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投稿者:じょうもんさん

2020年4月23日

スタンド・バイ・ミー マカオの思い出 後編

(つづき 後編)

3日目。

この日はカジノ自体はやらない能見も、いろいろな有名ホテルやカジノを見て回るのはしてみたいとのことで、有名どころを見てまわった。

昼飯は、かねてから予約しておいた、ウィン・マカオの永利軒という中華に行った。

何かデカいお土産でも買うわけでもない私たちは、ここが金の使いどころであった。

私も能見さんも北京ダックは大好きだったので、また料理が少なくて足りない状態だけはなんとしてもさけたい性分(特に旅先では)なので、ひたすら頼みまくった。

いつも日本では、吉野家で豚丼か牛丼しか食べない。たまにはいいだろう。

逐一ウェイトレスが、「2人で食べるのか」と聞いてくる。

こちらにしてはいちいちウルセーヨといった感じだ。

能見は「もういいよ、それくらいで」というが、

元来私はドンブリ勘定な性分だし、頼んでも思ったのと違って食べられない可能性まで考慮して多めに頼んだのだ。

確か牛肉ピーマンもあったのでオーダーした。

ビールで祝杯を挙げた。

能見さんに、無事マカオの盛り場を案内でき、満足してもらえたことに対して。

・・・パオドゥという、牛の内臓とオカユ(こっちはオカユがメイン)は、苦手だった。

能見はさすが博学で、教えてくれた。

能見「こっちの人はさ、冷たいものを食べたり飲んだりするのを嫌がるんだよ。前、留学生がいて、よく話したもんだ。あとジョウモン、なぜ彼らがフェリーでも順番を守らないかわかるか?」

私「わかんないス。わがままな国民性ですかね。」

能見「違うらしいぞ。こっちは人がとにかく多いから、律儀に並んでたら、おされたりとばされたりして、乗れないらしい。乗れないのを回避するために、我先に、となるらしいんだ」

・・・つまりわがままではないのか。分かったような、分からないような。

私たちが色々と食べている間、3人がかりくらいで、ひたすら北京ダックを切っている。

日本だと、高級店でも、せいぜいひとり2枚くらいであろう。

ここでは壮観だった。大きな皿に、北京ダックがズラリと並んだのだ。

能見「美味い!!」

私「美味いスね!!こんなにあればチビチビいかなくてすみますね!!」

能見「うまァ・・・・この世の楽園だな。。。マカオは。ありがとう。」

私「そ。飲む打つ買う、全部そろってるんですよ。この島は。男の夢の島ですね。」

能見「負けてるんだろ?まだ。キャッシングとかやめとけよ。」

私「してませんよ!それにまだ終わってませんよ。バンジーがあるじゃないですか。」

能見「あきらめろ。勝つまでは無理さ。」

・・結局、食べきれなかった。もちろん北京ダックは完食。

この永利軒の北京ダックは、オススメです。これだけ頼んでここに予算投入してもいいと思います。

・・・私は、ウィンマカオのロビーの独特な香水?の匂いが大好きで、

フロントに聞いたが、教えてくれなかった。行くたびに聞くが、教えてくれない。

なのでいくたびに、クンクン匂いを嗅ぎにいっている。

・・・最後の晩は、リオホテルの夜総会に決めていた。

確か9時前にはついたと思う。

すぐに入れるとのことだったが、入り口で冷たい茶を出され、さんざ待たされた。

中国人が1人先に待っており、茶が冷たい、と怒って変えてもらっていた。

えんえんと待つこと30分。

能見の手前、ちょっとジャブを入れようと思った。

私「すぐだっていうからOKしたんだが。まだ??」

・・・するとその語気が強かったのか、パスポートを見せろという。

大人しく渡すと、どうしても開かないから、もう少しだけ待ってくれとのことだった。

仕方なく待つことにすると、ほどなくして入れた。

・・・いった事が無い方のために説明すると、まずは普通よりゴージャスなカラオケルームに通される。そこで本格的ではないが、スナック程度の飲み食いできる。

そこで、15分に1回だったか、サイクルは忘れてしまったが、7人くらいの中から2人ずつ選んで一緒にカラオケができる。

もう1回転くらいした記憶がある。

回転しても、はべらせておくこともできた。

そして結局気に入ったコと、ショートかロングかを選んでホテルに消えるのだ。

リオならリオホテルへ。

英語ができる小姐は有利だ。もちろん日本語ができれば一番いいが、ほとんど日本語をしゃべれるコはいなかった。

能見さんは可愛い系を選んでいた。大島優子のファンだというから、すじが通っている。

私は見栄えのする女を選んだ。高身長の。

夜総会でありがちなのは、言葉の壁のせいで、全く会話がなくなってしまうことだ。

なんでもいい。ジェスチャーでもいいので、盛り上がった方が楽しい。

私は、ひたすら下ネタを言った。小弟弟、小○○、トゥーアイ、パーシャ・・・

見かねたひとりの小姐が、能見さんに向かって歌いだした。

「サークーラー サークーラー」・・・続かない。

また別のコがカラオケを入れる。

それは美空ひばりの、「川の流れのように」だった。

小姐を両脇に、快調に歌う能見氏。

アレ?この人の年でも美空ひばりはリアルタイムで知らないはずだが・・・

まあ、楽しんでくれればそれでいい。

ラスト回転。

ママ曰く、だいぶ待たせたから特別にもうひと組みせてくれるとのこと。

それでも能見さんはずっとはべらせていたコとのロング。

・・・私は、上半身は乳首しか隠れていない、沢尻エリカをあどけなくしたようなコにした。

身体が反応してしまったのだ。

能見「えーっここで替えるのかよ!うわひでっ」

・・・そんなことは知らない。どうせ一期一会だ。

また、潔く乳を出しているのも気に入ったからだ。

そうだ。このコたちは選ばれなければ意味がない。それで努力をしているのだ。自分で道を切り開くタイプが好きだ。

それぞれ高層階に消えていく。

リンという名らしい。リンはコホコホと小さい咳をしていた。

風邪か?体調が悪いのか?と聞くと、大丈夫とのこと。

露出が多いから風邪を引きやすいのか。まあいい。

シャワーの後、部屋でしっぽり楽しんだ後、

私は優しさを見せた。

私「なあ、リン。薬をやろうか。日本のな、ケフモックスとカロナールといって、

どちらもよく効く薬だ。やるよ。」

リン「ありがとう。でもいらないわ。」

私「なんでだよ。やるよ。あやしいもんじゃないから。」

リン「優しい人でよかった。Stay with me.・・・そばにいてくれればいい。眠るから。」

・・・当時は、なんでひとがせっかく薬をやるというのに、断るんだろうと思ったが、それもそのはず、薬をもられて攫(さら)われる、などがザラの世界なのかもしれない。

リン「ねえ。 今日はありがとう。 お化粧をとってもいい??」

・・なぜ化粧をとっていいかなど聞くのだろうか。いいに決まっている。

私「いいよ」

・・・・・!!!

許可したが後の祭り、目は細く、能面のような女にかわってしまった。

これでは勃たなそうだ。

・・・だからわざわざ許可をとったのか・・・

一夜に賭ける、自分を盛って盛って稼ぐ、夜の蝶の気迫を感じた。

・・・オレも負けていられない。

私「リン、ここで休んでろ。朝勝手に抜けていいからな。ツァイツェン。」

・・・タクシーを飛ばし、気づけば私は、グランドリスボアのブラックジャック卓に

座っていた。

深夜1時頃だったと思う。

ミニマム200HK$の卓で勝負をはじめた。

能見には、グランドリスボアの平場の200HK$BJにいるので、

朝起きていなかったら来てくれと伝えておいた。

マカオのブラックジャックの良いところは、カジノのあるホテルが多いので、ソウルのようにミニマムBJ卓が必ずある程度混んでいるということがない、というところだ。

わりとその日もすいていた。

当時の私は、キヨミズ師にソウルのセブンラックで何回か手ほどきをうけ、ウォーカーヒルにひとりでもいくようになっていたが、まだまだヒヨっ子であった。

能見が心配するように、一度、ソウルでカードでチップを連続購入し、私の携帯に直接電話がかかってきたことがあった。海外でクレジットカードが使われていますが貴方本人ですか、と。

その時は負けた。そしてキヨミズ師に、そんなやり方では長くはもたない。

マーチンゲールやそれに似た方法なんてできる財力のヤツはそういない。

それよりは、ミニマムベットでジッとチャンスを待つ、「打たれ越し」が息が長い・・・

大負けの後は、とても響く。師の言う通りだ。師は競艇もミニマムでしかかけない。

タネはあるが、怖さをよく知っているからだ。ただし勝った時は、その勝ち分を信じられないくらい突っ込む。バクチとは、そういうものらしい。

それは、自分で調べたが、パーレイという方法そのものだった。

ミニマムで賭けて、勝ったら勝ち分を全て上乗せして賭ける。

連勝しないとプラスに全くならないが、長い連勝があると爆発力がある。

・・ブラックジャックにおけるパーレイ法というのは、実は難しい。

まず、ダブルやスプリットで張りが増えると、負ければ原点割れを起こすことがあるからだ。

正確にはパーレイとは言えない。

何度も痛い目に遭い、経験を積んだ今では、ダブルやスプリットである程度勝ったら、その勝ち分をキープして利確してしまう方法や、

長い連勝中の大きな張りゴマではわざとダブルしない、またこちらがソフトハンドでの大勝負は、ソフトハンドには選べる(引ける選択肢)メリットがあるのだから、わざわざつぶさない、またもっと根本的なところで、ある程度単純な連勝でもしたら、

勝ち分を利確してしまう方法など、このマカオで勝負したころと今は違う。

深夜のマカオのBJが私は結構好きだった理由は、ディーラーとのヘッズアップが可能であることが多いからだ。

色の浅黒い、ベトナム系中国人かわからないが、気さくなオバチャンディーラーがこのような平場だと圧倒的に多い。

多分明星級の美人ディーラーは、想像でしかないが、高額投注区にいるのだろう。

BJは長く打てば打つほど控除される。ゲーム全般そうだ。

しかしパーレイは、ひたすら連勝を待つ方法だ。100回より200回、200回より300回。試行回数が増えるほど、連勝に遭遇する確率は高くなるはずだ。

ノーホールカード、アーリーサレンダールールだったと思う。

ダブルやスプリットで張りが増えた状態で、もしも親にブラックジャックが入っていようものなら、全てもっていかれた記憶がある。

・・・こうして、長い連勝(5連勝以上)を目指して、まるで仕事、ルーチンワークのように、果てしない闘いがはじまった。

夜は更けていく。

2時・・・3時・・・4時。いっこうにそんな流れは来ない。

ラシャにも指の軌跡が何本もつくほど、疲れてきた。

明け方。待ちにまった連勝が始まった。数回ブラックジャックが入り、そこから連勝のパターン。

当時の私は、上記のような、利確を全くしなかった。

純粋なパーレイだった。

だから、爆発もすごかった。

みるみるうちに増え、気づくと私のボックスの左に、無数のバックベットが。

1000HK$より大きいサイズ(確かソフトせんべいより一回り小さいくらい、紫)

の10000HK$を張る状態になっていた。

・・・そこでBJが入った。

親のアップはA。

ここで今と違うのは、ディーラーのイーブンマネー?の問いかけに、

ノータイムで「ノー!!」と言えたことだった。

プロ雀士・佐々木寿人を見出した前原雄大は、インタビューでフリー雀荘時代の佐々木寿人のことを、こんな風に言っていた。

「もしかしたら、その頃のヒサトは、麻雀を知らなかったぶん、今より強かったかもしれない」

私も、今の自分と比較すると、このグランドリスボアの最終夜の自分は、そうだったと思う。

そもそも、10000HK$がいくらだとか、ノッてる時は考えもしなかった。

朝6時すぎ。さすがにソフトせんべいが2枚手にはいったところでやめ、

張りを元に戻しながら能見を待った。

途中、さっきの爆連勝のあいだにバックベットでのってきていた中国人の若者が、間違えて少なくしか配当をもらわなかったと言ってきたが、私は取り合わなかった。今更遅いし、詐欺師かもしれない。

・・・6時半ころ能見はやってきた。

「おーい、ずっと??徹夜??」

私「そうですよ。眠い・・」

能見「ちょ、おま、それ勝ったのか?」

私「ええ。約束通りバンジー飛んでもらいますからね。」

能見「・・・・・いくらだよ」

私「30万まではいかないと思います」

・・・私は事の顛末を話すと、パーレイの爆発力に能見も納得してくれた。

能見「よく日和らなかったな。マジかよ。すごいなぁ。信じられん。」

私「ね。絶対負けるなんてことはないんですよ。」

・・・最終日。

最後の観光スポット、マカオ・タワーに行く前に、もう一度エッグタルトを食べにいった。

それくらいウマかったのだ。

私は勝負を終えた開放感でいっぱい。

能見さんは昨夜小姐を満喫したとのことで、最終日のあいだじゅう、「とっても性格もマジいい子。本当惚れたわ」などベタボメだった。

能見「ジョウモンのあのコはどうだったの?」

私「化粧で変わりすぎ、盛りすぎでした。ま、乳にやられましたよ。仕方ないスね。

あ、でもこっちがケフモックスって風邪薬をあげるってのに、拒まれましたよ」

能見「お前あたりまえだよ馬鹿、だれか初見の客の薬なんか飲むんだよ?

オマエお人よしか?それになんだケフモックスって。ちょっと可愛くなっちゃってんじゃん。フロモックスだろうがよ」

私「いや、ケフ・・まあいいっす」

能見「それとジョウモン、あれよく考えたら、パスポート没収されたの、危なかったな。」

私「つい遅いから、、、すみませんでした。」

・・・タクシーでマカオタワーに到着すると、能見は察したのか、

「おい、まさかここか?バンジーって。」

私「そうですよ。でも一番高いところではないですから。大丈夫。」

能見「ふざけんなバカ!最初に言えよ!!」

私「ま、一応うえに行きましょうよ」

そこには、ジャニーズの確か松本潤だったと思うが、飛んだメンバーの写真が飾られていた。

私「能見さん、マツジュンくらいモテますよ!飛んだらいれぐい間違いなし!」

能見「オマエ・・・図ったな!」

バンジーは、行列しているほどではない。ポツリポツリと客がいた。

能見「保険とかあるのかな」

私「さあ、わかりません。でも前、クラブの後輩も飛びましたよ。」

・・ここへ来て、保険の話しがでるのはさすがだと思った。

能見「ジョウモン、じゃわかった。俺も男だ。飛ぶ。おかげで、とても楽しかったしな。でもさ、一つだけ頼みがある。オマエはすぐどっかいっちゃうから、そばにいてくれ。見届けてくれよ。スタンドバイミーだな。はは。」

私「そばにいればいいんですね?もちろんです」

・・なんか夜総会のオンナも、同じようなこと言ってたな・・・と思いだした。

能見「高えええ。ダメだ。こりゃ。腹に力いれてさけばないととても無理だ。バンザーーイはマズイな。中国だしな。」

真面目か。叫ぶ言葉にまで気を遣う。日本人らしい。

・・・そうして装備をして、ガラスの向こうで準備。確か2万円くらいしたと思う。

練習もそこそこに、能見は確かに飛んだ。

はっきりと、聞こえた。魂の叫びが。

「ヴァンダレーーーーーーーーーイ!!!!」

大好きなヴァンダレイ・シウバの力を借りたのだろうか。

次第に見えなくなっていった。

・・・下に降りると、能見が若い女の子のグループと記念撮影をしていた。

ものすごいドヤ顔だ。

私「能見さん、帰りましょう。日本に。ゲンジツに帰りましょう。」

能見「死ぬかと思った。そうだ、ジョウモン、おまえも飛ぶか?」

私「・・・勘弁してください。」

能見「でもオマエさ、飛行機代すごいかかってるよな。遅刻で。その分と合わせてどう?」

私「マイナス8万円ですよ」

能見「なんだそこまで戻したならいいじゃないか。全くメチャクチャな金銭感覚だな。

でも楽しかった・・・ホントありがとう。一人じゃ無理だ。また行こうな。」

・・・そうして、マカオをあとにした。

もう10年たつが、それ以来、能見さんとは行っていない。

まさに桃源郷だった。そろそろまた、能見さんと行き、カジノ論議をしたい。

コロナがはやくおさまるように祈って。

では皆さま、アテブレーベ・オブリガード。




 

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