ホールデムポーカーの極意書

ポーカーを楽しもう

第五之巻 ポーカートーナメントで知っておきたいこと (2)

テーブルバランス

 ポーカートーナメントでは、持ちチップがなくなれば席を離れなければならない。

 一つの席がいなくなると、その席はゲームに関係しないものとして扱われる。従って、最初に10人で始めたゲームが、9人・8人のゲームになる。問題は、参加人数が少ないと、それだけブラインドが早く回ってきて参加人数の多い他のテーブルより不利になることである。

 この不利を解消するのがテーブルバランスである。

 一般的には、全体のテーブルの平均参加人数+1人のテーブルから全体のテーブルの平均人数-1人のテーブルにプレイヤーを移動させることである。残り3テーブルで、テーブルAが8人、テーブルBが7人、テーブルCが6人の場合、テーブルAからテーブルCにプレイヤーを移動させることになる。

 テーブルの移動のさせかたは、ポーカールームにより異なる。移動させられるプレイヤーにとって最もフェアーな移動のさせ方は、最後にとんだプレイヤーの位置をディーラーボタンから何番目にいるかを数えて、同じ条件にいるプレイヤーを選択することである。しかしながら、これは運営者側に負担をかけることになるので、一般的には「次にビックブラインドになるプレイヤー」とか「ディーラーボタンから4人目」とかハウスルールで決められている場合が多い。

 また、WSOPのように参加者が多いトーナメントで、まだ入賞に関係しない序・中盤の場合は、ワンゲームで数人が一度に飛んでしまっても、飛んだ人数の総数がテーブルの定員に満たない場合は、テーブルバランスをとらない場合もある。飛んだ人数がテーブルの定員に満ちたときに、一つのテーブルを壊して、そこでプレイしている者を各テーブルで空いている席に移動させるわけである。

 プレイヤーにとって、テーブルを移動させられることは、一般的には不利である。なぜならそれまで一緒にプレイしていたプレイヤーの情報が使えなくなるからである。しかしながら、これはポーカートーナメントでは必然的におきるものであるから、やむを得ないとおもってあきらめるしかない。

 しかしながら、中盤以降のテーブルバランスは別である。少ないテーブル人数でブラインドを早く(結果的に多く)取られることはできるだけさけなければならない。隣のテーブルが10人でプレイしているとき、自分のテーブルが7-8人なった場合は、積極的にディーラーに言って、フロアーパーソンを呼んでもらおう。私は、入賞直前のときに、フロアーが時間をはかりにくるまで自分のアクションを止めたことがある。

ハンド フォー ハンド

 複数のテーブルでプレイするポーカートーナメントでは、テーブルごとの状況により進行が異なる。タイトなプレイヤーが多いテーブルでは、スチールが多くなって、進行が早くなる傾向が強いのに対し、ルーズなプレイヤーが多いテーブルでは、フロップ・ターン・リバーまで開く機会が多くなり、1ゲームの時間が多くかかる。結果的に、進行の早いテーブルのプレイヤーはより多くブラインドを支払うことになる。

 トーナメントの序・中盤ではこの差は少ないが、入賞直前やファイナルテーブル直前などは、この差は大きい。ベテランのプレイヤーは、いわゆる時間攻めをしてくる場合もある。(時間攻めについては「私の戦略」で後述する。)

 この差をなくし、プレイヤーの公平をはかるのがハンド フォー ハンドである。

 各テーブルの一回のゲームを同時にスタートし、すべてのテーブルのゲームが終わらない限り、次のゲームにははいらない。すべてのテーブルが同時にスタートし、同時に終わるので、プレイヤーの公平がはかられる。同じ回に異なるテーブルで複数のプレイヤーが同時に飛んだ場合も、時間的に飛んだ順番ではなく、そのゲームが始まる時点で持っていたチップ量の多寡で順位が決まることになる。

 日本のトーナメントでハンド フォー ハンドがおこなわれることは少ないが、プレイヤーの公平さをはかる制度であり、ラスベガスのディーリートーナメントでも一般的におこなわれているので、ファイナルテーブル直前などでは採用したほうがよいと思う。

 ハンド フォー ハンドは、プレイヤーの公平を保つ制度なのだが、1ゲームにかかる時間が極端に長くなる。その間も、各ラウンドのゲーム時間は進むのが一般的なので、各ラウンドのプレイゲーム数が少なくなり、ブラインドの金額がすぐあがるという弊害がある。

 私は、昨年のWSOPメインイベントで58テーブルのハンド フォー ハンドを経験した。

  560位までが入賞で、最低入賞賞金額が$12000程度のときに、残り580人からハンド フォー ハンドが始まったのである。各テーブルのディーラーは、トーナメントディレクターの指示に従い、ゲームを開始し、そのゲームが終わると立ち上がり、ゲームが終了したことをトーナメントディレクターに知らせる。トーナメントディレクターは、全員が立ち上がったのを確認して、次のゲームの開始を指示するのである。入賞が決まるまで、15ハンドで90分くらいかかってしまった。


<<ポーカーを楽しもう!INDEX

リゾカジの歩き方! 初心者のためのカジノ