ホールデムポーカーの極意書

ポーカーを楽しもう

第十之巻 私のポーカー戦略-初手の選択(3)

 初手の選択に最も影響を与えるのはポジションである。ポジションとはディーラーボタンから何番目にいるかということである。
 ホールデム系のポーカーでは、ディーラーボタンから近い順に、ベットするか、コールするか、レイズするか判断しなければならない。ポジションが後であればあるほど、他のプレイヤーの判断を待ってから自分のプレイを選択できる。ポジションが前の場合、後ろのプレイヤーは全員そのゲームに参加するものとして判断するのが前提となる。
 従って、同じハンドであっても、前のプレイヤーがフォールドしてくれた場合は、客観的な勝利確率はあがる。
 前に述べたように、初手の最強ハンドであるAAでも6人以上参加すると勝率は50%を割る。同じAAでも、前のプレイヤーが全員フォールドしてくれた場合には、ディーラーボタンのプレイヤーは、残りのプレイヤーが強制ベットさせられているスモールブラインド、ビックブラインドの二人しかいないので、客観的な勝利確率は73%になるわけである。

 ポジションを語るときに、ディーラーボタンの位置から、テーブルの人数を3で割って、前の3分の1をアーリーポジション、中の3分の1をミドルポジション、後ろ3分の1をレイトポジションというように分けて、戦略を考えるのが一般的である。
 10人テーブルだと、前4人、中3人、後3人という感じであろうか。
 多くのポーカー戦略書では、このポジションにより参加する初手のランクの基準を設定している。アーリーポジションではAJ以上、ミドルポジションではA8以上、レイトポジションではA一枚あれば参加するなどである。
 この考えかたが、合理的かどうかを検証する前に、各ポジションの特徴について考えてみよう。

スモールブラインド(SB)
 ディーラーボタンの左隣で、ビックブラインドの半額から3分の2程度強制ベットさせられている。その見返りとして、初手の判断はボタンのプレイヤーの後に行える。しかしながら、フロップ以降は一番最初に判断しなければならず、最も悪い位置といえるだろう。
 プリフロップで、コールで回ってきた場合には、ビックブラインドまでの差額を払うだけでフロップを見ることができ、リスクが小さいともいえるが、トーナメントの終盤ではその差額が次のプレイに大きな影響を与えることも考えねばならない。

ビッグブラインド(BB)
 そのゲームの最低ベット額を強制ベットさせられているプレイヤーである。そのかわり、初手の判断は最後に行うことができる。その結果、自分の判断がまわってくる前に他のプレイヤーがフォールドして、SB分のチップを獲得できる場合もある。また、コールで回ってきた場合は、どんなハンドでもそのゲームに参加できるので、フロップしだいでは大量のチップを獲得できることがある。例えば25oなどをもって、フロップにA34とでたばあいである。このような場合を俗にブラインドスペシャルという。

アンダーザガン(UTG)
 プリフロップで一番最初に判断しなければならないポジションである。客観的な勝利確率を考える場合、常にそのテーブルのプレイヤー全員が参加するものとして考えて判断しなければならない。従って、よほどハンドがよくなければ参加できない。最強ハンドのAAでも31%の勝利確率しかないと考えてプレイすることになる。アンダーザガンとは、他人の銃の下にさらされている危険な場所であるという意味なのだ。
 他方、他のプレイヤーはこのような不利なポジションであるUTGがゲームに参加してきた場合は、よほどいい手があると考えるのが普通なので、ゲームに参加しても多くのプレイヤーがフォールドし、危険をおかして参加しても見返りが少ない場合も多い。

ディーラーボタン
 最も良いポジションである。初手の判断でも後ろは強制ベットさせられているSB・BBしかいないし、フロップ後はいつも最後に判断することができるからである。従って、プレイヤーによっては、コールで回ってきた場合はどんなハンドでもレイズするプレイヤーがいる。(ポジションベットという)

ボタン前
 ディーラーボタンの右隣でレイトポジションである。私はこのポジションが最もスチールしやすいポジションだと思っている。スチールとは、レイズしてSB・BBをフォールドさせそのチップを獲得することであるが、トーナメントでスチールは重要である。スチールが成功すれば、次の一周をチップを減らさずにみれるからである。このスチールについては後述する。
 ボタンが最もいいポジションであることは、誰でもわかっている。従って、いわゆるポジションベットが多くなされる。逆に考えると、SB・BBの立場では、ボタンだけがレイズした場合、ポジションベットしてきている可能性が高いと判断し、それほど強いハンドでなくてもコールする場合も多い。ところが、ボタン前のレイズについては、まだボタンがいる分、良いハンドをもってのレイズとして考え、コールできない場合も多いからである。

私の戦略

 以上のように、ポジションはホールデム系のポーカーにとって最も考慮しなければならない要素である。これにサバイバルゲームであるトーナメントの特性を考慮すると、単にアーリー・ミドル・レイトと単純に三分割し、そのポジションに応じて参加するハンデの基準を決めるという戦略をとることはできないと思う。
 私は、ブラインド・レイト(ボタン・ボタン前)・その他という分け方で考えている。
 これは、ブラインドを除いたアーリー・ミドルポジションは、まだ後ろに4人以上残っており、全員が参加することを前提に考えると、客観的な勝利確率はAAでも50%、他のハンドでは30%程度にしか過ぎないからである。
 では、どのようにするのか。

ブラインド(SB・BB)
 私は、ブラインドは税金と考えるようにしている。従って、前のプレイヤーがレイズしている場合は、フォールドを前提とし、あまり無理をしない。コールで回ってきたらラッキーという程度である。ただ、フラッシュなどの可能性のあるときなどは、レイズ額によっては参加する場合もある。

ボタン・ボタン前
 これらは有利なポジションである。従って、参加を前提に考える。また、前のプレイヤーが参加していないときは、積極的に(ハンドの強弱にかかわらず)スチールを狙いに行く場合も多い。

その他のポジション
 その他のポジションで参加するのは危険である。また、参加した以上ポットを取りに行かねばならない。そうであれば、勝利確率の高いハンド(少なくてもA8以上)で参加し、かつ後ろのプレイヤーにフォールドしてもらうために、レイズすることになる。従って、負けたときの痛手も大きい。また、フロップ後の対応も難しいので、このポジションから参加する場合は、持ちチップ量が多いとか、ここで勝負しなければ時機を逸するとか、他の状況が主な理由になる。
 よく、このポジションからAAやKKで、スロープレイと称してコールするプレイヤーが多い。私も、以前はよくやったと思う。しかしながら、うしろのプレイヤーにバタバタとコールされ、痛い目を負ったことが多い。従って、このポジションからスロープレイすることはほとんどない。(ということは、他のポジションの場合はスロープレイする場合もあるということなのだが)


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