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ウィンがNYカジノライセンス入札を断念、ラスベガスサンズに続き2社目

2025/ 05/ 22

ウィン・リゾーツは5月19日、ニューヨークのカジノライセンス入札からの撤退を表明した。同社はマンハッタンの高級ブティックやレストランが集まるハドソンヤード地区に統合型カジノリゾートを開発するため、リレイテッド・カンパニーズと提携していたが、同地区の用途変更の過程で何年にもわたる根強い反対に遭い、他により良い資本の使い道があると判断したという。


ニューヨークでのカジノライセンスを断念した大手オペレーターは、ラスベガス・サンズに次いで2社目。サンズは4月にロングアイランドのナッソー・コロシアムで進めていた開発プロジェクトでのライセンス獲得断念を表明、プロジェクトを引き継いでライセンス取得を目指す第三者を探しているとされる。同社はニューヨーク州がiGaming(オンラインカジノ)を合法化した場合の競合リスクを撤退の理由としている。

関係者によると6社以上のカジノオペレーターの幹部らは、ニューヨーク州でのカジノライセンス取得のプロセスが提案内容の優劣よりも政治的要素の影響を強く受けがちであること、非常に高コストであるうえに遅延が度重なっていることなどを不満に感じているという。ウィンは、どのカジノオペレーターでも、今後数年間にわたり激しい反対に直面するであろうと指摘、今後は資本を自社株買いや既存・新規の開発プロジェクトに充てる方針としている。また同社は現在、アラブ首長国連邦で中東初の統合型カジノリゾートを建設中である。



以下は現在残っているプロジェクト。


■スティーブ・コーエン&ハードロック提案(シティ・フィールド隣接地)


・約80億ドル規模の開発案。ただし、敷地を公園用地から商業用途へ変更するには州法の改正が必要。州議会下院ではすでに可決されているが、上院ではまだ審議中。地元選出の上院議員ジェシカ・ラモス氏は反対している。



■ラリー・シルバースタイン案(マンハッタン西端)


・ワールドトレードセンター開発者のシルバースタイン氏は、ゲーミング事業者ラッシュ・ストリートと組み、11番街と41丁目の空き地に46階建て複合施設「アヴニール」を計画中。



■タイムズスクエア案(1515 Broadway)


・ミンスコフ劇場(「ライオンキング」を上演中)を含むカジノ案。シーザーズ、SLグリーン、ロック・ネイションが提携。



■ソロビエフ・グループ案(イーストサイド)


・モヒガンとの提携で、イースト38〜41丁目のファーストアベニュー沿いに「フリーダム・プラザ」と名付けられた複合カジノ計画を構想。



■ブロンクスのバリーズ案


・2023年にトランプ・リンクス・ゴルフ場を引き継いだ後、「バリーズ・リンクス」と改称。その隣接地にカジノ・エンタメ複合施設を提案中。公園用地の商業転用には州議会の承認が必要で、現在は委員会で審議中。地元議員は支援の意思を示している。



■ブルックリン・コニーアイランド案


・30億ドル規模の「コニー・カジノ」計画。パートナーにはソー・エクイティーズ、レジェンズ・エンターテインメント、チカソー・ネイションなど。



■ゲンティン(アクエダクト競馬場)案


・既存のスロットパーラーを拡張し、ブラックジャックやクラップスなどのライブテーブルゲームを導入予定。さらに7,000席のコンサートホールも計画中。総額50億ドル。



■ヨンカーズのMGM案


・2006年にスロット型ゲーム施設「エンパイア・シティ・カジノ」を開業。30億ドル規模でライブテーブルゲームを導入する拡張計画がある。



今後のスケジュールは以下のとおり。

・カジノ申請の提出期限:6月27日


・地域諮問委員会による評価・投票期限:9月30日 (※委員には市長、区長、地元の州議員、NY市議会議員などが含まれる。)


・州ゲーミング委員会が最大3つのライセンスを12月31日までに授与予定。ライセンス料は1件あたり5億ドル。