リゾカジ カジノレポート

帝王VS皇帝(1991:マニラ④

* アジア 2022/ 10/ 10 Written by マカオの帝王

コメント( 2)

「少し騒がしかったですか?」とマリアちゃん。

「いや、別に何とも……」

「それは良かったです! それと、そろそろ家に帰らないと行けないのですけど、もし良かったら、タクシーを1台、呼んで貰っても良いですか?」

「勿論、OKです!」

少し多めにタクシー代を渡し、ホテルの玄関まで見送りに。

『やっぱりカモられただけか……、まぁ、そんなに上手い話は有る分けないさ……』
そう思いながら、クルマを待つ間に、マリアちゃんが耳元で囁く。

「明日のお昼は空いてますか?」

「あぁ」

「夜はお店があるのですけど、それまでの時間、一緒にマニラ市内の観光はどうですか?」

「それは、大歓迎だけど、また“ネーネー”と一緒なのかな?」

「そんなぁ! 明日はワタシだけですよ♡」

「了解です! それじゃあ明日1時に、ホテルの玄関で!」と約束を交わす。

タクシーが到着し、3人が車中に消える。

こうして、生まれて初めての“マカティの夜”は終わりを告げた。


■ 1991年6月8日(土) パビリオン・ホテル玄関

1時10分、少し遅れてマリアちゃん登場。

私服+薄化粧+昼間の太陽の下、で見る彼女は、“クラブ・マカティ”の店内とは異なり、やや幼く見えたが、とても可愛かった。

ホテルのコンシェルジェに相談し、契約しているタクシー運転手の中から、信頼出来る1台を“半日貸し切り”として貰う。(英語が堪能、とのこと)

「どこか、行きたい場所は有りますか?」

「うーん、特には無いのだけど……」

「だったら、“動物園”はいかがですか? ワタシ、子供の頃、一度ファミリーで行ったきりなんですけど、とっても楽しかったなぁって……」

「OK! それじゃあ、その、動物園で決定!」

マリアちゃんが運転手に、タガログ語で行く先を告げる。

クルマが、【マニラ・動物園】に到着。

運転手は車内で待機。

久しぶりの動物園に感激しているマリアちゃんと一緒に、ゲートをくぐる。

『まさか、マニラまで来て、動物園に行くことになるとはなぁ……、けど、こんな美少女と一緒なら、それも悪く無い。それにしても、この園内に立ちこめる、動物の体臭と、糞尿が混じったような、何ともいえない臭いは何とかならないものか……』

とはいえ、それも隣で無邪気にはしゃぐ美少女と一緒だと、どうでも良くなった。

ソフトクリームを食べながら、一通り園内を回る。

カジノなら、何時間でも疲れなど感じないのだが、真っ昼間に蒸し暑い中を歩き回ると、何だか疲れてきた。

これにて、動物園観光は終了。

次は、マリアちゃんのリクエストで、市内最大級のショッピング・モールに移動。

モール内を歩く内、婦人靴売り場でマリアちゃんの足が止まる。


Made in Japan の高級品(上品で落ち着いた色合い)
Made in Hong Kong の準高級品(ソコソコ)
Made in Philippine の中級品(原色でケバケバしい)
(どれも赤いハイヒール)

マリアちゃんの足下を見ると、穴の空いた、随分くたびれた運動靴が目に入った。

「気にいったのが有れば、どれでも買ってあげるよ」と告げる。

少し逡巡した後に、マリアちゃんが選んだのは、香港製だった。

「別に、日本製でもOKだよ?」

と伝えたが、

「これで……、じゃなくて、これが良いです。ご好意に甘えても良かったですか?」

そう言われれば、日本製は少し大人びた感じで、19歳のマリアちゃんには、香港製の方が似合っている(ような気がした)。

『バカラのワンベットが、BJのワンベットに納まったか……、まぁ、本人が気に入っているのなら、それでOK。さて、買い物も終了したし、コンシェルジェの推薦で、早い目のディナーを予約した、シーサード・レストランに移動だ!』

駐車場に戻り、運転手にロハス大通り沿いの店の名前を告げる。

クルマはマニラ湾沿いのロハス大通りを走り、レストランに到着する。
ホテルのコンシェルジェ曰く、「折角マニラに来たのでしたら、夕暮れ時にマニラ湾に沈む、“世界三大夕日(後の二つはバリ島と釧路だそう)”を見逃してはいけません! 知り合いのレストランを予約しておきますので、世界三大夕日を眺めながら、海鮮料理を愉しみ、マニラの素敵な思い出を……」

オープンテラスの予約席に案内されるが、驚いたことに何故か運転手が付いてくる??

マリアちゃんに確認すると、
「えっと、『そんなに高価な料理やアルコール類は注文しないので、チップ替わりに食事をご馳走してくれると嬉しい』ですって……、どうしますか?」

「成る程……、それじゃあ、少し離れたテーブルに座って、料理を適当に注文してもOKだと彼に伝えてくれ」

マリアちゃんからOKを伝えられると、運転手は嬉しそうにテーブルに腰を下ろし、徐に注文を始めた。

マリアちゃんはオレンジジュースを、ビール党の当方は、ご当地ビールである “サンミゲル”をオーダーする。

メニューはシーフードが主体の、中華風(+西洋風)のエスニック・スタイルで、値段はそれなり、適当に注文する。

サンセットの時刻が迫る。

真っ赤に燃える南国の太陽が、水平線の彼方に少しずつ消える。

いつのまにか、頼んでもいないのにバンドマン(数名)がどこからか現れ、日本の所謂“ムード歌謡曲”の演奏を始める。

「これは一体……」とマリアちゃんに尋ねると、

「えっと、これはお店からの“サービス”です。日本のお客さんには、日本の曲を、西洋人のお客さんには、洋楽を演奏し、良かったら会計の時に、その分をチップとして上乗せしてくれればOK、だそうです……」

『何が“サービス”だ! とはいえ、これを断るのも何だか面倒だ……、マリアちゃんには良い格好をしたいし、ここは一つ我慢するか? それにしても、運転手の野郎、調子に乗って一体何皿食べるつもりだ? 一、二、三、四、もう4皿目だぞ!』

いろいろ不満は有ったが、ニッコリ笑顔で全て承諾する。

肝心のシーフード料理のお味は普通だったが、ビール(サンミゲル)は生涯で最高! 目の前には、微笑むうら若き美少女、その背景には “世界三大夕日” 人生に訪れる、数少ない完璧な瞬間だった。

真っ赤に燃える太陽が、徐々に水平線の彼方に消えていく。

「今日は土曜日なので、そろそろお店に顔を出さないと……」

「あぁ、そうだね」

「もし良かったら、明日の夜も会えますか? 明日は店もお休みなんです」
と俯くマリアちゃんは可愛かった。

脳内で今日/明日のスケジュールを考える。
『今夜はホテル(のカジノ)で石田先輩とBJの予定だ、但し、一昨日の感じだと、余り愉しめなさそう……、明日の日曜日の昼間は石田先輩のお供で、何やら“お楽しみ”の予定だったが、夜はフリーだ。別に “カジカジ” である必要は無い、良し! マニラ最後の夜は、マリアちゃんで決まり!』

明日のディナーの約束をして、本日はお開きとする。

クルマで先にマリアちゃんを『クラブ・マカティ』まで送る。

降車の際、「それじゃあ、また明日♡」とマリアちゃんが耳元で囁く。

軽く笑顔で見送る。

それが、彼女を見た最後の姿だった。

                               ⑤に続く
https://www.resocasi.com/res/report/detail?id=2079


このReportへのコメント(全 2件)

2022/10/11(Tue) 15:04

マリタイム

マカオの帝王さん、こんにちは。

『難波金融伝・ミナミの帝王』の脚本にできそうなストーリーですね。
マカオもそうですが、マニラが街ぐるみで旅行者から金を得ようとする様子がよく伝わってきます。

「それが、彼女を見た最後の姿だった。」という意味深な終わり方。
次回が楽しみです。


2022/10/11(Tue) 20:17

マカオの帝王

マリタイムさん、こんばんは!

今でも、あの日のマニラ湾に沈む、真っ赤な夕陽が夢の中に出てきます。

『マニラ(マカティ)など、何時でも再訪出来る……』と思いつつ、何故か縁がなく、3年前に大阪のポーカー大会で優勝し、オカダマニラの宿泊+ポーカー大会の権利を獲得するも、出発間際にコロナ渦で無期限延期になり、結局ハウスのポイント(約25万円分)と交換することになりました。

次回、起承転結で言えば、“転” となります。


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