バカラ必勝コラム 「ひよったら負けだ!!」

ちくわのゲーミングエッセイ・バカラ
*この記事は、casino japan誌に掲載されたものです。

2.バカラの罫線 ~「人間罫線」に要注意

甘い想い出

 2002年の春。マニラを出発して3時間。フィリピンの軽井沢と呼ばれるタガイタイのカジノに到着した。私をエスコートしてくれたのはドライバーのロカ。気のいいフィリピーノだ。ここのカジノは天井が高く、マニラ市内のカジノの半分くらいのスペースしかないが、それでも平日から賑わっている。
 「シャチョー、バカラのテーブルをミツケタヨ」とロカ。彼は、ドライバーとしてだけでなく、色々と面倒を見てくれて助かっている。座ったバカラテーブルで 10万ペソ(約3万円)を換金。一斉に視線が集まる。それもそうだ、この国ではサラリーマンの平均月収は1万ペソだ。バツの悪い思いはしたが、同じテーブルのフィリピン人は皆、笑顔で迎えてくれた。好意的だ。ジョークを飛ばしながらバンカーに1万ペソを置く。ナチュラルエイトであっさり勝利。次もバンカーに1万ペソを置く。これまたナチュラル! しかもナインだ。これはいいテーブルに座ったゾ……ということでプレイヤーが出るまでバンカーに張り続けることを決意。
 「デレデレッチョ~!!(タガログ語で「真っ直ぐ」の意味)」と叫ぶ。私に習って全員がバンカーにチップを置く。このバンカーの勢いが止まらない。11 回連続でバンカー。いわゆる「ツラ」というやつだ。手元のチップがあっという間に倍になった。もう笑いが止まらない。「ロカよ、いいテーブルを見つけてくれてありがとう!」と1万ペソのチップを渡す。「サ、サンキュー シャチョー」彼の手は少し震えていた。無理もない。

人間罫線になる

 さて、このバンカーのツラが切れてから席を立つべきだったが、気持ちが高揚している。テーブルは盛り上がっている。皆「あのジャパニーズのおかげで勝った」と言ってくれる。中には「ゴットハンド!」とまで言ってくれる。マンゴージュースがどうにもウマイ。てなことで勝負を続けることになったのだが……。
 ベット額を落として小さく賭けるが、まったく当たらない。バンカー(B)と思えばプレイヤー(P)。横に走る(BとPが順番に出ること)と思えば下に落ちる。何をやっても当たらない。それでも最初のツラで大きく勝っているのでチップは十分にある。
しかし、頭の中は完全に沸騰していた。
 「シャチョー、もう止めましょう・・・・」ロカは心配そうに言う。
 「うるさい!これから取り返すのだ!!」
 私は、バンカーに2万ペソを叩きつけた。すると、いままで私と同じサイドに張っていたテーブルの人達が皆プレイヤーに張る。プレイヤーの勝ち。今度はプレイヤーかと大きくプレイヤーに3万ペソを置く。一斉にバンカーにチップが積み上げられる。
 「バンカーウィン!」
 くそう、完全に人間罫線だ……。
 あれだけ私を褒めちぎっていた人達が全員、私の逆張りをしてくる。それなら……と私がベットしないで誰かがベットするのを待っていると、誰も賭けようとしない。ゲームが進まないのだ。仕方なくまた勝負する。逆張りされる。しくじる。以下繰り返し。
 ついにすべてのチップが羅紗上に溶けた。一度は天国を味わっただけにショックが大きい。「ロカ、ほんとにすまないがさきほどあげたチップを貸してくんないか?」と恥を忍んで頼む。ロカはあさっての方向を見ながら「そいつぁ・・・だめだ」とにべもない。

バカラの罫線

 バカラプレイヤーは皆、「罫線」を書く。そのゲームの傾向を知る為だ。必ず赤と青(黒の場合もある)の二色を使って出た目を書いていく。出目は単に○で書く人もいれば数字を書く人もいる。アメリカやオーストラリアなどはプレイヤーが赤でバンカーが青。マカオやフィリピンなどではプレイヤーが青でバンカーが赤。罫線をつけていくと、傾向が見えてくる。バンカーもしくはプレイヤーばかりが連続して勝利する、いわゆる「ツラ」。バンカーとプレイヤーが順番に勝利する「テンコ」バンカー、プレイヤーが2回づつ勝利する「ニコニコ(2個2個)」など。
 こういった傾向が顕著であればあるほど、打ち手にとっては「おいしい罫線」となる。しかし、実際には「おいしい罫線」と気づいても、気づいた時にはもう遅く、次の新しい展開になることの方が多い。8デッキの約70回のゲームの中で、全てがバンカーとか、全てがテンコなんてことはありえない。(私は見たことはないし、見たという人にも会ったことがない)
 また、罫線に関係なく罫線と呼ばれるものがある。「人間罫線」のことだ。これは、ツいてない人の逆張りをする方法で、熱くなるタイプの人がムキになっている状態で「人間罫線」になることが多い。負けて、しくじって、なんとか這い上がろうとしている人を踏み台に勝とうというのだから、これは強烈だ。完全にテーブルの中では「イジメられっこ」となる。罫線はなかなか思うような絵にならない。しかし、狙い済ました大賭が見事に的中することもある。だからバカラは面白い。


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