキシードに蝶ネクタイ。乗車時に運転席からわざわざ降りて、外からドアを閉めてくれた。やはり、バーデン・バーデンはドイツ一の高級温泉保養地なのである。駅までの料金は15ユーロほどなのだが、20ユーロ札を出して、おもわず「釣りはいらない」と言ってしまったものである。
(ドイツのタクシーは基本的には車の色はクリーム色で、自動ドアではないので、乗客が自分でドアを開け閉めをしなければならない)
明日は、フランクフルト北郊のカジノ「バート・ホムブルグ」に向かう。
いつも楽しく拝見しております。
韓国のセブンラックヒルトンではアメリカンルーレットなのですが
ラピッドルーレット(人が投げるのですが、マシンでモニタを見ながらベット)はヨーロピアンルーレットです。
テーブルでは2500ウォンからですが、マシンでは2000ウォンから(アウトサイドは4000ウォン)ということで、
先日ラピッドルーレット(マシン)に挑戦してきましたが、
結論は全く肌にあいませんでした。結果が出てから次のベット終了までが35秒しかないのです。(45秒かな?^^;)
メモして考えてベットしようとおもったら時間が足りなくなりました。
結果適当になり、チップは増えましたが今後は真剣にやることは無理だと判断しました。
空回りさん
コメントありがとうございます。セブンラックヒルトンのマシンルーレットの件は、先日もご教示いただきましたが、多分、このマシンはヨーロッパで作られたもの(オーストリアあたり)なのではないでしょうか。もともと、ルーレットはヨーロッパでは文字通り主役ですが、アメリカではカードが主体でルーレットは人気がないと思います。そのため、アメリカの会社では作っていないのではないかと推測します。
小生は実際にマシンでやったことがないので適切なことは言えないのですが、唯一の有利性は当たってもティップを渡す必要がないことではないかと思います。勝った金額よりも渡したティップの金額が多いということも起りがちですから、もしティップを渡さずにすめばこんなにうれしいことはありません。
ただし、ゾーンに賭ける場所がなかったり、ツボツボなどの隣り合わせに賭ける対応は出来ていないと思いますので、一回一回、時間をかけてチップを置く作業をしなければならないでしょうが。
また、0が出た時どうなるのでしょうか。ヨーロピアンルーレットでは、基本的に2倍(赤・黒、前半・後半、奇数・偶数)に賭けたものだけは、総取りにならず、牢屋に入るという形で一段奥に動かされ、次に当該の目が出れば生き返る形になっています。今は、面倒くさいからか、2倍に賭けた分の金額の半分を賭け人に返却して終わりにしてしまうカジノも増えました。
マシンでは、どんな扱いになるのか、興味あるところです。
韓国のカジノも二昔前は、ヨーロピアンルーレットだったことを思うと、マシンがヨーロピアンスタイルである有利性は、ここしばらくだけかもしれません。マシンのルーレットが賭け人たちに認知されれば、きっと、アメリカンスタイルのものを作ると思います。
一度、韓国へ行ってトライしてみたい気もするのですが、何か作業をしに行くような感じもして、迷っているところです。
独逸の旅打賭け人さん
はじめまして
一昨年秋に
モナコのグランカジノの後、
フランクフルト空港から
ICEでバーデンバーデンへ
午後7時半ごろ着いて
もうまわりは真っ暗の夜でしたが
ホームには、人が1人もおらず
駅にも1人もおらず
重たいスーツケースを階段でエンヤコラ運んで
外へ出たら、また誰もいない
なかなかタクシーが見つからず、かなり焦りました
バーデンバーデンでは、カジノよりも
2つあったサウナで一番緊張しました(笑
なにしろ、完全すっぽんぽんの状態で混浴でしたから・・・
カジノでは、老夫婦ばかりでしたが
混浴サウナには、モデル張りの女子大生3人組がいました(笑
向こうもこちらも
タオル、手のひら、なにも使わずの全開状態でした
めちゃくちゃきつかったです(笑
でも、とても整備された手入れされたきれいな街でした
カジノでは、客やスタッフの格好は、
モナコよりもフォーマルに感じました
来月は、ブラジルワールドカップ応援と
その前後でアスピノールに行こうかと思ってます
いつも素晴らしいレポート読ませていただき感謝してます
だんごさん
コメントありがとうございます。
そうなんです。バーデン・バーデンは静かできれいな町です。ドイツ一と言っていいかもしれません。
クアパーク近くのホテルに泊まって早朝、町を流れる川沿いに散歩すると、せせらぎや小鳥の声でこの世と思えない素晴らしさを感じます。4月、5月のシーズンが最高です。カジノのスタッフやホテルマンは、慇懃で親切。
私が頻繁にこのカジノに通ったのは、80年代の後半。当時はドイツカジノの最盛期で、アラブや東欧からの金持ちが詰めかけていました。当時は全てビッグテーブルでしたが、その台数が何と24台。文字通りドイツ一でしたが、ほとんどの台が賭け人で一杯で賭けるチップを置くのも一苦労。
当時は、電光表示盤がなかったので、過去の出目がわからず、1時間近く出目の確認をしてからでないとプレイに参加できない苦労がありました。どの数字にも山のようなチップが賭けられているので、配当に時間が掛かり、ノーマルチップだけなので、当たった時に置いたチップの所有者の申告で賭け人同士で頻繁にトラブルが起き、そのたびにプレイが中断して、1時間でも10投余りしか玉が投げられないこともしばしばでした。
その点、今は賭け人も減り、へんなハイローラーもいなくなったので、静かにプレイが出来るようになりました。カジノとしても、文字通り、ドイツ一と思います。
いつも楽しく読ませてもらっています。
本社がドイツにあることから、最寄であるバーテン・バーデンに時々行きます。
私はBJしかしないのですが、数年前からCMSになってしまい、かなり調子が悪いです、、。
ただ、美しいカジノであることは確かで、負けてもほかのカジノと違い納得感はありますよね、、
だんごさん
バーデン・バーデンには2件のサウナがあり、水着着用と、そうでない物(古い方)があります。私は自分に自身がないので、水着の方しか行ったことはありません、、、
beriさん
始めまして。コメントをありがとうございます。
本社がドイツにある会社にお勤めとのこと、うらやましい限りです。
たしかに、バーデン・バーデンのカジノは環境も含めて、ドイツ一だと思います。
余りに高級感が漂って、俗っぽさがないのが唯一の欠点でしょうか。是非、他の小さい、家庭的なカジノも訪れていただきたいのですが、カードですと、限られてしまうかもしれません。コンスタンツのカジノは、バーデン・バーデンと姉妹カジノですし、バーデン・バーデンからも比較的近いので、いいかもしれませんが。
ご健闘を!!