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クラウン・シドニーのカジノライセンス巡りクラウン・リゾーツに「適格性なし」の判断

2021/ 02/ 10

NSW州独立酒類賭博管理局(ILGA)が設立した独立公開調査委員会のパトリシア・バーギン委員長は、2月9日「クラウン・リゾーツの子会社であるクラウン・シドニーはカジノライセンスを保有する適格者ではなく、クラウン・リゾーツもまたライセンス保有企業の関連企業として適格者ではない」とのレポートを提出した。その理由としてはメルボルンとパースのカジノでのマネーロンダリングの証拠、2016年に中国で19人のスタッフが逮捕された事件、犯罪組織と関わりのあるジャンケット・オペレーターとの提携が挙げられている。しかし同委員長は、クラウン・リゾーツの取締役会の大規模な改革と、全アカウントを対象に完全な監査を実施しマネーロンダリングに使用されていないことを確認する、などの手順により、適格者へと転換できる可能性も示した。一方で、クラウン・リゾーツの現CEOケン・バートン氏や取締役のアンドリュー・デメトリウ氏、マイケル・ジョンストン氏らについては、彼らが取締役を退かない限りクラウン及びその子会社の適格性が認められる可能性は低いと厳しく糾弾している。
なお提言には、クラウン社のライセンス剥奪や、ジェームズ・パッカー氏が保有するクラウン・リゾーツの36%の株式の強制的な売却勧告などは含まれなかったが、NSW州の賭博局に対しパッカー氏が役員を辞任後もクラウン社で実質的な権力を握っていることを指摘、その関与を認めるかどうか検討するよう提言した。
同委員長はさらに「NSW州のカジノ法を改正し、州のカジノ規制当局の承認なしに、一人の株主がカジノ・ライセンシーの10%以上の株式を保有、取得、譲渡を禁じること」「専門家による独立したカジノ規制当局の設立「NSW州のカジノ事業者によるジャンケット事業者との取引を禁止」などの制度改革も提言している。

クラウン・リゾーツが22億ドルをかけて建設したクラウン・シドニーは、昨年12月に完成、一部の飲食店やホテルは開業したものの、カジノについては一連のカジノライセンス保持に関する適格性調査の結果を待つ間、開業が延期されている。今回のレポートが提出された後、クラウン・リゾーツは「報告書の内容を検討し、ILGAや州政府と協力して事態に当たりたい」と発表している。 By Resocasi.com