リゾカジ カジノレポート

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*マカオ

博才を持たないマカオの帝王と、彼の帰省の夏

Written by マカオの帝王

投稿日:2014/09/19

コメント(7 件)

*

Casiono Report

8月8日(金)

関空発16:30のエアマカオ0837便は定刻通り飛び立ち、予定通り19時45分に澳門国際空港に到着した。

亜熱帯特有のねっとりした湿気が心地よい。

今回は変則日程だ。

『まずはウォーミングアップ。リゾカジの136,000$プログラムで元祖リスボアに2泊し、軽くバカラを回した後、ブラックジャックで“米の飯”を稼ぐ。
その後、一旦マカオを出て珠海に入り、そこから中国版新幹線に乗り広州経由で湖南省入りし、リンちゃんの故郷で4泊する。
お勤め終了後、14日に再び珠海からマカオに戻り、リスボアに3泊して、バカラ/ブラックジャックで一勝負しつつ、ポーカーでもレッドドラゴンのサイドイベント(参加費5千$のKOバウンティ)に参加し、その全てに勝利し意気揚々と17日に帰国する!』

イミグレを出ると、皇牌天下(エリートルーム)の女性スタッフがお出迎え。

勝手知ったるリスボアへと向かう。

前回の勝ち分の香港$キャッシュをそのまま取り出し、デラックスルーム2泊の136,000$プログラムに参加する。

「アナタ! これ幾らある?」

「うーん、約180万円かな?」

正直に答えると、「アナタ! これが半分無くなったら“終了!”だかんね。それと、最初の3回は約束した通りゲームする、分-かったな!」と迫られる。

適当に頷く。

誰もいないテーブルに座り、3か月振りのバカラスタート!

初手、いつもの様にバンカーに、いつもよりやや多い“1万$”をベット。

ハウスプレイヤーがいきなりナチュラルナイン!
バンカーは空しく8止まり……

苦笑いを浮かべながらカードを放り投げる。

プレイヤーに保険として同じく“1万$”をベットしたリンちゃんの元にキャッシュチップ1万$が付けられる。

次も、その次もプレイヤーが勝ち、“保険屋”リンちゃんの手元に1万$のキャッシュチップ3枚が積み上げられる。

「もうそろそろええかな? 最悪でも3~4万$は確保しておきたいという、リンちゃんの希望は分かるけど、あんまり露骨に“キャッチボール”をやり過ぎると、店から文句を言われるんだよ」と告げると、しぶしぶプレイヤーへの“保険”を5千$に下げる。

バンカーへはそのまま1万$をベット。

『ようし、ようやく本当の意味での初勝負だ! こちらは絵札と足有り!
“材料”は十分、よくプレイヤーを1枚だけオープンさせる人を見かけるが、そんなものは時間の無駄だ!
仮にそれが絵札で、こっちがナチュラル8だとしても、最後の最後に9を出されて“8対9(パーシュウガウ)”で負けるなんて真っ平ごめんだ!』

ディーラーにさっさと2枚ともオープンするよう告げる。

プレイヤーは7。

こちらの足は3ピン。

やっと“バカラをしている”という感覚が蘇って来た。

二つとも付き、美しいナチュラル8でバンカーの初勝利!

保険(5千$)のせいで薄味だったが、兎に角初勝利を味わう。

その後はプレイヤーへの保険はベットせず、いつものようにほぼ全勝負バンカーに2千~8千$をベットしプレイするが途中でプレイヤーが6連勝(=当方が6連敗)するという出来事が発生し、リンちゃんの怒りが爆発する。

「アナタ! 何やってる! また“保険”よ!」

何も確信は無かったが、「分かった、分かった、もし次も負けたら“保険”な……」と言いつつ、バンカーに5千$をベットする。

ハウスプレイヤーは0

バンカーは6

『よしよし、6で勝つのが“米の飯”』

しかし“米の飯”を食べるのは結構難しい……

プレイヤーが6を出し、追い付かれる。

『絵札を引いてタイで良しとするか?』

そう思いながら、ソロっと絞ると、何やらモウピンの気配……。

安心してカードを放り投げるとダイヤのエースだった。

『バンカーが3枚目を絞り7で勝った……、これがMGMの“龍七(ドラゴンセブン)”卓だったらサイドベットが41倍になり大興奮だったな。今日、リスボアでのローリングが終わったら、MGMで一つチャレンジしてみるとするか?』

その後はバンカーが勢いを取り戻し、結局136,000$のローリングが終了した際、手元にはキャッシュチップ138,000$が残った。

そこからリンちゃんに爪楊枝40本分(=千$)を献上する。

取りあえず両替し、リスボアを後にする。

歩いてMGMへ向かう。

クルマの隙間を潜り抜け、道路を渡り、暑いのでウィーンを通ってMGMに突入する。

カジノの入り口で警備員に身分証の提示を求められ、喜ぶリンちゃん。「アナタ!私は20歳以下に見えるのかな?さっきの警備員のヒト、身分証を見てビックリしてたよ!」

「それは良-かったねぇ」

まずはカードのグレードアップだ。

(前回、MGMでプレイした際、ブラックジャックでの頑張りが功を奏したのか、帰国後携帯のメールアドレスにメンバーズカードのランクアップのお知らせが届いていた)

カウンターに行き、パスポートと旧カードを出すと、ランクアップした新カードを受け取る。

久しぶりのMGMのブラックジャックコーナーは、賑わっていた。

ミニマムは500と千の2種類。

別に千でも良いのだが、リンちゃんが500を主張し、そこには空きがなかったので、しばし「食八方」で軽く腹ごしらえすることに決定。

当方はビールとスパゲティボロネーズ、リンちゃんは何やら辛そうな中国料理を頼む。

味はマァマァ。

いつもの様にメンバーズカードを出すと、いつもの様に今回もタダになった。
(いつまでこれが続くのかが、澳門における当方の密かな愉しみの一つである)

カジノに戻ると、500$卓のサ-ドコーナーが一つ空いていた。
という訳で、約3カ月ぶりとなるMGMでの帝王式ブラックジャックの始まり始まりである。

3万$バイインし、3ボックスに500-500-千とベットし軽く様子見でスタート!
(本当は400-600-1000にしたかったのだが、ミニマムが500$なので仕方なくこうした)

負ける。

次は勝ったが、その次は負け。

平均するとそこそこは勝っているのだが、ラストボックス及びダブル/スプリット時の勝率が悪く、少しずつチップを削られる。

リンちゃんから、「アナタァ、全部同じ金額にしたら? それと“追加”と“分ける”は止めにしたら?」と、結果からすると最もだが、素直に従う訳には行かないアドバイスを頂く。

何とかマイナス5千$で踏み止まっていたのだが、ディーラー6、1,500$ベットしたラストボックス2-2で、リンちゃんの教えに背きスプリットすると再び2が来る。
当然、これまたスプリットするも、どれもこれも12~16止まりの屑手で、全てステイ。

これでもディーラーがバストすれば良かったのだが、いきなりAの17であっけなく終了。

リンちゃん的撤収ラインである、マイナス1万$になる。
(一つ;一万香港元は大金である。二つ;勝つものなら最初から勝つ。三つ;負ける時はすぐに止めるのこと)

こうして初日はマイナス1万$で幕を閉じ、何やら不完全燃焼のまま、勝手知ったるリスボアのデラックスルームに戻り、眠りについた。


8月9日(土)

リンちゃんが起きない為、朝から目は覚めているのだがテレビを見る以外にすることが無いので、日本語アニメチャンネルの「革命機ヴァルヴレイブ」を只管みる羽目になる。

これが意外と面白い。

(昔のガンダムを彷彿させつつ、今風の学園ドラマの要素も適度にミックスしており、さすがはサンライズの制作だと思われた……)

12時、ようやくリンちゃんのお出かけ準備完了。

「アナタ! やっぱりマカオに来たらカエルを食べなくちゃー!」

腕を引っ張られ、メトロパークホテルの近くにあるローカル中華の店に向かう。

リンちゃんはいつもの“カエルの炒め物”を辛さマックスでオーダー。

当方は無難なワンタン麺と野菜、それに青島ビールを頼む。

店員が何やら中国語でリンちゃんと会話する。

「アナタァ! お店の人はアナタが社長さんで、ワタシはその秘書だと思ってたのだって。実は奥さんだというと、それはビックリだって!」

「それは良―かったねぇ」と答える。

食後は道路を渡り、前回遠征時の最終日にミニマム300$のブラックジャックで、おばちゃんディーラー相手にサクッと3万$勝った縁起の良いスターワールドホテルへ。

ここでは勝負の前に、来る途中にエアマカオの機内で目にした、“搭乗券の半券をスターワールドホテルのカウンターに出せば、カジノチップ100$と飲食券50$分を贈呈” とかいうのをゲットすべく、コンシェルジェに尋ねる。

どうやら、入り口左手のカウンターに行けば良いらしい。

パスポートを添えて出すと、リンちゃんと二人分、レシートのような無料券をそれぞれゲットする。

「リンちゃん、このカジノ用の券は、200$以上のキャッシュと一緒に出し、ゲームに勝ったら100$の現金、つまり爪楊枝4本分に替わる訳だ。2枚共あげるから、これは勝ちそうだ! と思った時に賭けるんだよ」と説明してリンちゃんに手渡す。

カジノに入ろうとすると、入り口で今日も警備員にパスポートの提示を求められ、ニコニコ顔のリンちゃん。

「ワタシは20歳に見えるのかなぁ?」

「まぁ、20代には見えても、20歳はおかしいだろう?」と答えるが、それ以上はこの話題には触れず、長い長いエスカレーターを上り、2台しかない平場のBJ卓を目指す。

サードベースが空いているのは手前の1台だけであった。

消去法でそこに座る。

この席は前回深夜に短時間で3万$勝った縁起の良い席であることを思い出す。

GW(黄金週間)の最終日の再現! とプレイを開始するが、ベットアップが決まらず、徐々にチップを削られる。
(その間、リンちゃんはカジノ券を2回ベットし、何とか一勝一敗で100$をゲットする)

結局ジャスト1万$のマイナスで席を立つ羽目となり、前夜のMGMの再現となる。

「アナタァ……、10万$には手を付けたらアカンけんね」

当方的には約14万$の軍資金があり、その内の7分の1の2万$を一時的にカジノに預けただけ、という認識であったが、リンちゃん的には10万$はプログラムに参加する為の“見せ金”であり、カジノで負けても良いのはマックスで4万$、なので後2万$負けたら強制終了、だそうだ……

『まぁ、流れに任せるだけだ……』そう自分に言い聞かせMGMへ移動。

ブラックジャックで何とか一矢報いたい! と再びBJ台に座り、プレイを始めるが勝てない。

マイナス5千$の時点でリンちゃんから、「アナタ! ブーラク・ジャクは負けてばっかりじゃないか! これならバカラでもやった方がましよ!」との厳しい声が掛かる。

「分かった、分かった……」と席を立ち、どうせやるならと“龍七(ドラゴンセブン)”のコーナーに向かう。

この“龍七(ドラゴンセブン)”について簡単に説明する。

① サイドベットの“龍七”にベットしたゲームで、バンカーが3枚目のカードを引き、最終合計点数が“7”で勝った際に、掛け金の40倍の配当が支払われる。

② 但し“龍七”が成立した場合、プレイヤー側の本線は当然負けだがバンカー側の本線は引き分けと見做され、その配当は無しとなる。

③ その穴埋め? として、各ゲームにおいてバンカーのコミッション(5%)は(6で勝った場合も含めて)取られない。

④ 再度ベットはタイだけで、ペアは無い。

ゲームを開始する前に、頭の中で“ゲームプラン”を立てる。

『基本的に毎回バンカーにベットする当方に取り、バンカーが3枚目勝負で7で勝った際に成立するという、この“龍七(ドラゴンセブン)”はまさにピッタリだ! 
但し待てよ……、バンカーの本線に4千$、ドラゴンセブンに100$ベットし、プレイヤーが3枚目でゼロ、バンカーが3ピンの際、7(ドラゴンセブン成立)と6または8(通常勝利)はどちらが得なのだろう? 7の場合は+4,000$(本線)-100$(サイドベット分)=+3,900$。 6または8の場合は本線がそのままなので、サイド分の100$×40=4,000$増える。 

うーん、これじゃ面白くない……。 やはり、滅多に出ない“龍七(ドラゴンセブン)”を出したなら、配当としては大台の1万$は欲しい! とすればサイドベットには250$は必要だ……、その場合の本線は40倍だと意味が無いので、10倍(2,500$)から20倍(5,000$)が妥当だろう。

おや? そういえばここ(MGM)にはリンちゃんの好きな、お誂え向きのブルーのライオンの250$チップがあるじゃないか?』 本日の“ゲームプラン”は決まった。

バイインは3万$、これを本線に25.000$、サイドに5千$(全て250$のブルーチップ20枚と両替)を準備し、ゲーム開始!

初手、バンカーに2,500$、ドラゴンセブンに250$をベットする。

いきなりナチュラル9で勝利!

次もナチュラル8で勝利!

但し、コミッションが無いのは良いが、サイドに本線の10%をベットしている為、いつもよりコミッションを多く取られているような錯覚に陥る。

その後は一進一退で推移するも、何とか11勝9敗でバイイン分はキープする。

「アナタァ……、“ウルトラセブン”は出ないわねぇ……、もしバンクだけに賭けていたら、今頃5千$勝ってるのことよ」とリンちゃん。

それはそうなのだが、それでは面白くない。

再び本線用に25,000$、サイド用に250$×20枚を準備する。

5勝5敗で本線はチャラ、サイド分だけマイナスという、所謂一つの“色物貧乏”に陥りかかったところで、プレイヤーが4から3枚目に7を引いて1点、バンカーは2枚で4点という、“ドラゴンリーチ”がようやく成立する。

『良し! これは勝ったも同然だが、勝つだけじゃ駄目だ。何としても3を引くぞ!』

祈りが通じたのか、足無しの無ピン!

エースでは無く、先が尖っていることから、広東語の“ガッタウ(2か3)”である。(期待度50%の激熱リーチ!)

同卓の中国人のおばちゃんトリオから、「ガッタウ、三、三、三!」の声が掛かる。
(但し約1名、バンカーの本線のみにベットしている大陸系のおっさんからは、『これこれ、余計な“三”は出さずに普通に勝って頂戴な……』との念をこちらに送ってくる)

当方、リンちゃん、おばちゃんトリオの5人の“念”と、おっさん一人の“念”とでは結果は自ずと明らかであった。

真ん中に美しい“徴”が見えた!

『三!』と思わず声を出しながら、カードをオープンする!

おっさん以外、全員大喜び!

初の“龍七(ドラゴンセブン)”の配当、1万$を受け取る。

「アナタ! “ウルトラセブン”出たじゃないか! 良-かったねぇ! それと、そうねぇ、爪楊枝は“10本”頂戴ね!」とリンちゃん。

その興奮も覚めやらぬ中、僅か7ゲーム後に再びプレイヤー、バンカー、共に2点から、プレイヤー絵札で2点止まり、バンカー足有りという、所謂一つの“ドラゴンリーチ!”が掛かる。

横にして少しずつ絞る。

『両ピン!』と念じる。

真ん中に何も見えない。

両ピンである!

これで5なら“龍七(ドラゴンセブン)”炸裂である!

こんどは、『真ん中に何か“徴”よ見えろ!』と念ずる。

最近は歳のせいか老眼気味で、近くを見るとぼやけるのだが、何やらまたもや勝利の“徴”がぼんやりと見えてきた。

少しずつカードを斜めに起こす。

もう間違いない。

龍の使いの、幸せを呼ぶ亀さん(真上から見ると5は亀に似ている)の登場である。

僅か7ゲーム後に再び“龍七(ドラゴンセブン)”が出たことで狂喜乱舞する同じ卓のおばちゃんトリオ(最も皆さんベットは50$~100$程度であったが……)

今度はおっさんも“バスに乗り遅れるな”とばかりに100$をベットしていたので一緒に嬉しそう。

またまた配当の1万$を受け取る。

これで本日のブラックジャックの負け分が全て戻ってきた。

けれど、まだ昨日の負け分が残っている。

『戦いはまだまだこれからだ!』とプレイ続行。

但し、リンちゃんから「アナタァ? もうこの台では、“ウルトラセブン”は出る筈無いわよ。もしするなら台を替わるのことよ。それと2回目の“ウルトラセブン”の分の爪楊枝10本、ちゃんと頂戴ね!」と言われ、おばちゃんトリオに惜しまれつつ台を移動する。

移動先の台では20ゲームプレイするが“龍七(ドラゴンセブン)”は出ない。
(一度だけプレイヤー3枚引きでゼロ、バンカー同じくゼロから3ピン! と“ドラゴンリーチ”が掛かるも、付き付きの8で逃す)

但し、本線が11勝9敗とマァマァ好調な為、何とか“ドラゴン貧乏”に陥るのを凌ぐ。
(バンカーコミッションが無いのは有りがたい)

ふと隣の誰もいない台を見ると、BPBPBPと6目でゲームの進行がストップしているのが目に入る。

『よし、隣に引っ越しだ。どうせ座るなら7番に座ろう。そろそろ“龍七(ドラゴンセブン)”が出る頃合いだ。それに順番からいっても、悪くとも次の本線はバンカーの勝利だろう……』

別に何の根拠も無かったが、スッと席を立ち隣に移動する。
(ばくち打ちに、理屈は無用……)

リンちゃんも、勿論移動する。

バンカーに2,500$、サイドに250$をベットする。

プレイヤーに即オープンさせると、頃合いの3

バンカーは普通なら悔しい“ナミちゃん(7+3=0)”だったが、ドラゴンリーチの条件成立と自分で自分を納得させる。

プレイヤーの3枚目を、勿体を付けず即オープンさせると7で、今度は嬉しい“逆ナミちゃん(3+7=0)”!

これで負けは無くなったが、出来ればそのものずばりの7を引いての“龍七(ドラゴンセブン)”成立を願う。

まず足は有った。

次にサイドの確認、3ピンである。

所謂一つの“ドラゴンリーチ(期待度33.3%)”成立!

ゆっくり絞る。

一つ付いた。

しかし、確率的には付いても付かなくても同じ(33.3%)である。

(注)
時々、一つ付けば7か8のどちらかなので;

6・・・0%、
7・・・50%、
8・・・50%

だと思っている人がいるが、
一つ付いた場合は、8、8、7の3通りで、8が66.7%、7が33.3%、何も付かなかった場合は、7、6、6の3通りで、7が33.3%、6が66.7%、になると考えるのが正しい為、“龍七(ドラゴンセブン)”成立の可能性は依然として33.3%であった。


何も見えない。

斜めに絞り上げるが、どこまでいっても何も見えない。

これで何か見えたら印刷ミスである。

お座り一発! 本日3度目の“龍七(ドラゴンセブン)”の出現である。

現在裁判中の、若き日の某A氏のように拳を真上に振り上げる!
(YAH! YAH! YAH!)

所謂一つの“ドラゴンラッシュ!”である。

これで一気に収支はプラスに転じた。

「アナタァ、良-かったねぇ、取り敢えず爪楊枝10本頂戴ね。それとこの台はもう出ないから他に移るのことよ」

言われるままに、またまた隣の台に移動する。

さすがに、そうは問屋が許さず、“ドラゴンラッシュ” 終了。

本線も今イチで、徐々にチップが減る。

と、ここにVIPルームから流れてきたと思しき大陸系ホェール登場。

数十万$分のチップを卓に置き、基本バンカーに5万$、勝てばそれを10万$に増やし、その後はフラットベット、負ければまた5万$から再スタート、と大変分かりやすい。

それはそれで良いのだが、お陰様で絞れなくなってしまった……。

いっそプレイヤーに逆張りするか? と思うが、大陸系ホェールの勝率が今イチだと察した香港系“逆張りおじさん”が人間罫線を発動し、毎回プレイヤーに1万から2万$張り出したので、プレイヤーでも絞れなくなる。

どうしたものかと思ったが、席を離れた途端にこの卓で“龍七(ドラゴンセブン)”が出たら嫌だなと、まるでパチンコ屋にいるような感覚に陥り、仕方なく本線に千$、サイドに250$という、“他力本願作戦” スタート。

しかし出ない。
ジリ貧に陥り、ピーク時から8千$沈む。

することが無いので、“ホェール・ウォッチング”を始める。

良く見ると、驚いたことに彼(ホェール)は一切サイドにベットしていない。

『うーん、それならば普通の台でプレイすれば良いのに……、そうか!これは想像だが、彼はバンカーに賭けるのは好きだが、コミッションで5%取られるのは嫌いなのだろう。

バンカー6の50%もちょくちょくあるので嫌なのかも知れない。つまり、滅多に出ない“龍七(ドラゴンセブン)”を無視すれば、この台は彼に取って6で勝ってもノーコミッションの理想的なテーブルだと言える訳だ……。

まてよ、カジノにイカサマがあるかどうかは分からないが、もしそれが有るとすれば、ハウスにとって理想的な状況とは、何故かこの卓では当方以外ほとんどベットしない“龍七(ドラゴンセブン)”を出し、バンカーのホェールに無配当で、プレイヤー分をかっぱぐことがそれに当たる訳だ……

ここは一つ、小保方さん風に言えば、“ドラゴンセブンはあります!”とばかりに本線は捨て、残り全勝負を250$ずつ“龍七(ドラゴンセブン)”に張り続けるという“検証実験”を試みてみよう……』

修正“ゲームプラン”決定。

取り敢えず、後8回250$ずつ、“龍七(ドラゴンセブン)”にベットするとリンちゃんに告げると、呆れながらも、損失が限定されているのでしぶしぶOKが出る。

「それが全部無くなったら終了だかんね! ホンマにさっき止めといたら良かったのに、これじゃ“ウルトラセブン”が出ても元じゃないの!」

そう言われると、元も子もないのだが、只管“龍七(ドラゴンセブン)”の出現を待つ。

再度ベット専用の250$チップが残り2枚となる。

と、ここで何故かバンカーで連敗したにも関わらず、いままでのベットパターンを崩し、大陸系ホェールが10万$をバンカーにベットする。

右脳が『今だ! 残り2枚いっぺんにドラゴンセブンに置け!』と叫ぶ!

しかし左脳が『駄目だ! 最初に決めた通り最後まで250$ずつ8回ベットするのだ。もしこの次に“龍七(ドラゴンセブン)”が出たらどうする?』と右手を止める。

結局、250$チップを1枚残したままでゲームが始まる。

プレイヤー、バンカー共に0でまずは最低条件成立。

そしてここ十数ゲーム、人間罫線でウハウハの“逆張りおじさん”はプレイヤーで3枚目に6を出し、『今回も勝ったかな?』といった微妙な笑顔を浮かべる。

とにかく、“龍七(ドラゴンセブン)”の条件は成立した。

厳しい表情の“ホェール”が3枚目を絞りにかかる。

取り敢えず足は有ったようだ。

カードを横にする。

何とも複雑な表情を浮かべる“ホェール”。

『両ピンなら即死、4ピンなら地獄・天国、3ピンなら負け無しだが、6でも7でも引き分けで勝利は8のみという滅多にない変則パターンだ……。 3ピン負け無し! とはいっても嫌な状況だろうな……』

思わず大陸系ホェールに同情する。

ホェールも大変だが、今回、プレイヤーにマックスの3万5千$を張った“逆張りおじさん”の顔も引きつりだした。

それに引き替え、こちらが失うのはたったの250$だから気楽なものであったが、倍掛けしなかったことが悔やまれる。

深刻な表情でカードを絞る大陸系ホェール。

『どうやら一つは付いたようだな……、けど後一つはしんどいよ……』

深い溜息とともに、カードを放り投げる大陸系ホェール。

オープンされたカードは“7”で、他力本願による本日4回目の“龍七(ドラゴンセブン)”が出現した。

一瞬喜んだが、次の瞬間、“何とも言えない後悔の念”で胸がいっぱいになった。

『4度目の“龍七(ドラゴンセブン)”が出たのは良いけど、何故あそこで倍掛けしなかったんだ! 後たった250$出すだけで、2万$だったのに、予感は有ったのに、どうして……』

「アナタ! 良-かったねぇ! あら、ちょうど爪楊枝10本分有るじゃないか? 貰っとくね」とリンちゃんに、最後に1枚残った青い250$チップを没収される。

キャッシャーに向かいながら考える。

『当初の“ゲームプラン”は誤りでは無かった。それは良い。けど、予感を感じながらベットアップ出来ず、勝ちを逃した。もし当方に真の“博才”が有ったなら、あそこはダブルで取れた筈なのに、それが出来ずチャラ止まりとは……』

己の“博才”の無さを痛感しつつも、ワールドカップの初戦でハットトリックを達成した日本代表のフォワードになったような気分で心地良い疲れを感じながらリスボアホテルに戻り、無料のサンミゲルを飲みながら、テーブルの上で千$札を発券銀行毎に向きを揃えて分けるという、“帝王式リゾ”を愉しんだ後に、深い眠りについた。


8月10日(日)

今日は移動日である。

12時に一旦チェックアウトするも、14日に再びリスボアに戻ってくる為、一つのスーツケースに衣服等を詰め込みフロントに預ける。

エリートルームに顔を出し、リゾカジ・メンバー3名と一緒に東翼にある、ミシュランに輝く中華レストランの“桃花源(Tim’s Kitchen)”に入る。

何とか前半戦をチャラで乗り切ることが出来たので、ビールも美味しく喉を通る。

リンちゃんも笑顔で記念撮影。

料理は値の張るものを頼まなかった為、何とか一人120$で収まる。
(ミシュラン店にしては激安!)

勿論これもパタカで支払う。

その後、一旦皇牌天下(エリートルーム)に戻り、多額の現金を持って中国本土に行くのは余り気が進まない為、手持ちの香港$の大半(約12万$)を一旦キャッシュチップに交換し、カウンターに預け引換証を受け取る。
(何故か現金は駄目で、キャッシュチップならOKとのこと)

リンちゃんと一緒にクルマに乗り込み、中国との国境の街、拱北へ向かう。

途中の免税店でリンちゃんの友人知人向けの手頃な土産として“洋モク(死語)”を6カートン購入し、徒歩で国境を越え、珠海に入る。

珠海の高速鉄道の切符売り場に並ぶ。

待つこと30分、窓口の横柄なスタッフから衝撃の事実を告げられる。

「湖南省の衡陽まで? 無い無い、今有るのは途中の広州南駅までの一等席だけ、そこから先は明後日の夕方まで全部売り切れだよ。 8月14日の衡陽から珠海までの帰りの分なら今買えるよ。 さぁ、どうする?」

リンちゃんが中国語で交渉するが、相手は聞く耳を持たない様子。

仕方がないので、取り敢えず17時発の広州南駅までの高速鉄道の切符を買い、14日の帰りの分を予約する。

リンちゃん曰く、「アナタァ~、元の広州駅から夜に出る、6時間掛かる寝るの急行なら席は有るって、安いのは安いけど、これでエエか?」

他に方法が無いのなら、“物は試し”と頷く。

広州南駅から地下鉄で移動し、古くさい在来線の拠点である広州駅で降りる。

小雨のパラつく、黄昏時の広州駅前広場は、人民の熱気と、騒音と、何とも言えない臭いが混然一体となった恐ろしい場所であった。

「アナタァ、高速鉄道が出来るまでは、何度もここで乗り換えたことがあるけど、ちょっと目を離した隙に、携帯電話を取られたことが1回、小さい財布を取られたことが1回、鞄を取られそうになったことが3~4回有ったんよ……」とリンちゃん。

香港$の主力軍団をカジノに預けてきて良かった! と心底思う。

適当に4つ星ホテルの中のレストランに入り、前に広州で食べたことのある、油ソバ?とビールを頼む。(リンちゃんは何やら辛い料理をオーダー)

この油ソバは安い(20元)割にボリュームたっぷりで、もし将来中国本土(広州界隈)で年金生活でもすることになったら、3日に1度位なら食べても良い!? と思える位のお気に入りで有った。

腹ごしらえが終了し、人民で溢れかえる広州駅に突入する。

日本の40年位前のくたびれた列車がホームに入ってくる。

上、中、下と3段ベッドの真ん中の狭いスペースに横たわると、ゴトンゴトンと列車がゆっくりと走り出した。(リンちゃんは、「こんなところでうっかり寝たら、ワタシの大事なエルメスのバッグが無くなってしまう!」と補助席に腰掛け、6時間じっと我慢する、とのこと)

すぐに眠りに落ちる。

何やら呟きながら鉄道員が巡回してくる。

「アナタァ、もうすぐ衡陽に着くから起きろって……」

列車が止まった。

深夜3時過ぎ、在来線の寝台急行はリンちゃんの故郷である、湖南省第2の街、人口約200万人の衡陽市に到着した。

薄暗い駅前にはタクシーが列をなしていた。

「アナタァ、わたしのマンションまで10元で行ってくれるって……」

ボロボロのタクシーは深夜の衡陽市内を疾走し、苦難に満ちたリンちゃんの故郷への帰省の旅は一先ず終わりを告げた。

8月14日(木)

リンちゃんの故郷での夏休みは今日で終了。

昨日の夜はリンちゃんの兄夫婦の家に呼ばれ、お祖母ちゃん他親戚一同が集まり恐怖の“伝統的湖南省家庭料理”の晩餐会が開かれた。

客人(当方のこと)を迎えるのだからと、春雨のような安っぽい料理は控え肉と魚を中心にした、とのことであったが、どれもこれも妙な味付けで、僅かでも食欲をそそったのは、箸休めの“炒り豆”のみであった。

こうした中、去年から何かと当方に絡んでくるリンちゃんのお兄さんが、余り見慣れない赤い色の“鹿亀酒”を取り出した。
(前回の飲み比べ勝負では、老酒は向こうの完勝、麦酒(ビール)は当方の圧勝、だったので、今回はどこからか仕入れてきた怪しげな“鹿亀酒”での勝負となった模様)

注がれたので、渋々飲む。

味は……

勿論まずいが、老酒よりはマシで、腐ったワインだと思えば飲めないことは無かった。
(但しリンちゃん曰く、これには漢方の良いモノがいっぱい入っているので、身体にはとても良いとのこと)

さて、リンちゃんのお兄さんの様子はと言うと……

顔をしかめながら、無理して飲み干している模様。

2杯、3杯と飲み進む内に、何やらリンちゃんにボソボソと話し出した。「アナタァ! お兄さんはこう言うた。『無理に“鹿亀酒”を飲まなくても良いよ。ビールが良ければ勝手にどうぞ、自分は老酒を飲むから……』だって」

『どうやら、“鹿亀酒”はお口に合わなかったみたいだな……、最もそれはこっちも同じなので、今回の“飲み比べ”は引き分けか……』

ようやく“鹿亀酒”から解放され、生温いビールで口内洗浄する。

妙な味付けの肉と魚料理を無理して食べ、ビールの合間に豆を摘まんでいると、それなりにお腹も膨れてきた。

そろそろお開きか? と思った時、リンちゃんの義理のお姉さんから衝撃的な発言が飛び出した!

「アナタァ、まだ足りなければ“餃子”も一応用意しているそうなんだけど、どうする?」

『そんな良いモノがあるのなら、最初から出してくれー!』

普段はもの静かな当方であるが、この時ばかりは大声で叫びたくなった……



そんな忌わしい記憶も何もかも、時速300kmで忘却の彼方に置き去りにして、中国版高速鉄道は一路珠海を目指して西に走る。

12時半、在来線と比べると値段は約3倍だが、時間は約三分の一の中国版新幹線“和偕号”は珠海駅に着いた。

早速マカオ入りしてカジノへ……、と思ったが、リンちゃんが少しショッピングしたいとのこと。

地下に広がる巨大ショッピングセンターをブラブラ歩く内に、“日式回転寿司”の看板が目に入る。

日本を出てからちょうど一週間、当方の胃袋は和食と冷たいビールへの欲求で破裂寸前であった。

「リンちゃん! 買い物は一先ず後にして昼ご飯だ! この看板の店に入るぞ!」

店内に流れる紹介DVDによれば、経営者は日本人である様子。

久しぶりの和食(といっても回転寿司だが……)と冷えたビールは、五臓六腑に染みわたった。

一杯目を一気に飲み干し、お代りを頼む。

回転寿司を食べる途中で、ソース味も恋しくなり、日本風ソース焼きそばも追加で頼む。

「アナタ……、良く食べるわねぇ……」と呆れるリンちゃん。

ようやく食欲(含むビール欲)が満たされたので、店を出る。

当分、中国本土に行く予定は無いので、手持ちの人民元を最後の一角までリンちゃんの雑貨購入で使い切る。

国境の長い行列を抜けると、そこは澳門であった。

タクシーに飛び乗り、リスボアへ向かう。

預けていたスーツケースをピックアップし、まずはチェックイン。

シャワーを浴び、チェルッティ1881の勝負服に着替えるとエリートルームへ。

預かり証と交換でキャッシュチップ12万$を受け取る。

早速、2回目のお盆休み特別プログラム(10万$で2泊+300$の飲食券)に入ろうとするとスタッフから待ったがかかる。

「申し訳ございませんが、前回プログラムに入ったのが8月8日の午後8時半ですので、一週間後となる8月15日の午後8時半まではシステム上受け付け出来ません」とのこと。

それを言うなら、リゾカジのホームページを修正しておけ! 
(注)リゾカジのホームページ上の例では、1月1日の14時にプログラムに参加した人が次回入る場合、7日後の1月7日の14時!(8日では無い)以降ならOKと書いてある。

と言いたくなる気持ちをぐっと抑えて、エリートルームを出る。

今回、負け続きのブラックジャックで一矢報いるべく、MGMを目指すが、途中でリンちゃんから「アナタ! ブーラク・ジャクをするは良いけど、MGMは駄目! どうせするなら星際酒店の方がマシよ!」とのお言葉が……

その言葉の通り、MGMを避け、スターワールドホテルへ。

前回負けた台を避け、今回は2ボックスで地道に勝負。

ミニマムが300$なので、300$-500$でスロースタート。

勝つ。

400$-600$にアップする。

まだ勝つ。

500$-800$にアップする。

ディーラー5、 

前方が11でダブル、ラストボックスが88のスプリットとなる。

「アナタ? 大丈夫?」とリンちゃん。

「たぶん……」と生返事を返す。

ダブルには7で18、スプリットには共に絵札でオール18となる。

嫌な感じである。

ディーラー;

5から絵札で一旦喜ばせておいて、お次はAで期待を膨らませた挙句、どうせなら5でも出せば諦めもつくのに、ピンポイントの3でメイク19。

積み重ねた勝ち分を吐き出す。

リンちゃん激怒!

400$-600$に戻して再スタート。
再び僅かずつだが勝ち出す。

勝ちが1万$に近づく。

ここでディーラー6、

前方がAと7でソフト18、
ラストボックスが99の18という微妙な手が入る。

当然、ダブル&スプリットと行きたいところだが、リンちゃんの厳しい視線と、これはそのままの18でもそれ程悪くないのでは……、との受け身の思考パターンに嵌り、共にステイする。

ディーラーは2+絵札の18でオールプッシュ。

愕然としながら、次にシューから出てくるカードを確認する。

『1枚目は絵札、ということはラストをスプリットすれば共に19だった訳だ。お次は5でその次は7……、ということはメイク18で全勝利だった訳か! またも手中の勝ちを逃してしまった……』

もっと“博才”が有れば、とつくづく思う。

張りが少ない上、ディーラーがまぁまぁ飛んでくれるので、爪楊枝だけは着実に貯まる。

『リンちゃんにとっての“米の飯”だな……』と思う。

愉しい時間が過ぎるのは早い。

はっと気が付くと、前回来た際にグランドラパ内の“集美娯楽場”のバカラで当方に勝利をもたらしてくれたバカラ指南の“武くん”とグランドリスボアの入り口で約束した7時の15分前であった。

その時点でのプラスはジャスト7,500$

次でラスト! と決め、1,000$-1,500$とベットアップする。

ディーラーは3、

こちらは共に12。

右脳からは『1枚だけ引け! 出来れば1,000$の方を……、さもないとディーラーは飛ばないぞ!』との指令が出る。

それに対し左脳からは『駄目だ、引くんじゃない! 2,500$勝ってジャスト1万$にしたいんだろ? 引いてバストしたらそれまでだ。ここはそのまま……』との受け身の指令が出る。

他の客が皆ステイし、当方のアクションする番となる。
(ハンドアクションする右手は左脳と繋がっている……)

結局、ステイを選ぶ。

最初をステイした以上、ラストも流れでステイ。

ディーラーの1枚目は当方のステイを嘲笑うかのような8!

そして2枚目は予定調和の絵札で21!

タイムアップで店仕舞いとなる。

どうなるものでも無いのだが、次のカードは予想通り絵札。
ワンヒットしていれば、ディーラーは13からバストしていたことになる。

何とかブラックジャックで5千$は勝ったが、もっと勝てた筈……、との考えを引きずりながら約束の地である新葡京へ駆け足で移動する。



グランドリスボアの正面玄関で、前回バカラでのナビゲーターの“武クン”と再会。

軽く食事を済ませ、約束のプレゼント(日本製シェーバー)を渡した後は、バカラタイム!

何でも、このグランドリスボア内にも、彼の属する“集美”集団の契約している部屋があるとのこと。

普段はプレイしないフロアの、当方以外全員中国人のジャンケットルームで、誰もいないミニマム3千$の卓に座り、バイイン5万$でバカラスタート!

最初数回はフリーゲーム。

その内、何やら“路”が見えてきたのか、“プレイヤー”との予言が出る。

言われるままに3千$をプレイヤーにベットする。

いきなりナチュラル9で勝つ。

次はバンカーとのこと。

待ってました! とばかりに5千$をバンカーにベットする。

プレイヤー2、バンカー5

どうかな? と思ったが、“新宿鉄板リーチ”は強く、プレイヤーの3枚目は“ゴン(=絵札)”で勝利!

その次の予言(プレイヤー)は“武クン”に絞ってもらい、ミニマムの3千$だが見事ナチュラル8で勝利!

あっと言う間に勝ちが1万$を突破し、黄金週間の再現の予感が漂う。

しかし、何故かここで“武くん”の携帯が鳴り「すぐに戻るから……」と告げ席を離れる。

なかなか戻ってこない。

痺れを切らしてバンカー中心に数回、3千から5千$ベットするも、勝率は低く、勝ち分を溶かす。

ここで“武くん”カムバック!

気分はバンカーだったが、プレイヤーとの予言が出たので言う通りにすると、チャーシュー(=6対7)でバンカーの勝利。

その後も“武くん”の予言は精彩を欠き、手持ちのチップは減り続ける。

勿論、5回に2回は当たるのだが、これでは話にならない。

マイナスが1万5千に達すると、リンちゃんから
「アナタ! この部屋はインチキよ! もう止めて出ましょう!」
との声が掛かる。

しかし、中途半端に火が付いた“バカラ欲”は止まらない。

せめて5千$勝負で一矢報いて、撤収するにしても負けを1万$に留めたい……、との思いから席に座り続ける。

一応、“武くん”に予言を確認すると首を振る。

『予言無しとは上等じゃないか! それなら当然バンカーだ!』

バンカーに5千$張る。

プレイヤー3、
バンカー2。

どっちもどっちだが、ここからプレイヤーは7を引き0に下がる。

勝ったも同然! と捲ると、何故かこちらも8で0に下がる……

せめてこの時点で止めれば良かったのに、そのままステイベットする。

今度はプレイヤー、いきなりのナチュラル8!
バンカーはエースと3ピンで一応材料イン。

一つ付けば負けなし! だったがそれが付かない。

もはや勝ちは無く、引き分け(33.3%)となるのを願うのみ……。

そのささやかな願いも、“集美集団”は叶えてはくれない。

何も付かず、抜け抜けで敗北。

リンちゃんに腕を引っ張られ席を立つ。

「もう、アナタ! どうしてあんな台でする! 途中で変だと思ったらすぐに止めるのこと! 最後の5千$が勿体ない!」

全てご最もなので何も言い返すことが出来ず、バカラ歴4半世紀を超えても、引き時の見極めが出来ない己の博才の無さを痛感させられる。

MGMへ向かう。

勿論プレイするのは“龍七(ドラゴンセブン)”台でのバカラ!

まずは小手調べにさっきの生き残りの中から2万$をバイインする。

次に千$チップを1枚出し、青い250$チップと交換を告げると、何故か4枚では無く8枚返ってきた。

『これはラッキー♡』

とそのまま有り難く頂戴しようとすると、頭の悪るそうな女性ディーラーが何やらリンちゃんに中国語で話し掛ける。

「アナタァ、お姉さんはこう言うた。『さっきは間違いましたから、半分返して頂戴』だって……、それで、どうなん?」

「どうなんも何も、そりゃ確かに多かったような気はするけど、それは向こうのミスだろ? ビデオか何かではっきりしたら返すよ」と答えるが、そこにマネージャーが現れ、一旦250$×4枚はカジノが預かり、ビデオで確認後処理することでプレイ再開!

しかし、いつも思うことだが、何かでケチが付いた台では、気持ちよく勝った試しが無い。

本線はプレイヤーが優勢、ドラゴンセブンはリーチすら掛からない。

その内、マネージャーが現れ、ビデオで確認したところ、ディーラーのミスだったことがはっきりしたので250$×4枚はそのまま没収、とのこと。

思えば、この時点でプレイを終了すべきであった。

その後も同じ展開で本線とサイドの双方でチップを削られ続け、結局30ゲームで本線は13勝17敗、ドラゴンセブンはゼロでバイイン分の2万$が溶ける。

激怒するリンちゃん!

「アナタ! これでもう3万5千負けた! 後5千で終了だかんね! それと今日はもうウチに帰って寝ろ!」

有無を言わさず、強制終了を告げられる。

席を立って、キャッシャーへ向かう。

リンちゃんが爪楊枝分をキャッシュに交換する間、さっきまでプレイしていた台を見るとバンカーが7連勝、内一回は“龍七(ドラゴンセブン)”であった。

意気消沈し、リスボアホテルに戻る。

エリートルームに顔を出すと、リゾカジメンバーと再会する。

明日の12時にここに集合し、ランチの約束をして部屋に戻る。

当方的にはカジノ資金(14万$)の内25%のマイナスであったが、リンちゃん的にはカジノ資金(4万$)の内87.5%のマイナス状況で、後半戦の初日は幕を閉じた。


8月15日(金)

朝、目覚めるたびに、抜け殻になりながら一人「革命機ヴァルヴレイブ」を観る。

11時、ようやくリンちゃんが目を覚ます。

エリートルームに顔を出す。

本日のランチメンバーの中に“三井住友”さんがいたことから、南光百貨店の近くのローカル日本食屋“三井”に決める。

平日なので安いセットランチを頼む。

味はいつものように可もなく不可もなく。

ひとしきりカジノ談義に花が咲いた後で、珠海の話になる。

昨日リンちゃんがマカオに入国する際に、最近中国人の一か月間のマカオ滞在可能日数が7日間から5日間に短縮されたことは知っていたが、一度中国に入りマカオに再入国したならばそこで一旦リセットされ、再入国日からまた5日間になるものと思い込んでいたのだがそうではなく、「在留が許可されている明日までに移民局に海外在住であることを届け出しないと不法滞在となり、罰金&出入り禁止となるよ」、と昨日係官に厳重注意されたとのことで、当方が今日これから一度珠海に行くと話すと、珠海に一度も行ったことのない某メンバーと、珠海の達人? とでもいうべき別メンバーから、それならエリートルームにクルマを出して貰おうという話になり、急遽 “日帰り珠海ツァー” が決まる。

マカオより安いマッサージ屋に行き、偽ブランド商品をウィンドショッピングした後に、海鮮料理でも食べよう、と “ツァープラン” を立てる。

食後、取り敢えずエリートルームに戻ると、昨日の夜には「システムがどうこうで、15日の午後8時半以降でないとプログラムには入れない」と言われたのに、女性スタッフから、「ホールドせず、現金なら今からでも入れます」と聞かされる。

なんじゃそれは! と思いながらも10万$をノンネゴチップと交換し、バカラスタート!

幸先は良好。

リゾカジメンバーと同卓し、皆さんがバンカーの時はバンカーに厚く張り絞り、皆さんがプレイヤーの時はルックするという、“半分絞り”作戦で、ローリングしつつ僅かだがプラスで推移する。

そうこうする内にリンちゃんが、「アナタ! 次は三つの“路”が全部プレイヤーよ! いっぺんだけ、プレイヤーに賭けて見たら?」と囁く。

様子見で、今回初めてプレイヤーに2千$をベットする。

罫線のお告げの威力は凄まじく、プレイヤーのナチュラル9で即勝利!

『これはラッキー! 2千$、2千$♡』と配当を待っていると、何故か当方だけ5%のコミッションを引かれ、1,900$しか付けてくれない!?

当然、ディーラーのおばちゃんに文句を言うと、慌てて100$を付けてくれる。

「いつのまにか、バカラのルールが変わったのかと思いましたよ……」と嘆く。

そんなこんなで、和気藹々とプレイする内に、キャッシュチップが10万$になる。

リンちゃんに「これはワタシが預かっておくからね……」と取り上げられる。

残りのノンネゴチップは約17,000$、昨日の負け分の半分が戻ってきた格好だ。

しかし、ここで黒いカットカードが出て、楽しいバカラタイムは終了となる。

時刻は3時40分。

手配したクルマの時間は4時。

よく考えると余り時間が無い。

今から考えると、ノンネゴチップはそのまま残しておいても良かったのだが、何故か横の台に座り、いきなりバンカーに7,000$ベットする。

目は忘れたが、あっさり負ける。

続いて今度は1万$をバンカーにベットする。

これまた負ける。

所謂一つの“飛び込み自殺”という奴だ。

結局、2回目のプログラム参加分のローリングは、端数分の750$+リンちゃんの爪楊枝(約30本=750$)分のみの勝利に留まった。

珠海に行くにあたり、ボーダーはスリが多い上に、多額の現金を中国本土に持ち込むのは色々問題があるとのことで、軍資金の大半(10万$)をキャッシュチップのまま、エリートルームに預けることにする。

珠海ツァー、出発!

何故か道が混んでおり、關閘に着いたのは4時半であった。

行列の途中、中国人専用レーンからリンちゃんが慌てて走ってくる。

「アナタァ! 珠海の移民局はここじゃ無くて、ここからタクシーに乗って30分かかるところに有るんだって! それで、今日中に手続き出来ないと、ワタシはもうマカオに戻れないんだって! 急がなくちゃ!」

足裏マッサージどころではなくなったので、リゾカジメンバーに別れを告げ、リンちゃんと駆け足で拱北のタクシー乗り場に向かう。

なかなかタクシーが捕まらない。

やっと拾えたタクシーに乗り込み、北へ走ること25分、珠海の移民局へ到着。

リンちゃんが中年女性役人に一生懸命事情を説明するが、相手はポカンとしている。

「アナタァ! 間違いました! 珠海じゃなく澳門の移民局なんだって! けど、一か月に澳門に入れるのは2回までだから、ワタシはもう澳門に入れないんだって! アナタ、どうするよ!」

どうすると言われても、案が浮かばない。

取り敢えずタクシーに乗り込み、拱北に戻ることにする。

途中のローカル旅行代理店で、何故かリンちゃんが下車を告げる。

「アナタァ~、さっき役人が、『旅行代理店で400元払って、第三国のビザを貰えばマカオに入れるかも……』と言うた。だからここで相談してみるよ」

黙って頷く。

リンちゃんが色々説明すると、アフリカの某国のビザなら400元ですぐに発行出来る、とのこと。
取り敢えずそれを発行して貰う。

パソコンのプリンターで印刷された、何だか安っぽいビザを受け取る。

旅行会社のお姉さん曰く、このビザでも澳門に再入国出来る保障は無い、とのこと。
現時点で一番確実なのは、“珠海から高速鉄道で広州南駅に行き、そこから広州白雲国際空港に移動し、今日の夜に出るタイのバンコク行きの飛行機に乗り、バンコクで一泊し、明日の朝、バンコク発日本行きの飛行機に乗る”ルートだそうだ。

二人分のエアチケット代(約20万円)は最悪の場合クレジットカードで払うとして、スーツケースと10万$をリスボアホテルに預けっぱなしで、着の身着のままでバンコクに飛び、そこから日本に帰国し、それで今回の夏休みが終了になる、などという事態は何としても回避したかった。

兎に角、澳門の移民局で事情を説明し、それでも駄目なら戻ってくることとし、代理店を後にして、お守り代わりにアフリカ某国のビザを握り締め、タクシーに乗り込む。

「アナタァ、これはどこの国のビザ?」

「うーん、ギニア-ビサウだろ? 多分西アフリカの、人口数百万人の小さな貧乏国だよ」と答える。

「なんなそれは!」とリンちゃん。

そうこうする内にまた行列である。

当方がマカオ入り出来るのは確実なので、まずはリンちゃんが先にパスポートとギニア-ビサウのビザを係官に見せる。

パスポートを隅から隅までチェックする係官。

『駄目か……』

と思った瞬間、何やらリンちゃんに告げられる。

「アナタァ! ワタシみたいな日本人と結婚して、日本に住んでいる場合は問題無いのだって!良かった!」
大喜びのリンちゃん。

「それじゃあ、アフリカのビザは?」と尋ねると、

「あぁ、そんなものはいらないんだって、もう、あの旅行社のお姉さんに騙された!」と憤慨するリンちゃん。

兎に角、再び国境の長い行列を抜けると、そこは懐かしき澳門であった。

時刻は午後7時過ぎ。

さっきまでは、先の予定がまったく立たなかったのだが、再び頭の中が回り出す。

『確か今日の午後7時から、シティ・オブ・ドリームスでレッドドラゴンのサイドイベントの一つである、参加費5千$のポーカー大会(KOバウンティ)が開かれている筈だったな。今からだと遅刻だが、多少はバケーションとして許される筈……、おや、目の前にCOD行きの無料バスが待っているじゃないか? 

どうせリスボアに戻ったところで、リンちゃんから封印された主力部隊(10万$)をバカラ&BJへ投入の許可を貰うのは難しそうだ……。
こんなこともあろうかと、キャッシュも7,000$は持っている。

残る問題は晩ご飯だが、こんなこともあろうかと、ウェハースと飴はカバンの中に持っている。すぐ飛ぶかも知れないし、今は食欲より“トランプ欲”が優っている。取り敢えずはこれで十分! 良し決めた。“バスには乗ってみろ”だ!』

COD行きの無料バスに乗り込む。(乗客は僅か4人)

バスは程なくCODに到着した。(逆にこちらは珠海へ戻る人民で溢れかえっている!)

2階のポーカー会場に着いたのはちょうど午後8時、エントリーは問題無く、久しぶりのマカオでのポーカー(テキサス・ホールデム)スタート!

持ち点はやや少なめの7,500点。

このトーナメントの特徴は、一人飛ばす毎にバウンティとして千$が貰えることにある。

つまり序盤で5人飛ばせは、インマネ(上位約10%に残ること)しなくとも、元金の5千$は戻ってくる計算になる。

勿論その分、インマネ用にプールされる賞金は少なくなるのだが、ポーカーの醍醐味である“オールイン”が増える為、勝負自体は面白みが増す訳だ。

尚、リンちゃんはウィンド・ショッピングしてくる、とのこと。

既に約1時間が経過しているので、テーブル上のプレイヤーの大半が、当方よりも多くチップを持っている……。

『お腹も空いたし、オールイン出来る手なら行くぞ!』

そう思いながらプレイするも、なかなかその手が入らない。

そうする内に、当方よりショート(持ち点が少ない)の白人がオールインを宣言する。

当方はと言えば、♠K、♡5というランダムハンド。

これではちょっと……、と悩んでいると、手前の中国人(当方より持ち点が多い)が即コールする。

相手が二人になったので、仕方なくフォールド。

白人は、♠A、♠4

中国人は、♡A、♠Q

フロップが開く。

♢K、♠5、♡2 !

もし参加していたら、いきなりトップ2ペアである。

ターン、リバーはラグ(関係無し)で、Aも出ず、もし参加していたら当方のスクープ(総取り)であった。

その後、♠9、♡9という、かなり強いペアが入る。

当然、オールイン! と考えていると、前方のテーブルチップリのおっさんから、3千点のレイズが入る。

皆さんフォールド。

少し悩むが、『ここで行かなきゃいつ行くの? 今でしょ!』と7,000点オールイン!

おっさん当然オールイン。

『見せてもらおうか、チップリのオールインのハンドとやらを!』
と心の中で呟いていると、最強のスーコネ;

♢A、♢K

がオープンされる。

『モンスターか! 当たらなければどうということはない!』

こちらも ♠9、♡9 をオープンする。

フロップ;♠A、♠J、♢8

いきなりAが当たってしまった。

ターン;♠K

またまたKが当たってしまった……

『一つも二つも同じだ! 9さえ出れば勝つ!』

リバー;♠2

『やはり残り2枚の9は出なかったか……』

と帰り仕度を始めると、ディーラーがチップをこちらに運んで来る。

よく見ると、スペードの1枚フラッシュで当方の勝利であった。

ここから流れに乗る。

当方のハンド、♡A、♢J

4人コールでリンプで参加する。

フロップ;♠A、♢A、♡8

恐らく当方がベストハンドだと思われるが、前から香港人風の若者が一人だけ千点をベットしてくるので、様子見で2千点打つとジャストコール。

他は皆降りてヘッズアップとなる。

ターン;♡4

余り関係無さそう。

今度は2千点ベットしてきたので、コールする。

リバー;♢6

これまた関係無さそう。

しかしここでオールインが飛んできた!

フラッシュは無い。

ストレートも殆ど無い。
(まさか5、7でリバーまで付いてはこれない筈)

とすれば、一番考えられるのは、同じA持ちのトリップスだ。
(相手がフルハウスを持っていたら、お手上げ……)

同じくAのトリップスだとすると、キッカー勝負となる訳だが、相手

にK若しくはQは有るのだろうか? 

ここで相手の残りのチップ量を確認する。

約1万点。

こちらの残りが約1万4千点。

負けたら痛いが、まだギリギリ戦える。

勝てば大きいし、おまけにバウンティの千$も入ってくる。

悩んだ末、相手は同じAのトリップス、キッカーはT、9辺り! と読み、バウンティの千$に釣られてオールインする。

読み通り相手はクローバーのA&キッカーT!

当方のキッカーのJを見て天を仰ぐ若者!

鼻の差で逃げ切り、初のバウンティ(千$)を獲得する!

その後はタイトにプレイし、着実にチップを増やし、いつのまにかテーブルチップリとなる。

途中で10分間の小休憩。

その時、リンちゃん登場!

「アナタ、どうなった? おや、凄いじゃないかぁ? やるなぁ。ところでそこの四川料理の店で一人で何か“辛いのもの”を食べるので、お金頂戴ね♡」

そんなこともあろうかと、予備の500パタカを渡す。

「アナタ! ところでこのポーカー大会は何時までする?」

「何時までって、参加者が130人で、今残っているのが39人だから、これが13人になるまでだよ。後、3時間位は掛かるかなぁ……」

「そんなに? それで残り13人に入ったらどうなる?」

「どうなるって、その時点で賞金7,700$以上が確定する訳だ。そこからは一つ順位が上がる度に賞金がどんどん増えて、優勝すれば10万$以上は確実だよ」

「ふーん、それじゃ、まずは13人に入るよう頑張ってね♡ 絶対に中途半端な手でオールインして飛んだら駄目よ! それから賞金の25%はワタシの爪楊枝代よ、今日は珠海でどんだけ疲れたか……、眠いのも我慢して待ってるからね!」

トーナメントの再開が告げられたので、手を振りながら席に着く。

ブラインドとアンティが上昇するに連れ、各テーブルではそれぞれ生き残りを賭けたオールイン合戦が繰り広げられる。

そうした戦いの最中、決して乱戦に巻き込まれず、周りのプレイヤー達に「テーブル一の臆病者」「何よりも命を惜しむ男だった」と蔑まれても、「インマネするまでは死ねない!」と愛する妻との約束を守る為、十分なスキルとスタックを持ちながら、只管降り続ける一人の男がいた! (by 永遠のゼロ)

残り18人となった時、隣のテーブルから、やけに胸の谷間と、細い脚を強調した衣装を着た、気の強そうなお姉さんが移動してきたな……と思ったら、有名な“美人”女性ポーカープロのセリーナ・リンであった。

これがいきなり、若い香港人の若者と、レイズ→リレイズ→オールインで激突する。

推定チップ量、約10万点のセリーナ・リンはA,K!

それに対し、推定チップ量、約9万点の相手はA,A!

奇跡は起きず、若者の勝利。

瀕死となったセリーナ・リン、その数ハンド後に投げやりにオールインし、あっさり止めを刺されて脱落する。


その後も、生き死にの勝負は避け、只管降り続ける内に、時計の針は午前1時を回った。

ブラインドとアンティを削られ続けた結果、一時は10万点近く有ったチップは4万点にまで減っていた。
しかし残りは16人、あと3人飛べば明日の決勝進出とインマネが確定する。

ここまでくれば、誰も飛びたく無い。

しかし、一周毎に上昇するブラインドとアンティが、ショートスタック達のチップを削り続ける。

状況は不明だが、隣のテーブルで誰かのオールインに対しコールが告げられる。

『ショートよ、飛べ!』

モニターのプレイヤー数が16 → 15 に減る。

どうやら願いが聞き入れられたようだ。

残り二人となる。

続いて、ほぼ同じチップ量のミドルスタック同士がぶつかる!

AK VS QQ

宿命の戦いである。

何も落ちず、QQ(クィーンズ)が逃げ切る。

QQの方が僅かにチップ量が多かったので、遂に残り一人でインマネのバブルラインとなる。

『さっきまで8万点と、当方の倍のスタックを持っていた若者が、AKというプレミアハンドの一つを持ちながら、15位で消えていった。これがトーナメントの厳しさか……。いくらここまで7時間良いプレイを続けても、飛べばそれで終わりだ。ここでは死ねない。何としても生き残る!』

後ろでリンちゃんが手を振る。

当方SBの時に88(パパ)という、そこそこ強いハンドが入る。
残り二人なので、誰も無理したくないのか、ボタンまで全員フォールド。

『ここでオールインし、後ろのBBが降りてくれればブラインドとアンティを獲得出来て生き残れる! しかし、もし後ろのBBのチップリの日本人女性にコールされたら、恐らく勝率は半々……、ここまで来て、そんな無茶は出来ない……』

結局ヒヨって標準的な3倍レイズを打つ。

『頼む、降りてくれ!』

しかし、その中途半端な願いは聞き入れられず、アグレッシブな日本人女性から恐怖のリレイズ・オールインが飛んでくる。

コール出来ず、泣く泣く降りる。

残りチップは僅か16,000点となる。

次のゲーム、フロップが開く。

Q、Q、6

当方の次にショートの中国人男性がこれを見てオールイン!

これを左隣の日本人女性がクィックコール!

中国人男性;KK

日本人女性;Q9

『中国人男性はフロップにAが無いのを確認した上でのオールインだった訳だが、Q持ちがいたのが不運だったな……』

ターン、リバーはラグ。

午前2時30分、レッドドラゴンのサイドイベントNo.12、KOバウンティのDAY1が終了し、ファイナル進出の13名が決定した。

アベレージチップ量は約8万点、その中で当方は断トツの最下位(16,000点)だったが、兎に角リンちゃんとの約束は守ることが出来た。

ファイナルは明日の16時からスタートであることを再確認され、お開きとなる。

キャッシュゲームをプレイ中の顔見知りの日本人ポーカープロに、サイドイベントとはいえ、一応インマネしたことを告げると、「それは素晴らしい! トーナメントはインマネしてナンボですよ」と祝福して貰う。

リンちゃんとタクシーに乗り込み、リスボアへ戻る。

エリートルームで夜食としてワンタン麺とビールをかっこみ、部屋へ戻り、心地よい疲労感に包まれながら眠りにつく。


8月16日(土)

今日も今日とて、朝から「革命機ヴァルヴレイヴ」を観る。
(ショーコを見送った後で、何故か変になってしまったハルトがサキをレイプしたのには驚いたが、その後の戦闘シーンは面白かった)

エリートルームに顔を出し、リゾカジメンバーとランチに繰り出す。

本日は、リスボア近くの『老四川』という、その名の通りの四川料理の店、辛いもの好きのリンちゃんも勿論大賛成。

メニューの中に“カエルのピリ辛炒め”を発見したリンちゃん、勿論即注文する。

当方は無難な麻婆豆腐とチャーハン、それと青島ビールを頼む。

他の皆さんは、それぞれ肉、野菜、その他を思い思いにオーダーする。

出てきた料理は概ねオッケー! 辛いものが苦手なメンバーの一人も、全身汗だくになりながら、「美味しいです!」と喜んで食べていた。

“カエル”にはちょっとうるさいリンちゃんも、「もう少し小さいカエルの方が、味が引き締まって美味しいのだけれど、これでも十分美味しい♡」と “老四川” に及第点を与える。

昨日の珠海でのトラブルと、その後のポーカー大会の顛末を話し、本日16時からの決勝トーナメントに参加する旨を皆さんに話しをすると、Jさんから「そうですか……、それでは今晩19時にエリートルームに集合して、夏休み最後の食事会を開く予定なんですけど、マカオの帝王さんがそれに参加“出来ない”ことを祈ってます♪」と微妙なことを言われる。

食が進むに連れ、全身に香辛料が充填され、何やら闘志が燃え上がってきた。

食事は終了。

リンちゃんに、ポーカーで既にインマネが確定していることにより、最低でも7,700$+1,000$(バウンティ分)=8,700$は回収決定していることを説明し、食後の肩慣らしとしてMGMでブラックジャックを一勝負する許可を貰う。

あっさりOK。

道路を横切り、ウィーンを通り、MGMに突入。

時刻は13時半、活動限界まで約2時間の短期決戦だ。

『スターワールドでも、ささやかだが一矢は報いた。ならばMGMでも!』

しかし、“四川パワー” は空回りするばかり……。

そんなに悪くは無いのだが、ちょっと流れが良くなり出すと、当方の許容限界点を超えて先ほど体内に大量に摂取したカプサイシンの影響からか、すぐにトイレに行きたくなり、良い流れも一緒に流してしまうという、何とも締まらない展開となる。

勝負の醍醐味の一つに、所謂“ラッシュ”があるが、今回ブラックジャックに関しては、ここまで一度も“ラッシュ”を味わうこと無く、結局最後はジリ貧となり、予算(約1万$)を溶かし終了。

意気消沈、とまでは行かないが、ややテンションの下がった状態でポーカーの会場であるCODへ向かう。

15時半にCOD2階の会場に到着。

決勝参加者13名の内、日本人は3名。

当方の他の2名は、大阪で良く見るカップルだ。

皆さん、当方より持ち点が上なので、「お手柔らかに……」と一言挨拶する。

さて、恒例の“本日のゲームプラン”である。

『賞金を確認すると、13位から11位までは7,700$で同じ。10位で約1万$、9位で13,500$、8位で17,400$と徐々にアップする訳か……。兎に角、最初にペア、若しくはA一枚有ればオールインし、最低でも2連勝してチップ量をアベレージにすることだ。“永遠のゼロ”縛りは終了。Go for it ! 』

16時、サイドイベントとはいえ、決勝の開始が告げられる。

昨日の夜と同じテーブル、同じ席、同じチップ量でスタート!

呆れたことに、開始時刻になっても姿を見せないプレイヤーがいる。
この場合はどうやら、無条件にブラインドとアンティを回収されるようであった。

『よしよし、このまま“永遠に”チップがゼロになるまで顔を出さないでね……』と心の中で呟く。

さて、プレイスタート!

初手;♠K、♠Q

『全てのペア、若しくはAが有ればオールイン! と決めたが、これはどうしたものか……、しかし、何と言ってもキングとクィーンだからな、おまけにスーツだ……、よし、オールイン!』

誰もコールしない。

ブラインドとアンティを獲得し、一息つく。

次手;♢5、♡5

行け行けゴーゴー、である。

連続でオールインを宣言する。

と、左横の約20万点持ちの日本人女性が即コールする。

オープンしたハンドは♢A、♡K

『成るほど。けど、当たらなければどうということはない!』
と再び心の中で嘯く。

フロップ;♠10、♢8、♢6

耐えた。

ターン;♢10

また耐えた。

しかし、良く見るとボードは大変な状況である!

相手のアウツ(出たら当方の負けになるカード)は、Aが3枚、Kが3枚、それに加えて、8が2枚に6が2枚(ボードに上の2ペアが出来る為、当方の5のワンペアが消えてしまう)それに残る♢の中のQ、J、9、7、4、3、2の7枚、合計17枚も有る!

もはや、ガミラス本星に辿り着いた時の宇宙戦艦ヤマトの様に、装甲はボロボロであった。

『頼む! A(エース)もK(キング)も8も6も、それにえーとこっちがフルハウスになる5以外のダイヤも出るな!』

リバー;♡7

赤い3ピンと紛らわしかったが、ボロボロになりながらも何とか逃げ切った……。

チップが約5万点となる。

隣のテーブルで誰かが飛んだ。

残り12人となる。

その3手後;♠A、♡A!

殆ど乗ったことのない(だからあんまり出ないのか……)、AA(American Airline)様の降臨である。

『誰かオールインしてこないかなぁ……』と思いながら、誘う為に15,000点をベットすると、当方よりややショートの白人が悩みながら約4万点をオールインしてくる。

待ってました! とばかりに即コール!

白人のハンドは♡T、♢T

これもかなり強いが、AA様の敵では無かった。

『テンは人の上に人を造らず、人の下に人を造らず。テンにまします我らの父よ、願わくは、み名の尊まれんことを、み国の来たらんことを、み旨のテンに行なわるるごとく地にも行なわれんことを。われらの日用の糧を今日我らに与え給え。我らが人に許すごとく、われらの罪をゆるし給え、我らを試みに引きたまわざれ、我らを悪より救い給え。アーメン……』

フロップ、ターン、リバー……、神様にお祈りを唱えている内にディーラーが5枚のカードをオープンした。

最後までTは出なかった。

「何か、自分と同じショートなのに15,000点ベットされた時に、AAのような予感がしたんだよなぁ……、だけどTTは捨てられなかった。残念だけどこればっかりはしょうがないや……」白人がボヤきながらテーブルを去って行った。

残り11人である。

2枚目のバウンティカードを受け取る。

これで持ち点が約10万点となる。

と、そこに息を切らして一人の若者が飛び込んできた。
どうやら空席の主らしい。
ブラインドとアンティの削られたチップを見て、意気消沈しながら席に座る。

ファーストハンド、いきなり遅れてきた若者がオールイン!

但し当方のハンドは最弱の♡3、♢2で、これではとても受けられない。

『誰かこいつに止めを刺してくれないかな?』

そう思った瞬間、テーブルのセカンドチップリがコールを宣言する。

遅れてきた若者は、♢K、♠J 
セカンドチップリは、♢A、♡T

フロップ;♠Q、♢J、♢T

遅れてきた若者がリード。

ターン;♡9

ストレート完成で遅れてきた若者が大幅リード。

そして運命のリバー;

♡K!

どうやらポーカーの女神は時間にルーズな人間を嫌いなようだ。
ロイヤルストレート完成でセカンドチップリの勝利。

どこの誰かは知らないけれど、若者は、疾風のように現われて、疾風のように去って行った。

これでラスト10人によるファイナルテーブル決定となる。

賞金が7,700$から1万$オーバーにアップする。

喜ぶリンちゃん。
「アナタ、ゆっくり、ゆっくりね。焦らなくても良いから」

もう一人の日本人男性も残っていた。

ここからが本当の勝負である。

去年、日本人でありながら全豪チャンピオンになった若きポーカープロから、「マカティさん! ファイナルですか? それに結構チップもあるみたいだし、頑張って下さい!」と励ましの声を掛けられる。

昨日から通算すると既に10時間が過ぎていた。

強者たちの最後の宴が始まる。
10人中、日本人は3人。

大阪のポーカー・バーで時々顔を合わす、若いイケ面プレイヤーは、この時点では断トツのショートだった。

『恐らく、彼のトーナメント生命は残り1周だろう。アーメン……』

しかし、彼は強かった。

決して逃げることなく、果敢にオールインを繰り返し、その全てに勝利し、見る見る内にスタックを築き上げていった。

当方はと言えば、一度QQ(クィーンズ)が入り、AJ相手に何とか勝利し、一息つく。

そうした中、ミドルスタック同士がぶつかり、一人が消えた。

そしてまた一人、乱戦の中で消えていった。

賞金が17,400$(+バウンティ2,000$)にまたまたアップした。

それは良かったが、段々とショートになってきた。

『残り8人、ここらで一度ポットを取らないと苦しい……』

しかし中々ハンドが入らない。

ようやく ♢Aがはいるも、相方は最弱の ♠2……

兎に角、コールするとSBもコール、BBチェックでフロップが開く。

♢Q, ♢J, ♢9

エースは無いがダイヤが3枚! 
何でも良いからダイヤさえ落ちればナッツフラッシュの完成だ!
すると、このフロップを見て、SBがオールイン、BBもこれまたオールイン!

ナッツフラッシュ完成の可能性が約36%有る訳だから、当方もオールインを宣言する。

全員、ショウダウン!

チップリのSBは♠Q、♡T!

現状トップヒット$ストレートの両面ドローである。(強い)

アベレージのBBは♠9、♡9!

セットである。(これまた強い!)

それに引き替え、こちらは現状何もない。
但し何もないが、ダイヤさえ落ちればフラッシュ完成でスクープ(総取り)である。

ターン;♠A

一瞬喜ぶが、もう一枚Aが落ちればセットがフルハウスに成るだけなので、結局ダイヤ以外は駄目なことに気が付く。

『ここでダイヤが落ちれば、スクープで一気にトリプルアップだ! 上位入賞も狙える。 もし本当の“博才”が有るのなら、ここでダイヤが落ちる筈!』

リバー;♡3

セットのBBが強力なドローの追撃を逃げ切り、勝利を収めた。

こうして、長かったトーナメントは結局8位で終了。

バウンティ分と合わせて賞金19,400$を受け取る。

「アナタ、残念だったわねぇ……、でも、良く頑張りました♪」とリンちゃんに慰められる。

時計の針を見ると、8時近い。

リゾカジメンバーとの夕食は諦め、タクシーに乗り込み、兎に角マカオ半島に戻る。
リンちゃんが、八佰伴で買い物したい、と言うので、長時間待たせたお詫びに寄る。

お土産として、月餅を何個か買ったまでは良かったが、帰りがけに純金のイヤリングコーナーでリンちゃんの足が止まる。

嫌な予感がする。

「アナタァ! さっきのポーカーの記念にピカピィカのイヤリングが欲しいわぁ!」

「ふーん」

「これ見てぇ! わたしにピッタリ!」

「良かったねぇ」

値段を確認する。

約3千$。

もう少し高ければ断固拒否するのだが、NYヤンキースの田中将大のように、コースぎりぎりにコントロールされたストレートを放り込まれたらお手上げであった。

このイヤリングを購入し、漸く八佰伴から解放される。

徒歩でリスボアホテルに戻る。

一旦部屋に戻り、荷物を片付け、最後の戦いに出陣する。

まずは腹ごしらえ、リスボア系列の飲食券(300パタカ)を使い切る為、二日連続でグランドリスボア内の麺屋に向かう。

適当にオーダーし、御代を300パタカ少々に抑え、飲食券を使い切る。

ジャージャー麺を食べながら、最終決戦を前に、今回の遠征最後の“ゲームプラン”を立てる。

『ここまでの収支は、バカラ:マイナス1万5千$、ポーカー:プラス1万5千$、ブラックジャック:マイナス3万$か……、バカラとポーカーは行って来いでチャラだ。それは良い。問題はブラックジャックだ。一度も“ラッシュ”の醍醐味を味わうことなく、このまま帰る訳には行かない!』

最終決戦の場は、グランドリスボアでのブラックジャックに決定!

サードベースの空いている台を探す。

1台発見。

他の客はと言えば、当方と同じく女性連れの、メガネをかけた中年の中国人男性が一人。

しかし、この中国人氏、只者じゃない。

テーブル上にうず高く積まれたチップは20~30万$、バカラ卓なら兎も角、平場のBJ卓では極めて珍しい。

その癖、プレイしない。

成らばと、サードベースから3ボックスに500-1000-1500でプレイスタート。

勝つ。

その後も順調に勝つ。

最終日になり、ようやく、“ラッシュ” に遭遇♪

この中国人氏、横の女性と喋ってばかりで、一体何の為に座っているのだろう……、と思い出した頃、突然、2ボックスにそれぞれ2万$ずつ、計4万$ベットする。

中国人氏、当方、共に13~18と今いちだったが、ディーラーは5からゴンゴン(絵札、絵札)であっさりバスト!

次も同じく2ボックスに4万$をベットする中国人。

今度は一つがブラックジャック、もう一つが11でダブルし絵札で21!

理想的な展開となり、当方も一つがブラックジャック、残りが20で、ディーラーが8から絵札の18でオール勝利!

ディーラーがチップを補充する為、暫し中断。

目の前で何やら中国語での会話が成される。

リンちゃんに通訳を頼む。

「アナタ! お姉さんたちはこう言った。『今日はこのフロアのブラックジャックは、この台以外は全部店の勝ち。但しこの台だけは店の大幅の負け。あーあ……』だって!」

『そうか……、成らばこの中国人氏に乗らせて貰うとするか? 中国人氏が4万$出動! するまでは、ミニマムの500$×3ボックスで流す。中国人氏が出動した時には、こちらもベットアップする。これで勝てるのなら、“下手の考え休むに似たり”と言うやつだ。他力本願、大いに結構!』

ミニマム×3ボックスでの勝率はほぼ50%だったが、中国人氏がベットした際の勝率は平均66%に上り、1万$バイインでスタートしたチップは着実に増えていった。

気が付けば手持ちのチップは3万5千$、後僅かで原点復帰が見えてきた。

さて、件の中国人氏の方はと言えば、当方が席に座った時点から、ざっと20万$は上乗せしており、おばちゃんディーラーは何度もチップの補充で、てんやわんやであった。

「アナタァ~、横の中国人は北京のワイロの人よ、そして横の女はきっと“第三者(=愛人)”よ」とリンちゃん。

「それはそうかも知れないけど、バカラなら兎も角、こんな平場のブラックジャックで、一体どうやってワイロのお金を“洗濯”出来るというのだろう? ベットアップした時に負けたらそれまでじゃないか……」
そんなことを考えている内に、謎の中国人が久しぶりに動いた。 

それは何故か2万$×2ボックスじゃなく、3ボックスであった。

それを見て、一旦3ボックスで当方なりにベットアップしたのだが、ボックス数を5で維持しようとして、カードが配られる寸前に急遽一つ減らし2ボックスとする。

舌打ちする中国人氏。

カードが配られる。

ピクチャー、ピクチャー、ピクチャー、ピクチャー、ピクチャー!

そして、当方がボックス数を減らさなければ、ラストボックスに配られた筈だったのに、ディーラーに配られたカードはA!

その次のカードは6であった。

その後はぐちゃぐちゃ……。

中国人氏はマックスの3万$を保険として出した後に、13~16となった3ボックス全てでB/S通りヒットするも全滅、当方も18、19と一応はカッコをつけたものの、ディーラーは9を引いてインシュアランスもかわし、10万$近くを一気に回収する。

何やら悪態をつきながら、中国人氏が“第三者”と席を立ちどこかへ消える。

ほっとした様子のおばちゃんディーラー。

「さて、リンちゃん、どうする?」

「どうするも何も、他の台は全部店が勝ってるんでしょ? だったらここでブーラク・ジャクを続けるのが、一番マシじゃないの?」

ご最もなので、プレイ続行。

3ボックス:500$-1,000$-1,500$、
若しくは4ボックス:500$-1,000$-1,500$-2,000$
の変則帝王式を適当にミックスして、リンちゃん曰く “ガタガタいう黒い箱の中で展開される店の陰謀” を回避しつつ、原点を目指し再スタート!

今回、MGM、スターワールド、と不調だったブラックジャックだが、中国人氏が消えてからも何故か負けない。

それを見て、途中から初老の日本人男性が一人参戦するが、彼も順調に勝っている様子。

「もしかしたら、この新葡京のブラックジャックが一番勝てるんじゃないか?」

と呟くと、

「そんなこと、あるかいな! さっきおばちゃんが言うたでしょ? この台以外は全部店の勝ちだって。これは日本のパチンコ屋と同じで、一列に一台くらいはお客さんが勝てる台を置いているのよ。だから、見てみぃ! この列の他の台のお客さんは皆負けていなくなっちゃったじゃないか?」

そう言われてみれば、土曜の夜だというのに、ブラックジャック台は閑散としており、辛うじて動いている台も、殆どがミニマムベットである。

「勝てるんだったら、バンバン賭けることにするか?」
と冗談で言うと、

「駄目よ! 店は少しは勝たせてくれるけど、勝ち過ぎたらさっきのワイロの人みたいに、すぐ負けさせられるから! あの人はそれが良く分かっているから、あっさり止めたのよ。ワタシも眠たいし、アナタもそろそろ止めたら?」

手元のチップはジャスト35,000$、あと5,000$で今回の遠征全体での原点復帰である。

4ボックスに、500$-1,000$-1,500$-2,000$とベットする。

ディーラーのフェイスが7なのは良かったが、こちらのハンドと言えば、14、15、16、そしてラストボックスは77とぱっとしない。

兎に角ヒットするのみ! とヒットするが、3枚連続絵札でバスト!

溜息を付きながら、スプリットする。

すると、またも7!
当然これもスプリット。

ディーラーの7に対し、3匹の小さな龍(2000$×3)が襲い掛かる。

まずは1匹目。

絵札で動きを封じられる。

次は2匹目。

再び絵札で、これまた動きを封じられる。

最後の3匹目。

これも絵札か? と思うと3が入る。

ダブルでパワーアップ!

しかし、配られたのは2で12止まり……。

最悪の事態を覚悟する。

おばちゃんディーラーがぎこちない手付きでカードを取り出す。

一枚目は7で14。

二枚目はAで15。

三枚目は7で、おばちゃんディーラーはバストした!

『ふぅー、最初に3千$負けてどうなることかと思ったが、最後の最後でスプリット$ダブルが決まり、8千$勝ちで、差し引き5千$の勝利となってくれた。もし最後ダブルしなければ……、12でヒットし7で19は当然ステイ。するとディーラーは7+A+7=15? 次のカード次第か……兎に角原点復帰だ!』

ディーラーに襲い掛かった“小龍”たちは、傷つきながらも、最後にその使命を果たした。
「アナタァ、これで最後なら、出来れば爪楊枝をあと7本頂戴!」とリンちゃん。

「別に構わないけど、どうして7本?」と尋ねると、

「あぁ、それは此処までの爪楊枝が993本なので、あと7本でちょうど千本になるのよ♪」とリンちゃん。

千本! と聞いて、頭の中に黒うさPの“千本桜”が鳴り響く。

それと同時に、もうこれで今回のマカオ遠征の戦いを終了しても良いような気がしてきた。

『確か昨日(8月15日)は太平洋戦争の終戦記念日だったな。 “爪楊枝が千本貯まったと君が言ったから、八月十六日は千本記念日”って訳だ……』

急に昨日からの疲れが襲ってきた。

終戦を決意する。

キャッシャーに向かう途中で考える。

『中国政府の締め付け策の影響で、今日から2ヵ月間は中国籍のリンちゃんはマカオに入れない……、ということは、9月のオフ会も10月の体育の日の前後の連休も駄目ということだ。それなら年末年始だが、リンちゃんの第一希望は未体験のオーストラリア、第二希望はシンガポール再訪(7月のオフ会でゲットした、“巨大水族館内のお魚を部屋の窓から眺めることが出来る、超高級スィートルーム”の宿泊券の有効期限が年内いっぱい)なので、それも困難だ。うーん、次回のマカオ遠征のスケジュールが立たない。これは一旦手持ちの香港ドルを日本円に戻すとするか?』

両替レートを確認する。

762HK$=10,000円である。

69年前の8月16日の大日本帝国陸海軍のように、歴戦の勇者であるマカオ方面軍の精鋭部隊(香港上海銀行発券の続き番号の新券千$札30枚や、レアなスタンダード・チャータード銀行発券の、同じく続き番号の新券千$札10枚等を含めた、約13万$)に、友軍(リンちゃんの爪楊枝分)の約2万5千$を含めた、ほぼ全軍の解散を決意する。

外為所で、152,400$を差し出し、日本円200万円への両替を申し出る。

電卓を叩いたマカオ人スタッフがやや驚きながら、奥から封印された日本円二束を取り出す。

その直後、中年日本人二人組が、「エクスチェンジ、ジャパニーズエン?」と言いながら、当方の数倍の香港$の札束を窓口で差し出すのだが、ストックが切れたのか、「もうここには日本円は無い。但し、向かいの古いリスボアなら有ると思う。なので、そこに行ったらどうかな?」とスタッフに告げられる。

けれども、これが二人組に通じない。

「あれ? 駄目なのかなぁ?」
「何か、リスボアがどうのこうのとか……」
「リスボアって、ここもリスボアだろぅ?」

同じ日本人として、見るに見かねて、
「あのですねぇ、さっき私が纏まって両替したので、ここのストックは底をついてしまった様です。それで、向かいの古いリスボアホテルの1階にある両替所に行けば、恐らく日本円があるんじゃないか? とのことです。もし良かったら、今からそちらに戻るので、案内しましょうか?」と告げると、戸惑いながらも、
「あぁ……、それでは、宜しくお願いします……」
と話が纏まり、リンちゃん共々4人で連絡橋を渡ってリスボアへ移動する。

歩きながら話をしたところ、どうやら二人はコタイでプレイし、当方らと同じく明日日本(静岡県)に帰るそうだ。

元祖リスボアホテル1階の両替所に到着。

日本人二人組が当方(十数万$)とは少々ボリュームが異なる、“数十万$”を取り出しても平然と、次から次へと読み取り機にかけ、慣れた手付きで日本円のレンガを用意している様を見ると、『グランドリスボアのスタッフは別に口から出まかせを言った訳ではなかったのだな……』と、案内役としては一安心する。

無事、日本円への両替を終え、ほっと一息つく日本人二人組。

「あっ、どうも、お世話になりました……」との感謝の言葉を後にして、笑顔で一礼しリンちゃん言うところの“家(=部屋のこと)”に向かって歩き出す。

『この街に この家に こころは 帰る 家に帰れば ♪♪♪』

脳内にCMで昔から良く耳にするメロディが鳴り響く。

シャワーを浴び、荷造りし、ベッドで小一時間仮眠を取ればチェックアウトタイムだ。

8時45分、ホテルのロビーで清算終了。

リンちゃんは化粧をしていないので、エリートルームには顔を出さず、9時までここで待ってる、とのこと。

頷きながら、エリートルームに向かう。

まだ5分有る。

『確か自分は、滞在の最後の瞬間までプレイを続けることをモットーとする、“クラブ・スコーピオン”の初代会長だったな……、今手元に空港で何かお土産でも買おうかと残した香港$が千$少々有るが、よくよく考えれば、今更買いたい土産物など何も無い……。それなら、最後にバカラで一勝負してみるか?』

ダンヒルの財布から最後に残った新札の千ドルを取り出し、チップと交換し、バンカーにベットする。

他に誰もいないので、ハウス・プレイヤーにさっさとオープンするよう告げる。

プレイヤー:3

バンカーはAと3ピン。

あっさりと一つ付いた。

ナチュラル8で勝利!

財布から50$を取り出し、コミッション分を支払う。

2千$を再びバンカーにベットする。

ハウス・プレイヤーは5。

バンカーは絵札と3ピン。

ちらっと時計を見る。

もう9時である、サッカーで言えばロスタイムに突入だ。

『連続のナチュラル8!』

一つ付いた。

これでナチュラル8での勝利確率:66.7%である。

二つ目も付いた。

バカラは簡単だ……。

『もう一回いこうかな?』

と一瞬思うが、スタッフに呼ばれ、ロスタイム終了。

チップを香港$に両替し、リゾカジメンバーのハイトさんとエリートルームを後にする。

ロビーでマスク姿のリンちゃんと合流し、マカオ空港へ。

『今回も色々有ったが、何とか生き残ることが出来た……、だけど、もう少し“博才”があれば、もっと勝てた筈……。いや、それを嘆いても始まらない。確か、ゲーテの言葉だったかな? “どうせ人間死ぬのだから、生きている間くらい活き活きと生きよ!”だ。これからも、限られた時間を精一杯、活き活きと生きてみることにしよう。どうせ人間、最後は皆死ぬのだから……』

マカオの龍に成り損ねた、博才を持たないマカオの帝王の巡礼の旅は終わりを告げた。

*このレポートはリゾカジ.SNSの日記を転載したものです。

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このレポートへのコメント(全7 件)

2014/09/20(Sat) 18:02くるくる

マカオの帝王さん、

こんにちは。
面白いですねぇ。

こんなゲ-ムがあれば、ヒットすると思いますよ。

・ワクワク気分でマカオのカジノを始めようとすると、その前にまず、中国湖南省で修行しなければいけない。
・修行とは、異文化の人達と友好を保ちつつ、生温いアルコール飲料と微妙な味の料理を食し、退屈な日々に耐えること。春雨と餃子は、なかなか出てこない。
・マカオ入りには、リンちゃんの入国審査にからんで、様々なトラップが用意されている。
・カジノのプログラムでは、再利用できる日程の話が違ったり、5千円札は受け付けられなかったり、様々なトラップが用意されている。
・カジノでは「爪楊枝」が通常のコミッションに上乗せされ、勝ち金額が削られる。
・カジノで、ある程度まとまった金額を負けると「リンちゃんの激怒」が発動される。
・「武クンの予言」に上手く乗れば驚異的な勝率で勝てるが、信用したとたん、大きく負かされる。
・リンちゃんが美と若さを人から指摘されるたびに「よーかったねぇ」と言わなければいけない。
・カジノで勝つと「リンちゃんからの褒め」を得る。
・ゴールは、これら全ての障害を乗り越え、カジノで勝利を収めること。

こんなゲームなら、即買いです。
(^O^)/

2014/09/20(Sat) 22:04マカオの帝王

くるくるさん、お久しぶりです。

今回はくるくるさんのホームグラウンドである “珠海” を東奔西走し、くたびれました。

折角、くるくるさんが考案してくれた“ゲーム”ですが、縛りが多すぎて当方としては余り愉しめそうにありません……

それより、前篇、中篇、後篇とSNS版では三部作に仕立てたのを、ここでは一本化するのは良いとして、尻切れトンボで放置プレイされるとは想定外でした。

カジ郎さん、お願いしますよ!

2014/09/22(Mon) 09:58ほしこ

マカオの帝王様

リゾカジ管理人カジ郎の弟子のほしこと申します。
今回はせっかくのレポートを尻切れにしてしまい、
本当に申し訳ありませんでした。

修正させていただきました。
大作レポートをもったいないことをしてしまい、
本当にすみませんでした。

今後このようなことのないように致します。
本当に申し訳ありませんでした。


2014/09/23(Tue) 03:28暴走病人 黒鯛

お久しぶりです、 マカオの帝王様

素晴らしいレポート 驚きの一言です、質問なんですが 旅の最中レポートのために毎日記録やメモを

残してみえるのですか、それとも全部頭の中に記憶してみえるのですか?

とにかく、シンガポールでテーブルを共にした時のあのヒョーヒョーとした感じからは想像もつかない文章

尊敬してしまいます。 よほど頭脳とお見受けします。

2014/09/23(Tue) 19:48マカオの帝王

暴走病人 黒鯛さん、こんばんは!

ゲーム中のメモに関する質問ですが、バカラについてはテーブル上で詳細な記録を取ることが認められている為、全ゲームについて、プレイヤー、バンカーのそれぞれの最終点数、それがナチュラルかどうか、そのゲームで自分が幾らベットしたか、そのゲームの自分の結果、等を詳細に記録して持ち帰るようにしています。
(例)P:6、B8(ナチュラル)W5(5千$ベットし勝利)といった感じです。

ブラックジャックやポーカーでは、ゲーム中に記録出来ませんので、もっぱら記憶に頼ることになります。
良く、アスペルガー症候群の人の中に、“写真記憶術”を持つ人の話が出てきますが、ことカードゲームに関しては、当方にも昔の“日光写真”レベルですが、印象的なゲームの瞬間のそれぞれの人のベット金額、自分のハンド、ディーラーのハンド、最終結果、等がぼんやりとですが脳裏に焼き付いて残る為、それを元にレポートに再現しています。

それでは、再見!



2014/09/23(Tue) 20:41マカオの帝王

ほしこさん、はじめまして。

修正、確認しました。
ただでさえ長文の当方のレポート(3本)を纏めたので、お使いのパソコンが驚いてオーバーフローしてしまったのでしょう。

確認次いでに読み返すと、幾つか誤字脱字を発見したので、併せて修正願います。

■ 8月9日;“再度ベット” → “サイドベット”

■ 8月16日;“長高級” → “最高級”、  “日本年” → “日本円”(2か所)

後、表題ですが、これも長すぎる為か、尻切れトンボになっていますので、前半を削除して、下記の通りご修正願います。

澳門の龍2014『博才を持たないマカオの帝王と、彼の帰省の夏』→ 
博才を持たないマカオの帝王と、彼の帰省の夏

これからも宜しくお願いします。、

2014/09/24(Wed) 10:17ほしこ

マカオの帝王さま

おはようございます。
ほしこでございます。

返信いただきありがとうございました。
本当に今回は不慣れなことでご迷惑をお掛けし、
申し訳ありませんでした。

ご指示いただきましたところも修正しました。
またお時間ございますときにでも、ご確認くださいませ。

ありがとうございました。
こちらの方こそ、これからもどうぞよろしくお願いします。

ドキドキレポートとリンちゃんさんとの愉快なやり取りを
楽しみにしています!

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