ホールデムポーカーの極意書

第七之巻 私のポーカー戦略-はじめに
私のポーカー戦略を語るにあたって、考えてほしいことがある。
「ポーカーに正解はない」ということだ。
将棋や囲碁などは、「次の一手」として正解を求める練習問題がある。しかしながら、ポーカーにおいては、厳密な意味での正解はないと思う。
たとえば、ボタンでAKが配られたとしても、前のプレイヤーが何人コールしたり、レイズしているか。自分のチップ量はどのくらいか。入賞直前かどうか。などによりレイズすべきか。コールでよいのか。あるいは、フォールドしたほうがいいのか。その選択は、状況によって異なるのである。
また、プレイヤーのプレイスタイルによっても異なるのは当然である。
これから私が述べる戦略は、あくまで「私の戦略」であり、一般に通用する「正解」ではない。読者のみなさんは、あくまで自分の戦略を作る参考にしてほしい。もちろん、私はこの戦略を使って、それなりの実績を積み重ねてきたつもりである。また、私はトーナメントプレイヤーであり、リングゲームはほとんどしない。従って、この戦略もホールデム系のポーカートーナメントのためのものである。
プレイ選択の基準
私は、プレイを選択するときに、「ハンドの強弱」「ポジション」「そのときの状況」を基準にきめている。
「ハンドの強弱」は、文字通り配られたハンドの客観的な強弱である。AAを最強としたハンドランクによって決められる。
「ポジション」は、ディーラーボタンからどれだけ遠いかによって決まる。ホールデムは、前のプレイヤーのアクションをみてプレイできるので、ポジションがディーラーボタンに近いほど有利である。従って、ホールデムはポジションゲームであるという人もいる。
「状況」は、そのときのトーナメントの状況(入賞直前かどうか。テーブルのプレイヤーの人数・ペイアウトストラクチャー。ブラインドストラクチャーetc)。自分の持ちチップ量。他のプレイヤーのスタイルなどである。
その割合は、トーナメントの序盤から中盤・終盤によって異なる。
私は、次の基準でプレイしている。
序盤 (トーナメントの残りのプレイヤーが参加人数の三分の一以上)
ハンドの強弱 40% ポジション 40% 状況 20%
中盤 (残りのプレイヤー数 三分の一から五分の一まで)
ハンドの強弱 30% ポジション 40% 状況 30%
終盤 (入賞直前以降)
ハンドの強弱 20% ポジション 20% 状況 60%
トーナメントの序盤では、ハンドの強弱を重視してプレイするが、終盤にいけばいくほどそのときの状況を重視してプレイしている。トーナメントの終盤では、アクションの一つ一つの重要性が増しているし、残っているプレイヤーのチップ量にも差がついており、私を含めた各プレイヤーの思惑がプレイに現れるので、そのときの状況を重視しないと、思わぬところで致命傷を負ったり、スチールなどでチップを稼げるチャンスを逃すことになるからである。
トーナメント参加の準備
トーナメント戦略の第一歩は、参加する前の準備である。もちろん、トーナメント参加前に体調をと整えるということは基本である。しかしここで言いたいのは、参加するトーナメントがどんな構造になっているかを、事前に調べて、シュミレーションすることである。
参加費$10,000で10000点スタートのWSOPメインイベントと、参加費$1000で1500点スタートのレディースイベントとは、おのずから戦略は異なるはずである。
調べることは、
・何人くらい参加するトーナメントで、何位から入賞か
・スタートチップはいくらで、ブラインドストラクチャーはどうなっているか。
・ リバイトーナメントかどうか。リバイトーナメントだとしたら、どのような条件でリバイができるのか。リバイ・アドオンした場合にもらえるチップは何点か。
・ペイアウトストラクチャーはどうなっているのか。特にウイナーテイクオールかどうか。
次に、理想とする展開をシュミレーションすることである。
これは、各ラウンドごとに目標チップ量を決め、それに向かってプレイ方法を変える基準を作ることである。すなわち、各ラウンドで目標点数を上回っていた場合にはどのようにプレイするか。目標点数より下回っていた場合には、どこでギヤを入れ替えて、目標点数に近づけるかの基準を事前に定めておくことである。
事前にシュミレーションしておくことにより、プレイ当日にその状態になった時に決断をくだしやすくなる。もちろん、トーナメントは生き物であり、そのときそのときでかわるので、シュミレーションが絶対というわけではないが、自分の状況をある程度客観的にみられる基準をつくっておくことは重要であると考える。
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