Integrated Resort インテグレーテッド リゾート

佐藤亮平の VIVA! IR!!

IR推進法案や各地の誘致の動きから、エンターテイメントとしての魅力まで。
Integrated Resort(統合型リゾート)とは何か?を様々な角度から、専門記者がレポートしていきます。

佐藤亮平 Profile

民間でのIR誘致調査に従事したのち、2011年よりカジノ・IRの取材を開始。専門誌「カジノジャパン」記者、IRの政治・経済情報ポータルサイト「カジノIRジャパン」記者を経て、現在フリー。

ピクセルカンパニーズが長崎IR事業参入に名乗り 2020/11/17

カジノのゲーム機器開発・販売などを手掛けるピクセルカンパニーズは11月16日、長崎県が誘致を進めるIR事業に参入する方針を発表した。同社が参画するコンソーシアムが県のRFP(事業者公募)に応募する。長崎IRには海外のカジノ運営会社などが既に応募を表明しており、同社は4番目。コンソーシアムにはピクセルカンパニーズのほか、TTLリゾーツ、フランスのカジノオペレーター、パルトゥーシュグループのほか、建築家のポール・スティールマン氏のスティールマン・パートナーズ社、コンサルタントのアリダード・タッシュ氏の2NTH社などが参加しているという。By Resocasi.com

#120 自公・維新がギャンブル依存症対策法案を国会に提出 2017/12/01

 自民・公明両党は12月1日、「ギャンブル等依存症対策基本法案」を衆議院に提出しました。法案は今年春に提出されたものの、衆議院解散に伴い廃案になっていました。日本維新の会の対策法案も廃案になっており11月30日、法案を参議院に再提出していました。

 提出後、自民党の中谷元 元防衛相は他党との協議も念頭に、早期の国会審議に改めて意欲を示しました。

(写真)法案提出後に記者団の質問に答える中谷元 元防衛相

#119 IR実施法案成立へのスケジュール(1) 2017/10/31

 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(IR推進法)は2017年12月15日に成立、同26日に公布・施行されました。IR法制はいわゆる「プログラム法」と呼ばれる二段階立法が用いられています。これは精緻な法整備が必要な場合に用いられる手法で、一本目の「基本法」では法整備の大枠を定め、二本目の「実施法」で詳細な制度設計を行うもの。国会では社会保障制度改革などでも用いられてきた手法です。

 IR推進法はこの二段階立法、プログラム法の一本目にあたります。日本国内でのIR実現には別途「IR実施法」(仮称)の制定が前提です。「IR推進法が成立したからIRは必ず日本で実現する」と考える方もいますが、実施法が成立しなければ、日本でのIRは未来永劫実現しません。実務的にはIR実施法だけで済むものでなく、関係法令の改正・下位法令の整備なども必要ですが、まずは実施法の成立がなければ前に進むことができません。

 IR実施法の成立時期について、いろいろな予測が出ているようです。その際の一つの基準とされているものが、IR推進法第5条の「必要となる法制上の措置については、(政府は)この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならない」という条文。中には「実施法は推進法の制定の一年後にあたる2017年12月までに成立」という見方もあるようです。ただし衆議院解散・総選挙をはさみ限られた国会日程の中で、果たしてIR実施法が速やかに衆参両院を通過するのか。私はそんな簡単なものではないと思います。

 日本の国会は通常国会や臨時国会などの会期が限られ、法案成立にはその限られた日数の中で衆参両院を通過しなければなりません。今年秋の特別国会は会期幅が短期間になる可能性があります。仮に会期幅が一週間であれば、衆参両院で一定の審議時間が必要な法案のほとんどが次期以降の国会に持ち越されることになります。私見では、IR実施法案には一定の審議時間が必要。つまり、今年度中のIR実施法成立には一定の会期幅が前提で、今後の情勢にもよりますが、現時点では難しいのではないかと考えています。(続く)

#118 IR推進会議での議論の推移 2017/07/25

 「特定複合観光施設区域整備推進会議」(IR推進会議)で議論が進んでいます。IR推進会議は内閣に設置された「特定複合観光施設区域整備推進本部」(IR推進会議)のもとに設置され、各分野における有識者が委員として参加しています。

 昨年末にIR推進法が国会で成立し、今年春より詳細な制度を定める「IR実施法」(仮)の制定に向けて現在、IR推進会議の中で制度設計にかかわる様さまざまな論点を詰めているわけです。早ければ今月末にも中間報告をまとめ、パブリックコメントを行う流れになっています。

 昨年末の国会審議では、国内のギャンブル依存症の問題に大きくスポットが当てられました。これまでのこちらのコラムでも何度も書いてきたことですが、日本国内ではこれまで既存のパチンコ・パチスロ産業や公営競技、宝くじなどでギャンブル依存症対策が十分に行われてこなかったことの影響です。そのため依存症をきっかけとした事件も起こっており、対策の進んでいる海外に比べて国内の世論はギャンブル産業に対して厳しい見方をしています。

 これを踏まえ現在、日本におけるIRの制度設計では「世界最高水準のカジノ規制」(安倍総理)を念頭に議論が進められています。これはIR導入に伴い想定される社会問題としてギャンブル依存症対策、マネーロンダリング排除、青少年の健全育成、地域の治安維持などが考えられるためです。そのため、カジノフロアへの入場規制や事業者の参入規制、カジノフロアの面積といった施設要件が定められているわけです。

 一方でカジノフロア面積の上限や、カジノフロア入口での入場料徴収などを法律で定めることは、IRの集客や売上に直接影響することになります。もちろん不安を払拭するための措置は必要ですが、事業者などの関係者からは不安の声も上がっています。

 IRはもともと観光振興・地域振興・雇用創出・税収増などの経済効果を念頭に、導入に向けた議論が進められてきました。議論の進展にともないギャンブル依存症対策についてスポットが当たったわけですが、社会問題への対策とともに元々の導入目的である経済効果も達成しなければ、そもそも何のためにIRを導入したのかという議論にもなりかねません。厳格な制度づくりと同時に、高い経済効果の達成についてももっと議論があって良い気がします。

 国内の人口が減少していく中、観光産業に期待が集まっています。IR導入が観光振興や日本経済の切り札になるか。期待したいですね。

(写真)7月4日のIR推進会議の様子

#117 自民党がギャンブル等依存症対策法案を法案審査 2017/05/24

 自民党は5月17日、党本部で「内閣第一部会、IR実施に関する検討PT合同部会」を開催しました。その中で、「ギャンブル等依存症対策基本法案」について法案審査を行い、了承されました。

 昨年秋の臨時国会でのIR推進法案が成立を受け、自民、公明両党でギャンブル等依存症対策基本法案の議論が続けられてきたことは、こちらの過去のコラムで取り上げてきたとおりです。三月末には政府で論点整理が取りまとめられ、先月からは自公で協議が続けられてきました。

 会議の中で、IR検討PTの岩屋毅座長、与党WTの中谷元座長ともに今国会での法案成立に意欲を示していました。今後、自民党としての党内手続きおよび各党との調整が進められることになります。

 法案は二段階構成で、今回の法案は第一弾の基本法になります。基本法の成立の後、さらなる施策を詰めていくかたちで、法のスキームとしてはIR推進法と近いかたちになっています。早期の法案成立に向けて、着々と準備が進められています。

#116 民進党IR推進議連の新代表に前原誠司元国交相が就任 2017/05/19

 民進党IR推進議員連盟は5月16日、国会内で総会を開催し、役員改選により議連の顧問だった前原誠司元国土交通大臣が新たな代表に就任しました。

 民進党IR推進議連は旧民主党と維新の党の合併後の昨年11月に、党内有志の国会議員により結成され、先月、当時の会長だった長島昭久会長の民進党離党に伴い、会長が空席になっていました。今回の役員改選では、新たに玉木雄一郎党幹事長代理が議連の事務局次長に就任しています。

 前原会長はあいさつの中で、もともと自身が国交大臣を務めていた時にインバウンド増に向けた政策のひとつとしてIRの議論を始めたことを紹介。IRについて「どううまく活用していくかという観点で議論すべきだ」と話していました。会議ではギャンブル等依存症対策の法制化について、参加者で議論を交わしました。対策の議論が進むといいですね。

(写真)5月16日の民進党IR推進議員連盟での前原誠司会長の挨拶の様子

#115 自民党と公明党が「ギャンブル等依存症対策基本法案」を取りまとめました 2017/05/18

 自民党、公明党は5月16日、「与党 ギャンブル等依存症対策の法制化に関するワーキングチーム」(WT)を開催しました。WTは与党政策責任者会議の下に設置されています。この中で、「ギャンブル等依存症対策基本法案」が取りまとめられました。

 「ギャンブル等依存症」とは、公営競技やパチンコその他の射幸行為にのめり込むことにより、日常生活・社会生活に支障が生じている状態を指しています。過去のコラムで紹介したとおり、「等」と定義することで公営競技やパチンコなどを含んでいるかたちです。この状態に陥ると、多重債務や貧困などの社会問題を引き起こす可能性があります。政府ではすでにアルコールや薬物の依存症で各種の施策を行っていることから、それらと連携することとしています。

 ギャンブル等依存症対策を進めるため、内閣官房長官を本部長として内閣に「ギャンブル等依存症対策推進本部」を設置。ギャンブル依存症者本人や家族、関係事業者、有識者などから意見を聴取し、政府が「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」を策定。これをもとに、都道府県が「都道府県ギャンブル等依存症対策推進計画」策定の努力義務を負うものとしています。

 基本的な施策としては、予防教育、医療体制整備、相談支援、依存症者の社会復帰支援、NPO等の民間団体への支援、連携体制の整備、人材確保、調査研究など。さらに三年ごとに実態調査を行うとしています。

 今回、与党のワーキングチームがギャンブル等依存症対策基本法を取りまとめたことから、今後、担当者が自民党、公明党の両党に持ち帰り、党内の調整を進めることになります。またWTの中谷元座長は会議後、「今後、他党に対し説明をし、党内でも議論を深め、この国会において成立を目指していきたい」と話していました。

(写真)16日の与党WT後、会見を行う中谷元座長(右)、桝屋敬悟座長代理(左)

※写真を訂正しました(17/05/19 0:28)

#114 韓国 仁川「パラダイスシティ」の開業式に行ってきました 2017/04/21

 4月20日、韓国 仁川空港そばに「パラダイスシティ」がオープンし、開業式を取材する機会があり、現地を訪問してきました。

 パラダイスシティは韓国初のIRで、そのコンセプトは”アートテイメント”。これは「アートとエンターテイメントの融合」のことで、施設内のホールや廊下のコーナー、壁面にいたるまで、至るところに芸術作品がさりげなく置かれています。カジノフロア入口のホールには草間彌生氏の手掛けた作品が置かれ、その上のシャンデリアはひとつひとつのクリスタルそれぞれ別々に動き、天窓からの光を受けて幻想的な光景を生み出していました。草間氏のほか、スボード・グプタ、イ・ガンソ、オ・スファンなど、国内外の有名アーティストらの作品およそ100点を含む、2,700点が展示されているそうで、ちょっと歩くだけでまるで美術館の中をめぐっているかのように、これらの作品を楽しむことができるのです。

 また、北東アジアのハブ空港である仁川国際空港から車で3分、モノレールで5分の場所にあり、仁川空港までは羽田空港や成田空港などから2時間ほどの距離にあり、日本から最も近いIRと言えるでしょう。

 韓国は一か所の例外を除きカジノは基本的に外国人専用カジノばかりで、パラダイスシティも内国人は入場することができません。その中で、パラダイスシティのカジノは外国人専用カジノとして国内最大規模を誇り、158台のゲームテーブル、291台のスロットマシン、4台(62席)のエレクトロニックテーブルゲームが設置されています。日本語が話せるスタッフも多いので、初心者の方もプレーしやすいと思います。入口でパスポートの提示を求められるので、入場規制もきちんと働いています。

 パラダイスシティは、韓国のパラダイスグループと日本のセガサミーホールディングスの二社が設立した合弁会社である「パラダイスセガサミー」が運営しています。20日の開業式にはパラダイスグループの田必立(チョン・フィリップ)会長やセガサミーホールディングスの里見治会長など、約480名が出席。里見会長は「類まれなる上質なエンタテインメント空間をご堪能いただきたい」と話していました。

 帰国のため空港に向かう前に少し時間ができたので、女性陣を含む5名のグループでサイコロを使ったゲーム「大小」(タイサイ)を数回、試しにプレーをしてみました。すると、なんとグループの多くの人がちょっとだけ勝ち、ゲームの方も満喫できたようでした。

(写真)20日の式典の様子

#113 「民進党カジノ検証PT」について 2017/04/17

 4月13日、国会内で「民進党カジノ検証PT」が第三回目となる会合を開催しました。民進党は昨年末臨時国会におけるIR推進法の対応をめぐって賛否両論の動きが起こり、去年11月、「民進党IR推進議員連盟」が設立されています。検証PTは今年1月に発足したもので座長は長妻昭元厚労大臣、事務局長は階猛衆議院議員がつとめています。推進議連は民進党所属の有志議員によるものである一方で、検証PTは政策調査会のもとに置かれた党の機関になります。

 今回のPTでは、特定複合観光施設区域整備推進本部事務局(IR推進本部事務局)から担当者が出席し、全閣僚から構成される「特定複合観光施設区域整備推進本部」(IR推進本部)と有識者からなる「特定複合観光施設区域整備推進会議」(IR推進会議)について説明。IR推進本部は4月4日に第二回会合、推進会議は6日に初会合を行っています。そのほか厚生労働省、競馬を所管する農水省、パチンコ・パチスロを所管する警察庁が説明を行いました。

 検証PTの階事務局長はIR反対の姿勢を隠しておらず、すでに党内の一部国会議員からは反対ありきの運営ではないかとの懸念の声も上がっています。民進党では蓮舫代表、野田佳彦幹事長など党幹部が反対をリードしている一方で、民進党所属の約三割の国会議員が民進党IR推進議連もしくは超党派の「国際観光振興産業議員連盟」(IR議連)に参加しています。

 昨年のIR推進法案の議論においてはギャンブル等依存症についての議論に集中していましたが、そこで主に取り上げられていたことは海外のカジノにおける依存症ではなく、国内のギャンブル等依存症のことでした。そのことを踏まえ、日本維新の会は今年2月、「ギャンブル等依存症対策基本法案」を取りまとめて国会に提出。自民、公明両党もそれぞれ、党内のPTで検討を続け、3月末に政府に対して依存症対策についての申し入れを行っています。民進党IR推進議員連盟も三月中旬、海外からの有識者を招いてギャンブル等依存症をテーマにヒアリングを行っています。

 野党はときに、将来政権を獲得することを視野に入れて、政権と対峙することも必要です。しかし政局ばかりを優先して、社会から求められている政策にもやみくもに反対するようでは、野党第一党としての存在意義にも疑念を持たれることにもなりかねません。民進党内の議論の推移に注目したいと思います。

(写真)4月13日の民進党IR検証PT

#112 「リゾカジナイト東京」がパレスホテルで開催。てらこさんや東大生も奮闘 2017/04/15

 4月14日夜、パレスホテル東京で「リゾカジナイト東京」が開催されました。先月26日の「リゾカジナイト大阪」(コラム#100)に続くもので、韓国・仁川に来週20日の「パラダイスシティ」オープンを記念したイベントです。

 会場入口には前回と同様、金のスパンコールジャケットをまとったカジ郎さんがお出迎え。パーティーのスタートが告げられると、ステージ正面のカーテンがオープン。会場となったパレスホテル二階のバンケットルーム「葵」は窓越しの眼前に皇居の和田倉濠と和田倉噴水公演を臨み、その奥に大手町や霞が関の夜景が広がっていました。会場は立食スタイルのブュッで、カウンターではミシュランの星を獲得している銀座の名店「鮨 かねさか」の職人が目の前で鮨を握るなか、リゾカジメンバーを含む参加者の皆さんが談笑していました。

 パーティー会場奥のコーナーを見ると、四台のバカラテーブルが設置されています。前回はブラックジャックでしたが、今回のメインは「リゾカジ杯バカラ選手権2017」。予選トーナメント通過者が決勝戦に出場します。ポーカー実況アナウンサーとして有名な てらこさんのほか、東大カジノ研究会の室谷侑太郎くんを含む12名が決勝トーナメントに出場していました。室谷くんは決勝終盤まで勝ち残り、オールインを仕掛けて残念ながら敗退。一方で、てらこさんは3位に入賞。優勝者にはトロフィーが贈呈されました。

 パーティーの終盤にはクジによる抽選会が行われ、その中でなんと室谷くんのほか、東大カジノ研究会から中山篤くんの二名が入賞。二人ともこういったパーティーは初めてだったそうですが、良い思い出になったようです。

(写真左から)「リゾカジナイト東京」での てらこさん、東大カジノ研究会の室谷侑太郎くんと中山篤くん

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