リゾカジ カジノレポート

空飛ぶ帝王(Flying Emperor)

* マカオ 2022/ 05/ 17 Written by マカオの帝王

コメント( 6)

 空飛ぶ帝王(Flying Emperor) 

■ 澳門・・・30年前 

葡京酒店(プーチン・ジャオディン)を出て、若き “マカオの帝王” が一人海沿いの道を歩き出す。
(注1)どうでも良いことだが、昨今のウクライナ侵攻により、“プーチン”という馴染み深い言葉に、拭い切れない負のイメージが付いたのは残念至極である。

『今回の軍資金は6万+1万の計7万$! 但し、マンダリン・オリエンタルのBJであっさり2万$負け、そこのバカラでも2万$負け、リスボアに移動するもあっさりバカラで2万$負け、一旦手持ちが底をついたが、日付が午前零時に変わったので、ATMで1日の限度額の1万$を引き出し(予備兵力その一、これで駄目ならクレジット・カード軍団のお出ましとなる)、それを元手にミニマム200$と安い、“リハビリ・ゾーン”に河岸を変えたのが幸いしたのか、深夜2時から疾風怒濤のバンカーモードに突入し、気が付けば最後の1万$ ⇒ 10万$となった、これがあるからバカラは止められない♡』

ダンヒルのポーチの中の、輪ゴムでグルグル巻きにされた、香港$の新札(千$札×100枚)の厚みを確かめ、海沿いの道をゆっくりと、フェリー乗り場を目指し歩く。

埋め立て中の土地の一部が、簡易的な滑走路になっており、小型のセスナ機が数台見える。

『何々? マカオ遊覧飛行クラブ? 来月から正式にオープン予定で、ワン・フライト約20分で500$のところ、今ならキャンペーン特別価格でたったの300$!』

面白そうなので、寄ってみることに決定。
(学生時代に航空工学を専攻した者としては、見過ごすわけには行かなかった……)

メガネをかけた、技術屋らしいマカオ人に話かけると、将来的にはこの辺り一帯に、巨大カジノホテルが建設されるらしいが、それまでの数年間限定で、中古のセスナ機での遊覧飛行用滑走路として臨時に借り受けている、とのこと。別に金儲けに成らなくても、自分たちが趣味で飛行する際の、燃料代にでもなれば十分、とのことらしい。

納得したので、形式的に書類にサインし、前金で300$を払い、中古のセスナに乗り込む。

どうやら、メガネのマカオ人がパイロットのようで、シートベルトをしっかり締めるよう言われる。確認終了、エンジン点火!

凸凹の滑走路を、中古のセスナ機が走り出す。

突然、フワァっと離陸し、そこから一気に空中へと飛翔する!

身体中に風を感じる。

『これぞまさに、この前日本人向けのレンタルビデオ屋で見た “紅の豚” の世界だ! 古き良き“飛行機乗り”の醍醐味、ここに有り! だな……』

ついさっきまで、バカラに打ち興じていたリスボア・ホテルが、小さな点に見える。

『確か、かのスタンレー・ホーは、風水を研究し、マカオ半島全体の要となる場所に、自らの思いを込めてリスボア・ホテルを建設したらしい。その場所を支配する者こそが、このマカオを、珠江デルタを、そして全中国の支配者になる!? ことを信じて……』

こうして空から見ると、リスボア・ホテルは “龍の眼” に見えなくも無かった……

セスナがタイパ島上空を飛ぶ。

このタイパ島とコロアネ島の間も、埋め立てが進行中の模様。

それについて、パイロットの兄ちゃんに尋ねると、

「何だって! あぁ、“コタイ”のことか? 手っ取り早く言うと、コロアネ島の “コ”と、タイパ島の “タイ” を合わせて、“コタイ” っていう名前の巨大埋め立てエリアを造り、そこに欧米資本のカジノホテルをバンバン建てて、この鄙びたマカオの地を、将来的にはアメリカのラスベガスを上回るカジノシティに生まれ変わらせる計画らしい、詳しくは知らんけど……」

『さすがは“白髪三千丈”の国だ! このチッポケなマカオが、あのラスベガスを超える!? だと……、馬鹿も休み休みにして欲しいものだ……』

「タイパ島の東側に埋め立て中の滑走路が見えるだろ? 数年後にはあそこにマカオ国際空港が出来て、香港を経由しなくても海外から直接マカオに乗り込めるようになるそうですよ。知らんけど……」

「それは素晴らしい!」と素直に答えるとパイロットの兄ちゃんは、

「そうそう、これは噂だけど、将来的には香港からマカオまで海上に世界最長の “港珠澳大橋” が出来て、陸路で繋がるそうですよ、知らんけど……」
と、これまたスケールのでかい法螺話をのたまってくれた。

そう思いつつ、リスボア・ホテルでの昨夜の出来事が蘇ってきた。

『余り見かけない、角刈りのガタイの良いおっさんだな? やけに濃い眉毛だ。こちとらの反目を張って、プレイヤーに毎回ベットするのは勝手だが、そろそろタマも打ち止めのようだ……』

そう思ったところ、黒い背広を着た角刈りのおっさんは、何やら北京語らしい言葉を発しながら、大きめの皮の鞄の中から取り出した、真っ赤な100人民元の札束をテーブル上に積み上げた!

ディーラーのお姐さんが、広東語で懸命に説明するが、理解出来ない様子……

『どうやら、この“大陸人(中国本土の住民)”は、他の客が卓上に香港ドルやマカオパタカの札を放り投げると、チップに交換してくれることから、人民元でもOKだと思ったらしい……、けど、それはちょっと出来ない相談さねぇ。何年か先に、香港/マカオが中国に返還された後なら兎も角、今はまだ人民元はカジノの中では、清明節に神様へのお供えとして燃やす、“天地通用銀行(おもちゃの銀行)” 発行の「冥幣」と五十歩百歩の扱いであった……』

北京語が出来るマネージャーが顔を出し、説明すると “大陸人” は姿を消した。

『最近、あの手の “大陸人” が少しずつ増えてきた。経済特区の発展も著しいそうだ……、もしかしたら、マカオがラスベガスに匹敵する、巨大カジノシティとなる日も、その内来るのかも……』

セスナは徐々に高度を下げ、着陸態勢に入った。

離陸は素人でも出来る、パイロットの腕の見せ所は着陸であったが、メガネのマカオ人の兄ちゃんは、凸凹の滑走路にスムーズに降り立った。

出発地点にピタリと戻り、エンジンが止まった。

シートベルトを外す。

「空から見るマカオは、いかがでしたか?」と尋ねられる。

「とっても良かったよ!」と答える。

(注2)当方の生涯における、小型セスナ機に搭乗したのは計3回。

1回目:新婚旅行先のラスベガス(グランドキャニオン)遊覧飛行。
2回目:このマカオ上空、遊覧飛行。
3回目:後年、サイパンからテニアン島のカジノへの移動時。

※ 何のことは無い、全てカジノ絡みであった……

幾らにするか迷ったが、正規料金が500$だったことを思い出し、その差額の200$をチップとして進呈する。

「それは少し多すぎます。半分の100$で十分です……」

と言われたが、「燃料費に充ててくれ」といって兄ちゃんに受け取って貰う。

フェリー・ターミナルに到着。
早速缶ビールを二缶買い込み、一缶を一気飲みし、残る一缶を握りしめ、フェリーに乗り込む。

昼下がりのフェリーの中で、微睡みながら自分自身とマカオの未来について考える。

『1997年7月の中国返還までは、たぶん香港駐在だろう。そしてその後は、1999年12月のマカオ返還までは、香港、若しくは長期休暇毎に日本から、マカオのカジノ遠征を続けるだろう。けど、40歳を過ぎたら、そんな生活に別れを告げることになるんだろうなぁ……、ギャンブラーの盛りは短い、気力/体力が充実して、納得のいく勝負が出来るのは、どんなに頑張っても50歳が限界だろう。老醜を晒す位なら、どこかでスパッと引退することだ! けど、将来 “コタイ?” に建設される予定だという、欧米系の巨大カジノ? とやらで、遊んでみたい気もする……』

      空飛ぶ帝王【完】


このReportへのコメント(全 6件)

2022/05/19(Thu) 20:29

BMT216

返還前に初めてマカオに行って水上カジノを経験してタクシーでコロアネに行く途中で見た何もない埋め立て地は記憶が有ります。
空港も無かったです。
またバカラで角型のチップと丸形のチップの違いも知らなかったのは良い記憶です。


2022/05/19(Thu) 22:25

マカオの帝王

BMT216さん、こんばんは!

まさか、あの殺風景な埋め立て地が、キンキラキンに変身するとは!

ただ、当方の先祖は “鳥類” だったようで、卵から孵化して初めて見たもの(=マカオ半島のリスボア系列のカジノ)こそが “真” のカジノであり、それ以外は全て “まやかし” であるという考えが、いつまで立っても抜けません……

あの “煎餅” タイプの丸形チップでないと、勝っても負けても気分が乗りません。


2022/05/23(Mon) 17:44

週末予言者

マカオの帝王 様

こんにちは、いつも面白いレポートをありがとうございます。
小生がマカオに行き出した時もまだ中国返還前で、コタイ地区は影も形もありませんでした。もちろん初めて遊んだカジノはリスボアで、やはりあの薄暗い鉄火場の雰囲気が好きです。

ところで、ポーカーもされているとの事ですが、近々開催予定のWSOPとかには行かれたりされないのでしょうか、ぜひ武勇伝を拝聴しないなと勝手に思っております。


2022/05/23(Mon) 19:45

ひこちゃん

昔懐かしのレポート有難うございます。
ここの所のマニラ訪問投稿に 多分もう行けない小生としては腹を立ててました。

小生もコタイ地区はただの野原でしたね~ 円形リスボア一択だった様な 紫煙で周りが見えずらかった事を覚えてます。
後に行き易さからソウルに鞍替えし WH入口前にシアターが在って 団体客に生姜焼きと見間違えるかのステーキを食わせ 韓国ショーを見せてる間に速攻サボってゲームしてました。

暫くY1万でW5万と記憶してます。 その後10万Wが続き 10年チョイ前にMAX16万Wオーバー
に半年位で動いてビックリした事を思い出しました。

それが有ってかバカラに嵌って漢江へ円を垂れ流す年月を送るよーになってます。
コロナ前はマニラベイに変わってましたが。

もし 当時に戻れるものなら若かりしオイラへ言ってやりたい 「バカラにあ手をだすな」と

もっとも以前に戻れるなら めくれるカードが判るバカラに負けないかも?

次作もお待ちしております。


2022/05/23(Mon) 22:40

マカオの帝王

週末予言者さん、お久しぶりです。

ポーカーについては、マカオでレッド・ドラゴンが開催されていた時は、ちょくちょく遠征していましたが、コロナ以降はリンのお許しも出ず、国内専門です。

このGW期間中は、大阪ミナミで主戦場としている、老舗ポーカー店(ブラフ・バー)が主催する、トッププレイヤー(30人)を対象に開催された、“Top of Poker Championship” のメインに、累計ポイント29位タイと滑り込みで招待され、優勝すれば240万円だったのですが、20位前後で飛びました。

ただ、同時に開催されたサイド・トーナメントでは、参加者約80名のキックオフ・トーナメントではランナーアップ(準優勝)、EPTチャレンジでは参加者約70名中4位でインマネ、参加者約80名の25Kフリーズアウトではファイナリスト(8位)と、還暦ポーカー・プレイヤー “マカティ” として、若者達と愉しい時間を過ごせたのは良かったです。

去年のTPCでも、優勝すれば100万円の その名もズバリ “WSOPチャレンジ” で参加者150人中、最後の3人まで粘ったのですが、3位で力尽きました……


2022/05/23(Mon) 22:59

マカオの帝王

ひこちゃんさん、こんばんは!

コロナ前にマカオで20~30代のポーカー・プレイヤーと飲茶の際にした世間話です。

「君たち、知っているか? この辺り(コタイ地区)は昔は海だったんだぞ」

「またまたぁ、そんな馬鹿な、マカティさん冗談がキツいですよ! ところで、昨日の夜、ポーカーが飛んだので、見よう見まねでバカラ卓でプレイしたら2万$勝ちました! マカティさんはバカラはプレイしないのですか?」

「そっ、それは、まぁ昔は結構嵌まったけど、最近はポーカーがメインかな?」

「そりゃそうですよね、所詮 “運ゲー” 勝てる筈無いですよ、必死でカードを絞ってる人を見てると、アホちゃうか? と思いますよ」

「なるほど……」

バカラはマカオが外国人受け入れを再開するまで、“封印” です。


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