リゾカジ カジノレポート

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*マカオ

「マカオは燃えているか」(借りぐらしのマカティの八月の澳門指南)

Written by マカオの帝王

投稿日:2010/08/24

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*

Casiono Report

■ 8月7日(土)

定刻を約30分遅れ、関西国際空港を17時にマカオ航空NX837便は離陸した。 座席は真横に主翼が見える18-A。

『そうか、このエアバスa319は、学生時代に専攻した航空工学の卒論のテーマだったウィングレット(=主翼の翼端の斜め上方向に装備された小さな翼。これを装備することで、翼端渦を減少あるいは発生方向を上方に移動させ、空気抵抗(誘導抗力)を減らし、結果として燃費を4~5 % 程度向上させる)を装着しているのだな。当時は反対意見も多かったが、こうして実用化されているところを見ると、結局はメリットの方が大きかった訳だ……』

何だか嬉しくなる。

雲の上で徒然成るままに考える。

よく周囲の(非ギャンブラーの)一般人に聞かれる問いの一つに、「マカオは“暑い”のですか?」というのがある。
この問いに対する答えは、いつも悩みの種である。
というのも、普段は春夏秋冬、いつもマカオの全滞在時間の95%は空調の効いたホテル(カジノ)の中にいる為、暑さ寒さについては殆ど感じたことが無いからだ。
一般的には、亜熱帯気候帯に属する訳だから、冬季は日本より暖かいことは明らかであるが、夏季は日本とほぼ同じと言っても良いのでは? と思料する。
(むしろ最近は日本の方が暑い位だと思う)

同様に周囲のギャンブラーの諸兄に聞かれる問いの一つに、「マカオは“熱い”のですか?」というのがある。
これに対する答えは、比較的単純である。
総論としては、マカオの今年上半期のゲーミング売上は前年比67%アップの105億$を記録していることから、“熱い” ことは疑う余地が無い。
各論としても、先月に開催されたポーカーの一大イベント:レッドドラゴンで、日本人のタカラベ・ケンイチ氏が、世界各国から参戦した296名のプレイヤーのトップに立ち、約62万香港$(約700万円)を獲得したことなどが引き金となり、週末のマカオ直行便は連日満席だそうだ。

(因みに、本日は全て満席です、を意味する広東語は “全日満” で、本日は空席ばかりです、を意味する広東語は “全日空” である。 以前知り合いの香港人に、「日本人は変わっているねぇ! よりによって飛行機会社に “全日空” なんて縁起の悪い名前を付けるなんて……」と笑われたことを思い出した)

まさに八月のマカオは、京都大文字の五山の送り火のように燃え盛っていると言える。

そんなことを考えながら、頼んだ2杯目のマカオビールを飲み干すと、程なく眠りについた。

定刻をやや遅れ、現地時刻の20時に暑い(熱い?)タイパ島のマカオ国際空港に到着。

まずはメールで約束したウィーンのポーカールームに向かう。
ここで京都のポーカー仲間のOさんと落ち合う。
このOさんはタイパ島の格蘭酒店(ベスト・ウェスティン・ホテル・タイパ)に一ヶ月の長期で泊まり、マカオで只管ポーカーのリングゲームに拘り、朝から晩までポーカー(ノーリミット:テキサスホールデム)を打ち続けているという、当方のポーカーの先達である。

Oさんとポーカーのトーナメントを開催中のグランドリスボアに向かう。
ここでは、7月に開催されたレッドドラゴンと比べるとやや小粒であるものの“マカオミリオンズ”という、参加者総数741人、賞金総額HK$1,467,180のトーナメントが開かれており、リゾカジのユウキさん他、日本人も大勢参加していた。

22時過ぎに、DAY1が終了する。
ユウキさん、Oさん及び大阪から参加のポーカー関係者約10名と一緒に、リスボアホテル裏手にある南光百貨店上の日本料理屋の三井に向かう。明日のファイナルに残っている2名の激励会&予選敗退の8名の残念会が、23時より始まった。(当方及びOさんはこのトーナメントには参加せず)
ポーカー談義に花が咲くものの、24時過ぎにラストオーダーとなり、解散。
その後、リスボアホテル内のリゾカジの牙城である皇牌天下(エリートルーム)に向かう。

2万$をノンネゴチップと交換する。
ここで大阪のバロケンさんと出会う。
ややマイナスらしいが、挽回可能圏内とのこと。
群れず、媚びず、あくまでもマイペースでプレイを続けるバロケンさんのプレイスタイルにはいつも感心する。
邪魔しないよう、隣のテーブルで只管バンカーに賭け続ける。
ローリングが終わると再びノンネゴチップと交換。
結局12万$回してチャラで終了する。
リスボアグループのレストランで使えるという200$分のお食事券と1%のキャッシュバックを受け取り、バロケンさんに別れを告げ、Oさんのホテルのあるタイパ島に向かう。
(“借りぐらし”の始まり始まり……)


■ 8月8日(日)

ベスト・ウェスティン・ホテル・タイパの蒸し暑い部屋で目覚める。
Oさんと近くの店でブランチを取る。
その後、Oさんと共にタクシーではなく、路線バスに乗り、4.2$きっちり支払い、グランドリスボア前で降りる。
今回はリスボアホテル内の大豊銀行で、持参した日本円を両替する。
レートは1万円=901.64$。円高のおかげで、1万円で900$を超えるとちょっと得した気分になる。
Oさんは主戦場のウィーンのポーカールームへ、当方はMGMのBJテーブルに向かう。
ここで3万$を纏めてチップと交換する。
本当はお気に入りの黄色い千$チップ30枚と交換して欲しかったのだが、1万、5千、等を交えて手渡された為、再度両替を要求し、基本全て黄色の千$チップと交換する。
(本当にここの千$チップは美しい。最近MGMでのBJの勝率は今一つであったが、どうせBJをプレイするのならルールも良いし、ここかな? と思う)

8ヶ月振りのMGMでのBJが始まった。
一時1万$を切るの、そこで何とか踏みとどまり、逆に “帝王式BJ” が連続して決まり、5万$を超えた瞬間もあったが、結局原点の3万$に戻ったところで時間となり手仕舞いとする。

グランドリスボアで、14時10分より参加費3千$(保証賞金十万$)のデイリートーナメントにエントリーする。
(なお、メインのマカオミリオンズの方は、残念ながら今回は参加した日本人は全滅とのこと)

他の日本人が次々に飛ぶ中、健闘するもファイナルの少し手前でA8でオールインするが、あっさりA9にコールされ、お互いA持ち同士ながら何も当たらず、キッカーの差で負け終了。

『まぁ、所詮バカラのワンベットだ。その割には長く遊べた』
そう思い直し、グランドリスボアを後にする。

足が自然にリスボアのエリートルームに向かう。
2万$を両替し、プレイスタート。
京都のOさん、マカオ在住の日本人ポーカープレイヤーのHさん、リゾカジのユウキさんも合流。
(因みに京都のOさんは、ウィーンの一番レートの高いポーカーテーブルで大勝利だったとのこと)
途中、BPBPBPBPBPという、パターン好きな人には堪らない罫線もあったが、(途中から参加した大阪のポーカー関係者の人は、この間10連勝で約5 万$勝ち、ポーカーの敗北はどこかへ吹っ飛び、満面の笑みを浮かべて帰っていった)バンカー専門の当方には余り関係なく、途中でビールを何杯も頼み、結局この日も12万$回しただけで終了。
(本線はプラマイゼロ) 
1%のキャッシュバックを受け取るが、何となく不完全燃焼な為、ほろ酔い気分のままタクシーで移動し、タイパ島のハードロックカジノの中に最近新しくオープンしたという、ポーカールームに足を運ぶ。
4千$をバイインして、スモール・ブラインドが10$、ビッグ・ブラインドが25$のテーブルに座る。

あっけなく溶ける。
追加のバイインもあっさり溶ける。

目の前の若いルーズプレイヤー(以下“フィッシュマン”と呼ぶ)が、当方の3倍のペースで負け続けているので余り目立たなかったが、いつまでもこれでは宜しくない。
酔いが段々と醒めてくる。

『いかん! やはりさっきまではアルコールのせいで判断力が鈍っていた。 これじゃまるで“フィッシュ(=カモ)”だ! ここから仕切り直しだ』

再び追加のバイイン(4千$)を行う。
ハンドを絞り、参加する際はコールではなくレイズで入るようにする。
酔っ払い状態の時に当方からチップを奪っていった白人とオールイン対決となり、当方のAKが白人のAQとぶつかる。
Qは落ちずに4千$を奪還する。
止め処も無く負け続けている目の前の “フィッシュマン” が、プリフロでお決まりの4千$オールインを宣言する。
どうせブラフと読み、当方もJTのスーツとさほど強くは無かったが、好きなハンド(=夢は大きくロイヤルストレートフラッシュ!)な為、コールする。
案の定、相手はT2のオフスーツであった。
何故こんな手で相手がオールインしたのかは不明であったが、ターンでJがヒットしあっさり勝つ。
この勝利でようやく当方もこのテーブルにおいて、“フィッシュ” から “人間” に復帰する。
この辺で、Oさんの日本での雀荘での知り合いだという、現在マカオ長期滞在中のポーカープレイヤーのヒロさんが登場する。
共に同じテーブルでプレイが始まるが、日本語会話禁止な為、会釈のみ。
Oさんの話だと、このハードロックのポーカールームにも“ポーカーで飯を食う”ことを生業としている輩が大勢たむろしているとのこと。
バカラやBJと異なり、ポーカーの場合はある程度のスキルがあれば、初心者相手なら平均すれば勝てる為、ポーカー人口がその地域において急拡大しつつあるという一定の条件下においては、ポーカー一本で“飯が食える”状態が生まれるのだろう。
(所謂、ネズミ講の初期段階)

早晩、このような“美味しい”状況は消滅する訳だが、それまでの期間はこうした“ポーカープロ”及びその予備軍がマカオに犇めき合うのでは? と思われた。
(後で関係者から聞いた話では、集団でマンションを借りて、日々、フィッシュ(=カモ)を求めて互いに連絡を取り合い、マカオ中のポーカールームでプレイする韓国人グループや、その種の輩が大勢いるらしい……)

当方とのオールイン対決に敗れた、“フィッシュマン”がテーブルの全員に対して、ある“提案”を持ちかけた。
最初は早口の中国語なので分からなかったが、カジノのスタッフが当方及び白人のプレイヤーに対し英語で説明を開始する。
“フィッシュマン”曰く、「今日自分はここで余りにも負け過ぎたので、現状のレート(10-25)では挽回が困難である。 そこでこのテーブルのレートを25-50に変更して欲しい! どうですか皆さん!」 とのことであった。
ほぼ全員が“フィッシュマン”のおかげでプラスなので、誰も異論は無かった。
当方も勿論賛成する。
全員一致の為、テーブルのレートが25-50に変更される。

バイインが1万$まで認められるようになった為、“フィッシュマン”も喜び勇んでポケットから1万$を取り出す。
しかし、最近何かのトーナメントで上位入賞して数万$を獲得したそうだが、ポーカーの神様はそれを彼から全て回収する決意を固めたようであった。

レートが変更になってからやや慎重になった“フィッシュマン”であったが、数ゲーム後、フロップがT72レインボーの時、1万$弱のオールインを宣言する。
すぐさま、イタリアのフローレンスから来たという、白人のプレイヤーがコールする。
“フィッシュマン” が、どうだ! とばかりにT7をテーブルに叩きつける!
トップの2ペアだ!
これに対しイタリアの兄ちゃんはAA!
現状勝っているので、一瞬喜ぶ“フィッシュマン”!
しかし無情にもターンでAが落ちる。
愕然とする“フィッシュマン”。
この瞬間、既に “フィッシュマン”の勝ちは無くなっていたのだが、止めにリバーもA!
白人が思わずガッツポーズをとる。
エースのクワッド(俗にいうフォーカ-ド)を作り、白人がカジノからプレミアの500$を貰う。
何でも、この500$はバカラで自分の現金を同額加えてゲームし、勝てばキャッシュ千$と換わるそうであった。

大喜びする白人を尻目に、広東語で悪態をつく“フィッシュマン”。
(なんじゃこれは! このテーブルは一体どないなってるんや! 今日は最悪の日や! もうここまでで5万$以上負けとる!)

喉が渇いてきたので、オレンジジュースを頼むことにする。(アルコールは打ち止め)

言い忘れたが、このハードロックカジノのポーカールームには、他にない素晴らしい点があった。
それはスタイル抜群のビキニ姿のウェイトレスが何名かいて、飲み物をオーダーすると、すぐ近くまで笑顔を振りまきながら運んできてくれるということだ。
グランドリスボアのポーカールームの愛想の無いおばちゃん連中と比べると、この点だけは雲泥の差であった。

その後、当方がトイレに行き、戻ってくると何やら“フィッシュマン”が激昂していた!
どうやら、久しぶりに “フィッシュマン”のほどほどのオールインが決まり、ディーラーから配当を受け取った際に付けられたチップが、自分の計算より185$少なかったとのこと。
「オレは今日ここでこれまで5万$以上負けてるんや! そのオレがたった185$でゴチャを言う筈無いやろ! ビデオでも何でも再生して見いや!」
ディーラーは駆け付けたマネージャーに対し、「自分の計算は問題無い」と冷静に釈明するが、マネージャーは場の “空気” を読んだのか、“フィッシュマン”に対し、主張通り185$を付けてテーブルのゲームを再開するよう指示を下す。

喜ぶ“フィッシュマン”。

しかし、次のゲームでオールインするも、またもやさっきのイタリア人にコールされる。

“フィッシュマン”=JJ、イタリア人=AJ。
確率上では“フィッシュマン”が断然有利であったが、やはり、というか、やっぱり、というか、お約束のようにリバーでAが落ち、イタリア人が勝った。
呆然としながら、“フィッシュマン” は席を立ち、「俺は今日ここで6万$負けた……、6万$、6万$……」 と呟きながら夢遊病者のように消えていった。

“祭り” が終わった。

機を見るに敏な中国人達が一斉に席を立った。

残されたのは当方と白人二人のみ。
3人でしばしプレイするも、何となく気が乗らない。
手元のチップを数えると、ちょうど1万5千$だった。

『グラリスのトーナメント参加費を差し引けば、本日のポーカーの収支はチャラか……。もう “フィッシュマン”もいなくなったし、この白人二人は手強そうだ。仕舞うとするか?』

スタッフにチップを入れるケースを要求する。
白人二人に終了を告げる。
向こうも納得したのか、片付けを始める。
遠くで、「さぁ、バカラだ」 との声が聞こえる。
ハードロックカジノをあとにして、タクシーでワンメーターのベスト・ウェスティンに向かう。

尚、このホテルに滞在中、ちょっとした“事件”が起きる。
当方はマカオを訪れる際、極力荷物を少なくする為に、下着等の着替えも必要最小限しか持参せず、ホテルで洗濯するのを常としていたのだが、今回は狭いホテルに相部屋だったので、洗濯済の衣服をクローゼットの中に干したところ、水が下に滴り落ち、Oさんのバッグを水浸しにしてしまった。
これを聞いたヒロさん曰く、「うーん、どうやら“マカオの帝王”さんの“絞り”が甘かったようですねぇ……」

「!?!」

『絞りが甘い! と言われては、“マカオの帝王” もそろそろ年貢の納め時だな……』

因みに、当方のマカオレポートの熱烈な愛読者であるというヒロさんに言わせると、当方のことをVシネマの “ミナミの帝王” の主人公の萬田銀次郎のような人物を想像していたそうだが、実際に会って話して見ると、まるで大学の教授みたいな感じの為、そのギャップに驚いたそうだ。

閑話休題。


■ 8月9日(月)

Oさんと一緒に地元の不動産屋に行く。
すっかり“マカオ大好き人間”となったOさんの、“マカオ・プチ永住計画”のアシストとして、半年間のマンション契約に、通訳兼解説のため帯同する。

結局、3ベッドルームの瀟洒な高層マンションの一区画を、家賃半年分前払いの月額9千香港$で契約成立。今後は、話の合いそうなポーカープレイヤーの日本人相手に、ワンベッドルーム:月額3千香港$程度で貸し出すそうだ。
夕方まで各種生活用品の買出しに付き合う。
ここがマカオの日本人ポーカープレイヤーにとり、“梁山泊”になるかも……、そんな予感がよぎる。

マンション契約記念の晩餐を、旧市街の有名なポルトガル料理屋の「LITORAL」で、当方、Oさん、そしてヒロさんの3人で祝うことにする。店内には、様々なコンクールで獲得した表彰状が壁一面に飾ってあった。
代表的なマカオ料理の “アフリカン・チキン” は今一だったが、店名を付けたリトラル・スパゲティは大変美味であった。(和洋中を問わず、店の名前を付けた料理に外れ無し!)

帰り際に他の日本人ポーカープレイヤーのグループと遭遇する。

ポーカーブームのせいか、従来のバカラ/BJをメインとした伝統的なカジノ・ギャンブラーとは雰囲気のまったく異なる、若い、スマートなポーカープレイヤーの日本人がマカオに多くなったような気がする。

その後、何となく流れでリスボアのエリートルームへ。

スタッフから、「今、セカンドバイインが23万$です。リスボアなら、現状でも一泊OKです。平日のグランドリスボアなら、あと12万$、計35万$で一泊宿泊OKです。頑張って下さい」と目の前に“ニンジン”をぶら下げられる。
“ニンジン”に釣られて、ズルズルとゲームを続ける。
1勝2敗ペースでチップが減る。
2万$が溶けたところでOさんが堪らずリタイアを宣言する。
当方の凹みはそれ以上であったが、その直後からバンカーモードに突入する。

BBBBBBB!
疾風怒涛の7連勝!

その後、一進一退となり、本日12万$目のノンネゴチップのローリングが終わった時点では、+5千$であったが、その勝ち分をキャッシュ・チップでバンカーに張ると、あっさりプレイヤーのナチュラル9で負け、チャラとなる。

『どうしたものか……』と思案していると、透明なカットカードが出て、終了となる。
ここまで! と思い、スタッフを呼び清算してもらう。
本日分の1%のキャッシュバック分として1,200$, それと最終日の12日のグランドリスボアのデラックスルームの一泊無料宿泊券を受け取る。

グランドリスボアのポーカールームを覗いてみる。

軽くリングをするが、余り気が乗らずちょい負けで仕舞う。

その後、平場でバカラを朝まで打ち、タイパ島のOさんの契約したマンションに戻り眠る。


■ 8月10日(火)

“借りぐらし”の宿で最初の朝を向かえる。

ヒロさんとギャンブル中毒者の定義につき話が盛り上がる。

当方が強迫的ギャンブラーの人たちの互助団体である、“Gamblers Anonymousu” の “20の質問” を例に挙げる。

「ヒロさん、いいかな? 次の20の質問で7つ以上当て嵌まる人は、強迫的ギャンブラー、つまりギャンブル中毒者と言えるそうだ。 それじゃあ、質問開始!」

1.ギャンブルのために仕事や学業がおろそかになることがありましたか?
2.ギャンブルのために家庭が不幸になることがありましたか?
3.ギャンブルのために評判が悪くなることがありましたか?
4.ギャンブルをした後で自責の念を感じることがありましたか?
5.借金を払うためのお金を工面するためや、お金に困っている時に何とかしようとしてギャンブルをすることがありましたか?
6.ギャンブルのために意欲や能率が落ちることがありましたか?
7.負けた後で、すぐにまたやって、負けを取り戻さなければと思うことがありましたか?
8.勝った後で、すぐにまたやって、もっと勝ちたいという強い欲求を感じることがありましたか?
9.一文無しになるまでギャンブルをすることがよくありましたか?
10.ギャンブルの資金を作るために借金をすることがありましたか?
11.ギャンブルの資金を作るために、自分や家族のものを売ることがありましたか?
12.正常な支払いのために「ギャンブルの元手」を使うのを渋ることがありましたか?
13.ギャンブルのために家族の幸せをかえりみないようになることがありましたか?
14.予定していたよりも長くギャンブルをしてしまうことがありましたか?
15.悩みやトラブルから逃げようとしてギャンブルをすることがありましたか?
16.ギャンブルの資金を工面するために法律に触れることをしたとか、しようと考えることがありましたか?
17.ギャンブルのために不眠になることがありましたか?
18.口論や失望や欲求不満のためにギャンブルをしたいという衝動にかられたことがありましたか?
19.良いことがあると2・3時間ギャンブルをして祝おうという欲求がおきることがありましたか?
20.ギャンブルが原因で自殺しようと考えることがありましたか?

「あきません……、半分以上イエスでしたぁ!」 とヒロさん。

『えっ! たったの半分とは……』自分自身のイエスの質問が17個あったことは伏せておいた。

Oさんと3人で食事後、更に部屋の備品の買出しに出かける二人と別れ、昼過ぎから再びハードロックカジノのポーカールームに行く。
しかし誰もいない。
どうしようか? とエントリーだけしてブラブラしていると場内コールを受ける。
何とか4人集まったので、10-25のテーブルをオープンするとのこと。
その後、段々とプレイヤーが増えるが、本日はこれといった“フィッシュ”もおらず、一進一退を繰り返す。

マカオ用に277$で購入したローカル携帯電話が鳴る。
Oさんとヒロさんからの夕食の誘いであった。
移動するのも面倒だったので、同じフロアの中の広東料理店(龍軒)に行く。
内装は上々、ビールは当然、お気に入りの青島ビールを頼む。
日本で飲むとそれほどでもないのに、何故かマカオで飲む青島ビールは旨い。

以前からの個人的な感想だが、日本人が夏の暑い日にビールの一口目に求めるものと、香港・マカオ人が暑い日に外から室内に入った瞬間の空気に求めるものは同じだと思う。 
それはずばり “キンキンの冷たさ” だ!
これは気持ち良い! 
けれども、それが健康に良くないことも明らかである。
その結果、我々日本人はエアコンの設定温度が28度でも我慢するし、香港・マカオ人はビールを飲むグラスが熱くても、怒り狂うことは無いように思われる。

閑話休題。

ひとしきりポーカー談義で盛り上がった後、勘定をすると、3人で飲んで食べて約800$、
『やはりマカオでは、中華を食べると安いなぁ……』ということを再認識する。

その後Oさんらと別れ、一人で再びハードロックカジノのポーカールームへ。
4千$のバイインで参加するも、ビールの酔いが回ってきたのか、判断が甘くなり、ズルズルとチップを減らし、最後に(バカラなら強い)K9でオールインし、A8でコールした白人に、Aならともかく8を当てられ終了。

リバイする元気も無く、タクシーで“借りぐらし”の宿に戻り(もう門番も当方の顔を覚えたのか、黙ってオープンしてくれた)自分用に割り当てられたベッドで倒れて眠る。


■ 8月11日(水)

今日は1時半にホリディ・インホテルのロビーで、岡山の女性ポーカープレイヤーのNさんと待ち合わせ。
今回はNさんの“マカオデヴュー”とのことで、同じ岡山のアケミンさんから二日間のアテンドを頼まれる。

待つこと15分、亜熱帯のマカオの地に、周囲とまったくそぐわないロングドレスを着た、謎のモデル風の美女、Nさん登場!

少し遅れて京都のOさんも合流し、前日、“美食の都”香港泊だったというのに、まともなものを食べていないというNさんのお腹を満たす為にウィーンで中華を食べる。

「やっとまともなものを食べることが出来た♪」と喜ぶNさん。

その後、Nさんにマカオでのポーカーの希望を尋ねると、予想通り
「リングじゃなく、トーナメントがしたい」 とのこと。
多分そう言うだろうと思い、グランドリスボアの“Weekly Tournament Schedule” を元に立てた計画を話す。

「Nさん。 先週末にマカオミリオンズという大きなトーナメントが終わったばかりで、今日明日は小さなデイリートーナメントがあるだけです。けど、この方が参加費も手頃だし、“マカオデヴュー”にはちょうど良いのでは? まず今日だけど、19時10分から参加費が千$のデイリートーナメントがあります。いきなりこれに出ても良いのだけれど、17時から参加費220$で、これのサテライトのトーナメントがあります。これで上位に入れば、19時10分からのメイントーナメントの参加費が免除される訳です。どうですか?」

「サテライトが220$で、メインが千$ですか? 一般人のワタシにはちょうど良いデス。サテライトから出ます!」 とNさん。

リング派のOさんも暇潰しに出てみる、とのこと。 

3人で新葡京(グランドリスボア)2階の、撲克之星(ポーカースター)に向かう。
参加費220$を支払い、トーナメント開始。
しかし、3人共残念ながら途中で飛ぶ。

しばしコーヒーを飲み、時間を潰し、千$払い、19時10分からのメイントーナメントにエントリーする。
参加費は安いが、一応40人弱参加のディープスタックのトーナメントであり、トーナメント派のNさんとしてはちょうど良い感じ、とのこと。

トーナメントが始まる。

「やっぱりトーナメントは向いてないわ……」 とぼやきながら、まずOさんが飛ぶ。

徐々にプレイヤーの数が絞られる。

当方も健闘虚しく、ファイナルテーブル目前で飛ぶ。
この時点で、堅実派のNさんは順調にチップを増やしており、ファイナル入りはほぼ確実な模様。

しばしポーカーテーブルを離れ、グランドリスボア2階を彷徨う。
軽くバカラをするが、行って来いで終了。

Nさんの様子を見るべく、ファイナルテーブルに戻る。
ちょうどNさんのオールインの場面に遭遇する。

NさんQQ VS 相手はAK。

フロップが開くがお互い当たらず。

思わず、「そのままぁー!」 と叫ぶ。

当方の願いが通じたのか、リバーまで何も当たらず、確率通りNさんの勝利!

ここで、前方から見慣れた顔がこちらに向かい接近してくるのを発見する。
“リゾカジの織田裕二” こと、ちくわさんであった。
「おや! 帝王さんじゃないですか! どうしてこんなところに?」
「どうしてって、今はそこでプレイ中のNさんの付き添いです。ちくわさんも知ってるでしょ?」
「あぁ、岡山のNさんじゃないですか? それじゃ、今はマカオが初めてのお客さんを連れているので、また後で……」そう言い残し、ちくわさん一行は消えた。

その後Nさんはヘッズアップ(最後の二人)まで残ったものの、最後は力尽き準優勝に終わるが、初マカオのトーナメント挑戦で、堂々2位となり、賞金7,150$を見事ゲットする。
記念になるよう、2位の賞金のレシートのコピーをスタッフから貰い、Nさんに渡す。

Oさん、ヒロさんを交え、4人でグランドリスボアの中の粥麺荘で“ダンダン麺”を食べる。
麺を売り物にしているだけあって、ここの麺は一味違う。

いつもは無口だが、初マカオの初トーナメントで、参加者40名弱とはいえ好きなトーナメントを思いっきり楽しみ、準優勝したNさんはとても嬉しそうであった。
Nさんをホリディ・インに送り届けた後に、タイパ島の“借りぐらし”の宿に向かう。

マカオ・タイパ・ブリッジを渡りながら、『今日は一つ良いことをしたな……』と思う。

連日の睡眠不足の為、大人しく眠る。 


■ 8月12日(木)

朝目覚めると、Oさんが荷造りをしていた。
一足早く、充実した35日間のマカオ滞在を一旦終え、Oさんは意気揚々と日本に帰っていった。

その後当方も僅かな荷物を纏めて、“借りぐらし”の宿を後にし、Nさんの“半日マカオ観光”のガイドをする為、11時に約束したホリディ・インのロビーに向かう。

Nさんと落ち合った後、徒歩でグランドリスボアに向かう。
エリートルームで獲得した無料宿泊券で、取り合えずチェックインする。
部屋は27階、窓からはマカオが一望に出来、大変結構な眺めである。
さすがは標準宿泊代金が4,400MOP+15%のチャージを取るだけあって、室内は絢爛豪華であった。 (但し、バスルームの蛇口だけはもう少し分かりやすい方が良いと思われる)
冷蔵庫の中の飲み物は全て無料なので、ジュースを一杯飲み、手荷物だけを持ち、半日マカオ観光スタート!

『やはり基本は世界遺産のセナド広場と大三巴牌坊か……』

そう判断し、酷暑の中、歩き出す。
途中でNさんのリクエストにより、マカオ名物のエッグタルト(6$)を買い、その場で食す。

もう、今まで何度となく訪れた(退屈な)場所であったが、これも一種の修行と考え歩いていると、Nさんも流石に暑かったとみえ、「あのう、暑いのでもう観光はこのへんで……」 と“観光”終了宣言”が出された。

これ幸いとばかりにタクシーに乗り込み、金龍酒店の対面にある、リゾカジ御用達の足裏マッサージ店(足康樂)に向かう。
エアコンの効いた室内で、足裏のマッサージを受けると心身爽快となった。

Nさんをグランドリスボアのデイリートーナメントに案内する。
本日のトーナメント予定は、14時10分からフリーロール(無料)、17時から参加費100$のリバイトーナメントである。
ぎりぎりでエントリーするも所詮はフリーロール。
序盤からオールイン合戦となり二人ともあっさり飛ぶ。

暇潰しに横で10-20$のリングゲームに参加する。
Nさんからのサンドウィッチの差し入れが嬉しかった。
リングはちょい勝ちで終了。

続いて17時からの100$リバイトーナメントに参加する。
Nさんは順調にチップを増やす。

それに比べ当方はワン・ダブル・リバイでリエントリーするも、マネー・プレッシャーが感じられない為か、すぐにジャンケン(=オールイン)になるので、何だかやる気が削がれ途中でリタイアし、Nさんにエレベーターで27階の本日の豪華な“借りぐらし”の部屋で休憩することを告げる。

シャワーを浴び、NHKの衛星放送をぼんやりと見る。
と、Nさんから電話が入る。

「チョップ(引き分け)だけど優勝しました!」

これで二日連続の上位インマネとは恐れ入る。

“マカオのポーカー女王(但し、デイリートーナメントの)”の誕生である。

ヒロさんから電話が入り、岡山から本日マカオ入りしたYさんと一緒にプレジデント・ホテルにいるとのこと。
ちょうど中間地点に有名な火鍋のチェーン店の徳興があるので、そこに現地集合することに決定。

以前リゾカジメンバーと来た時は、具材も高価な魚介類をふんだんにオーダーしたのだが、今回は標準的な食材にとどめたので、4人で鱈腹飲んで食べても会計は1万円に満たなかった。

途中で後ろの席に、ちくわさん御一行が登場する。
まったくマカオは狭いと、お互い苦笑する。

岡山から来たYさんは、今晩はウィーンでリングゲームをする予定、とのこと。

当方が、「ウィーンには“世界一美味しい”と言われるチーズケーキが有り、それをポーカー中に頼むとタダで食べられる」と話すと、全員一致でトライすることに決定する。
4人でウィーンのポーカールームに向かう。

Yさん、Nさんはすんなり座れたが、そこでテーブルが満杯となり、当方とヒロさんはウェイティングリストに載せられる。
当方の登録名は、ポーカー用のハンドルネームの“Makati(マカティ)”とする。

フロアを散歩していると、アナウンスで「マ・カ・ティ、マ・カ・ティ 10-25 シートオープン」と呼び出しを受ける。
ウェイティングが増えたので、新しいテーブルがオープンされた模様。

ヒロさんと一緒に座る。

早速、チーズケーキをオーダーする。

何故かここはソフトドリンクとデザートの類は無料であったが、アルコール類は有料とのこと。

同じテーブルに、日本人の若者(20代&30代)二人も座る。
どうやら、日本でポーカー(テキサスホールデム)の経験が少し有る30代の方が、まったくの初心者の20代を誘った模様。

ヒロさんを交え、日本語で会話しているとディーラーから「English please」とやんわりと注意された。(ごもっとも……)

今回のマカオ遠征における最後の戦いが始まった!

途中で“世界一美味しい”と噂のチーズケーキも出てきた。
(お味は濃密で大変美味しかった。世界一かどうかは自信が無いが、澳門一! なら名乗っても良いのではと思われた)

20代の若者は、どうも役の強弱(2ペアと3カードはどちらが強いのか? フラッシュとフルハウスはどちらが強いのか? 等)が曖昧なようであった。

30代の先輩の方は、一応役の強弱は頭に入っているようであったが、オッズの概念が無く、ベット、レイズ、リレイズの額が不適正な為、直に周囲の海千山千の中国人ポーカー軍団に“フィッシュ”だと見抜かれ、後輩共々容赦なく釣り上げられていった。

当方とヒロさんにとっても、これは“美味しい状況” には違いなかったが、遠い異国の地で、恐らく初めてポーカーをプレイする同胞を “カモ” にするのは忍びがたく、躊躇っている内に二人の所持金は次から次へと中国人グループに吸い上げられていった。

『うーん、どうも良くない流れだ。 調子に乗っている中国人グループに何とか一矢報いたいのだが……』

とその時、テキサスホールデムにおける最強ハンド、221ゲームに一回しか降臨しないボケットエース(AA)が入った。

『日本人達よ、降りてくれ! 中国人共よ、乗って来い!』

そう念じながら、100$をベットした目の前の中国人Aに対し、3倍の300$を打つ。
願いが通じたのか、他の日本人3人は全員フォールド、中国人グループの内、二人がコールで付いてくる。
フロップが開く。

A、K、9。

Aのトップセット(俗に言う3カード)の完成だ。

何かがヒットしたのか、中国人Aが500$をベットしてくる。

当方コール。
中国人Bもコール。

ターンは9。
フルハウスに昇格した。

しかしここで中国人Aが千$をベットしてくる。
『来たー! まてよ……。中国人A,Bのどちらかが9のポケットで参加していたとしたら、そいつはクワッドだ、こっちがエースのフルハウスでも負けるか……。しかし数学者のジェフリー・S・ローゼンタールの「運は数学にまかせなさい」という本の中に、ランダム性に関わる決定を下す時の第一のルールは、 “起きる確率の極めて低い出来事は、概ね無視した方が良い”とあったな……、良し、クワッドは考えるな! ここは勝負!』 オールインを決めたが、余り自信満々だと中国人A,Bに降りられてしまう為、躊躇いながら、ブラフ気味にオールインを宣言した。(マカティの小芝居……)

小芝居が効いたのか、中国人Bもオールインを宣言する。
ここまできては中国人Aも当然オールイン!

ほぼ3人共チップ量が同じ(約4千$~5千$)な為、ポッドは1万数千$に膨らむ。

リバーは2で、余り関係なさそう。

ディーラーに促され、中国人AがKKをオープンする。

KKK99のフルハウスだ。

当方がAAをオープンする。

テーブルにどよめきが走る。

中国人Aがガクッとうな垂れる。

最後に中国人Bが悔しそうにAと何かをオープンしながら、「トップヒットで、フラッシュドローで、Aハイフラッシュが完成したのに全然ダメ-!」と隣の連れに大きな声で嘆く。

ディーラーからチップの山を受け取る。

獲得した黒い100$チップを10枚ずつ積み、それをボーリングのピンのように三角形に揃え、一番上に500$チップを目一杯乗せる。

中国人Bがリバイの為、席を外す。

『1944年12月の、フィリピン、ミンドロ島沖の海戦(礼号作戦)を思い出す。所謂、“帝国海軍、最後の勝利” と言う訳だ……、こんなことがあると、リングのポーカーも愉しいな♪』

そこにウィーンが好きな “ちくわさん” 登場。

「帝王さんとちょっと一緒に遊ぼうかなと思ったのですけど、難しそうですね……、それでは、また!」 

“ちくわさん”退場。

その後、岡山のYさん、Nさんも別れを告げ、ホテルに戻る。

朝になった。

財布が空になった、日本人の “フィッシュ” の二人が「ダメだ。もうホテルに帰るとするか…」と退散すると、中国人グループも一緒に消えた。

ヒロさんと手仕舞いを決め、ウィーンを後にする。

再会を約束し、ヒロさんと別れ、グランドリスボアに向かい歩き出す。

『結局、この豪華な部屋のベッドでゆっくりと眠ることは無かったな。随分高いシャワールーム兼ロッカーだ。けど、ヒロさんに冷蔵庫の中の“免費(無料)” の飲み物全部、及びインスタントのコーヒー、紅茶、日本茶、等々と、各種のアメニティグッズを寄贈したのは正解だったな』

そんなことを考えながら、グランドリスボアをチェックアウトする。

リスボアのエリートルームでお粥を頼み、リゾカジメンバーの皆さんに別れの挨拶をして、リムジンに乗り込み、タイパ島のマカオ空港に向かう。

フレンドシップ・ブリッジを渡る際、今回のマカオ遠征を振り返る。

『BJはチャラ、ポーカーは……、トーナメントはインマネ無しでマイナス、リングはプラスで差し引きチョイ勝ち、バカラはいつも鬼門のリスボアのエリートルームが本線チャラ、キャッシュバック分とグランドリスボア宿泊券分だけプラス。 結局、9日未明のグランドリスボアの平場のバカラのマイナスが全てだったな……』

記憶が9日未明のグランドリスボアに戻る。





『どこかにいないものかな? プレイヤー好きのプチ・ハイローラーで、引きが弱くて、黒社会とも無縁な感じで、当方と絞り合いを愉しめそうな、余り若くない中国人は?』

いた。

ピンク色の1万$チップをうず高く積み上げながら、毎回プレイヤーに1万$ずつ張り、勝っても負けてもニコニコしながら淡々とプレイを続ける、日経ビジネスのコラムニストの宋文洲に似た顔の男が、ミニマム500$のテーブルの8番シートに一人座っていた。

ちらっと罫線を見る。
PPPP、プレイヤーの4連勝中であった。

当然、彼(便宜上、以下、宋文洲と呼ぶ)はプレイヤーに1万$をベットする。
当方は3番シートに座り、バンカーに5千$をそっと置く。

ちらっと当方を見ながら、宋文洲がカードをオープンする。
5+2=7。

『張りが半分のこっちが、余り時間をかけて絞っても悪いしな……』
そう思い、サクっと絞ると、絵札+8=8であっさり勝つ。

首を傾げながら、宋文洲はプレイヤーに2万$をベットした。
当方はバンカーに1万$をベットする。

プレイヤー・・・3、 バンカー・・・4。
当方の好きな状況が到来した。
こうなった際の条件のアドバンテージの為に、バンカーの5%のコミッションを払っている訳だ。
プレイヤーの3枚目も絵札で、バンカーの勝利確定。

宋文洲はマーチンゲール戦法でも決意したのか、倍倍で4万$をプレイヤーにベット。
当然こちらもバンカーに2万$をベットする。

真剣モードに入った宋文洲が、静かにオープンしたカードは10+8=8。
しかし、こちらも絵札と4ピン(9か10)だ!
ここはさすがにゆっくりと絞る。
真ん中に徴(しるし)が見える。
8対9(パー・シュー・ガウ)だ!

溜息をつきながら、宋文洲がポーチから追加のチップを取り出す。
プレイヤーに8万$をベットする。

『日本人よ、どうする?』 といった眼差しをこちらに向けてくる。

当然受ける。

バンカーに4万$をベットする。
宋文洲は今までの倍以上の時間をかけ、2枚のカードをクシャクシャにして絞る。
結果は、7+2=9(ナチュラルナイン!)

心が折れる。

サクっとオープンした当方のカードは絵札と8であった。

逆襲を食らう。

『まあいい、このテーブルではコミッションと合わせて6,750$失っただけだ、これ位なら無問題(モーマンタイ)だ……』

そう思っていると、宋文洲が再びプレイヤーに8万$をベットしてきた!

『さあどうする、日本人よ?』 と宋文洲がこちらを見つめる。

右脳の指令を受け左手が勝手に動き、バンカーにピンク色の1万$チップ4枚が置かれる。

プレイヤー・・・2、 バンカー・・・3.

チャームトウ(差が余り無い、似たようなもの)だ。

プレイヤーに3枚目が配られる。
チラッとカードを見た宋文洲の表情が曇る。

首を振りながらオープンしたカードは9.
2+9=1で一目下がる。

『よし! 勝ったも同然!』

そう思いながらバンカーに配られた3枚目のカードは、何とダイヤの3ピン!(6,7,8)、勝ち、負け、引き分け、何でも有りだ!

怖れ、祈りながら斜めに絞る。

一つ抜ける。

これで引き分けは無くなった。

(注) もしこれがダイヤ以外の場合は、二つ同じ方向を向いている側が抜けた場合は6で確定である。また逆に反対側が付いた場合は8で確定である。(余り絞り甲斐が無い)これが、ダイヤの3ピンが一番 “熱い” と言われる所以である。

有るのは勝つか負けるかだ。

そして、二つ目が抜けた。

カードは6!
バンカーが3+6=9で勝利を収めた。
(今から思えば、これが、“帝国陸軍 最後の勝利(=1945年8月の千島列島最北端の占守島でのソ連軍との戦い)”であった)

勝利の余韻に浸る時間は短かった。

宋文洲は静かに、プレイヤーに、今度は12万$をベットした。





『もしあそこで席を立っていたなら、とは思わない。 “帝王の辞書に勝ち逃げは無い!” あそこで引く訳には行かなかった、それだけは確かだ。今回、色々とプレイしたが、一番興奮したのは9日未明のグランドリスボアでの宋文洲との絞り合いの瞬間だった。 やっぱりバカラはハウス相手じゃなく、人間相手が面白い。それを再認識出来たのと、リングゲームの醍醐味を少しは味わえたのは良かった。 Nさんの “澳門指南” も出来たしな……』

リムジンがマカオ空港に到着した。

“マカオの帝王(マカティ)”の夏休みは終わった。

                                        (完)

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このレポートへのコメント(全4 件)

2010/09/02(Thu) 17:45BIGKAT

やはり帝王のレポートが人間くさくて面白い。理系の学者風なのになぜか筆が立つのが不思議です。

2010/09/02(Thu) 22:43マカオの帝王

BIGKATさん お久しぶりです。

最近はポーカーに嵌り、それでもバカラは辞められないので、消去法でBIGKATさんの好きなBJのプレイ時間が減ってしまい、少々物足りなかったかもしれませんが、お許しください。

次回は“フィボナッチ数列(1,1,2,3,5,8,13,21……)”を応用した新ストラテジーでバカラ&BJに挑戦する予定ですので、ご期待あれ!

2010/09/03(Fri) 10:11バロケン

マカオの帝王さん、こんにちは。

ハードロックホテルにビキニのウエイトレスがいるポーカールームがオープンしているのは知りませんでした。マカオの変化は早いですね。

フィボナッチ数列を応用したストラテジーおもしろそうですね。
バカラには応用できないかと思ったこともありますが、ベットアップのタイミングで利用するのかツラ切れの目安で利用するのかいいアイデアが思いつかず、実戦に及んだことはありませんでした。BJへの応用には思いつきもしませんでした。結果報告楽しみにしています!

またマカオでお会いしましょう。

2010/09/06(Mon) 00:09マカオの帝王

バロケンさん こんばんは!

当方もバロケンさんのように、“夏日澳門免費旅行”を楽しみたかったのですが、結局いつものように“カジカジ”モードに突入してしまいました。

フィボナッチ・ストラテジーについては、頭の中では完成しているのですが、実戦での結果報告については次回に持ち越しです。

それでは、再見!

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