リゾカジ カジノレポート

マカオで初コンプ クラウンマカオ

* マカオ 2007/ 11/ 19 Written by ジーオー

コメント( 0)

【1日目】
クラウンマカオ9階のVIPルーム「ルーイー(如意)ルーム」に、新たにBJテーブルが入ったと知ったのは、確か9月ごろ、しゃんぱんさんのレポートを拝見してだった。

バカラオンリーが当たり前のマカオのVIPルームは、BJプレーヤーの私には縁のない世界だった。
今回の新たなBJも、1台だけ、しかもミニマムはHK$1000(約1万5000円)というから、私には手が届かない。おそらくバカラのハイローラーたちの息抜きの場のような存在なのだろうと、他人事にしか映らなかった。

「VIPルームでのプレー=コンププログラム参加」がかなわなくても、クラウンなら、一般フロアでのプレーで十二分に楽しめる。今回は少し背伸びして、宿泊先をクラウンにしてみようと思い、本家であるクラウンメルボルンに宿泊の手配をお願いした。

しかし、提示された額は、クラウンの公式サイトで出ていた料金(平日で税抜きHK$1990)よりもいくぶん高かった。そこで、ネットの料金の適用はできないかというやりとりをするうち、「HK$10万(約150万円)のノンネゴチップのローリングで、ネット料金より安いカジノレート(税抜きHK$1450、税込みHK$1667.5)になる」という話を聞く(実際にはノンネゴのローリングでなく、コミッションチップによるレーティングだったのだが)。
150万円のローリングと聞いて、少し心が動いた。マカオのVIPルームなら、1000万円単位のローリングなりターンオーバーの敷居が当たり前だと思っていたからだ。150万円のローリングなら、テニアンの10Kプログラムとそんなに変わらない(笑)。もちろん、部屋も食事もエアも出るテニアンと、単にカジノレートになるだけのマカオではレベルがぜんぜん違うのだが、「150万円でコンププログラムに参加できる」ということ自体に、新鮮な驚きを覚えた。

しかし、参加するには、ミニマムHK$1000でプレーしなければならない。マックスは分からないが、一般フロアで一番高い$500テーブルのベット幅から考えると、おそらく20倍の$20000(約30万円)。これだと、一回のバイインに300万円、バンクロールに750万円が必要となり、私にはとても手が出ない。
「ローリング完了まで」と割り切って、通常のバンクロール(300万円)で臨むことも考えたが、GAKUストはそんなに甘いものでない。マックスベットに対して十分なバンクロールがないと、短時間で一気にパンクする危険をはらんでいる。
ダメもとで、ミニマムを$500(マックス$10000)に下げてもらうようリクエストしてみようか。メルボルン側に打診をお願いしたところ、「テーブルが少ないので、その時の状況次第になるようです」との回答だった。とにかく、現地に行ってみないと分からないようだった。
マックス$10000(約15万円)ならば、バンクロールは半分の375万円で済む。ベット幅20倍の自己流GAKUストは、韓国の5万Wテーブルや、オーストラリアで$25テーブルがない場合の$50テーブルで、基本モードを組み替えたパターンでプレーし慣れており、対応は問題なかった。

ミニマムチェンジのリクエストが通ればプログラム参加。だめならプログラムには入らず、2泊目以降は予約をキャンセルしてもらい改めてネット予約。この「2段構え」でいくことにし、メルボルンに宿泊の手配をお願いした。

マカオ到着の時間を聞かれたが、今回の空路は香港インなので、何時のフェリーに乗れるか確定できない。「では、香港でフェリーに乗る前に電話を」と、クラウンマカオVIP部の電話番号を教えてもらう。

10月25日夕刻、関空発のキャセイ便で香港に21時すぎに到着。ダメもとで空港内のフェリーカウンターで空港発マカオ行きの22時のフェリーに当たると、「ギリギリセーフです」との返事。香港空港発のフェリーは通常1時間前までにチェックインが必要だから、ラッキーだった。

で、教えられた番号に電話。応対した男性ホストは、英語で一生懸命に応対してくれるのだが、なにぶん中国人の話す英語は電話では聞き取りづらく、要領を得ない。途中で中国語に切り替えてもらうが、今度はこちらの聞き取り能力不足で要領を得ず(笑)、結局、意思疎通ができたかどうか不確かなまま電話は切れた。

フェリーは結構客が多い。出港から45分ほどでマカオ到着。入国を済ませロビーに出ると、ネームカードを持った女性ホストが。よかった。一応意思は通じていたようだ。迎えの車に乗り、完成間近のMGMをかすめてタイパ大橋を渡り、15分ほどでクラウンに到着。カジノとは入口が別のホテル棟(クラウン・タワーズ)に初めて足を踏み入れ、最上階の38階のロビーへ。女性ホストもフロントの職員も、きわめてフレンドリーで好感が持てた。

部屋は、スタンダードとは思えないすばらしさだった。3人寝れそうなキングサイズベッドに、デスクランプ付きの机、ソファーテーブル、液晶テレビ、iPodを再生できるスピーカー。浴室は底の深いジャクージの浴槽、独立のシャワーにダブルシンクの洗面台。トイレの横には独立した収納スペース。大きな窓からは、タイパ大橋とマカオ半島の夜景がばっちり。冷蔵庫のドリンクはワインを除き無料。LANも無料。至れり尽くせりであった。

シャワーを浴び、しばしゆっくりと部屋を味わった後、エレベーターで9階へ。警備員の立つゲートをくぐると、黒を基調としたモダンな感じのフロントがあった。そこがルーイールームの入口だった。

フロントにいた女性ホストに、コンププログラム参加を申し込んでいる旨を告げると、パスポートの提示を求められ、中に案内してくれた。まず、入口近くにテレビの置かれたソファーテーブルが2つ、その奥に各種アルコールがずらりと並んだバーカウンター。そこから右側一帯がゲームフロアだった。柔らかいじゅうたんに明るい照明の開放的な雰囲気の中、バカラテーブルが広々とした間取りでいくつか並ぶ。客もそこそこ入っている。

ホスト2~3人がかりで、VIPカードの発行やデポジットの付き添いをしてくれる。一通りの説明では、コンプ率は0.25%。ターンオーバーの対象はVIPルームでのプレーのみで、事前に聞いていたNNチップのローリングではなく、コミッションチップ(一般フロアでは使えない)使用の通常のレーティングだった。カジノレートへの移行条件は、1日当たりのターンオーバー$20万とのことだから、事前に聞いていた$10万のローリングと同じレベルだった。

さて、ここまでしてもらったはいいが、懸案のBJのミニマム変更がどうなるか。幸い、1台あるBJには客はおろか、ピットもディーラーもいない。つまり、開いていない。通常、ここでBJをする客はほとんどいないのだろう。これなら、少しは融通が利くかもしれない。

意を決して、ホストの一人に切り出す。「BJのミニマムを、$500にしてもらえませんか。そうでないと、ここではプレーできない」。ホストは「しばらくお待ちください」と言い残し、どこかへ掛け合いに行った。待つこと5分、ホストは笑顔で「OKです。今からテーブルを開けます」。ソファーで待っていた私は、大勝負を取った時のように安堵で弛緩した(笑)。

$20万のターンオーバーに必要なプレー時間を頭の中で弾く。これまでのGAKUストプレーの経験では、平均ベットはマックスベットの2~3割に算定されることが多い。ここでのマックスは$1万なので、平均ベットが$2,500だとすると、1時間当たり50ゲームとして1時間のT/Oは$125,000。平均ベットが$2,000だと$100,000。どちらにしても、2時間で達成となる。

まだ初日。まずはきっちり2時間ほどのプレーで切り上げ、カジノレートをいただくことにしよう。ピットとディーラーがテーブルに着き、ベットを勧める。アイスコーヒーをオーダーし、0時40分、記念すべきルーイールームでの初プレーが始まる。

ディーラーは普段BJのディールなどしないという感じで、ややぎこちないが、ルールも流儀も前回の一般フロアでのプレーと変わらない。最初のセッションはベットアップ連敗で15分で-30,500。次も25分で-26,200。誰もいない、奇妙に静かなBJテーブルで、ピットの凝視を浴びる中での2セッション連敗に、やや気持ちが萎縮しかけたため、いったん席を外し、ルーイールーム内を散歩。

15分ほどで戻り、プレー再開。ベットアップを連勝するが、続くベットアップを連敗し、15分で-16,000。これはいけなかった。1時間弱で3セッション連敗、-72,700。日本円にして100万円を軽く超えてしまった。

弱気になりそうな心を奮い立たせ、次のセッションへ。最初のベットアップをサレンダーでしのぎ、続くベットアップを連勝。セッション止め時目安の15,000を超える+15,400とし、ようやく勝ちセッションを作る。

次もベットアップを連勝し、40分で+16,700。反撃に成功し、目安の2時間も経過したため、まずはトータル-40,600で第1クールを締め、気分転換も兼ねて、テーブルでオーダーしていた汁なし雲呑麺を食べに食事用のテーブルへ。

食事用テーブルは、ゲームフロアの奥に数台あった。暗めの照明の、レストランのような雰囲気だが、オーダーした雲呑麺は、おそらく下のフードコートのものなのであろう、やさしい値段並みの味であった(笑)。

ホストに声をかけ、これまでのターンオーバーを尋ねる。すぐに持ってきてくれた紙を見て目がキョトン。「$125,000」。平均ベットは$2,700で、当初想定並みだから、これだと、1時間分のターンオーバーである。「2時間プレーしているから、$20万を超えていないとおかしいと思うのですが…」とたずねると、「確認してきます」。しかし、やはりこの数字だという。

これだと、1時間当たりのゲーム数が、通常の半分の25回程度ということになる。「BJでこのゲーム数はないのでは…」と意見してみたが、ホストではどうすることもできない。そういうシステムになっている以上、とりあえずはそれを前提に事を進めるしかなかった。

カジノレート移行について、もう一度念押しする。「ターンオーバー$20万以上ですよね?」。すると、ホストが言った。「あなたはすでにプログラムに参加しているから、カジノレートになっています」。
「は?」。「プログラムに参加した時点で、カジノレートが適用されます」。「???」。

後にも別のケースで何度かあったが、ホストによって、見解がバラバラなのだ(笑)。オープンして間がなく、ルールが厳密に定まっていないのか。または、個々のホストの裁量が大きいのだろうか。「確認のため、ホテルのレシートを持ってきます」と言われ、見せてもらうと、当初の予約料金からいくらかが引かれ、カジノレートになっていた。今回の3泊分すべてに適用されるという。

うれしい誤算。これで、ターンオーバー・ノルマのくびきから解放された。今日は無理せず、ここでプレー終了でもよかったが、やはり初日にマイナスを抱えたままでは落ち着かない。第2クール開始。

最初のセッションは、出足のベットアップを落としたものの、その後を6,000、10,000BJ、10,000BJと取り、30分で+16,300。次は6,000のスプリット・ダブルを決め2分で+18,500。次は6,000を取った後、6,000、10,000スプリットと連続で取り、3分で+29,800。これできれいにプラ転。トータル+24,000(約36万円)で、2時間半の初日のプレー終了!

短時間でのプラ転にキョトンとするピットを残し、キャッシャーでデポジット。明日用に$10万のCPVを切ってもらい、部屋へ戻って心地よい眠りにつく。

【2日目】
2日目は昼過ぎにゆっくり起きる。晴れてはいるが、天気予報の通り、ヘイズで空がかすんでいる。

すでにカジノレートが適用されているので、私にはやや背伸びの格好となる、ルーイールームでのミニマム$500でプレーせずとも、レーティングはないにせよ、一般フロアの$100や$200でのプレーでよかった。ただ、昨日の最終クールでいい感じで短時間の勝ち逃げ・プラ転ができたため、「いい流れは変えない」という私の原則にのっとり、とりあえずルーイールームへ顔を出すことにした(笑)。

今日はBJにちゃんとピットとディーラーがいる。私の滞在中は常駐、ということになったのだろうか?
(笑) $10万のCPVをチップに変えてもらい、14時45分、プレー開始。

最初のセッションは基本モードがすばらしく、ベットアップが入らないうちに+11,300まで行ったところで15分で締め。次は最初のベットアップをサレンダーでしのいだ後、6,000、6,000ダブルと連勝し20分で+13,600。次も10,000、6,000、6,000と3連勝し30分で+18,000。

予感どおりの素晴らしい流れで、1時間5分で+42,900。一日の始まりとしては、これで十分。「調子いいね。もっと勝てるよ」と続行を勧めるピットに「いやいや、もう十分だよ」と返す。

さて、一般フロアをのぞいてみようか。一般フロアではすべてキャッシュチップ使用のため、ここで発行してもらうCPVは使えない。キャッシャーで$10万をキャッシュでもらい、一般フロアの最上階にあたる5階へ。

しかし、5階は全面改装中でクローズ。3階、2階も、やはり奥の半分は改装工事でボードで仕切られていた。だが、BJテーブルは前回同様、3階に6台、2階に4台あった。レートは、前回は$100‐2,500、$200‐5,000だったが、$100のマックスが$4,000に変わっている。これなら純粋GAKUストが使用可能だ。

うれしくなって、3階の$100テーブルに着く。設定は、打たれ越し$100、基本$200‐400‐600、ベットアップ$2,400‐4,000。マックスがルーイールームの5分の2に下がるため、止め時目安ライン、チップの上下の感覚をそれに合わせて頭の中で切り替えてから、プレー開始。

最初のセッションは、2,400、4,000BJ、2,400BJと順調に取って+8,200。次で最後に4,000のダブルを外して-12,100を喫するも、次は最後に4,000のダブルを決め返して+9,000。

2階に移動し、最初のベットアップを外したものの、最後は2,400のBJを取って+2,400で勝ち逃げ。2時間弱のプレーで+7,500とし、夕刻、タクシーで、同じタイパ島にあるベネチアンへ。

聞いていた通り、ベガスの本家か、それ以上の大きさ。ゲームフロアを一通り回るだけで、足が疲れてくる。

ざっと、大きな正方形が4つのエリアに分割されているイメージか。BJは、それぞれのエリアに10台ずつほど固まっている感じだが、見た限り、ミニマム200-4,000、300-6,000の2種類しかない。100-4,000もあると聞いていたのでかなり探したが、見当たらなかった。週末だったからだろうか。

テーブルは多いが、どのエリアも雰囲気が変わり映えせず、どうも画一的に映ってしまう。とりあえず、せっかく来たからと、$200テーブルに座る。しかし、ディーラーの動作がぎこちない。新しいカジノだから仕方がないのだろうが、テンポを修正するのに苦心。4つのテーブルを渡り歩き、1時間で何とか+3,000としたところで、空腹を覚えてカジノ内の中華レストランへ。

プレーヤーカードはサンズと共通なので、前回サンズで貯まったポイントと合わせて$150(約2250円)ほどついていた。エビの辛みそ炒めに叉焼の腸粉、青島ビールを堪能し、ほぼ使い切る。いつも思うが、香港・マカオは、食事代とタクシー代だけは極めて良心的だ(笑)。食が生活の基本という土地柄の表れかもしれない。代わりにやさしくないのがホテル代。土地が絡むと、平地の少ない中国南部はとたんに険しい表情となる(笑)。

味もよく、お腹も満足したところで、2階のショッピングモールを散歩。本家張りのキャナルと船こぎも見て、21時半にクラウンに帰還。

2階の$100テーブルでプレーしているうち、肩に疲れを覚えたので、ホストを呼んでもらい、0時までやっているスパのマッサージを予約してもらう。肩こりに比例して(?)調子は下降線をたどり、-5,900となったところで0時となり、15階(だったか?)のスパへ行くが、「もう終わりました」との返事。予約してもらった旨を告げたが入っていないと言われ、ホテルのフロントで確認してもらう。後で部屋に「明日にチェンジさせていただいてよろしいですか?」と丁重な電話が入ったので、明日の13時に予約を入れてもらう。

今日のトータルは+51,400。昨日と合わせて+75,400。スタートを決め、一般フロアでもこつこつと凌いで上積み。理想的な展開だったが、先ほど2階で、時間切れで-5,900のままテーブルを後にしたのが、やや落ち着かない(笑)。きっちり取り戻して寝ようかと思ったが、やや込み合っていたため、肩こりの身にはしんどい気もした。気分を変えて、相性のいいルーイールームでゆったりやろうかと、9階へ降りる。

夜1時なのに、BJが開いている。私を待ってくれていたような気になって、笑顔でテーブルに着く。しかし…。

最初のセッションはベットアップ連敗、10分で-39,200。

次もベットアップ連敗、25分で-31,200。

35分で-70,400。今まで積み上げてきた浮き分が、あっという間に風前の灯に。

ピットとディーラーが、ことごとく外れるベットアップを哀れみの目で見ている。内心「バカなことやってるな」と思っているのが、ひしひしと伝わってくる(笑)。

バイイン不足のため、キャッシャーで50,000を引き出し、臨んだ第3セッション。

今度は、基本モードでおもしろいように負け続ける。ベットアップが入らぬまま、‐20,000を越える。そして、やっと入ったベットアップを失敗。「さあどうする?」という感じの、ディーラーの挑戦的な目に、メンタルが崩壊(泣)。すでに目安としている負け逃げライン(‐30,000)を超えたのに、意地になって逆襲を試みる。ベットアップが入らぬままズルズルとチップを減らし、50,000バイインが1,500になり、次の2,000(基本モード3回目)のベットができなくなったところで、負け逃げ。ここ久しくやっていなかった、禁断の「バイイン負け切り」であった。

「参ったか」といわんばかりの勝気な若いディーラーに、「I'll be back」と言い残し、体をひきずるようにしてソファーへ倒れこむ。

悪夢の3セッション連敗で、1時間で-118,900。トータルは-47,400まで落ちた。メンタルの崩壊を自覚しているので、とにかく何かで気を紛らわせなければならない。

私にとっての気の紛らわせ法の一つは、スコア記入だった。このクールのベットアップ、0勝5敗、純勝敗0勝10敗。うちダブル負け1。オプション収支-10,000。書いているうちに、気持ちが少しずつ落ち着いてくる。

「ベットアップを純数で10連敗もした。これ以上、悪くなりようはない」。

実際は、ゲームの勝率は毎回2分の1ずつ(実際はもっと小さい)なのだから、結果として10連敗、20連敗も当然のようにあり得る。だが、ここでそんな弱気になるようなことを考えてはいけない。何でも自分の都合のいいように考える。これがGAKUストの真髄だった(笑)。

もう何が起きても怖くない。腹の底から自覚できたところで、ソファーを立った。

キャッシャーでさらに50,000を引きおろし、同じディーラーの待つテーブルへ。

最初のベットアップがダブルになる。こちらの合計数は11。ディーラーはT。引いたのはローカード。17に達しない。

ディーラーのため息が聞こえる。哀れみのため息であろう。とどめを指そうと力を込めて引き寄せたディーラーのカードは、ローカードだった。そして、バスト。このディーラーが初めて、私のベットアップにチップを付けた。違和感たっぷりの目だった。

次のベットアップも一発で決め、5分で+19,600。ここでセッションを切り、浮いたチップを脇に積み、手持ちを50,000に揃える。それを見つめるディーラーの目はまた、違和感たっぷりだった。

次のセッションも2回のベットアップを一発で決める。15分で+14,600。これをまた脇に積み、手持ちを50,000に揃える。

次のセッションは、基本モードでチップを増やした末に、ベットアップを再び一発で仕留め、10分で+10,200。これをまた脇に積むのを見るディーラーの目は、違和感から敵意にはっきりと変わっていた(笑)。

次のセッションは、最初のベットアップの1回目を外す。ディーラーは奪い取るように6,000を回収した。間髪を入れずに置いた10,000を見て、ディーラーははっきりと、腕を中空に伸ばして天を仰いだ。「こいつはバカか」と、吐き捨てたのと同じだった。これを仕留め、次のベットアップも2回目の10,000で仕留め、15分で+11,000。ついに10,000のベットにもチップを付けなければならなくなったディーラーは、ため息をもらした。

次のセッションで、ベットアップ2回目の10,000がスプリットになる。22に対し、ディーラーは7。

最初の2には6が来て、次は8。合計数16となり、ヒットのサインに対し、ディーラーが勝ち誇ったように強くディールしたカードは、「5」。

次の2には3が来て、次は7。合計数12に対して、今度こそと、渾身の力を込めてディールしたカードは、「9」。

はっきりとため息をついたディーラーは、7から2を引き、最後は「A」。21・21オーバー20。20,000のチップを付けると、ディーラーの変わり際となった。ディーラーは広東語で「疲れたから、寝る」と言い残し、先ほどの私のように、身をひきずるようにしてテーブルを後にした。

5セッション連勝、ベットアップ都合8連勝。1時間で+68,900とし、このクールを締める。

ソファーに体を預け、考える。118,900のマイナスの後、68,900のプラス。あと50,000で、あの悪夢を帳消しにできる。しかし、続行して、さらなる深みにはまらない保証はない。すでに現時点で、遠征トータルは再びプラス(+21,500)に戻っている。十分に戻したここは、一つの撤収どころだった。しかし、私の中の闘争本能が、ここでの撤収を許さない。総トータルより、今夜のルーイールームでの白黒を、どんな結果であれ、きっちり付けたかった。

ピットもディーラーも変わったテーブルに戻る。今度のディーラーは一変して、繊細そうな若者だった。だが、油断は禁物。さっきと同じ気持ちで、淡々と刻んでいくのみ。

最初のセッションはベットアップ3連勝で15分で+18,600。次は基本モードだけで+11,100とし5分で勝ち逃げ。次は2回のベットアップをともに一発で取り、15分で+11,300。

勝ち逃げのたびに脇に積む、浮きチップの山を、おとなしそうなピットがしきりに目測する。もう少しで、夜のルーイールームでの118,900のマイナスが消える。それを前にして、落ち着かない様子で端末に目測チップ量を打ち込んでいる。

次のセッション。最初のベットアップを取る。次のベットアップを6,000のダブルで仕留め、5分で+16,300。

脇に積み上げた浮きチップを数えたら、+57300。悪夢を帳消しにする+50,000を越え、夜のルーイールームでの3クールのトータル、+7300!

午前4時40分。呆然と端末に記録を打ち込むピットと、うなだれるディーラーを残し、心地よい疲れと、襲ってきた睡魔をたずさえて、ルーイールームを後にした。

【2日目の成績】
第1クール(ルーイールーム) +42,900
第2クール(一般フロア)    +7,500
第3クール(ベネチアン)    +3,000
第4クール(一般フロア)    -5,900
第5クール(ルーイールーム) -118,900
第6クール(同)         +68,900
第7クール(同)         +57,300

2日目トータル          +54,800
遠征トータル           +78,800

【最終日】
昨夜の激闘の疲れで、昼過ぎまで熟睡。さすがにまだ疲れが残っている。ゆっくりコーヒーをいれ、全身をじわじわと覚醒させる。

13時、予約していたスパのマッサージへ。中年の女性マッサージャーに案内され、竹林をイメージした雰囲気のある廊下を進み、奥の個室へ。シャワーがあるのでどうぞと勧められ、コールドミストなど4種類のバリエーションのあるシャワーで全身を清め、ベッドへ。

桶に張ったぬるま湯で足のマッサージの後、しなやかな手つきで首から肩、腰、足へともみほぐされていく。万年肩こりの私はたまに、肩を中心にとお願いすることもあるのだが、あまりの気持ちよさに、あえてお願いをせず、まな板の鯉状態を選択。しばし心地よい睡魔に襲われながら、至福の1時間を過ごす。

$1,250(約1万9000円)と、値段もなかなかのものだが(笑)、これはまた是非お願いしたいところだ。

マッサージの上の階には、全面ガラス張りのしゃれたプールがあり、マカオ半島の眺望がばっちり。奥には数々の機器が揃うジムもあった。これらは宿泊者は自由に使えるという。次回のお楽しみに取っておくことにし、鳴ったお腹をいたわろうと3階のカジノへ降り、カジュアルレストランの「百味閣」(Bai Wei Buffet)で遅いブランチ。海南チキンライスはなかなかの美味だった(なお、VIPカードの提示で、クラウン内のすべての飲食店は10%オフとなる)。

明日の早朝にチェックアウトのため、今日が実質最終日。幸い、昨夜の激闘も凌いでまとまったプラス領域にいるし、後はやるにしても一般フロアでの仕上げだけだから、プラスでは帰れそうだ。自分への褒美に、せっかくだから、最後の夜はファインレストランも試してみようか。

クラウンには、中華の「帝影楼」(Ying)、日本料理の「吉良」(Kira)、「天政」(Tenmasa)、フレンチの「Aurora」の4つのファインレストランがあった。しゃんぱんさんのレポートにあった「吉良」にも惹かれるものがあったが、私は中華文化圏にはかなり行っているのに、ほとんどB級グルメ専門で、中華のファインレストランにはまったく縁のなかったことに気づく(笑)。で、ルーイールームへ行き、ホストに「Ying」の予約を19時にお願いする。

時間は15時半なので、3時間半ほどある。サンズなど、マカオ半島のカジノへ遊びに行ってもよかったが、2階、3階、(本来は5階も)、ルーイールームと、フロアによって違った雰囲気を楽しめるクラウンは、私にとって飽きの来ないカジノだった。プレー環境も抜群に合っている。食事までのひとときを、昨夜の激闘モードは忘れ、一般フロアで最後にまったりと楽しもうか。

大きな窓のそばにソファーテーブルがある、一番お気に入りの3階へ。$100テーブルで$40,000をバイインし、プレー開始。最初のセッションは4,000のダブルと2,400を取り、10分で+9,900。次は4,000のダブルを外し水面下での戦いとなったが、続くベットアップを連勝し、40分で+500。気分よく席を立ち、2階のBJテーブルの様子を見学へ。

$100テーブルの女性ディーラーに目が行く。マカオではあまり見かけない、手馴れた感じの早いディーリング。負けたチップの回収も、感情を出さずにてきぱきと早い。私はこういう、テンポのいいディーラーが好きだった。

3人ほどいたプレーヤーはみな、調子が上がらない様子だった。流れを変える意味でもいいタイミング。席に着いてプレー開始。

しかし、ベットアップを取っては外しの繰り返し。6回目のベットアップを外し、-7,800となったところで、気がついたらこのセッションだけで1時間15分。すでにディーラーも変わっていたので、席を立ち、向かい側のテーブルへ転戦。

ここでもベットアップの勝ち負けが交互し、一時は-10,000を超える苦しい展開。何とか最後のベットアップを取り、‐4,700まで戻したところで切る。これで2階でのトータル-12,500、今日のトータルもマイナス(‐2,100)に転落。

ルーイールームの5分の2のレートとはいえ、負ける悔しさは変わらない。レストランの予約時間まで30分。きっちり2階でのトータルをプラスにして、気持ちよく食事といこう。

次のセッションはベットアップ連勝で+7,400。しかし、後が続かず次は-4,200。すでに予約の19時を回ったが、最後にもうひとつと臨んだセッションは、ベットアップ連敗で-10,600。

これで2階でのトータル-19,900、本日トータル-9,500。まったりのつもりが、またもや激闘に。レストランの予約を入れてなかったら、何の歯止めもないまま、そのまま続行していたことだろう(笑)。

「Ying」は、「天政」と同じ11階にあった。窓からは、タイパ大橋の点々と連なる街灯が見える。ファインレストランに一人で入ることなどほとんどなかった私は、少し緊張しつつ、ウエイターから大判のメニューをもらう。アラカルトにも惹かれるメニューいくつかあったが、一人だし、せっかくだから種類を少しずつ楽しもうと、一番お手ごろな$550のコースを頼む。

スープに始まり、エビギョーザ、チャーシュー、アワビの釜飯…。デザートも含め、10品ほど。どれも繊細な味わいの逸品だった。何度も注ぎ足してくれたポーレイ茶もあいまって、最後はお腹いっぱい。マカオはB級グルメ食べ歩きでも十分満足できる土地だが、A級にはA級の深みがあるものだと感服。ここもマッサージ同様、次回のクラウン訪問でも来たいと思う。

1時間半ほど、ゆっくりと食事を満喫したおかげで、食事前の激闘モードもすっかり洗い流せた。あとは最後のひとときを楽しみながら、今日のマイナスをプラスに持っていくだけだった。

2階では、昨夜も時間切れでマイナスになったし、今日もマイナス。一方、3階では今遠征負けなし。相性では断然3階だった。「2階のマイナスは2階でプラスに」というけじめ根性もないではないが、食事ですっかり落ち着いた心には、2階より客も少なく、いくぶん静かな3階の雰囲気がマッチしていた。

最後はできれば一人で、自分のペースでやりたい。3階に2つある$100テーブルは、どちらも先客がいたため、$200テーブル(マックス5,000)に着き、プレー開始。

第1セッションは、最初のベットアップを2回目の5,000で拾ったものの、次を連敗し、15分で-10,700。基本モードは順調なのだが、ベットアップに限って外すという感じの、嫌な流れ。しかし、やるしかない。

次は基本モードだけで+4,800まで行ったところで、ベットアップが入らないまま勝ち逃げ。次はベットアップ1回目の3,000のダブルを決め+6300。これでこのクールが水面上に抜け出す。本日トータルプラスまであと9100。

最初はにこやかだったピットも、次第に真剣な表情でチップの目測を始める。しかし、まじめそうな女性ディーラーの淡々としたディーリングで、テーブルの雰囲気は終始、落ち着いた感じで推移する。気持ちの揺らぎはない。

次はベットアップ連勝で10分で+7200。次は最初のゲームでベットアップが入り、これを一発で仕留め1分で+3,200。

22時20分、本日トータル+1,300、総トータル+80,100で、今遠征の全プレーを終了。

実質丸2日、16時間15分(ベネチアンでの1時間を含む)。激闘続きとなったが、3日間をすべてプラスで刻む、最高の結果に心底満足し、すべての精算をしにルーイールームへ。

キャッシャーでデポジットの円とオーストラリアドル、それに勝ち分の香港ドルを受け取っていると、横で「ドサッ」という音が。中国内地から来たと思われる素朴な感じの若い女性が、10万ドルの赤いビスケットチップ十数枚、それに100万ドルのさらに大きな赤いビスケット数枚をデポジットにし来た。キャッシャーの女性は慣れた様子でビスケットを数え、レシートを手渡す。私の勝ち分などワンベットにも満たない世界が、隣り合わせに存在する世界だった(笑)。

ルーイールームには、ミニマム$1000のバカラがある横に、いきなりミニマム$15,000のテーブルがあったりする。$15,000テーブルでは、ビスケットが平然と賭けられている。ソウルのちょっとレートの高いエリアにあるような、ピリッとした空気は感じられない。あくまで「平然」の事は進んでいるようだった。

ホストに聞くと、私の記録上のプレー時間は14時間15分、ターンオーバーは$1,096,900。ルーイールームでは6時間ちょっとしかプレーしていないから、一般フロアでのプレーもターンオーバーの対象になっていることになる。これも初日のホストの説明とは違うが、うれしい誤算(笑)。

コンプ率0.25%に従って、$2,700ほどがコンプになる。部屋代が3泊で税込み$5,000ほどだから、その半分強をまかなうことができた。一般のプレーヤーカードで同じだけプレーしても、前回の感じからするとたぶん$100~200が関の山、しかもカジノレートも適用されないから、コンププログラム参加は大正解だった。

明日朝6時のフェリーチケットも取ってもらい、部屋に戻って熟睡。翌朝はカジノの車で、夜明け前の空いた道を快調に飛ばして10分でフェリーターミナル着。フェリーはほぼ満席の混雑だったので、前日にチケットを取ってもらっておいて正解だった。すべてにおいて順調な遠征に、「また今年中に一度」と誓った。

(おわり)

【プレーデータ】
トータル +HK$80,100(約122万円)
(ベットアップモード+18,500 ノーマルモード+61,600)
12クール8勝4敗
47セッション31勝15敗1分
プレー時間 16時間15分(クラウン15時間10分、ベネチアン1時間5分)
1クール平均プレー時間 1時間21分(35分-3時間5分)
1セッション平均プレー時間 20.7分(1分-1時間15分)

ベットアップ
76勝34敗(純勝敗76勝99敗)
1回目($6,000、$2,400、$3,000)41勝69敗 2回目($10,000、$4,000、$5,000)35勝30敗
ベットアップ時のオプション 133回中41回(出現率30.8%)
ダブル8勝8敗、スプリット2勝、スプリット・ダブル1勝 BJ13回、サレンダー9回
オプション収支 +84,300


このReportへのコメント(全 0件)

コメントの投稿

投稿するにはログインが必要です。
会員登録がお済でない方は≫コチラ

PASS: