行ってきます〜ました
旅打ち夫婦紀行 マカオ篇「カジノ仲間の危機! 起死回生のクラップス」
NO. 518 2010/09/29 (Wed) 23:13
Written by TAHARN
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旅打ち夫婦、ようやくアフリカを脱出し、香港に飛びました。ザンビア、ジンバブエ、ボツワナと3連敗し、南アフリカではカジノ自粛を宣言。滞在していたケープタウンには立派なカジノがあったのですが、ぐっと我慢してマカオでの雪辱を期しました。
南アのヨハネスブルクから香港まで11時間半のフライト。ようやく懐かしのマカオに到着です。
まずは宿探し。皆さんのレポートを拝見すると、大カジノホテルに宿泊して優雅な「リゾカジ」を満喫しておられるようで、羨ましい限りですが、ビンボー旅行の我々にはホテルに泊まる余裕はありません。安宿を探してマカオの街中をうろつきます。
「グランドリスボア」の北側、再開発から取り残された一角に一軒の宿がありました。廃墟寸前の老朽化したビルに、「賓館」と看板がかかっています。足を踏み入れるのがためらわれるような怪しさです。部屋はツインで280元と、マカオにしては破格。安宿とはいえ、部屋は掃除が行き届き、テレビ、エアコン、バス、トイレ付。シャワーは24時間熱いお湯が出ます。「当たり前じゃないか」と思われるかもしれませんが、電気・水道なし、蚊ブンブンが「当たり前」の悲惨な宿に泊ってきた我々にとっては、マカオの「当たり前」は五つ星に相当するのです。どうせ滞在中はカジノ三昧。豪華な部屋は不要です。
翌日はカジノ仲間のN夫妻、S夫妻、T氏と合流。日本から酒やツマミ、本などの救援物資を持ってきてくれました。1年ぶりに味わう焼酎に思わず涙(比喩ではなく、本当にうるうるきました)。アンコ好きの妻は「とらや」の最中を頂いて大喜びです。
N夫人とは初対面。ギャンブルには全く興味がないのを、Nさんが説得して何とかマカオまで連れてきました。リゾカジの皆さんの中には、奥様の顔色をうかがいながらカジノ通い、という方も多いのではないでしょうか。Nさんもそのクチです。「ここでカミさんをカジノにハメないと、今後の遠征にさし障る…」。今回は絶対に負けられない戦いです。
初日はMGMでBJ。Nさんは初心者の奥さんにBSを教えながらプレーします。BJの面白さを分かってもらおうと必死です。仲間は全員BSプレーヤーで、皆順調に勝利。しかし、なぜかN夫人のボックスだけ手が悪く、負けを重ねます。「アンタの言うとおりやっても勝てないじゃないの!」とN夫人はご立腹。そりゃBSどおり打って必ず勝てるなら苦労はないんですよ…
「我慢して打っていれば、そのうち手が良くなるから」とNさんになだめられながら打ち続けますが、戦況好転せず30分ほどでギブアップ。「ダメ…やっぱりカジノって勝てないようにできてるのよ!」。カジノにハマるどころか、不信感のかたまりとなっています。Nさんピーンチ!
翌日はタイパ島まで足を伸ばしました。「ヴェネチアン」の混雑ぶりにはびっくり。次から次に客を満載したシャトルバスがやってきます。なぜ、あのカジノだけ人があふれているのでしょうか。大陸で大々的にキャンペーンでもやっているのかな?
激込みのヴェネチアンで打つのはあきらめ、隣の「フォーシーズン」に移動。こちらは静かで落ち着いた雰囲気、ヴェネチアンの喧騒がうそのようです。
あいにくミニマムが安いBJのテーブルがなく、ローローラーの我々は皆で金を出し合い、ワンボックスを交代で打ちました。最初は少し浮いたものの、バンクロールが少なすぎて、20分ほどでパンク。N夫人、ますますBJへの不信を募らせます。「もう帰る」と言い出しかねない険悪なムードに、Nさんもびくびく。カジノ仲間の危機、なんとかせねば…
ふと見回すと、クラップス台が目に入りました。「気分を変えて、クラップスやりませんか」と提案。「クラップス?何それ?」と、ご機嫌斜めだったN夫人も興味を示しました。BSを知らないため、Nさんの言いなりでしか動けなかったBJより、自分でダイスを振るクラップスの方が楽しそう、と思ったようです。
「置くところがたくさんあって、よく分からないわ…」というN夫人に、パスラインとオッズベット、6と8のプレースだけ教えてゲームスタート。最初は男衆が手本を見せます。
Nさん2勝1敗、私2勝1敗、Sさん3勝1敗と良い流れ。好調な我々を見て、客が集まってきます。
シューターがN夫人に回ってきました。
「え~…私はいいわ、初めてでよくわからないし…」
「サイコロ投げるだけですよ。ビギナーズラックを信じて」
隣の香港人が「初めて投げる女性とは、縁起がいいね」と応援してくれます。
N夫人、こわごわカムアウトロール。ポイントは4。第2投。見事一発で4。大きな拍手に、本人は何のことか分からずポカンとしています。
「勝ったんですよ。また投げて」
再びカムアウトロール。ポイントは10。第2投。またも一発で10。「オー!」台を囲む全員が大喜び。周りの客がN夫人にハイタッチを求めてきます。
「何だかよく分からないけど面白くなってきたわ」。ノリノリのN夫人、その後30投近く振り続け、6連勝。もはやビギナーズラックの域を越え、神がかり的なシューターです。勝つたびに人垣が大きくなり、N夫人に賞賛の歓声が集まります。チップを3倍に増やしたところでゲームセット…と思いきや、シューターが回ってきた隣の香港人が「ラッキーレディにもう一度振って欲しい」とリクエスト。N夫人はすっかり人気者、なかなか帰らせてもらえません。
ようやく「Good job!」の拍手と笑顔に送られて終了。「いっぱい勝っちゃった。クラップスって面白いねえ。またやってみたい」とN夫人はニコニコ顔です。奥さんがご機嫌なら、Nさんも安心。カジノの楽しさを分かってもらえてホッとした様子です。
N夫人のビギナーズラックのおすそ分けにあずかって当方も大勝利。他力本願とはいえ、南アでのカジノ自粛は無駄ではありませんでした。気の合う仲間と打つ楽しさをあらためて実感し、次なる地、インドへ飛んだ旅打ち夫婦でした。