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投稿者:マカオの帝王さん

2011年1月26日

新年快楽2011! 【破】 (澳門的年末)

■ 12月26日(日)

10時に目が覚めた。

昨日から、新たにマンションの住人となった、29歳のポーカープレイヤーのUさんと挨拶を交わす。

このUさんとは以前にも何度か会っており、一緒にプレイした時間は僅かであったが、なかなか若いのに度胸のあるプレイをするので、将来が楽しみ(危険?)なギャンブラーである。

Oさんと3人でブランチを食べた後、それぞれ別れてお好みの勝負場所へと向かう。

路線バスに乗り、リスボアホテル前で降り、エースの再スプリットが可能で、綺麗な黄色い千$チップがお気に入りのMGMへ向かう。

『今日はMGMのBJで一勝負!』

そう決心し、途中にあるウィーンのカジノの中を歩いていると、ポーカールームで足が止まった。

『少しリングをやって見るか?』

軽い気持ちで、レートが25-50$のテーブルにバイイン5千$で入る。

甘かった。

バカラならワンベットの金額なのに、ポーカーだと5千$のオールインは、途轍もない金額に思え、まあまあ良い手が出来ても、ナッツ(最強の手)でないと相手のオールインにはフォールドさせられてしまう展開が続く。

バイインの5千$が溶けた時点で席を立つ。

しかしスタートから、ケチが付いたままでMGMへ向かう気にならず、バカラ台に座り、もう一勝負することにする。

(このウィーンも、雰囲気は悪くないのだが、安っぽい赤紫色の500$チップがどうも好きになれない)

バンカーで絞れればどこでも良かったので、罫線に関係なく適当に座る。

バンカーに赤紫5枚をベット。

プレイヤー・・・6

バンカー・・・7

美味しいチャーシューで、あっさりバンカーの勝利。

バンカーに赤紫6枚、それとバンカーの対子(ペア)に200$をベットする。

プレイヤー・・・7

バンカーはリャンピン(4か5)が2枚。

一枚目をじっくり絞ると、真ん中には何も無く、綺麗な4!

勝利は確定したが、対子(ペア)の分も欲しいので、更にじっくりと絞る。

まだポーカーの負けを引きずっていたのか、当方の表情が暗いので、プレイヤー側のベットオーナーは当方のカードをリャンピンとモウピン(1から3)とでも誤解したのか、直前のチャーシューのお返しになれ! とばかりに、「6、6、チャーシュー!」 と叫ぶ。

『お前はもう死んでいる……』

と言ってやりたかったが、カードを絞ることに専念する。

残念ながら真ん中に妙なものが見えてしまい、ナチュラルナインとなる。

『最後は8で決めたかったな……』

結局、ウィーンは25$のプラスで通過する。

MGMに入る。

BJは余り儲からないのか、テーブル数が減っており、その分、カリビアン・スタッドの台が増えている様子であった。

ようやくミニマム300$、煙草が吸える喫煙ゾーンの、1番ボックスに温厚そうなチャイニーズが一人で2ボックスのプレイしているBJ台があったので、ラストボックスに座る。

「自分は3ボックスでプレイするつもりだが、問題ないか?」と一応の礼儀として英語で尋ねる。

「Of course, no problem」 と綺麗な発音の英語で返事が返ってきた。

嫌いな中国銀行発券の千ドル札20枚をチップと交換して貰う。

5番ボックスに500$、6番ボックスに千$、7番ボックスに1500$の“帝王式BJ”でゲーム開始。

ディーラーのカードが2から6の時、2回に1回はバストしてくれるという、良い流れが続く。

順調に勝つ。

先頭に座り、2ボックスに同額のベットを続ける温厚そうなチャイニーズも、黄色攻撃で同様にチップを増やす。

途中から、当方がついていると思ったのか、毎回当方のラストボックスに千$バックベットするメガネ男が現れるが、そいつも少しずつチップを増やす。

黄色の千$チップ10枚のミニタワーが6本になった時、2,500$をベットしたラストボックスに、AAが入る!

ディーラーカードは、リスボアの時と同じく “2”!。

最初は黄色1枚ずつの計2枚でプレイしていた先頭のチャイニーズは、この時はそれぞれ2枚ずつベットしていたが、共に15でステイ。

当方は、千$ベットした5番は14、1500$ベットした6番は16と、共に動けずステイ。

ラストボックスのAAは当然スプリット。

メガネ男も千$を差し出す。

『絵札2枚で勝利確定が楽だが、折角MGMまで足を運んだのだから、もう1枚A(エース)が来ても面白いな……』

すると予感通り、A(エース)のご登場!

タワーを崩し、2500$を追加で再スプリットする。

メガネ男も苦笑しながら、千$を追加する。

一つ目・・・5で目無し。

二つ目・・・6で弱い17。

嫌な気分になる。

メガネ男も暗い表情。

三つ目・・・絵札で21(一安心)

ディーラーは慣れた手付きで、さくっと2枚連続でカードを捌く。

2枚ともセイピン(9か10)!

一瞬、1枚が9に見え、『やられた!』 と思うが、良く見ると2枚とも10であった!

ディーラーのバストで、この勝負だけでジャスト1万$の勝利!

勝利の余韻に浸りながら、頭の中でカードを配り直す。

『もし再スプリットが出来ないリスボアだったら……、一つ目がAAの2、二つ目がAと5で目無し。 ディーラーが2+6+10=18! あぁ、恐ろしい! これがリスボアだったら危うく全滅していた』

千$のミニタワーが7本となったところで、ディーラーが交代する。

目付きの鋭い男性ディーラーで、無言でビシビシとカードを配る。

勝てなくなった。

こっちがブラックジャックでも、ディーラーも絵札+Aでブラックジャック。

ディーラー8に対し、99をスプリットし、共に19を作っても、いきなりエースをもってきてプッシュ。

その上、ローカードでも殆どバストしない。

張りを落としたのだが、チップを削られる。

いつのまにかメガネ男は姿を消した。

ブラックジャックをプレイする場合、テーブルでB/S無視の初心者が出鱈目なプレイをしたり、ボックス数を変動させたりすることを極端に嫌がる人がいるが、当方は殆ど気にしない。

何故なら、B/Sを無視したプレイで、期待値的に損をするのは、そのプレイヤー自身であり、彼(もしくは彼女)が確率を無視したプレイをしたからといって、その結果は自分には何の関係も無いからだ。

同様の理由で、ボックス数の増減も気にならない。

但し、確率的には誰が配っても同じ筈であるのだが、ディーラーに関しては拘る。

長年の経験上、無愛想な男性ディーラーと、不細工な女性ディーラーは要注意だ!

このようなディーラーに遭遇した際には、張りを落として少しだけプレイし、それでもやはり勝てない場合は手仕舞うに限る。

3ボックス全て20、ディーラー7と圧倒的に有利な状況を作るが、そこから2、7、4と引かれ、プッシュとなった時、撤退を決意する。

タワー6本(=6万$)を1万$チップ6枚とチェンジして貰う。

「自分はもうプレイを終了するが、幸運を祈る」

と先頭のボックスの温厚そうなチャイニーズに別れの挨拶をして席を離れる。

お腹が減っていたので、MGM内のレストラン “食八方” に入る。

スパゲティと点心とビールを頼む。

ここは “中西(中華料理と西洋料理が共に有る)スタイル” なところが宜しい。

もう一つ宜しい点として、いついっても無料なことだ。

一応、MGMのメンバーズカードを持っているので、平場のBJ台とはいえプレイする時は提示しているのだが、BJとしては毎回の平均ベット金額が大きいからか、結構ポイントが貯まっている様子で、いついってもカードをだすだけで勘定が済む。

(もし遠征途中で、軍資金が全滅した時でも、残りの滞在期間中、ここでメシが食えると思うと、精神的に楽)

当方の場合、極端なベットの上げ下げはせず、“負けている時はやや張りを落とし、勝っている時はやや張りを大きくする”、を基本としているので、ポイントのレーティングが良いのだろうと考える。

逆に言うと、特定のパターンに嵌まった際に、極端にベットを増やしたりするプレイスタイルの場合、プレイ時間中の総掛け金が少なくカウントされ、コンプのポイントのレーティングが悪くなったり、最悪の場合はカードカウンターと誤解され退場させらりたりする為、余り良いことは無いように思えるのだが、それもまた自己責任の範疇である。

伝票にサインするだけで一銭も払わずマイタン(お勘定)を済ませ、満ち足りた気分でMGMを出る。

ショッピングモールを抜け、海岸沿いを歩く。

ネオンが煌いている。

マカオの街が、自分を祝福しているような気がした。

手元には本日の勝ち金が4万$。

自分の狙い通りのカジノで、狙い通りにプレイをし、狙い通りに勝ったカネだ。

当方の場合、ポーカーはバイイン5千$、ブラックジャックはバイイン2万$、バカラはバイイン5万$を基本にしている。

勝ちの目標金額、といったものは敢えて定めないようにしているが、しいて言えばバイインの3倍を一つのメルクマールとしている。

それに則れば、このBJでの4万$の勝利は上出来と言えた。

良くマカオで勝った際に、サウナや夜総会(ナイトクラブ)に行くという話しを耳にする。

そうした楽しみ方があることを否定はしないが、本当に納得がいく形での勝利を味わった時には、その種の欲求は感じない。

頭の中で、最近カラオケでお気に入りの “つるのバージョンの、プリンセス・プリンセスのM(エム)”が何故かリフレイン状態となり、周囲に人がいないことを確認した後に、歌いながら海岸沿いを歩き続ける。

ビールの酔いが回ってきた。

タクシーを発見。

『今日はもう、これでいいな』

そう自分に言い聞かせる。

クリスマス・イブは最悪だった。

クリスマスは良かった。

明日のことは分からない。

けれども、今この瞬間は素晴らしい。

それだけで十分だった。

タイパの宿へとタクシーに乗り込んだ。

■ 12月27日(月)

行きつけの健康足裏マッサージの店で、標準コース(足+背中)を受けた後、再びMGMへ向かう。

昨日と同じ台の同じ席に座る。

カードを提示し、中国銀行のヨレヨレの千$札20枚を黄色チップ20枚と換え、3ボックスでプレイ開始!

前方の1番、2番、3番に入れ替わり客が座るが、気にせずプレイを続行する。

と、その時、昨日のメガネ男が登場する。

「ハロー♪」と言いながら、当方の左の席に座る。

(言い忘れたが、7番シートに座りながら、5番ボックスに手を伸ばすのは疲れるので、3ボックスでプレイする際には6番シートに座るようにしている)

『おいおい、まさかラストボックスでプレイするつもりじゃないだろうな?』

そう思いながら、構わずに5番ボックスに500$、6番ボックスに千$、7番ボックスに1500$をベットすると、メガネ男は5番ボックスに300$、6番ボックスに500$、7番ボックスに700$と、当方の約半分ずつの金額を、『私は貴方にバックベットしているだけですよ。プレイは貴方にお任せしますよ。ただ、後でずっと立っているのは疲れるので、座ってるだけですよ……』四角いボックスの最後尾に慎ましやかにベットしてきた。

カードが配られる。

どれも屑手だったが、ディーラーが4からきっちりバストしれくれ、全て勝つ。

微笑むメガネ男。

その後も常に当方の半額を全ボックスにバックベットを続け、勝つときも負ける時も、当方の半額でシンクロしながら少しずつ増える。

当方の黄色チップ10枚の“ミニタワー”が5本になった時、メガネ男の方もふざけたことに、500$の赤紫色チップ10枚の“ミニミニタワー”を5本積み上げていた。

『まったくもう、ここまであからさまにコピーされるとは……、さすがはコピー天国のお国柄だ。呆れて文句を言う気にもなれない。好きにしてくれ……』

そんなことを考えていると、昨日よりやや早く、無愛想な男性ディーラー登場。

体格も良いので、この男性ディーラーを “大魔神” と命名する。

昨日の再現フィルムを見ているように、この “大魔神”の登場後、流れが一気に変わり、パタッと勝てなくなった。

張りを落とすが、流れは変わらず。

当方の黄色の千$チップの “ミニタワー” と、メガネ男の赤紫色の500$チップの “ミニミニタワー” が共に4本となった時点で、手仕舞いすることにする。

「チェーンジ」と “ミニタワー” 4本をディーラーに差し出し、1万$チップ4枚を受け取ると、メガネ男も同様に“ミニミニタワー”4本を1万$チップ2枚と交換する。

“大魔神”は最後まで無愛想なままだった。

勝つには勝ったが、何だか物足りなさが残った。

一人で軽い食事を取ったあと、グランドリスボアのポーカールームで、20時10分スタートの参加費500$の“ノックアウト・バウンティ・トーナメント” に申し込む。

これは、優勝賞金とは別に、兎に角相手を飛ばす(=ノックアウトする)毎に100$をゲット出来るというもので、5人飛ばせばチャラになるという計算であった。

開始早々に最強ハンドであるAA(エースのペア)が入る。やや強めにベットすると、いきなり“オールイン”が飛んできた。

飛んで火にいる夏の虫! とばかりにコールする。

相手はKK(キングのペア)。

何も起こらず、普通に当方が勝ち、100$相当のバウンティ・チップもゲットする。

これでダブルアップしたので、その後ショートスタックのオールインを積極的に受けると、フロップにも恵まれ、次々にバウンティする。

5人飛ばした時点で、参加費回収。

ファイナルテーブルとなる。

優勝賞金は知れているが、十分狙える位置に付く。

ビッグブラインドでハンドは、♣9、♣8。

チップリ(この時点で、一番多くのチップを持っている者)の生意気そうな白人野郎が、2千$と多めにベットしてくるが、こっちも悪い手では無いのでコールする。

フロップは、♠9、♣7、♣5!

トップヒットのストフラドロー!

オールインを決意する。

この時、自分ではまったく気が付かなかったのだが、右手がテーブルを軽く叩いた(=チェックを意味する)らしく、当方が “ALL IN” と発声し、全てのチップを前に押し出したにも関わらず、白人野郎は“オレはチェックだ!” と叫ぶ。

ディーラーに向かい、「私がオールインを宣言しているのに、“チェック”とはどういうことなのでしょうか?」 と尋ねる。

ディーラーが白人野郎に確認すると、「どうもこうもない! あいつはさっきテーブルを叩き、チェックのアクションをしたではないか! だからオレもチェックだ!」とのたまう。

頭の中で考える。

『プリフロの段階で2千$をベットしてきたのだから、最初はそこそこ良い手だったのだろう。けれども、チェックしたがるところを見ると、フロップとマッチしなかったのだろう。 これはチャンスだ! あくまでオールインを主張するぞ!』

ディーラーに向かい、微妙なハンドアクションではなく、自分の発声を優先し、“ALL IN” を認めるよう詰め寄る。

ディーラーは当方の主張を認め、“ALL IN” の三角形の板を当方の目の前に置く。

次に白人野郎の方に向かい、アクションを促す。

「へっ! そうかい! ふざけやがって! 分かったよ、それじゃこっちもオールインだ!」

白人野郎もオールインを宣言し、テーブルに、♠A、♠Jを叩きつける。

ターンは♡10。

相手のジャックを殺し(リバーでJが出ればストレート完成で、当方の勝ち)、ますます当方の勝利が濃厚となる。

『よし、赤色のA以外はこっちの勝ち(♣のAだとフラッシュ完成で、これまた当方の勝ち)!』

リバー、無常にも♢A……。

2アウツを引かれ、白人野郎にバウンティされる。

大喜びの白人野郎を尻目にテーブルを後にする。

何だか面白くない……。

バウンティチップ5枚を500$と交換し、リスボアに向かう。

二日振りの皇牌天下(エリートルーム)。

「今日はお前たちのお望み通りバカラをしてやるぞ! ほれ、5万$だ!」

スタッフに現金5万$を渡し、1万$のノンネゴ・ビスケット(板状のチップ)5枚と交換する。

只管バンカーにベットし、絞り続ける。

客は他に中国人が数名いるだけなので、ハウスもしくは中国人が約半々で相手となる。

一進一退を続けながら、結局20万$回す。

肝心の結果は本線チャラ。

1%分のキャッシュバックとして2千$を受け取る。

『今日はここまでだ!兎に角今日もプラスで終わった。また明日だ……』

スタッフに「明天見(明日またね)」と告げ、宿に向かう。

■ 12月28日(火)

今日も今日とて昼過ぎにMGMへ向かう。

BJコーナーの、同じテーブルの同じ席に座り、メンバーカードを提示し、同じように2万$のバイインでゲーム開始。

しかし、出だしはイマイチで、1万$沈む。

そこからやっと調子が出てきて、一気に水面下に浮上する。

『さぁ、今から……』

そう思った時、何と “大魔神” 登場!

『幾ら何でも早すぎるだろう!』と思いながらも、“三度目の正直” の言葉が頭をよぎり、ゲームを続ける。

甘かった。

カジノでは、“二度あることは三度ある” の方が強いということを忘れていた。

あっさりと原点に突き落とされる。

ここまで! と席を立つ。

マンションの住人3人で、たまには晩飯でも一緒に食べよう、ということで待ち合わせ場所に選んだ隣のウィーンのポーカールームに移動する。

まずUさん登場。

Uさんから、ウィーンで働くマカオ在住の女の子とディナーの約束をしたと告げられる。

「成るほど、おっさんと食べるより、素人の女の子と食べる方が良いわな」

了解し、Oさんを待つ。

(注:このUさんは声が宜しい。低音の、女性を痺れさせる声の持ち主である。昔からの格言の一つに、「声の悪いプレイポーイはいない」というのがあるが、それの見本のような若者であった)

ただボケッと待つのも芸が無いので、日本製の大画面のビデオバカラのマシンに200$を投入する。

勿論バンカーに全額ベットする。

数年前に遊んだ時は、単にCGの女性ディーラーがカードを順番にオープンするだけだったのだが、驚いたことに、毎回プレイヤ-/バンカーそれぞれのベットオーナーに対し、“絞り” 機能が与えられていた!

“絞り”ボタンをプッシュすると、少しずつカードが捲れ上がる。

1枚ずつでも、2枚同時でも、どちらでもOK。

プレイヤーの6に対し、絵札+8であっさりと勝つ。

面倒なので、リピートベットを押す。

BPBBP

ここでOさん登場。

キャッシュアウトのボタンを押すと、バーコードの印刷された紙が出てきた。

560$と印字されている。

これを近くの払い戻し機に差し込むと、お札がスルスルと出てきた。

さすがはMADE IN JAPAN!

手間もかからず、大変結構。

『晩メシ代くらいは稼げたか……』 と思う。

Uさんが女の子とデートすることになったので予定を変更し、Oさんとウィーン内で軽く食事する。(色々とマカオ生活の裏話を聞くが、それは内緒)

食事後、Oさんと別れ、余り相性の良くないウィーンのバカラ台に座る。

PPPPPP。

安っぽい赤紫色の500$チップを5枚ずつ賭けるが、6連敗したところで席を立つ。

タクシーに乗り、タイパ島行きを告げるが、最後のウィーンのバカラの負けが気に入らず、寝るにはまだ早いので “City of Dreams” に行き先を変更する。

目指すのは、HARD ROCK HOTEL 2F のポーカールーム、10$-25$のリングテーブル。

バイイン4千$で輪に加わる。

『マカオ入りして既に丸4日が過ぎた。ここまでの勝ちは約5万$。全体の勝負はこれからだ。 しかし、このテーブルはさっきからだれ気味だな。ハンドは屑手ばかり、隣の香港・マカオでよく見かける蛙顔のメガネのお姉ちゃんもハンドが入らないらしく、さっきからイライラしっぱなしだ……』

と、その時、同じテーブルの香港人の若者連中から、一斉に「ワォ! あそこを見てみろ!レンノイ!(広東語で、別嬪さん!)が二人も! ポーカーするのかな? 席もちょうど二人分空いてるし、ほら! こっちに向かってるぞ!」 との声が上がった。

そっちを見てみた。

一人はショートカットの、一般的な感じの可愛い娘だが、もう一人は……、日本人女優の“小雪”を5歳若くして、胸を大きくしたらこんな感じになるかも? といった風情の、プロポーションも抜群で、当方が今まで約半世紀生きてきた中で見た最高級の、まさに“クレオパトラか楊貴妃か?”という感じの、こぶしよりちょっと大きい位の、小顔で色の白い絶世の美女であった。

どうやら二人とも韓国人のようだが、テキサス・ホールデムも知っているらしく、このテーブルのマックスの4千$バイインでリングに参加してきた。

半分寝ていたハゲのおっさんも、ワイワイ元気な若者2人組も、オタク風のデブも、クールな白人青年も、皆目を輝かせて急にアグレッシブにプレイを始めた。

陽気なおばちゃんは相変わらずだったが、蛙顔のお姉ちゃんは周りの男連中が突然現れた韓国人美女にメロメロになる様を見て、ますます不機嫌になっていった。

ポーカーの腕前はショートカットのお姉さんの方がやや上のようであったが、“小雪”の方は曖昧な微笑を浮かべつつ、周りの視線を釘付けにしながらプレイを続けた。

そして、“事件”は起こった。

当方の右側の蛙顔のお姉ちゃんは、カードを見る時、捲りすぎるので見えてしまうことがあるのだが、何気なく見やると、ちらっとだが黒い“KK”が見えた。

一瞬にやっと笑い、お姉ちゃんは300$をベットした。

『あぁ恐ろしい! こっちもKJなので参加する気だったが、うっかりコールしようものならエライ目に合うところだった。 降参降参……』

周りが次々にフォールドするも、BBの“小雪”は悩ましげな表情を浮かべた後に、小さな声で「コール」と呟いた。

フロップが開いた。

♢K、♢8、♠3。

蛙顔のお姉ちゃん、キングのトップセットの完成だ!

チェックした“小雪”に対し、蛙顔のお姉ちゃんは、ここぞとばかりに700$をベットしてくる。

少し首を傾げた後に、再び “小雪” は囁くような声で 「コール」を告げた。

ターンは ♣2。

女同士の対決に周囲は盛り上がる。

ターンのカードを見て、“小雪”に少しだが余裕が生まれたような気がした。

“小雪”は5百$をベットした。

これを見て、待ってましたとばかりに、蛙顔のお姉ちゃんが大声で「オールイン!」を宣言する。

ポットが膨らむ。

“小雪” がいっそう悩ましげな表情を浮かべる。

(美女の悩める表情を見ているだけで、こっちもどこかへ飛んで行ってしまいそうだった……)

『さぁ、ちょっと顔が綺麗なだけで、今まで男どもにチヤホヤされてきたアンタ! コール出来るものならしてみなさいよ!』 といった風情で腕を組む蛙顔のお姉ちゃん。

散々悩んだ挙句、「コール」と “小雪” の濡れたような唇から、小鳥がさえずるような声が聞こえてきた。

胸の谷間にキラキラと光る、大きなダイヤのネックレスを左手でギュっと掴みながら、リバーのカードを見守る “小雪”

リバーは、♢Q であった。

“小雪” の顔に微笑が浮んだ。

蛙顔のお姉ちゃんは、『これで勝っただろう!』とキングのペアをテーブルに叩きつける!

“小雪”はそっと伏せていたカードをオープンした。

♢3、♢2。

ダイヤのフラッシュだった。

「サイレイ!(広東語で、スゲェ!)、」と周りの香港人から賞賛の嵐が沸き起こる。

「ガオチョー!(広東語で、何じゃこれは!) XXX! XXX! XXX!(早口過ぎて聞き取れなかったが、ようするにアホらしくてこんなテーブルではこれ以上やってられない、といった感じ)」と蛙顔のお姉ちゃん。

『やはり、“ダイヤはダイヤ” に引き寄せられたか……、ポーカーの女神はどこまでも気紛れだな』

「もうポーカーも十分楽しんだし、少し眠くなってきたし、寝不足はお肌に悪いわ……」といった感じの会話を隣のシュートカットの友人と韓国語で話した後に、韓国美女二人は席を立った。

それを目にした蛙顔のお姉ちゃんのとんがった唇から、広東語の呪詛の声が深夜のポーカールームにこだました。

その呪いを受けたのか、次のゲームでリバイした蛙顔のお姉ちゃんとオールイン対決となり、当方:AKだったが、お姉ちゃんのTTに負けポーカー終了。

そこから先のことは、余り記憶が無い。

眠気と闘いながら、バカラ台に座り、フラットベットでズルズルと負け、やっと勝ったと思ったらバンカーシックスで半分しか貰えず(普段は決して座らないノンコミッションのバカラ台に座っていること自体が思考能力喪失状態を現していた)ようやく朝になり眠気が去った時には約2万$が溶けていた。(蛙の呪い……)

朝日を眩しく感じながら、同じタイパ島内の宿へと帰り、服を着たままベッドに倒れこんだ。

【Q】へと続く。


 

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comment (2件)


  1. 投稿者:cvmasaさん

    投稿日:2011年1月27日

    マカオの帝王様、こんにちは。

    早速?(ちょっと時間が過ぎたでしょうかw)読ませて頂きました。

    ルールが違って展開が変わる、いやあ本当に面白いですね。(ある意味怖いことですが・・・)

    でも、「序」からすると流れが良い方向になっているような気がします。(気になってしまったのはバックベットのメガネ男でしょうかw)

    KK見えちゃったというホールデムの場面は私も経験ありますよ。帝王様とは逆で「相手のカードがQJdで私QQ!」

    しかも4BBレイズしてきて勝負のAll In!相手コール!

    何も起きずで+1500HKD、嬉しかったです。

    何回も言ってしまいますが、カードプロテクトは重要ですよね。

    さらに23dでフラッシュですか、本当にタフコーラーですね。(これじゃあマカオでホールデムできないですw)

    さあ、まだドラマがありそうですけど、楽しみです。ではまた。

    追記

    ・月曜日の500HKDバウンティ出場されていたのですね!私もその次の週の500HKDバウンティ出まして、我慢の5位でした。(もっともA9で喧嘩売ってはいけないところが後悔です)

    ・一つ質問を、リスボアの大豊とスターワールドやウィンの通りに見える大豊の換金率は一緒と考えていいのでしょうか、帝王様の理解範疇で教えてください(何しろリスボアは立地便利なので)

     

  2. 投稿者:マカオの帝王さん

    投稿日:2011年1月30日

    CVMASAさん こんばんは!

    500HKDのバウンティは惜しかったですね。

    ご質問の大豊銀行の換金率ですが、マカオ内で同じ日なら、全て同率です。

    なので、リスボアの中の便利なところで両替すれば良いと思います。

    後少し、【Q】と【急】にお付き合い下さい。

     


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