リゾカジ カジノレポート

ボイジャー・オブ・ザ・シーズ乗船記

* カジノクルージング 2002/ 02/ 05 Written by はたさん

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みなさんあけましておめでとうございます

 年末年始旅行に行かれた方、そうでない方も楽しんでおられると思います。私はといいますと年末のベガスで絶好調でして、過去すべての負けをとりかえすにはさすがにいたらないものの、かなりのベガス預金の引き出しに成功しました。12月25日ベネシアンのBJでいきなり1万ドルプラス、翌日モンテで3千ドルプラスになり、その後ちょっと気が大きくなりベラで1ドル10プレイのビデポなんぞに手をだして散財しましたが、それでも安い軽自動車くらいは運んでこられました。10数年ぶりのお年玉といったところです。

 話は変わりますが、12月始めに行ったクルーズ乗船記を何回かに分けて書いていこうと思います。長文になりそうですがよろしければお付き合いください。

 出発まで…

 11月9日、テニアンから帰ってきた私たち夫婦は、その素晴らしさと初めて負けずに(プラマイ0)帰ってくることができて興奮?していた。

HARU(妻)「次どこ行くどこ行く?ベガス?」

「ベガスもいいけどなー、12月はじめのスロットトーナメントは決定だし、ここはやっぱり念願のクルーズに行っとくべきだろうなぁー。ベガスは4、5日でも行けるけどクルーズは10日は要るからなぁー」
「いつ行く?来週?」

 早速いろいろ調べだした。といっても乗船する船は「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」かその同型姉妹船である「エクスプローラー・オブ・ザ・シーズ」のどちらかにすることは初めから決めていた。

 余談ではあるが私は物心ついたころから旅と乗り物がずっと大好きで、その中で船も例外ではなく、10数年の念願叶い2000年9月に「スーパースター・ヴァーゴ」でクルーズと、そして同時にカジノデビューを果たしたのであった。雑誌「クルーズ」も創刊から10数年ずっと購読しており、今回の乗船にあたってはちょっとミーハーではあるが「世界最大の客船」に乗ってみたいというのが最大の理由になった。もちろん他にもカジノも大きそう、船内施設が充実しているというのもあったし、アメリカからのカジュアル船ということで、値段も手頃、高級すぎて場違いなこともない、ということも決め手になった。

 両船共にマイアミ発着の1週間(7泊8日)クルーズで、ボイジャーが日曜発着の西カリブ海、エクスプローラーが土曜日発着の東カリブ海に就航しているようだ。

 「来週行く?」と言われたものの手配に時間が必要だろうし、11月の予定を確認するとなんと毎週のように法事、結婚式、飲み会!だのがあり、旅行に合わせて10日間の日程を空けるのはどう考えても無理であった。

「これは11月はどう考えても無理だなぁー」
「じゃ、やめる?」
「なにー?せっかくなのにそりゃぁーないだろー」
「…」
「ベガスにくっつけよう。飛行機よけいに乗らなくてすむし。」というわけで、ベガスの12月5-8日(水-土曜)にうまくくっつけれるという理由で9-16日のボイジャーに決定した。

 飛行機はいつものUAでどうせ空いてるだろうし、ベガスのホテルはホストに電話するだけだからいつでもいいんだろうけどクルーズはそうはいかない。まずネットで以前から目をつけておいたアメリカの旅行サイトを覗いてみる。

「激安だぁー」

 シーズンオフとテロの影響でインサイドの最も安い部屋が500ドル(くらい)バルコニー付でも1000ドルを切る価格、しかも80ドルくらいの税込みででているではないか。(1人あたりの価格です)さっそく申し込もうとして入力するが、最後に送信するとエラーが返ってくる。「アメリカとカナダの人以外ダメ」と。「これは困ったなー、電話しろということか…」英語を多少話すことができるHARUに頼んでもよかったのだが、とりあえず日本の旅行会社にも問合せてみる。

「もしもし、わたくし12月9日からのボイジャー・オブ・ザ・シーズに乗ろうと思っているものですが」

「はい、ありがとうございます。それでは早速お調べしますので…」
10数分後
「ありがとうございました」

予約完了。

 アメリカでのネット価格に比べればかなり高いが、確実性と安心性で申込んだ。ホテルやレンタカー、ショーチケット等はネットの利用は何度もあるが、今回は申込んだ場合メールだけではなくて郵便で案内を送ってくる可能性が高いことや、日本語の案内が多分ないと思われるなどということで今回は日本の旅行会社を選んだ。クルーズ料金 1人9万円(インサイド、税込み)

 その後、航空券、ベガスとマイアミのホテルを手配し、ネットで安いタキシードを探しまわり34300円で購入したりして準備完了。出発を待つだけとなった。

1日目の前にシップデータと参考になるサイトの紹介をします。

総トン数 ボイジャー142000トン (参考 ヴァーゴ・レオ76800トン トーラス25000トン)
全長 311m (268m 159m)
全幅 48m  (32m  25m)
乗客定員3114名 (1960名 960名)


ロイヤルカリビアンインターナショナル社 http://www.royalcaribbean.com/asp/default.asp ボイジャーファンの方の乗船記 http://www.matuda.org/vos/ 私が利用した代理店 http://www.cruiseplanet.co.jp/

1日目(12月9日)

 マイアミ空港で港まで行こうとタクシーに乗り込んだ私(たち)を南米系の運ちゃんは驚きの目で見ている。

「こんなぶ厚いジャケット着てたらそりゃ不思議だわな」
「汗流してないで脱ぎなさいよ」
「寒いベガスから来たんだ。もっと言えばつい4時間前のシカゴは凍えるほどだったんだから当然だ」

 なにが当然かは不明だが暑ければ脱げばいいのだ。前日の夜ベガスを出て夜行便でシカゴへ、そしてマイアミには12時過ぎに着いた。タクシーで15分ほどの港へは13時頃の到着だった。凄い人である。それらしい所で荷物を預ける。ポーターにチップをあげたいのだが10ドル札しかない。

「ふぁいぶだらーばっくぷりーず」

1ドル札は常に用意しておこう。

「あそこから中へ入って」 案内された建物に入る。冷房が入っていて涼しい。50人くらい乗客が集まったところで乗船カードの記入などの説明が簡単にあり、その後空港と同じようにセキュリティーチェック(金属探知機、エックス線あり)を通り、チェックインカウンターのあるホールに入る。

「うわー、凄い人だぁー」

 300人くらいはいそうだ。カウンターは20くらいあって、手際もよく、40分ほどで自分たちの番になった。あらかじめ送られてきた乗船券?とパスポート、クレジットカードを出して、すぐ手続き終了。船がデザインされている水色の乗船カード(スーパーチャージ・カード という)を受け取る。ルームキーであると同時に船内の全ての支払いをこれで行い、後日クレジットカードに請求がくる。(現金精算も可能)

 やっと乗船だ。その前にお決まりの写真撮影もあって(マスコットはないようだ)14時ちょうどに船内に入る。とりあえず部屋に行って荷物(とジャケット)を置きたいのだが日本語の説明会が14時から行なわれるので、集合場所になっているレセプション前に行く。が、誰もそれらしい人はいない。

と、そこへ

「はたさん様ですか?」

とコーディネーター?のヨーコさんという方が現れた。  さっそくプロムナード内のカフェに行き、40代くらいの夫婦の方と30代くらいの女性とその母親の計6人で説明を受けた。まず、船内新聞「コンパス」の日本語版ダイジェストを頂く。8日分全ての食事や催しの主だった時間などが書いてある。しかしヨーコさん曰く、

「これは1年くらい同じ物を使っているので、一応念のために重要なことは英語版で確認してください」

 向かい側の夫婦は困惑している。その他に各寄港地の案内、オプショナルツアー、下船の案内等の日本語版を頂く。オプショナルツアーのアドバイスなどで1時間30分ほどかかり、最後のほうは「早く開放してくれー」と思いつつ時間を過ごす。

「私は16時までに下船しなければならないので、ちょっと急いで船内案内します」

 私は彼女が船を降りることは知っていたが、例の夫婦は不安そう。急ぎ足で船を1周して最後に偶然カジノで解散する事になった。

「最後に何かご質問はありませんか?」
「あの、カジノホストの方はいらしゃるのでしょうか?」
「・・・ あ… どんな方でしょう?私聞いたことありません。ごめんなさい。それはどういう方でしょう?」
「カジノでいろいろ世話をしたり、アドバイスとか…」
「ちょっと私にはわかりませんが…」
「あっ、ごめんなさい、わかりました。直接聞いてみます」
こんなこと聞かれたのは初めてだろう。

1週間住むことになる8371号室にやっと到着だ。

「おー、結構いい部屋だ」
「そんなに狭くないしこれで充分ね」

綺麗で物入れもたくさんあり、シャワールームを含めて機能的なつくりである。特にHARUはシャワーヘッドが固定式でないのが気に入ったようだ。トーラスの1番狭い部屋で乗船したことがあるが、それに比べればずいぶん広い。(14.8?とのこと)

「インサイドの部屋でもこれなら合格だ」
「バルコニーがあると部屋から出なくなるからちょうどいいわよ」

 誤解のないように書いておくがバルコニー付が羨ましいのではなく、ほんとに満足しているのである。(皆さんが乗船する機会があればバルコニー付きもいいと思う。)

「私、ちょっと、寝る」

ベガスでの睡眠不足と頑張りすぎ?が影響したのかHARUはベットにたおれこんだ。私も横になりたいのはやまやまだが、16時30分から避難訓練がある。

「ピー、ピー」

避難訓練の合図だ。国際法で全員参加が義務づけられている。

「おい、いくぞ!」
「私いかない」

 かなりもめたが、あまりにも体調がよくなさそうなので、根負けして1人で避難訓練に向かった。(ハウスキーパーが全室回って参加を確認するので通常は、当然だが参加することになる)訓練は救命胴衣をかぶって指定されたオープンデッキに集まり、アナウンスを聞きながら救命胴衣の着け方を練習するもので、儀式的というか、これもお決まりのイベントのひとつである。部屋に戻り新聞などを眺める。しばらくしてかすかな振動に気が付いた。

「もう動いてるよ」

 寝ているHARUを尻目に船内探索に向かう。デッキに出た。ちょうどマイアミ港からのせまい航路を出るところだった。20mくらい先の対岸にいる人たちが手を振っている。私もそれに応える。

 一通り見て廻り最後に行き着く所は当然、カジノである。確か18時(19時?)のオープン時間だった。まだオープンしておらずテーブルは準備中である。さすがにクルーズ船に乗っていきなり勝負!な人は少なく、BJの卓に数名とスロット数名、それに通りがかりの人を含め見物人が十数名といったところ。私は見物組。スロットの電源が先に入る。

「ジリリーーーン」

 BJテーブル向かいのスロットがいきなりやってくれたようだ。「ダブル・ダブル・トリプルダイアモンド」が揃っている。5ドル台で8000ドルである。私は目の前のBJのディーラーに「オーマイガー」(意味不明)という気持ちで目配せをした。黙って頷いてくれた。ちなみにその場で現金を受け取っていた。税金はないようだ。

 しばらく見物して1台だけのシュー使用のBJテーブルに着く。5ドルミニマムで30分ほど遊ばせてもらって、お腹も空いたし疲れたので席を立つ。(プラス100ドル)

 部屋に戻り「なんか食べに行こー」とHARUを起こすが反応なし。「ディナーまで1時間くらいあるからちょっと横になろー」

1日目はこうして終わった。

 以前書き込んだカジノの紹介です。

 4階にメインカジノ「CASINO ROYALE」感覚的にはトーラスの4,5倍、ヴァーゴ,レオよりは少し狭いスペースに、BJ5-100ドル2台、10-200ドル6台あり、5ドル台のうちの1台に、1ドルのサイドベットで自分の始めの2枚でBJの時、Wheel of Fortuneのような、10から1000まである円盤のスタートボタンを押して、止まった数字分のボーナスが貰えるものあり(ほとんど10から15で止まる)。5ドル台のうちの1台が6デックで残りはシャッフルマシーン、サレンダー不可、ソフト17スタンド以外はベガスと同じ。カリビアンスタッド5台5-100ドル、クラップス1台5-200ドル、シングルオッズ。ルーレット3台インサイド1ドル、アウトサイド5ドルから。



 テーブルは以上で、25セントから5ドルまでのベガスとほぼ同じスロットとやる気にならない設定のマルチゲームのビデポが多数設置。5階には5セント専用の小さなカジノコーナー「SPRINKLES」があり、ビデオスロットとビデポを設置。営業時間は出港1時間後くらいから深夜3時くらいまで、航海日は10時くらいからのオープン。クラップスは夜の2,3時間のみですが、他は最低1台づつは開いています。お客は船の食事、イベントスケジュールに合わせて増減しますが、最も込んでいる時は、ほぼフルオープンしていました。ただ座れないことはありませんでした。客層はほとんどアメリカ人(欧米人)でディーラーは、まあ普通。ほとんどの人はミニマムで遊んでいるかんじです。

2日目(12月10日)

「やっちまたー」

何をやったかはお解りでしょう。

「今何時?」

ようやくHARUが目を覚ます。

「2時」
「いつの2時?」
「夜中の2時だ」

 別にショックを受けたわけではない。ベガスではいつもこんなかんじだ。ただ、クルーズという限られた時間と決められた食事の機会、アトラクションを逃してしまったのは残念ではある。

 ちなみに昨晩は「ラ・スカラ」(1348名収容の5層吹き抜けメインシアター)にて「ウェルカムアボードショー」、「ロイヤル・プロムナード」(この船最大の売りもの、長さ122m、4層吹き抜けの巨大アトリウム)にて「ボンボヤージパレード」など、その他たくさんの催し物があったようだ。

「腹減った。なんか食べに行こう」

 この時間、開いているのはプロムナードに面してある、「カフェ・プロムナード」だけである。ここは無料で「シアトルズ・ベスト」のコーヒー、紅茶、ピザ、ケーキ、サンドイッチ、ソフトクリームなどをいただくことができる。空腹だからというわけではなく、結構イケル。食事時のソフトドリンク、コーヒー等以外でタダで飲める場所はここだけで、またロケーションもいいので、休憩を兼ねて昨日も何度か利用した。また、もう一つ気に入ったことは、ケーキ等の一片が小さいことだ。これは、ちょっと小腹が空いた時、何種類か食べてみたい時にはちょうどいい。「でかいことはいいこだ!?」の国から出ている船にしては珍しいと感じた。

 さすがにこの時間、船内は閑散としている。少し歩いて、部屋に戻り、寝た。(また?)

 10時頃改めて起きて、11階にある「ウインジャマー・カフェ」に行く。カフェ、レストラン等と紹介されているが、要は「バフェ」である。品数、味等まずまずといったところ。個人的にはシリアルの種類が豊富(10種以上)なのがポイント高い。展望もよく、晴れ渡る海の向こうに1隻の客船が並走しているのが見える。

 今日は終日航海日なのでこれといった予定は無い。気が向くままだらだら過ごすつもりである。ウインジャマーを出てプールサイドのデッキで、少しづつ追い抜いていくプリンセスクルーズの船(帰国後確認したところ、サン・プリンセス、77000トンと判明)や船客の様子を眺めつつ、ボォーっとしている。

 客層は幅広く、子連れファミリー、若い人のグループ・カップル、働き盛りの世代からリタイア組まで多彩である。ただ、若い人が多く、平均年齢は高くない。雰囲気はいたってカジュアルである。車椅子に乗った乗客も目にする。バリアフリーは完璧だ。

 プールに入るにはもう少し気温がほしい。たしか25度くらい。もちろん寒さを知らないアメリカ人(笑)のこと、たくさん泳いでます。(というより、つかってるだけ)デッキチェアに寝転がってる人多数。だが、チェアの数も膨大なので混雑感はない。プールは11階に2ヵ所。大きめのメインプール(ヴァーゴより少し小さい、5×10mくらい?)と、もうひとつ小さめのものがある。ちなみにしょっぱいです。ジャグジーは6つ。子供用プールも別にあります。

 アーケード(ゲームセンター)で一汗ながしたり?船旅お決まり?のビンゴを見物したり(参加はしてません)プロムナードに並ぶお店を見たり、BJとカリビアンで2人で100ドルくらい負けたりして夕方になった。

 今日はフォーマルナイトなのでそれなりに気合?が必要だ。私たちのディナーは2回に分けられている遅いほう(セカンドシーティング)である。日本人は1回目が多いそうだがどうせ夜更かし型になりそうだし、早い時間だとお腹が空いてないかもしれないので2回目にした。食事は20時30分からである。(1回目は18時)HARUは先に部屋に戻り準備をする。着物を着るので時間が必要なのである。私はもう少しだけカジノで遊んで部屋へ戻る。(ちょい負けだったような・・)

 19時30分よりプロムナードにてキャプテン主催のシャンペンパーティーが催されている。子供も大人も着飾って、プロムナードは大混雑だ。20時15分キャプテンとオフィサー(腕章に線がいっぱいある偉い人)の挨拶と紹介があり拍手で盛り上がる。また、船内各所(6ヵ所くらい)に写真撮影コーナーがあり、カメラマンが結構いい写真を撮ってくれる。翌日以降4階のフォトギャラリーに張り出されるので気に入れば買えばよい。(枚数が膨大なので見つけるのに一苦労)値段は高めだが(10ドルとか大きさによる)撮ってもらうだけならタダなので、たくさん撮ってもらうとよいだろう。

 いよいよメインダイニングルームに足を踏み入れる。そこは3層吹き抜けの豪華な空間で吹き抜け中央部の天井には、でかいシャンデリアがぶら下がっている。3,4,5階それぞれに名前がついており、「カルメン、ラ・ポエム、マジック・フルート」という。私たちは4階を指定された。(チェックイン時にわかります)

 指定されたテーブルに向かうと、9人分セッティングされている丸テーブルに6名先客がいた。すぐにウェイターが来て、椅子を引き、ナプキンをいただき、メニューを渡される。とても丁寧、確実、そしてフレンドリーで好感がもてる。メニューの簡単な説明とおすすめ料理の紹介をしてくれる。私たちは貰わなかったが日本語のメニューもあるようなので心配はいらないだろう。

 それより心配というか不安はテーブルメイト(って言うのかな?)の人たちとの会話だろう。私は、度胸はあるが英会話については平均的日本人(つまりほとんど話せない)なのだが、幸いにもHARUは日常会話くらいならOKなので、HARUが主に会話とたまに私の通訳をすることになる。

 私たちの左隣の体格のよいお兄さんと綺麗な奥さんはモントリオールで会計士をしているご夫婦。その隣、細身の初老の紳士とエキゾティクな顔立ちの奥さんはカリブ海の小さな島、バルバドスのホテルで働くご夫婦。そして、イタリア的な、かっこいいお兄さんとこれまたエキゾティックな奥さん(ブラジル出身だそう)はロサンゼルス在住。

 もちろんこれらは何回かテーブルを囲んでわかったことだが、はじめに話すことはだいたい決まっている。「はろー、ごきげんいかが。名前は?どこから来た?何してる?クルーズはよく行くの?楽しんでるかい?××は日本のどこだ?日本からどれくらいかかるんだ?いつ帰るんだ?」こんなところである。あと「素敵なドレスですね。そのリングはお似合いです」という会話も定番だ。

 右隣の席が空いていて??だったが、3本線の入ったオフィサーがやって来た。髪の毛は薄いが落着いていて優しそうな方だ。後で聞くと船医(ドクター)だそうである。スェーデン在住で、寒い冬の間だけ出稼ぎ?で船に乗っているそうだ。

 前菜、スープ、サラダ、メイン、デザートと数種類から選ぶ本格的コースディナーである。もちろん食事全てと、ソフトドリンク、コーヒー、それに食前酒(ワイン)は料金に含まれている。(ワインリストから選んだ場合は別)

 その日毎に、料理のテーマがあるらしく今日は「ワールドなんたら」(笑)世界の代表的料理らしいが、トムヤンクン以外は残念ながらなにがあったか憶えていない。メインは私は3センチくらいあるステーキ、HARUはチキンのもも焼きをいただいた。会話も上手くいき、(私はあんまり話していないが…)2時間のディナーは終了した。

 10時45分から行なわれる「ミュージカル」を見にシアターへ。不覚にも私は寝てしまいほとんど憶えていないが、HARUによるとジュビリーのような華やかなショーで、なかなか良かったとのこと。

 眠くて、疲れて、とりあえず着替えようと部屋に戻る。この時間、まだ催し物もあるし、バーも開いている。もちろんカジノも。

「とりあえずちょっと横になろー」

こうして2日目は終わった

3日目 (12月11日)

「今何時?」
「10時くらいだ」
よく寝た。

 船は動いていない。すでに最初の寄港地、ハイチにある島、ラバディーに到着している。ここはロイヤルカリビアン社のプライベートビーチで、美しいビーチと椰子の木、青い空白い雲…はいいとして、砂浜か木陰でお昼寝するか、ジェトスキー、パラセイリング、シュノーケリングなどで楽しもう!という場所だ。上記のようなアクティビティーは事前にオプショナルツアーに申込まなければならない。(有料、空いていればその場で参加できるものもある)

 11時過ぎ、沖に停泊しているボイジャーから、テンダーボートに乗り、島に渡る。

「すっげーきれーだー」

景色もさることながら海の水の綺麗なこと!テニアンに勝るとも劣らない。

「潜ってみたぁーい」

 ほとんど泳げなく、シュノーケリングもしたことがないHARUが思わずそう口にするほどである。私も同感だ。少し海につかり、腹が減ったので屋外バーベキューをやっている小屋へ行く。肉や野菜を焼いたものを適当に選んで隣の小屋(柱と屋根があるだけだが)で食べる。目の前でいかにもカリブらしい民族曲を聞きながら、遠くの水平線を眺めながらだと、このどうってことない料理もおいしく感じる。

 近くにハンモックが見えたので行ってみる。ハンモックに乗ったことはない。初めてだからか片手に袋を持っていたからかはわからないが(両方だろう)大きく揺れて「おおー」とか叫びながら悪戦苦闘する。HARUは腹を抱えて笑い転げている。私も叫びながら笑ってしまう。

「ドテッ」

 ついに半回転して落ちた。2人とも笑いが止まらない。楽しくてしかたがない。近くの人も笑っている(笑われているのか?)2回目からはうまくいって、しばらく波の音だけを聞きながらハンモックに揺られた。

 土産物屋に行ってみる。美しい絵や木彫り工芸が多い。現地の人の店なので客引きが少しうるさい。惹かれる物もあるが最初の寄港地ということもあり、購入している客はあまりいない。

 ボートに引っ張られて飛んでいるパラシュートを眺めるうちに自分も「空中散歩」をしてみたくなった。が、予約でいっぱいとのこと。残念。15時近くになり船へ戻る人も多くなってきた。海にプカプカ浮かんで寝そべることができる「フローティングマット」が片付けられずにあちこちに置いてある。それを拝借してしばらく海を漂う。(本来は10ドルで借りるもの)

 16時頃船に戻り、部屋でくつろぎつつ明日以降のオプショナルツアーをどうするか真剣に検討する。明日はジャマイカのオチョリオスという町に寄港するが、ここでの1番人気はダンズリバーという川の滝登りだそうだ。川がカリブ海に注ぐ最後の180mほどの距離がゆるやかな滝になっていて、ここを、川に浸かり水しぶきを浴びながら皆で登るようだ。この滝登りだけのツアーもあるが、私たちはこれに18世紀のプランテーション見学が付いたツアーに申し込むことに決め、レセプション横のツアーデスクに行った。

 その後、船内をウロウロ、4階の、大きな縦長水槽がある「アクエリアム・バー」に寄ったりして部屋に戻る。ちなみにこのアクエリアムを船内「水族館」と宣伝しており、私も期待していたが、少なくとも私には「縦長扁平水槽」に見えた。まあ、船の中という事を考えればこれでも凄いとは思うが。

 20時30分になりディナーに向かう。ドレスコードはインフォーマル(スマートカジュアル)である。私はスラックスにジャケット、HARUはロングスカートにアンサンブル?である。今日はバルバドスの夫婦との4人でのディナーとなった。本日のメニューは…

 ティラミスを食べたのは間違いないので、おそらくイタリアンだったのかな。食事も後半に差しかかった頃、BGMの音楽が明るい曲に変わる。ウェイターが皆、前方の大階段のほうへ集まる。

「何だ何だ」

 しばらくして、どこかで聞いたことがあるような曲だったが、ウェイター全員での大合唱が始まった。これが結構感動的で、「ボイジャー最高!」と思わずにはいられなかった。

 食事後、ショーをちらっと覗いたり(黒人の歌手が歌っていたが…)して、カジノへ。HARUは相変わらずカリビアン、私はクラップスに初挑戦する。しばらく観戦後、

「まずはパスラインに10ドル、っと」
「あれっ、チップ取られたぞ。3はだめだったっけ」
「もう1回10ドルだ」

「よし、5だ。シングルオッズだから手前に10ドル置いてっと、えーっと、プレイスベットは6と8だったよな。いくら単位で賭けるんだったっけ。あっちの人は5ドルと…あの紫色のチップは何ドルだ?んーー、1ドルか。ってことは6ドルか。それでは・・・」「イージーエイト!」

「何だよ!人が賭けようとしてたのに勝手に投げるなよな。まあいい、12ドル用意してっと、『しっくすえいと』。簡単じゃん」「セブンナウト!」
「なにぃーーー」

 あっと言う間に200ドル消える。でも楽しかった。明日もやろーっと。

 まだ23時を過ぎたところだが結構眠い。明日は遅くても8時には起きなくてはならないので「ちょっと横に…」ではなくてちゃんと寝ることにする。

4日目(12月12日)

「頼むからもうちょっと車間距離開けてくれよー」

 ジャマイカ人のドライバーは運転自体は丁寧でガイドのお姉さんも楽しい人なのだが…。ツアー客を乗せた日本製のマイクロバスは港から40分ほどで「プリマー・ホール・プランテーション」に着いた。18世紀に栄え、現在はなくなってしまったプランテーションの農場(跡)を見学するためだ。

 トラクターに引かれた台車に乗り、元農場の高原を1周する。途中何度も止まってバナナや椰子、サトウキビなどをその場でもぎ取り、いろいろ説明してくれる。最も心に残っているのは、柿の種くらいの大きさのバナナの子供?である。

「ここでの時間は30分間です」

 40分かけて港近くの「ソニー・プラザ」というショッピングセンターに来た。完全に観光客向けで、9割が貴金属、残りは土産物屋である。

「腹へったぁー。食べ物屋はないのか?」

 ちょうど昼時である。しかも今朝は9時の集合時間に対し、8時過ぎに部屋を出て、ほんの少しカフェでつまんだだけだった。かろうじてインド料理のレストランがあったが、ちょっと怪しい雰囲気。

「どうするの?」
「30分では無理だろう」
「じゃあどうするの?」
「ここを出て左すぐにバーガーキングがあったけど…」
「ジャマイカまで来てバーキンねぇ…」
「まあいい、ついて来い」

ショッピングセンターを出て右に歩く。あてはない。単なる勘である。

「ここにしよう」

1分もしないうちにオープンテラスのカジュアルなレストランがあった。客は3人だけ。

「はろー」
「持ち帰り?食べてく?」
「食べてく」

「遅い遅い遅い遅い・・・」
「食べてる時間あるの?」
「やばいなぁー」
「あと何分?」
「3分」

「おい、走るぞ!」
「ちょっとまってぇー」


 5分遅刻でバスに戻った。私たちより後に戻った客がいたのは幸いであった。ここで食べたピザはとてもおいしかった。が、もっとゆっくり、そして全部食べたかった

 次に向かったのが、ここでのメインイベント「ダンズ・リバーの滝登り」である。ウォーター・シューズを借りて、海岸にある川の河口に下る。といっても、川の流れがあるわけではなく、いきなり何十段も、数十センチから数メートルの段差の「滝」が続いている。

 観光客はガイドに従って1列になり、手を繋いで安全なルートで登って行くので、危険ではない。しかし途中、「えぇぇーーっ!」という場所もある。途中何ヶ所か「ギブアップポイント」もある。深い場所は腰くらいまで水に浸かるし、水しぶきも凄い。船を降りる時から水着を着ている。2人共なんとか完登?した。

 15時過ぎ船に戻る。部屋でテレビを眺めつつくつろぐ。スペイン語のドラゴンボールや偶然やってた、タージマハルホテルの特集、船内案内などである。

 今朝、私は6時くらいに目がさめたせいもあってか、2時間ほど寝てしまった。

 船内の図書室にインターネットができるパソコンが20台くらいある。1分50セントなので高い。日本語表示はできず、ダウンロードもできない。しかし、案内には、「自分のパソコンを部屋で使う場合、専用のアダプターを設置します。利用料は1週間100ドルで使用時間は無制限」とある。アダプターを借りるだけの値段なのか、通信費も含まれているのかはわからない。もし通信費込ならお値打ちだろう。

 今日の夕食はメインダイニングではなく、11階の「アイランドグリル」に行くことにしている。ここは「ウィンジャマー」の船尾側を仕切ってそう呼んでいる。

 食事の前に1人で通りがかりにカジノへ行った。現金は持っていない。船内での支払は全て「スーパーチャージ」カードを提示して行なうので、現金は持っていないのが普通である。私はBJの席に座った。

「ハウマッチ?」
「ふぁいぶはんどれっとぷりーず」

 そう、この船では船内カードでチップを「買う」ことができるのだ。請求はその他の購入分と一緒になり、クレジットカードに請求される。つまり、金利も手数料も一切かからず、船側が定めた限度額まで(1日2000ドルだったような…?)利用できる。危険ではあるが、クレジットカードのポイント稼ぎには使えそうだ。

 500ドルは1時間もたずにBJとクラップスでなくなった。

 アイランドグリルでの夕食は失敗だった。バフェなのだが味はともかく品数が少なすぎる。一応ステーキなど夕食らしい物もあるが、いずれにせよ貧弱である。利用する人が少ないので、この程度なのは致し方ないとは思うが…。

 その後、シアターにて「フルムーンカップルゲームショー」、プロムナードでのパレード、3,4階にあるディスコ(クラブ)「ボウルト」、プールサイドでの「氷の彫刻とデッキパーティー」、14階のバー「ハイノート」と、転々とする。  1時過ぎ、明日も8時(まで)起きなので素直に寝ることにする。



5日目(12月13日)

 今日のツアー集合場所は船内の「スタジオB」となっている。ここはこの船の目玉のひとつである、「アイススケート場」のある場所である。元オリンピック選手も出演する「アイスショー」が2日目から今日にかけて、4回行なわれている。このショーを見るためには2,3日目に先着で配られる整理券を手に入れなくてはならない。私たちは貰いそびれた。ショー以外の時間はスケート靴を借り滑ることもできる他、リンクに床を被せ、「ロックンロールパーティー」の会場になったりもする。

 9時過ぎ、「アカエイ見物と島内観光」一行はテンダーボートで、グランドケイマンの首都、ジョージタウンに上陸する。首都といっても、地方の観光港といった風情である。

 マイクロバスで最初の訪問地「タートルファーム」に向かう。ここケイマンは昨日のジャマイカとはうって変わり、町の様子はとても綺麗で整然としており、生活水準は高そうだ。海岸沿いにはリゾートホテル、モーテル、ファストフード店などが並んでいる。

「ここに住みたぁーい」
「1年くらいならいいかもなぁ・・」
(ジャマイカはジャマイカなりに「これぞカリブ!」ってな感じで良かったです)

「でっかぁー」

 直径10mほどの大きな水槽がたくさんあり、水槽ごとに十数センチから1メートル以上の緑海亀がたくさん泳いでいる。触るだけでなく、持ち上げて記念撮影もOKである。

「かわいぃぃーー」

 別の場所には、3センチくらいの赤ちゃんガメもバタバタしていた。

「ブッブッーー」

 バスのドライバーが前を走る車に向かってクラクションを鳴らす。レンタカーだとすぐに解るオープンカーが右側を走っている。ここはイギリス領なので日本と同じく左側通行なのである。

 次に、ヘル(地獄)というすごい地名の場所に行く。黒色の石灰岩層がまるで地獄のような景観を創りだしている。

 そして、「スティングレイ・シティ」(アカエイの町)へ。ボートで沖に停泊しているグラスボートに行き、ダイバーがエイを連れてきて、間近かに見せてくれる。それにしても海の綺麗さといったら、ここも感動的だ。向こう側ではダイビングで海に潜り直接エイに触るツアーの人たちがいるが、もし次回があるのならライセンスを取得して絶対にあっちに参加しようと誓った。

 カリブ名物?ラムケーキの工場横直営売店に寄り、13時頃港で解散。

 港の小さな町はボイジャーの他に「カーニバル・ビクトリー、101509トン」と「インスピレーション、70367トン」が寄港しているせいか、観光客でごったがえしている。貴金属屋と土産物屋が多いのは相変わらずだが、ハードロックカフェ、ケンタッキーフライドチキンなどはもとより、カフェやレストランもたくさんある。私たちは海辺のカフェで「ホットチキン」と「カリビアンクラブサンドイッチ」「フローズンバナナダイキリ」「マンゴーシェイク」を海と空、そして巨大船を眺めつついただく。

 船に戻り、昨日の続きのドラゴンボールなどをウトウトしながら眺めたり、カフェに行き、ケーキをつまんだりするうちに、ディナーの時間になった。

 本日のドレスコードはフォーマル。料理のテーマはフレンチである。バルバドスの夫婦以外の6名と、俳優のようにかっこいい、セカンドドクターの7名でテーブルを囲む。

 私たちのテーブル担当のチーフ・ウェイター「アレックス」はフィリピン人。セカンド・ウェイターと2人組で、3テーブルを担当している。メインでもデザートでも頼んだもの以外で「こちらはいかが?」と持ってきてくれる。もちろん押し付けがましい感じは全くない。初めて本格的な「エスカルゴ」を食べた。

 アレックスに「明日はポルトフィーノ(別料金のイタリアレストラン)に行くからあさって逢いましょう」と言い、ダイニングを後にする。

 シアターにて「ミュージカル」を鑑賞。「アンドリュー・ロイド・ウェーバー」作品のダイジェスト版。(オペラ座の怪人、ウエスト・サイド・ストーリーなど)

2人でカジノへ。カリビアンを並んでやることにする。200ドルチップを「買い」5ドルミニマムで遊ぶ。

「オーマイガー」

しばらくしてフラッシュが来た。ディーラーはワンペアだったので勝ちである。

「何で賭けないのー」

HARUはもとより、他の客もディーラーもジャックポットに賭けていないのを残念がる(馬鹿なヤツだ、と思っていたかも)ジャックポットの金額は1万ドルちょっと。ストフラ10%、4カード1%、フルハウス50ドル、フラッシュ25ドル。これではちょっと賭ける気にはねぇー。

 1時間後300ドル追加し、私はBJへ。

「バーサービス?」

 頭の後ろで低い声が通り過ぎる。ベガスなら高い声で「カクテール」となるところだが。ちなみにドリンクは有料である。

 さらに1時間後、400ドルほど手元に残し、終了。

6日目(12月14日)

 10時前に目を覚まし、ウインジャマーで朝食を食べ、船内を散歩する。船内にいる人は少ない。マヤ文明の遺跡見物に出かけた客が多いからだろう。

 船はメキシコのユカタン半島の沖にある島、コスメルに停泊中である。あいかわらず天気は良い。隣の桟橋には昨日出会った「インスピレーション」も休んでいる。

「マヤ遺跡観に行きたいなぁ…」
「私は絶対イルカちゃんがいぃー」
「どれくらい時間かかるのよぉー」
「8時間とか…」
「朝早いし疲れちゃうからだめよー」
「それよりイルカぁー」

 3日前、こんなやり取りがあり、結局「ドルフィン・エンカウンター」(イルカふれあいツアー)に申し込んだ。

 埠頭にある土産物屋をひやかしたりして13時、十数名の参加者はタクシーに分乗し、5分ほどで「チャンカナブ・ナショナル・マリンパーク」に到着。インストラクターから簡単にイルカの触り方などの説明を受け、20m四方ほどに仕切った海中に、参加者は一列になり腰まで入り、インストラクターの誘導でイルカに触ったり、握手、そしてキスなんかもする。わざと水を掛けられたり、ハイジャンプ、立ち泳ぎ?などの芸も見せてくれる。目の前なので迫力満点である。

 ダイビングライセンスがあればイルカと一緒に泳ぐ(背中に乗る)こともできる。その他アシカショーもあり、もちろんビーチで昼寝、シュノーケリング、ジェットスキーなどもお好み次第である。

 イルカで満足した私たちは、ツアーで頂いたタクシーチケットを使い港に戻る。土産物屋を見て、船へ。

 ウインジャマーにて、アフタヌーン・ティーを楽しむ。(ケーキ、軽食、コーヒーなど)

 せっかく水着を着ているので、そのままプールへ行く。入ってしまえばどうってことない事は承知しているが、寒がりなのでジャグジーへ。その後、もう一つの大きいジャグジーに行ってみる。

「あちっ!」

 かなり温度が高い。しかし熱く感じるのは初めだけで、入ってみるとこれがなんとも素晴らしい「湯加減」なのである。HARUを呼びに行く。
「あそこの“泡風呂”は最高だ」
「極楽極楽ぅぅーー」

 たまに欧米人がやって来るが「お湯」を触るだけで誰も入ってこない。道理でここだけ空いていた訳だ。

 一旦部屋に戻り着替えた後、プールデッキへ。ちょうど日没時で、まっすぐというより、僅かに弧を描く彼方の水平線に太陽が沈んでいく。地球の丸さを実感する。

 13階船尾のスポーツデッキにたどり着く。まずは卓球を少し。次に2日目は大行列で諦めた「ロッククライミング」だが、誰もやっていないのでここぞとばかりに挑戦する。

「初めてだ」
「じゃあ、ここの赤と青につかまって登るのよ」

 初心者コースだからか、息は切れたが割と簡単に最上部まで登ることができた。

「降りるわよー」

 インストラクターの声に、初めて壁から目を離す。

「ひぇぇーー」

 海上60mはとんでもなく高かった。

 フルサイズのバスケットコートではバレーボールを楽しむ人々。インラインスケート場は暗くなってきたので閉まっているが、18ホールのパターゴルフ場は開いていたのでラウンド?してみた。

 1人20ドルの「予約料」で利用できる、イタリア料理レストラン「ポルトフィーノ」に向かう。ドレスコードはインフォーマル指定である。メインダイニングよりさらに1ランク上の「格」を感じる。広くはないのでとても落着いた雰囲気。味、サービス共に充分に満足できる内容である。

 お店とカジノをちょっとだけ覗いて部屋に戻る。

 夜、部屋に戻るといつもターンダウンサービスが施してある。ベットメイク、タオル交換、水まわりの清掃、チョコレートサービスもある。もう一つクルーズ船らしいのが(必ずしもそうではないが)タオルを毎日違う動物の形に折り、ベットの上に置いてある。憶えているものでは、像、エイ、サル、ザリガニ?、あひる、があった。

 ポルトフィーノでのワインが効いたのか、ダウンしてしまった。

7日目(12月15日)

 11時頃軽い朝食を取り、土産物を見にプロムナードへ行く。「最終日には安くなるのであわてて買わないほうがいいです」と初日の説明会で聞いていたので、これまで船内では何も買っていなかった。Tシャツやポロシャツなどの衣料品を山積にしたワゴンがプロムナードの通路に出ている。2枚で28ドルのTシャツやラムケーキなどを購入。

 プロムナードには免税店、衣料品店、貴金属店、それに土産物と雑貨の店の計4店があり、そこそこの広さと品揃えで賑わっている。

 昼食はメインダイニングの3階部分である「カルメンダイニング」で頂く。今までずっと朝食と昼食はカフェ等で食べていたが、「もっと早く来ていれば良かった」と思った。ドレスコードもなく、営業時間内なら好きな時間に食事できる。会話の問題は発生するが、雰囲気や味はカフェとは比べものにならない。ただ堅苦しさはあるのでその点ではカフェに軍配が上がる。

 5ドルスロットに100ドルエサを与えて部屋に戻る。

「今からどうする?」
「うーん、やっぱり…」
「行こうか」

 カジノに逆戻りする。HARUはカリビアン、私はBJ。丸い窓の向こうには海が見える。出港してからというもの揺れというほどの揺れは全く無い。実に穏やかな航海である。カジノでの勝負も荒波は来ない。が、じわじわ沈んではいる。沈没することはないだろうが。

 船内カジノでは初めから低い金額で遊ぶだけのつもりだったので、初日に聞いたカジノホストがいなくても問題は無い。プレーヤーズカードもないようだし、ハイローラーと言われるような客もいない。たまに見掛ける25ドル程度のプレーヤーでも結構目立つくらいである。

 カジノでの利益をどれくらい見込んでいるのかは分からないが、プレーヤーズカードが無かったり、低いマックスベットの金額をみると、カジノのリピーターや金持ちはあてにしていないことは明らかである。考えてみればアメリカには各地にカジノがある。クルーズ船に乗ると最低3日なりの日数がかかるし、24時間開いているわけでもない。マイアミにもカジノはあるし、「カジノ船」も出ている。スタークルーズがカジノ客で賑わい、カジノ重視の経営をしているのは、香港やシンガポールにはカジノが無いからだろう。

 そういう訳でホスト(の代わりをする人)がいるのかどうかは分からないが、自分にとってはいなくても困らないので途中から気にしなくなった。

 1時間ほどで一旦切り上げる。私はちょい負け、HARUはちょい勝ち。このプレーの最中カリビアンでストフラがでたようだ。(HARUがやっていたテーブルではない)

 19時からショーを観に行く事にしているが、その前に私は1ドルスロットとカリビアンでもう一勝負する。さらに沈む。

 「フェアウェルショー」は歌、ダンス、コメディー、曲芸等なんでもありのショーだった。その後「スクーナー・バー」に寄り、「イエローバード」と「ロングアイランドアイスティー」を傾けつつピアノ演奏を楽しむ。20時30分までの僅かな時間に私はさらにクラップスで100ドル失い、最後のディナーへ向かった。

 カリフォルニアの夫婦以外の6人での食事である。今日でお別れかと思うと少し寂しい。アレックスとインド系の顔立ちのセカンドウェイターにチップを渡し、「また会いましょう」と言い握手をして豪華なダイニングを後にした。

 荷造りをして廊下に出す。これでしばらくカジノともお別れになるので(1週間後のベガスが決まっていたが。笑)ボイジャー最後の勝負にでかける。

 大負けはなかったものの、乗船してからじわじわと1000ドル強負けている。ベット金額を上げて取り返そうなどという気は全く無い。これ以上負けずに次のベガスの軍資金に少しでも持っていきたいなぁと弱気に思っていた。

 もうすぐ23時になるところだが今日は非常に込んでいる。ほぼ全てのテーブルが開いている。 HARUは100ドル持ってカリビアンへ、私はまだ開いているクラップスへ行く。しかし、ここでのクラップスは全くついてない。100ドルが20分ほどでなくなり、手持の現金とチップが無くなった。

 部屋まで現金を取りに行く気にもならず、かといってチップを「買う」のも・・・。HARUの様子を見に行く。なんとかゲームオーバーにならずに持ちこたえているという厳しい展開。

「どうよ?」
「見た通りよ。ところであんたは?」
「全然だめだ」
「もぉー…」
「どうしよう…」
「どうしようってどうしたいの?」
「チップ出そうかなぁ…」
「いくらよ?」
「…500とか…」
「200にしときなさい」


 0時頃、たまたま空いていたBJの席に座り、200ドルチップを「買う」。10ドルベットで遊んでいたがたまたま20ドル賭けた時に勝ったりして、やっと中くらいの波が来たのか30分後には400ドルくらいになっていた。

「どう?」
「ちょっとだけ増えたけど…。なくなったのか?」
「ぜんぜん来なくてつまんないからやめて来た」
「50ドルか…。よくもったな」
「5ドルでやってるから勝てないのよ」
「…」「200ドルやるからやってこい」




 手持のチップは元の200ドルに戻った。

 波は引いてしまうと思われた。

 しかし・・・ビックウェーブが!

「ラスト5ゲームです」

「もう終わるのかよ…」



 午前2時である。手元には1000ドル近いチップがあった。

「これが最後です」
「えーい、マックスの200ドルだ!どうだ!」

「スプリットだあー!」


「うぉりゃあー、ダブルだあぁーーー!!!」

「ぴくちゃあぁぁぁーーーー!!!!」

「まさか取り戻せるとは思わなかったぜ」
「よかったわね…」

7日目終了

(注:セリフには誇張が含まれております 笑)

8日目(12月16日)

「遅い遅い遅い…」

 プロムナード内のバーカウンターで私たちは1時間半近く呼ばれるのを待っていた。3000人も乗船客がいるだけのことはあり、下船は荷物のタグの色別に順に呼ばれることになっていた。10種類以上の色分けがあったが、待望の「ピンク」との放送が流れた時は9時30分をまわっていた。

 入国審査の列でさらに30分以上待ち、荷物を受け取りようやく外に出る。

「ヴォーー、ヴォーー」

 港近くのホテルのベットの中で、かすかに聞こえる汽笛の音を聞いていた。

「避難訓練の合図か。ちょうど1週間前HARUともめてた時だなぁ」

 この汽笛の音が今回のボイジャーとの最後のお別れとなった。

                                        終わり

長文にお付き合いいただいた皆様、ありがとうございました。クルーズの魅力が少しでも感じとっていただけたなら光栄です。

●カジノについて追記●

■BJトーナメント
2日目の14時より開催。参加費20ドル「賞金最低500ドル」と案内にあったが優勝賞金か総額かは不明。十数人が参加していた。

■スロットトーナメント
2日目13時より。時間制回し放題で10人ほどが参加しているのを観たが…。詳細不明。

■5階プロムナードの一角にあるカジノ「Spinners」について。
一部のガイドブックやパンフレットに「世界最大のルーレットがある」という記述があるが、これは日本のゲームセンターにある大型のメダルゲームのビンゴの機械によく似たものが設置されていました。ウィルの部分は直径4mくらい、全自動でビデオ画面にてベットするようになっていた・・・ものの・・・。故障中!ビデオ画面にはビデポがはめ込まれていて、いつ壊れたのかわかりませんが復活する見込みは???です。

ディーラーはチップを受け取ります。お礼の合図はベルを「チン、チン」と鳴らします。


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