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タイ、カジノ合法化法案を撤回

2025/ 07/ 11

タイで注目されていた「娯楽複合施設法案(Entertainment Complex Bill)」が事実上撤回されることになった。7月初旬、政府は財務省の要請により法案の撤回を閣議決定。翌日、下院でも大差で撤回が承認された。この法案は、バンコク、プーケット、チェンマイ、チョンブリーに計5カ所の統合型リゾート(IR)を認可し、観光立国タイの復活を目指す構想で、ラスベガス・サンズ、MGM、ゲンティンなど、世界の大手カジノ企業が参入に意欲を見せていた。


だが、6月中旬にチナワット首相とカンボジアのフン・セン元首相との電話での会談内容が流出、チナワット首相の軍をめぐる発言が問題視され、憲法裁が7月1日にチナワット首相の職務停止を決定。その直後、連立を組んでいたプームジャイタイ党が政権を離脱し、与党が過半数を失った。この流れを受け、政府はもともと慎重な世論や仏教的倫理観に配慮する形で、法案の推進を断念した。ある与党幹部議院は「恐れて撤回するわけではないが、国民との対話が先である」と説明する。


また中国の習近平国家主席も今年2月、カジノ合法化の社会的リスクについてチナワット首相に警告していたとされ、こうした国際的視点も、政府の判断に影響を与えた可能性がある。


タイにおけるギャンブルは19世紀後半から原則禁止されており、国民の90%以上が仏教徒という背景も、カジノ導入のハードルを高めている。法案の再提出時期は未定であり、政局の安定と国民の理解が鍵となる模様。By Resocasi.com