リゾカジ カジノレポート
ロスト・クリスマス(1995)⑤
マカオ 2021/
12/
21 Written by
マカオの帝王
■ 1995年12月27日(水)午前1時
薄暗い部屋で目が覚める。
隣では、ジャクソンが鼾をかいている。
一瞬、何処にいるのか分からなかったが、段々と記憶が蘇ってきた。
『そうだ、確かリスボアの廊下でジャクソンと会い、奴の契約している上階の ”ラッキールーム” でバカラ勝負をすることを同意したものの、先ずは腹ごしらえと、奴のお薦めの “寒い季節にピッタリの、とびきり美味しい、地元民御用達の激辛火鍋の店” に案内され、こっちの奢りを良いことに、ジャクソンが高級食材を次々に追加で注文したにも関わらず、ただ辛いだけで、格別美味しくも無い火鍋を、只管ビールで胃袋に流し込み、中途半端な気分で店を出た後、ジャクソンから健康足裏マッサージ店での小休憩を提案され、成り行きでここに来たのだったな……』
腹ごしらえも終わり、マッサージ+仮眠で疲れも吹き飛んだ。
(しかし、何故かいつも自分が行く “回力娯楽場” 裏の店より若干高い割に、内装はイマイチで、ジャクソンが指名した女の子はマァマァだったが、当方についたのは不細工な中年女性だった……)
そろそろ、戦場に戻る時間だ。
「起きろ、ジャクソン! さもないと、僕一人でリスボアの平場でバカラを始めるぞ!」
これを聞いて、ジャクソンは飛び起きた!
「OKラー! さっき食べた火鍋で、二人の身体の中に “運気” がバッチリ溜まったこと、間違いない! あとは隣に座る僕の分も一緒に、それをバカラ卓の上で一気に放出する! これで勝ったも同然さ!」
ジャクソンの ”運気” には、まったく期待してはいなかったが、”枯れ木も山の賑わい” と考え、身支度を整え、タクシーで、未だクリスマス・デコレーションの残るリスボアホテルに向かった。
『これが所謂一つの ”戦場のメリークリスマス” と言うやつだな? さぁ、今年最後の勝負の始まりだ!』
ジャクソンに案内され、上階の “ラッキールーム” に入る。
卓では、裕福そうな老人5人が、1~3万HK$を、互いに談笑しながらベットしている。
取り敢えず対面に座り、ジャクソンにキャッシュチップ:6万$を渡し、この部屋専用の、“ラッキーチップ” 6万$と交換する。
ジャクソン曰く、「あぁ、この老人5人は皆さんお金持ちのグループで、この部屋の常連さんだ。特に真ん中のピカピカの指輪を嵌めている長老が、このグループの “老板” さ。ここなら、ユーが幾ら勝っても、誰も気にしないよ……、それと、直近の罫線は……、P、B、P、B、P、B、の素直なパターンだ。普通だと次はプレイヤーだから、ほら、長老がプレイヤーに3万$、他の4人も同じくプレイヤーに、1万から2万$をベットしたよ……、けど、ユーはバンカーなんだな?」
「勿論!」と答え、ポーチから日本製の爪楊枝を取り出し、口に咥える。
右側には誰もいないので、肘が誰かにぶつかることもない。
喉が少し乾いたので、オレンジジュースを頼む。
愉しい大人の時間の始まりだ!
♢ 先鋒戦
プレイヤーにベットする老人5人を尻目に、我関せずとバンカーに32,000$をベットする。
“長老” が静かにカードを絞る。
溜息をつきながら、直ぐに2枚を重ねてディーラーに戻す。
2枚とも絵札の0点(バカラ)
ジャクソンが「イエス!」と叫ぶ。
それに対しこちらは、1枚目は絵札だったが、2枚目は足有り!
横にすると♢の4ピンだった。
斜めに絞り上げて、“何も見えない” ことを祈るより、ど真ん中を凝視して、“何かが見える” 方が愉しいので、敢えて両端を抑えながら、中央を見る。
※ この感覚はポーカーでも同じで、勝率がほぼ互角のオールイン対決の際、自分がポケット(同じ数字のペア)対、相手がハイカード2枚(例:AK)で “相手にAもKも出ない” ことを祈るよりも、その逆のパターンの方が、何だかワクワクさせられます……
牌の真ん中に、真っ赤な小さい菱形が見えた!
娑婆に戻った復帰第一戦は、鮮やかなナチュラル9で勝利!
思わずジャクソンとハイタッチする。
♣ 次鋒戦
老人の内、一人が “見” を決め、“長老” +3人が再びプレイヤーに同額をベットする。
それに対し、当方はバンカーに32,000$を置きっぱなし。
再び“長老”がカードを絞り始める。
首を傾げながら、2枚のカードをディーラーに戻す。
♣Aと♣Jの、1点(ブラックジャック)
それに対しこちらは、絵札+3ピン!
『6じゃ不安だ。悪くとも一つ付けて7、出来れば二つ付けてナチュラル8で決める!』
歯を食いしばりながら右斜め上に絞り上げると、一つ目が付いた!
ここで爪楊枝が折れたので、2本目と交換する。
充填完了。
日本製爪楊枝のパワーで、二つ目も付き、ナチュラル8で勝利!
ジャクソンも大喜び。
♡ 中堅戦
更に老人の内、一人が “見” に回り、“長老”+2人がやや張りを落としプレイヤーにベットする。
それを見て、こちらも気持ち張りを落とし、ジャスト3万$をバンカーにベットする。
ここから先の記憶が、曖昧である。(何せ、四半世紀以上前のことなので……)
“長老” が絞ったカードは、所謂一つの“アート引っ越しセンター(≒0,1,2,3、)”、で、こちらはスタンド(多分7点)だったと思われる。
隣でジャクソンが、此処を先途と卓を罫線記録用のボールペンで叩きながら、「ゴン! ゴン!」と連呼する。
その甲斐あってか、“長老” が絵札を場に晒す。
破竹の三連勝だが、ここから睡魔に襲われる。
♠ 副将戦(ナルコレプシー・モード突入)
@老人の中から更に一人が “見” に回り、“長老”+1人がプレイヤーにベットする。
@“マカオの帝王” がバンカーに3万$を置きっぱなしにする。
@“長老” が力なく、1+2=3点をオープンする。
@“マカオの帝王” が6点をオープンする。
@ジャクソンが、「ゴン! ゴン!」と叫ぶ。
@“長老” が首を振りながら、またも絵札をオープンする。
★ 大将戦(ナルコレプシー・モード継続中)
@遂に、“長老” 一人だけがプレイヤーに3万$をベットする。
@“マカオの帝王” は両瞼を閉じながら、反射的に配当分を手元に手繰り寄せ、バンカーに3万$を置きっぱなしにする。
@ディーラーが双方にカードを配る。
@“長老” が4点をオープンする。
@“マカオの帝王” が瞬間的に瞼を開き、5点をオープンする。
@ジャクソンが、「ゴン! ゴン!」と叫ぶ。
@“長老” が絞り始めるが、直ぐに項垂れながら、絵札をオープンする。
@ディーラーがバンカーに配当分の28,500$を付ける。
@それを手元に手繰り寄せたあと、再び両瞼を閉じる ”マカオの帝王”
@五老人は誰もベットしない。
@ディーラーがジャクソンに何か話しかける。
@ジャクソンが“マカオの帝王”の耳元で囁く。
「あぁー、ディーラーに、日本人を起こせと言われたよ! どうやらお疲れのようだね? そこのトイレで顔を洗って来たらどうかな? それと目覚ましに熱いコーヒーを注文しておくよ……」
@フラフラと“マカオの帝王”が立ち上がり、トイレへ向かい歩き出す。
@一同、暫し休憩状態となる。
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『さてと、ジャクソンお薦めの“激辛火鍋”で蓄えられた“運気”とやらも、一気に放出したことだし、漸く酔いも覚めてきた。手持ちも開始時から3倍超で20万$を超えた、ここらが潮時だ。手仕舞いするとして……、待てよ? 疾風怒濤の5連勝で、奴から受け取った、現金化出来ない “ラッキーチップ”がそのまま残っている! これは困った、このままじゃ終わるに終われない……』
思案しながら席に戻る。
驚いたことに、ゲームはストップしたままだった。
“長老” が当方に何かを訴えるように視線を送る。
他の4人もこちらの一挙手一投足をじっと見詰める。
そんな中、ジャクソンがある提案を口にした……
(次回:完結)
https://www.resocasi.com/res/report/detail?id=2022
2021/12/22(Wed) 13:37
マリタイム
マカオの帝王さん、こんにちは。
8800HKDの奪還、おめでとうございます!
(リスボアホテルの延泊代も)
無敗で“ラッキーチップ”の現金化の心配をするなんて、羨ましい限りです。☆
仮眠したのに眠くなるのは、軟禁の疲れでしょうか。
最終回が楽しみです。
2021/12/23(Thu) 23:21
マカオの帝王
マリタイムさん、こんばんは!
ナルコレプシーの困ることは、ふとしたことがトリガーとなり、瞬間的に意識が途切れることです。
それは兎も角、最近NHKの朝の連ドラの「カムカム、エブリボディ」(当方の好きな若手女優の上白石萌音さんが主演の一人)を見るのが日課となっているのですが、事もあろうに、×1ながら健気に頑張る彼女が、日本人ではなく、同じく×1ながら、進駐軍の将校と条件の良い、長身アメリカ人の、しかもその名が “ロバート!?” に何故か惹かれてしまい、運命のいたずらにより、二人は結婚してアメリカに渡るという、悪夢のような怒濤の展開に悩ませられる、今日この頃です……
最終回は、クリスマスにアップする予定です。
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このReportへのコメント(全 2件)