リゾカジ カジノレポート

帝王VS皇帝(1991:マニラ)②

* アジア 2022/ 09/ 29 Written by マカオの帝王

コメント( 4)

■ 1991年6月7日(金) 初芝フィリピン(マニラ) 会議室

@ OHPに21世紀のフィリピン市場(楽観的予想に基ずく)を投影しながら、仲田がスピーチする。

@ 一同、黙って頷く中、一人目を瞑る“マカオの帝王”。

@ それを視界の隅に捉えながら、仲田が口を開く。
「以上で私からの、現在のフィリピン市場における、我が社のポジションと、今後の東南アジア地域全体の経済的発展をベースとし、全部で8項目の重点施策を実施した場合の新世紀における我が社の有るべき姿と言える “未来予想図21” の発表を終わります。誰か、質問の有る方は?」

@ 誰も手を上げない。

@ 「それでは、こちらから一人、指名させて貰います。どうやらお疲れのようですが……」

@ 仲田の指名を受けた “マカオの帝王” が、慌てて目を覚ましアタマを掻きながら口を開く。

@ 「えーと、それでは、2~3、述べたいと思います。まず一つ目、最初の方の資料の中に、『これからは大容量の機器が主流になる』と有りましたが、その中に出てきた消費電力の単位の表記が、“kw”と全部小文字になっていたのは頂けません。ここに出てくる最後の “W” は蒸気機関の発明者である、英国人の“Watt”氏が由来な訳ですから、当然大文字でなければいけません。その手前の“k”については、まぁどっちでも構いませんが、要するに表記としては、“kW”若しくは“KW”のどちらか、となります」

@ 仲田が黙って俯く。

@ 「二つ目、テーマの“21”は、来るべき21世紀のことを表しているのだろうと、思料致しますが、予想売上の横軸のスタート年度が、“2000年” になっていたのは頂けません」

@ 「そっ、それのどこが悪いのでしょうか?」と仲田が反論する。

@ 「だってそうでしょう、西暦2000年は20世紀最後の1年、新たなるミレニアム、新千年紀であり、且つ新世紀(21世紀)が始まるのは、“西暦2001年1月1日”です! よって、OHPの中の、希望的観測に基く右肩上がりのグラフのスタート年度は、これが “21世紀” を表すのであれば、それは当然 “2001年” でないと辻褄が合いません」

@ 唇を噛みしめながら、仲田が口を開く。

@ 「貴重なご意見、有難うございました。後日、修正版を作成し、DHLで議事録と一緒に香港に送付致します。他に何かありましたら?」

@ “マカオの帝王” が口を開きかけたところで逡巡する。

@ それを見た仲田が発言を促す。

@ 「言うべきかどうか、迷ったのですが、参考までに感想を述べます。“未来予想図21”に出てくる8つの重点施策ですが、内容は兎も角、問題はその数です。8個は多すぎます! 脳科学者によれば、一週間が7日なのは、人間が一度に考えられるのが、精々7個であることが原因だそうです。ただ、7個でも多すぎます! この中で本当に重要だと考えられる施策に絞り込み、そうですねぇ3個位かな? その3個を重点的にアピールする方が、もっと効果的になるものと思います。あっ、尤もこれはあくまでも私の感想ですので……」

@ メンバー全員に沈黙が走る。

@ その沈黙を破り、仲田が口を開く。

@ 「えぇー、それでは意見も出尽くしたようですので、これにてお開きと致します。皆さま、お疲れさまでした。今晩は全日航ホテルで、和食がメインの夕食会の予定です」

@ 欠伸しながら退室する “マカオの帝王” を、仲田が睨み付ける。

@ 初芝グループの海外駐在員の中に、“マカオの帝王” の “アンチ派” が、又一人誕生した。


■ 全日航ホテル(マニラ) 懇親会

「ところで、マカオでプレイするのは、やっぱりブラックジャックですか?」と、食事が一段落し、アルコールが回りだした頃、仲田が口を開いた。

「うーん……、最初はそうだったのだけど、最近は専らバカラかな? BJも悪くはないけど、バカラの方がより刺激が有って愉しいのでね」

「バカラ! ですって! あんなもの、只の運任せの、何の創意工夫も入り込む余地の無い、ハウスが金持ちから財産を搾り取る為のゲームじゃないですか! もしかしたら、ご実家は資産家ですか?」と仲田が詰め寄る。

「とんでもない! 親父は只の地方公務員だよ。僕自身は君と同じ、単なるサラリーマンさ……」

「それじゃあ、初芝の海外手当なんて、バカラのちょっと大き目のワンベットで、吹き飛んでしまうのじゃないですか? 私自身はこのマニラのハウスルールに則った、最適なB/Sを基に、所謂“カード・カウンティング”を組み合わせて、ブラックジャック一筋で、バンクロールを増やしているのですが、その辺りはどうですか?」

「僕も最初はマカオ版のB/Sを編み出して、それに加えて、所謂“カード・カウンティング”もどきのことをやってみたんだけど、以下の理由で余り効果は無かったんだ……、一つ目の理由としては;マカオではミニマムが200$の卓のマックスは2,000$と、上下の幅が10倍しか無いこと、二つ目の理由としては;マカオの特殊ルールとして、各ボックスのプレイヤーがアクション後のカードは全て裏向いたまま、捨てられるのでカウントした際のデータが“抜け”だらけとなること、三つ目の理由としては;ダブルが出来るのは“11”の時だけ、10も9も、Aと何かのソフトの時も、全てダブル不可! これでは一気にプッシュが困難だろ?」

「たっ、確かにそんな厳しいルールだと、“カウンティング”の効果は希薄化されてしまいますね……、それにしても、よくそんなルールのブラックジャックで勝ち越せましたね?」

「まぁ、777や同じスーツの678でのメイク21で、3倍での勝利確定! とか、プレイヤーが5枚引いてバストしなければ、配当0.5倍で勝利確定、又はそのままでディーラーとの勝負が選べる、等の賑やかし? の特別ルールや、マカオ・パタカと香港ドルの3%の差を活かし、オリジナル・ベットには敢えてマカオ・パタカを使用するものの、数少ない11でのダブル・チャンスの際には、3%増しとなる香港ドルで追加ベットを行う、等、このマカオ・ルールの基で出来ることをフルに実行することで、何とか凌いできた訳だけど、最近はバカラの魅力? に嵌ってしまった訳さ……」

「そこまでは理解しましたが……、別にマカオのバカラのルールが、客側にとって特別有利な訳じゃないですよね? だとしたら、一体どうやって破産せずに、毎週末マカオでプレイ出来るのですか? 何か、特別な罫線の見方でも……」

「そんなものは、何も有りません。バカラのルール上、タイはハウスの控除率が高すぎるのでベットしない、バンカーとプレイヤーでは、プレイヤーの控除率が若干高いので、プレイヤーにもベットしない、張るのはいつもバンカーのみ!」

「バカラで張るのはバンカーのみ!? ですって? そんな馬鹿な!」

「あぁ、それともう一つ、バカラの醍醐味は、自ら絞ることに有るので、基本、自分がバンカーサイドのベット・オーナーになることの出来る卓でプレイするのだけど、時々、卓の全員がバンカーに張り、プレイヤーがハウスになる時は、ベットを下げるか、一回休みにして、様子を見ることにしている」

「それは何故ですか?」

「特に深い理由は無い、最初の内は常にバンカーで絞りまくったものだが、何故だかハウス・プレイヤーとなった際の、プレイヤーの勝率は異常に高い! それほど極端でなくても、テーブル上のバランスがバンカーに偏った際の、プレイヤーの勝率も高いような気がする。そこで、僕なりに考えてみた」

仲田が黙って頷いた。

「カジノに纏わる永遠の課題の一つだよ、それは、『ハウスは“イカサマ”をしているのか?』だ! 君はどう思う?」

「それは、僕には分かりません。ただ、そんなことをしなくても、ハウス・エッジが有るのだから、マカオのことは知りませんが、少なくとも、ここマニラの平場では、所謂“イカサマ”は無いと思います」

「成程、自分も基本的にはそう思う、但し、BJと比べ、大きなお金が動くバカラで、双方のバランスが大きく崩れた場合に、何故だかハウスが連敗したとしよう……、その場合、ハウスは帳尻を合わせる為に、ベットの大きい側が負けることを強く望むのでは?」

「そ、それはそうかも知れませんが……」仲田が口籠った。

「あくまでも自分の経験則だが、ハウスは100回の内、98~99回は公明正大にカードを配っている、と思う。但し、その中で1~2回は疑わしい、と感じられる場面に出くわすことがある、そこで、そういう場合は勝負を避けることにしたと言う訳だ。そのお陰かどうかは分からないけれど、殆どの人が長期的には負け越すと言われるバカラで、ここまで何とか勝ち越しているよ……」 

「おやおや? マカオの帝王とマニラの皇帝が、ギャンブル談義に熱が入ってるね! けど、そろそろここはお開きの時間だ。次は綺麗どころいっぱいのカラオケですが、これから行くのは我が初芝フィリピン御用達の高級店ですので、女の子のレベルには自信が有るものの、香港の “夜総会” のように、所謂 “連れ出し” は御法度ですので、その点はご了承願いますよ。もし、“お愉しみ” をお望みなら、お泊りのホテル近辺のゴーゴーバーで、“自己責任” でお願いしまーす」と初芝フィリピンの営業部長が話に割って入った。

一同、クルマで移動。

移動中、ほろ酔い気分となった “マカオの帝王” が隣の仲田に話しかける。

「ところで、今から行くのはどこだったっけ?」

「あぁ、二次会の会場は、会社にも近くて治安も良い、俗に “マニラの赤坂/六本木” と呼ばれている “マカティ” 地区の中心部に有る、その名も “クラブ・マカティ” です。最近、ここのカラオケ機器一式を、初芝製にリプレースして貰ったばっかりなので、精々サービスしておかないと……」

食事+アルコールで、急激に上昇した血糖値と、クルマの心地良い振動の為、“マカオの帝王”の脳内でナルコレプシーのスィッチが入った。

『うん? 今何と言ったっけ、確か “マカティ” がどうだとか……、うーん……、“マカティ” ねぇ。何んだか、良い響きだ。“マカオ” の最初の二文字の“マとカ”が入っているし……、“マカティ、マカティ、か……』

クルマが、“クラブ・マカティ” のビル前に到着した。
                               ③に続く  

https://www.resocasi.com/res/report/detail?id=2076


このReportへのコメント(全 4件)

2022/10/01(Sat) 00:15

くるくる

マカオの帝王さん、

こんばんは!くるくるです!

マカオに行けないので今年はFXで218万円稼ぎました!



続き③が楽しみです!(^O^)/


2022/10/01(Sat) 01:10

マカオの帝王

くるくるさん、こんばんは!
ようやくマカオも、10月より外国人外国人観光客の受け入れを再開したそうなので、来年の今頃は、又マカオで “火鍋” でも一緒に食べたいものですね。


2022/10/03(Mon) 23:33

マリタイム

マカオの帝王さん、こんばんは。

「ハウスは100回の内、98~99回は公明正大にカードを配っている、と思う。但し、その中で1~2回は疑わしい」は、含蓄のある言葉ですね。

FXで218万円稼いだそうなので、
くるくるさんの奢りで、来年は皆でマカオで “火鍋” 食べましょう。(^O^)/

「ハウスは100回の内、98~99回は公明正大にカードを配っている、と思う。但し、その中で1~2回は疑わしい」とか、


2022/10/04(Tue) 12:57

くるくる

マリタイムさん、

こんにちは!
皆さんの収入を考えればくるくるは奢られる側ですよ!笑(^O^)/


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