20倍ベット・スプレッドへの対応
1ボックスでのプレイを基本としているGAKUストラテジー・ベーシックでは、ミニマム$25に対する設定となっている。ベットアップモード2回目は$1,000だから、そのベット・スプレッドは40倍ということになる。私が主戦場としているオーストラリア・カジノのVIPルームでは、ミニマム$50が最近の主流となってきているが、従来は通常設定値を2倍にすることで対応してきた。しかし、この場合はバンクロールも2倍必要となり、気軽に用いることはできないものだった。打たれ越しモードや基本モードの設定値を変化させて対応することもやってきたが、GAKUストラテジーにとっては従来の設定値が最もバランスが良いことを改めて痛感した。
GAKUストラテジー通常設定値 ・バイイン:$10,000 ・打たれ越しモード:$25 ・基本モード:$50 - $100 - $150 ベットアップモード:$600 - $1,000 GAKUストラテジー2倍設定値 ・バイイン:$20,000 ・打たれ越しモード:$50 ・基本モード:$100 - $200 - $300 ・ベットアップモード:$1,200 - $2,000 |
ミニマムを$50にしてマックスは$1,000のままとする方法はないものと諦めていたが、発想の転換というべきか、それまで縦にしか考えられなかったものを横に考え、3ボックスの同時プレイにすることで打たれ越しモードのリスク分散を図る手法を導入した。数千シューに及ぶシミュレーション結果と実戦経験から、通常設定値と遜色無い結果が得られている。
具体的には1つのメインボックスの他に、打たれ越しモードと同額をフラットベットし続けるペースメーカー2ボックスを加えた3ボックス同時プレイをいう(以下、3ボックス・スタイルと呼ぶ)。なお、ペースメーカーはベットアップモードのときにもフラットベットのままとする。
3ボックス・スタイル設定 ・バイイン:$10,000 ・打たれ越しモード:$50 ・基本モード:$50 - $100 - $150 ・ベットアップモード:$600 - $1,000 ・ペースメーカー:$50フラット(2ボックス) |
GAKUストラテジーのベット・スプレッドでプレイするメインボックスの打たれ越しモードは$50となり、基本モード1回目の$50と同額となるが、これは打たれ越しモードそのものを無くした訳ではない。
ひとりのプレイヤーで3ボックスを占有するため、同席のプレイヤー数などの要因でプレイ環境が限定されるが、とくにディーラーとのヘッズアップ(1対1)のシチュエーションに適している。
3ボックス・スタイルの効果
3ボックス・スタイルは、主に以下の5つの効果を期待している。
1. 打たれ越しモードの分散を小さくする
打たれ越しモードを$50とする代わりに、3ボックスの同時プレイを行なうことで、分散を小さくし安定化させる。
2. プレイ・リズムを安定させる
1ボックス・スタイルは、同席の他のプレイヤー数によってプレイ・リズムがかなり異なるものになってしまうのが欠点だった。承知の上であっても、やはりメンタル・コントロールを難しくする因子になることは間違いない。通常6~7ボックスあるBJテーブルで、常に3ボックスを占有することにより、他のプレイヤーの出入りがあったとしても、自分自身のプレイ・リズムは安定しやすくなる。
3. ベットアップモードの発生率を安定させる
3ボックス・スタイルをとることで、ディーラーとのヘッズアップ・プレイでも安定したベットアップモードの発生率を維持することができる。他のプレイヤーが同席の場合、テーブル全体のボックスが増えて発生率は上がることになるが、実戦ではゲーム進行が遅くなることで相殺され、体感的な発生率を安定させる効果が期待できる。たとえば、1ボックスが6ボックスに増えればゲーム進行もベットアップモードの発生率も大きく変化するが、もともと3ボックスが6ボックスに増えたとしても体感的な発生率の変化はあまり大きくならない。
4、Hit & Awayの基準を明確化する
ペースメーカー2ボックスを加えた3ボックス・スタイルでは、ベットアップモードの勝敗結果でHit & Awayを判断するだけでなく、ベットアップモードが入らずともチップの増減でHit & Awayを判断する必要がある。これにより、従来どうしても主観が入り込みやすかったベットアップモードが関与しないプレイでのHit & Awayの基準が明確化した。
5、レーティングへの好影響を与える
3ボックス分のベットが合算されるため、必然的に平均ベットが上がりレーティングに好影響する可能性がある。あくまでプレイ結果が最優先で、レーティング評価は二の次ではあるが、リスクを最小限に抑えたままレーティング評価に好影響するとしたら歓迎すべきことだ。