ホールデムポーカーの極意書

ポーカーを楽しもう

第六之巻 ポーカートーナメントで知っておきたいこと (3)

ディール

 トーナメントは、参加費と参加人数により、あらかじめ決められたペイメントストラクチャーに従って、賞金が決定される。しかしながら、参加人数と賞金総額が確定したとき、残っているプレイヤーの合意で賞金額や入賞者の人数を変更することができる場合が多い。これをディール(取引)という。ラスベガスなどでおこなわれているディリートーナメントでは日常的に採用されている。近頃は、オンラインのマルチトーナメントでもディール機能がついているものもある。

 注意しなければならないのは、ディールはその時点で残っているプレイヤー全員が合意しなければ成立しないということである。従って、もし貴方が最後まで決着をつけたいと思うなら、ディールの申し入れを拒否することができる。

 どのような場合にディールがおこなわれるか、典型的な場合をのべる。

●上位者が確定し、トーナメントを早く終了させる
 前にものべたように、トーナメントでの賞金の配当は上位者に厚い。そこで、残り三人程度になった場合で、プレイヤーの持ちチップ量に差がない場合に、 1-3位までの賞金総額を1/3づつに分ける場合である。例えば、優勝賞金が$600、2位が$400、3位が$200だった場合に、残った3人で$400づつわける場合である。優勝者が3人出ることになる。

●リスクを少なくする
 優勝と2位の賞金は、雲泥の差である場合が多い。今年のWSOPメインイベントは6億円以上の差があったことを思い出してほしい。そこで、ヘッズアッププレイをする前に、残った二人で合意し、優勝と2位の賞金を変更したうえでプレイを開始する場合が典型的な例である。具体的には、WSOPの例では総額 20億円を優勝11億円にし、2位を9億円にするような場合である。これをおこなうことによって、ヘッズアップの価値が相対的に減少して、気楽にプレイできるし、プレイ時間も短縮される場合が多い。

●バブルボーイを救う
 入賞するのと入賞直前で飛んでしまったバブルボーイは雲泥の差である。従って、入賞直前は、各プレイヤーが慎重になり、進行が遅くなる。また、公平性を保つためハンド フォー ハンドがおこなわれる場合も多い。そこで、入賞まで残り一人の時に、残っているプレイヤー全員の合意によって、バブルボーイに参加費相当額を返還するという合意をして、チップ量の少ないプレイヤーに安心して飛んでもらおうとするものである。その賞金は、優勝賞金から差し引かれたり、入賞者から一律$10程度差し引くなどの方法がとられる。

 ディールが公式に認められているトーナメントでは、賞金額も合意によって変更される。従って、賞金に賦課される税金も合意された賞金額に従って決められる。

  WSOPやWPTなど、メジャートーナメントでは公式にはディールは認められていない。しかしながら、プレイヤー間の裏の合意により、ディールがなされたという話はよく聞く。あるトーナメントでは、優勝賞金100万ドル保証だったが、参加人数が少なかったため、2位以下の賞金があまりにも少なかった。そこで、ファイナルテーブルに残ったプレイヤー間でディールされたらしい。しかしながら、ディールが公式に認められていないトーナメントでは、賞金額は固定されているので、仮に裏でディールが成立しても、賦課される税金は発表された賞金額に応じて賦課されるので注意しよう。

 私は、あまり名誉を重んじないので、ディールの申し込みがあった場合は、多少不利でも受けてしまうほうだ。その際、気をつけることは、計算された賞金額が$600前後のときは、少々損しても、税金対策で非課税の$600未満にすること。そして、ディーラーに支払うチップ(賞金額の2-3%が相場)は、優勝者にまとめて払ってもらうようにすることである。

 日本では、キャッシュトーナメントはできないので、ディールがなされることはほとんどないと思うが、シリーズ戦のポイントをあらそうトーナメントなどでは、ディールがあっても良いのではないかと思う。


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