リゾカジ カジノレポート
オペラ座の帝王② (モンマルトルの丘編)
ヨーロッパ 2014/
02/
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マカオの帝王
■ 1月14日(火)
本日の目玉は、これまた世界遺産の “シャルトル大聖堂”だ。
左右非対称な大聖堂の正面で、イヤホーンガイドよりまたまたクイズタイム。
「さて、皆さん。このシャルトル大聖堂は右側と左側で塔の形が異なりますね? これが何を表わしているか、お分かりの方はいますか?」
誰も答えないので、またまた当方が答える。
「建築された年代の差です。右側の全体に“丸い”方が11世紀頃に盛んであったロマネスク様式の特徴であり、左側の先が“尖っている”方が、その後建築技術の発達により13世紀頃から北フランスを中心に盛んとなった、より高くより天に近い神の領域を目指した、所謂ゴシック様式の代表的な特徴を表している訳です」
模範解答終了。
内部で“シャルトル・ブルー”と呼ばれる、深みのある青色で彩られたステンドグラスを眺めた後、昼食時に隣り合わせた御夫婦からは、「お仕事は何かの先生ですか?」と聞かれるが、「いや、確かに妹二人は、それぞれ大学と小学校で先生をしていますが、こちらは会社員です」と答えると、「そんな風には見えないですね……」とのこと。
団体用の安い材料を用い、手抜きで作られた、いささか食傷気味のフランス料理を胃袋の中にハイネンケンで流し込み、バスに揺られながら夜に備えてひと眠りすると、再び“華の都、パリ”に到着。
初日と同じく、郊外のチェーン・ホテルにチェックインした後、いよいよ“大人の時間” の始まり始まり!
初日と同じく、オペラ座近くのカジノ(店内には“クラブ・エンジェル”との表示があった)でも良かったのだが、ネットによれば、このホテルからそう遠くないモンマルトルの駅のそばに、ポーカーハウスがあるとのこと。
『確か、16世紀にマカオに所縁のある、バスク地方出身の伝道師:フランシスコ・ザビエルが、同じくバスク地方出身のイグナチオ・ロヨラらとイエズス会を結成したのが、このモンマルトルの丘だったな。言わば、旧世界側の東アジアにおける植民地としてのマカオ誕生の原点、とでも言うべき場所である訳だ……。 ということは、せっかくここまで来たのだから“マカオの帝王”たる者、一度は足を運ばねばならない。うん、今宵は “モンマルトルの丘” で勝負だ!』
疲れた! 眠い! とぼやくリンちゃんの尻を叩き、タクシーで一路モンマルトルへ!
丘の上、分かりやすいトランプの看板の下に、目指す“サークル・クリシー”は有った。
ドアを開けると、パリジェンヌの受付嬢が二人、メンバーズカードを作成するのでパスポートを出せ、とのこと。
ここまでは、“クラブ・エンジェル”と同じ。
すぐにプラスチックで写真入りのカードが発行されたが、年会費?として男性のみ40€必要、とのこと。
思ったより安かったので素直に支払う。
場内に突入!
そこでは何と、全部で14台のポーカーテーブルがほぼ万卓で有った。
どうやら、エントリーが50€のデイリー・トーナメントが8卓、ブラインドが1-2€のキャッシュゲームが4卓、2-4€とやや高額なレートのキャッシュゲームが2卓でプレイ中の様子。
(奥にはBJもどきが数卓と、ビリヤードとルーレットが合体したような、見慣れぬゲームが設置されている模様)
英語を話す店のスタッフに尋ねると、今から参加可能なのはキャッシュゲームだけとのこと。
それも、1-2€の方は待ちが10人近く居るので、すぐにプレイ可能なのは2-4€の方だけとのこと。
頭の中で、馴染みのあるマカオの香港$に換算してみる。
『2€≒300円≒25HK$か……、まぁ、普通だな。バイインは100€からか、バカラのワンベットより安い。良し、参加だ!』
リンちゃんが横に座るのもOKとのこと。
こうして、パリでのポーカー(テキサス・ホールデム)の初勝負がスタートした。
テーブルの面子といえば、“クラブ・エンジェル”とは異なり、全員がフランス人男性(白人7名、黒人2名)。
その他のテーブルも、ほぼ全員が地元民らしきフランス人(それも男性)であった。
『上等、上等……、さぁ、AAよ、降臨してくれ!』
けれども,配牌といえば、72、32、83、といった屑手ばかり。
徐々にブラインドを削られる中、BBの時にようやくAJが入る。
一人コール、続いてレイズ(12€)が入ったところでさっきからレイズを多用していた黒人がボタンからオールイン(約300€)を仕掛けてきた。
SBはダウン。
当方のアクションとなる。
『これが一発勝負のトーナメントならフォールドだが、あの黒人にそんなに何度も良い手が入っているとも思えない。2~10のペア位なら何とか戦える。AT、KJ、QJなら大歓迎だ。よし、ここはこっちもオールイン!』
90€を差し出す。
後ろの二人は降りてヘッズアップとなる。
フロップは997
黒人の表情は冴えない。
こちらもノーヒットだが、何となく勝利を確信する。
ターン・・・6
リバー・・・2
余り関係なさそう。
黒人がハンドを晒す。
KQであった。
お互いノーヒットであったが、Aハイで当方の勝利!
その後、小さなポットの遣り取りが続く。
リンちゃんから「早く帰ろう!」と不満の声が入る。
こうした中、再びAJが入る。
リンプインが二人と、先ほどと似たような状況で、さっきの黒人がオールイン(約200€)を宣言する。
当方のアクションとなる。
『さっきとほぼ同じか……、何となく寒い予感がするが、これに勝てば大きい。いつまでもダラダラと勝負出来そうにないことを考えれば、ここはオールイン!』
後ろは降りてヘッズアップとなる。
今回は自信があるのか、黒人がQQをテーブルに叩きつける。
『やられた!』
と思いながら、当方もAJをテーブルに晒す。
大天使ミカエルならぬ、エース様の降臨を只管願う。
フロップ;A、K、T!
エース様の降臨だ!
スーツはバラバラなので、1枚フラッシュの恐れも無し。
けれども、最初に感じた “寒い予感” は何故か拭えない。
ターン;5、でラグ(=関係無し)
残るは “運命のリバー” カード1枚。
『ここで出てはいけないのは、残り2枚のクィーンだな、いや待てよ、クィーンならこっちにストレートが成立する……、クィーンは大歓迎だ! ということは逆に……』
相手のアウツを考えている内に、リバーカードが配られる。
リバー;J!
一瞬2ペアが成立したので喜んだが、次の瞬間、“寒い予感”の正体はこれだったことを思い知る。
黒人の側にストレートが成立し、黒人の勝利!
AJのオールインで増えたチップは、同じくAJのオールインで消滅した。
『どうやらモンマルトルの神は、ポーカーではなく、BJのプレイをお求めの用だ、ならば、それに答えるとするか?』
席を立ち、奥の怪しげなエリアに進む。
すり鉢状になっているエリアの真ん中では、ベテランのディーラーがビリヤードの玉を突いて、ルーレットもどきの、数字の代わりにアルファベットが書かれた不可解なゲームが行われていた。
『これは一体……、こんな、見るからに熟練ディーラーが玉を突くのに賭けるというギャンブルが果たして成立するのだろうか? けれど、こうして約10人が周りを囲んで楽しげにプレイしているのだから、それなりに面白いのだろう……、兎に角、するならBJもどきの “POK21” とかいうやつだ!』
徐にサードベースに座り、900€をチップと交換する。
ディーラーがBJとしてのゲーム成立後も、合計5枚引いてポーカーの役があるかどうか(高い役が出来ればそれに応じた高額配当が、10のワンペア未満だと何も無し)というサイドベットが必須なのは我慢するが、それのミニマムが5€なのはいただけない。
『本線のマックスが僅か50€なのに、どう見ても不利なサイドベットに毎回5€強制されるのでは、余りにもハウス側が有利じゃないか……』
兎に角“賽は投げられた”訳であるので、2ボックスの本線に20€、40€、サイドにそれぞれ5€ずつをベットしプレイスタート!(1ゲーム70€≒約1万円)
初日のオペラ座近くの店(クラブ・エンジェル)とは異なり、場内の客もディーラーもほぼ全員がフランス人であるこの店(店名:Cercle Clichy Montmartre , 住所:84 Rue de Clichy, 75009 Paris、電話番号:+33 1 48 78 32 85 )は、はるばる東洋からやって来た異邦人(エトランジェ)に冷たかった。
ダブルは決まらない。
小さく勝って大きく負ける。
連敗は有っても連勝は無い。
何故か一目差で負ける。
負けパターンそのものである。
プレイして実感したのだが、まずディーラーがテンカードで、こちらが14から16になった場合、サレンダーが無いというご当地ルールが厳しい。
次にディーラーがエースの際にインシャランスが無いのは御愛嬌だが、スプリットが1回のみというのも嬉しくない。
最後に毎回毎回サイドベットとして5€強制されるのに、時々10以上のワンペアか2ペアができるだけで、本線で勝利した場合でも、基本ザクザクと10€ずつ削られて行くことに伴う負担は想像以上に重たかった。
一人が席を立ったので、3ボックスに10€ - 20€ - 40€、とベットを変更するが、全体の流れは変わらず。
時々上向き加減になることはあったが、マックスが50€ではすぐに制限に引っ掛かり、波に乗り切れない。
その内、再び悪い流れに呑み込まれる。
「アナタ、いつまでする? さっきから全然勝ってないじゃないか? これじゃワタシの“エルメス”はどうなる?」
リンちゃんから厳しい指導が入る。
プレイ開始後、僅か1時間弱でバイインの900€は330€になる。
その間、他の客は全て消えた。
ポーカーの負けに始まり、久しぶりのカジノだと言うのにアドレナリンが出る場面が殆ど無いまま、空虚な時間だけが過ぎていく。
胸の中に溜まった“モヤモヤ”が遂に臨界点に達した。
『おのれ、にっくき紅毛碧眼の仏蘭西人め! 日の本の国の侍の末裔の死に様を見せてくれる!』とばかりに、全てのボックスにマックスの50€+5€をベットする。
若い白人男性のディーラーが無表情にカードを配る。
ディーラーの手元には憎たらしい絵札が、そしてこちらと言えば、どれもこれも16以下で、サレンダーが出来ない以上、ヒットするしかない。
右端から順番にヒットするも、これでもかとハイカードが出て、次々にバストする。
まるで幕末の妙国寺における“土佐十一烈士の切腹”である。
最終ボックスのみ19となり、首の皮一枚残ったが、ディーラーはきっちり20を決め玉砕する。
まだ財布の中に4千€の予備資金は有ったが、これ以上プレイする気になれず、席を立つ。
『思えば、韓国のウォ-カーヒルも相性は悪かったな……、いつかのオフ会では、パーティーが始まる前に持ち込んだ100万円が100万ウォンに入れ替わったこともあったっけ……。今後は丘の上に設置されたカジノには近寄らないようにしよう』
リンちゃんとタクシーに乗り込みホテルに戻る。
こうして、地元のフランス人比率約95%という、完全アウェーな状況下の “モンマルトルの丘” における勝負は、ジャスト千€の負けでその幕を閉じた。
(続く)
*このレポートはリゾカジ.SNSの日記を転載したものです。
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