教えて!
教えて… BJのスリーセブンとマルドゥック・スクランブル
NO. 910 2011/09/13 (Tue) 23:42
Written by アバンティー
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どうしても気になるので、諸兄のご教示をお願いします。私は25年カジノに通っていますがBJをプレーしたことはありません(バカラ専門です)。
そんな私がBJルールで悩むのは、冲方丁(うぶかた こう)の「マルドゥック・スクランブル」を読み、そのクライマックスでBJのスリーセブンが決定的な役割を果たしていたからです。
1冲方丁
(1)彼はまだ34歳の「鬼才」
(2)2003年、「マルドゥック・スクランブル」で日本SF大賞。
(3)2010年、「天地明察」で吉川英治文学新人賞、本屋大賞受賞(直木賞ノミネート)
(4)その他コンピューターゲーム制作、漫画原作、アニメ制作と多方面の活躍をしています。
2マルドゥック・スクランブル
(1)私は「天地明察」を最初に読み、大変気に入りました。で、ネットで冲方丁を調べると、彼の「マルドゥック・スクランブル」が紹介されていました。
(2)曰く「何よりも圧倒的なのは2巻後半、3巻前半で語られるカジノのエピソードだ。まさしく魂の震える文章であり、本書は掛け値なしの傑作である」。
(3)別の人は「自分達の運命をかけた勝負をカジノで行い、文字通り精神をギリギリまで削っての勝負を演じる、このシーンは恐らく他の作品に類を見ないほどの興奮と感動を与えてくれる」。
(4)殆どの書評がカジノシーンに言及し、絶賛の嵐でした。こうなると、博打を最大の「趣味」とする小生にとって、必読の書といえます。
(5)で、読みました。結論的には、大変面白い小説でした。プロットの緻密さは感嘆ものですし、全3巻中1巻分(2巻P179~3巻P233)を占めるカジノシーンも素晴らしいものでした。
(6)スロット、ポーカー、ルーレット、ブラックジャックと続くカジノゲームのシーンは、その大筋(控除率やカウンティング等)において、よく精査されており、ストーリーに破綻はありません。
(7)阿佐田哲也や森巣博氏は、賭け事その物の中に人を置き、それに翻弄され、泳ぎ切ろうとする人間の業を描きます。ある意味では博打そのものが主人公といって良いと思います。
(8)この小説は、趣が全く違います。ルーレットやBJの戦いを通じて、自らの存在理由をピュアーに追い求め、昇華・再生していく物語です。
(9)ですから、博打は手段であって、主人公ではない。でも、博打にそうした役割を持たせた物語を私は初めて読みました。とても新鮮でナイスでした。
(10)前置きが長くなりました。要はこの物語が私はとても気に入ったということです。
3BJのクライマックス
(1)ただ、クライマックスの勝負だけは疑問があるのです(ここからはネタバレになります。「マルドゥック・スクランブル」を読もうとされる方は、お気を付け下さい)。
(2)ディーラーと差しの勝負、いよいよビックベット、100万$チップです。なお主人公は特定の100万$チップ4枚を奪取することを目的とし、ここまで2枚を確保しています。
(3)フェイスカードはA、こちらのカードは7&7。
(4)(5つの戦術全てを使えるカードに対し)ダブルダウン(倍賭け)選択。2枚目の100万$チップ追加。
(5)カードは7。
(6)そして「イーブンマネー」を宣言。
(7)ディーラー「600万$の配当を捨てるのか…」「君が600万$を自分から捨てることができるとは思わなかった」
(8)「このカードが敗れるとは思わなかった」「このカードは、もはや関係ない。君の勝ちだ。完璧な勝ちだ」
(9)2枚目のカードの絵姿。スペードのA。選択した以外の全ての勝負を無効にし、勝利を奪ったはずのカード。最強のブラックジャックだった。
4スリーセブンルールは一般的ですか?
(1)長々と書きましたが、ご教示してもらいたいのは、スリーセブンが一般的かどうかです。
(2)私、スリーセブンのプレミアムをこの物語を読むまで知りませんでした。
(3)ですから、このクライマックスでは、何故7×3=21でイーブンマネーできるのかもわかりません。狐につつまれた気分でした。
(4)BJはハウスによってルールがかなり違うことは知っています。フェイスカードAで、ディーラーがブラックジャックを先に確認するか否か、ソフトハンドかハードハンドか…etc。
(5)本作では、それらは巧みに物語の流れの中で理解できるようになっています。でもスリーセブンはクライマックスで突然出てきたんです
(6)オイオイ、せめて伏線でそういうハウスルールだと知らしめないと、こんなウルトラCは反則だろう…というのが率直な感想なんです。
(7)一番大事なところで、日本のアングラカジノやプレーセンターのローカルルールが顔を出した(?)という疑念が拭えません。
(8)とはいえ、私はBJプレーヤーではありません。私が知らないだけで、ひょっとしたら、BJのベテランやハイローラーテーブルではスリーセブンが自明のプレミアムかもしれません。
(9)それならそれで、喜ばしいことです。
(10)マルドゥック・スクランブルはアニメ化され、1部が昨年、2部がこの9月に公開されました。このクライマックスが中心となる完結編も早晩制作されるでしょう。
(11)当然海外にも配給され、世界的にヒツトする可能性もあり、世界中のBJプレーヤーがこの作品を見るかもしれません。
(12)その時、私の危惧が当たっているとすると…とても悲しいです。イヤイヤ、ハウスルールとして抵抗なく受け入れられるよということならば…とてもうれしいです。
以上、半分レビューのつもりでしたので長くなりました。お許しください。
それにしても、本作では、私の主戦「バカラ」は2頁にも満たず素通りされました。この鬼畜のゲームは人としての再生を図る高尚なテーマには相応しくないのでしょうね(笑)。残念です。
では、皆様、よろしくご教示ください。
私は明日からWHです。気になっていたこの件をアップして、心置きなく勝負してきます(笑)。
この投稿への返信コメント
残念ながら大事なところで破綻!
2011/09/14(Wed) 00:45
投稿者:takochann
-
「スリーセブンはクライマックスで突然出てきたんです」ということでしたら、残念ながらこの小説のBJパートは破綻していますね。作者がたまたま出会ったスペシャルルール(日本のアングラカジノでなければいいですが・・)を大事なクライマックスに持ってきてはいけません。
ラスベガス、マカオ、フランス、イタリア、モナコ、ポルトガルのカジノにはそんなルールはありませんでした。ソウルの7ラックで名前にちなんで1,5倍のプレミアムでその場で勝ちにしていますが、多分ここだけ(もちろんどこかの小さな店が客寄せにやってることはあるかもしれませんが)でしょう。
ここでイーブンマネー、もデタラメですね。誰か監修してあげれば良かったのに。
正直、編集者の責任でしょう。
ところで不明点。ディーラーのバックカードはいつ配られたのでしょうか。元々2枚目が配られていたならデタラメの上塗りということになりますが。
知らない人がBJ書くとマンガになってしまうということですね。
囲碁の話「天地明察」は、囲碁棋士も褒めてましたが・・・
初期作品は残念でした。
架空のBJルール
2011/09/14(Wed) 11:54
投稿者:サイゴンサイゴン
-
確かにこのBJルールは現実社会のカジノではありえないですね。
その小説読んでませんのでコメントできませんが、SF小説ですよね?
オンラインの遊びのゲームソフトでありそうなルールですので、作者もバーチャルな
話として使ったのかと。
まさか、すべての細部ルールやコンマ0.001の控除率までこだわるわれらリゾカジスト
に論評されるとは、想定外。
takochannさん、コメントありがとうございます。
2011/09/14(Wed) 13:16
投稿者:アバンティー
-
やっぱり破綻してますよね。残念です。
なお、ディラーバックカードは最初に配られています。
ですから、でたらめの上塗りですかね。…
おっしゃる通り、編集者の責任は大きいと思います。
日本のアニメはかなりグローヴァルに紹介されますから、せっかくの佳作が気の抜けたサイダーのように受け取られるのは、何とも寂しい限りです。
サイゴンサイゴンさん、こんにちわ。
2011/09/14(Wed) 13:30
投稿者:アバンティー
-
コメントありがとうございます。
この小説はSFで、ライトノベルに分類されるようです。
私としては、かなり気に入ったので、とても残念です。
できれば、関係者の目に留まって、補筆訂正してもらえないものかと、本気で願っています。
とても良い小説が、考証ができていないが故に、世界のBJプレーヤーに笑われるのは耐えられない気持ちです。
訂正
2011/09/16(Fri) 16:21
投稿者:アバンティー
- ディーラーの「2枚目のカードの絵姿。スペードのA。」は片目のジャックの間違いです。
お疲れ様です
2011/09/26(Mon) 17:33
投稿者:勘太郎
-
僕もBJの詳しいルールは分からないため、もしかするとこれも分かった上でのことなのかもしれませんが、一応、補足ということで付け加えさせてください。
2巻の終盤で老紳士が「イーブンマネー」を使用しております。
この時の注釈は
『21の場合にのみ可能な、第六の戦術と呼ぶべき特殊な行為だった。イーブンマネーを宣言した時点で、プレーヤーの勝利は確定する。ただしその配当はもとに戻る』
『これは、ただ一つの可能性を―――万が一ディーラーも21になった場合、引き分けになって勝負が無効になることを避けるためだけの、まず使うことのない選択だとドクターからは教えられていた』
とされています。
これが伏線ということで、僕はBJの決着の際、ああ、なるほど。と思ったのを記憶しています。
スリーセブンルールというのは知らないのでなんともいえないのですが……
もし以上のことを既に知っておられて、その上での質問でしたら、ごめんなさい。
もしお役に立ちましたら、幸いです^^
勘太郎さん、こんばんわ
2011/09/26(Mon) 20:38
投稿者:アバンティー
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コメントありがとうございます。
イーブンマネーについてはご指摘を踏まえた上で質問したつもりです。
私はイーブンマネーは、子がブラックジヤックの場合にのみ実行できると理解しています。
で、3枚の総和「21」は、20より1つ上の「目」でしかないとも理解しています。
ですから、3枚の7-7-7は「21」でしかなく、「イーブンマネー」はできないでしょ…と思ったわけです。更に親は真正のブラックジャックでした。当然親の勝ちでしょ…となるわけです。
スリーセブンというプレミアで、こうした矛盾が許されるのは反則だろうと思ったわけです。
SNSでもレクチャーをいただき、この小説では下記の伏線があるべきと思っています。
①このハウスでは「スリーセブン」という特殊なプレミアがあり、勝った時は3倍返し。
②親のブラックジャクとは引き分けでイーブンマネー(?)もできる。
でないと、サッカーワールドカップの未来小説の決勝戦で、突然オフサイドルールが変更されていて決勝点をもぎ取った…なんてのと変わらないと思うのです。
すでにこの内容のままで英訳も出ているようですし、アニメ映画も変わらぬ展開のようです。
非常に残念に思います。
失礼しました。
2011/09/26(Mon) 21:16
投稿者:勘太郎
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ご親切な対応、ありがとうございます!
なるほど~。
そうだったんですね。
「7-7-7」は「21」という目でしかなく、「ブラックジャック」ではない。
ということですね。
そうなると作中にでてきた、そもそもの
『21の場合にのみ可能な、第六の戦術と呼ぶべき特殊な行為だった。イーブンマネーを宣言した時点で、プレーヤーの勝利は確定する。ただしその配当はもとに戻る』
これがおかしいんですね。
本来ならば「ブラックジャックの場合にのみ可能な―――」
と表記し、スリーセブンの配当等についても明記しなければ小説として不自然なってしまうということだったんですね。
勉強になりました。
ありがとうございましたm(_ _)m
BJルールの続編
2011/09/26(Mon) 21:36
投稿者:サイゴンサイゴン
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アバンティーさん
ちょっと気になっていたので、連休に近所の図書館でこの本がありましたので、後半のBJ が出て来る場面だけ、チェックしてみました。 偉く厚い本なので、全編は読んでません、あしからず。以下、現実のBJルールとの相違だけでならべておきます。
1.作者はA+TカードのBJ以外の3枚以上のカード合計で21のハンドもブラックジャックと読んでいますが、これはご承知のとおり間違いです。
2.ゲームルールがデイラーの二枚目のカードを伏せておくホールカードありですので、最初のカードを配った時点で、勝負あり、デイラーにBJが入っていましたので、そこで終了です。
ディラーがBJにもかかわらず、ゲームを進行させてますので、これはディーリングエラーとなり、通常ですとNO GAME(無効試合扱いとなります)。 本来負けのプレヤーのオリジナルベットがNO GAMEで救われることになります。 ただ、77をダブルにしちゃってますので、どう処理されるか、分かりません。
3.あとはスペードのAとJackのBJの純正ブラックジャックを最強のハンドといってますが、これは大昔のBJではあった手役で、現在のカジノではプレミア配当するハウスを私は
見たことないです。 当然、普通のBJ扱いです。
多少でも、ご参考になればと思います。
ありがとうございます。
2011/09/26(Mon) 23:39
投稿者:アバンティー
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サイゴンサイゴンさん、コメント及びわざわざ図書館にまで足を運んでいただき、ありがとうございます。感謝です。
ところで、ご指摘の2ですが、SNSでのレクチャーでは、ホールカード制でもディーラーAの下のカードを確認しないで進めるカジノはあるようです。
(アトランティックシティ→アーリーサレンダー採用)
ですから、この点はハウスルールとして許せる範囲なのかもしれません。
ただ、そうであってもスリーセブンやイーブンマネーはおしなべて?ですね。
残念です。